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公害・地球懇ニュース 2009年6月号 No.165の内容
■ 特集「地救ふぉーらむ in 高野山」
■ 公害・地球懇 総会
■ 全都環境アセスメント交流会
■ 温暖化対策と原子力
■ JNEP情報
◆ 地救ふぉーらむ in 高野山 ◆
◆ 熱い思いを共有 ◆
公害・地球懇運営委員 橋本 良仁
4月25、26日の両日、和歌山県高野町の高野山大学で「地救ふぉーらむ in 高野山」が開催され、のべ700人が参加した。公害・地球懇からは、新婦人や農民連をはじめ10名が参加、集会の成功に大きく寄与した。2009年12月には、デンマークのコペンハーゲンでCOP15が開催され、2013年以降の世界の温室効果ガス削減の枠組みが決められる。「ふぉーらむ」は、COP15の開催を視野に開かれた。
日本の京都議定書削減目標は1990年比6%減。しかし2007年までに削減どころか9%増。諸外国に比べ、あまりにも後ろ向きな姿勢を変えさせねばならない。政府が2020年までの中期目標を決めるのは6月末。やっと示した6つの選択肢は、1990年比4%増から25%減という低水準である。何としても25〜35%削減を目標にしなければならない。
開催地となった高野山は、紀伊山地の霊場や参詣道として2004年に世界遺産に登録された。霊場「高野」は、816年に空海が真言密教修禅の道場として創建した金剛峯寺を中心に山麓の慈尊院と丹生官省符、丹生都比売の二つの神社で構成されている。1,200年のあいだ信仰の山として歴史を秘めた山上の宗教都市高野山、今回の開催には最適の地であった。ニュース6月号と7月号に参加者の思いをお届けする。
公害・地球懇幹事 伊藤 章夫
浅岡美恵さん(気候ネットワーク代表)は、「ドイツ産業界も『自主行動計画』で抵抗したが、経済の仕組みを変える方向に進んだ。米国がオバマヘ変化した背景に世論の動向、NGOの活動がある」と語った。
米国気候行動ネットワークのアンダーソン女史は、「米国民の関心事は経済、エネルギー。環境は低い。上院バードヘーゲル決議はほぼ全会一致で京都議定書に反対した。20州と500の都市は京都議定書を踏まえ行動している。国際協定参加は議会の2/3の賛同が必要。オバマは復帰し、指導性を発揮すると約束した。NGO目標は2050年80%減、中間25-40%減」と述べた。
西岡秀三さん(IPCC専門家)は、「2070年CO2排出量は0にしなければならない。排出量を減らしながら、排出したCO2を吸収する。国際的な衡平的考えは、各国の責任、能力、実効性が求められる」と日本政府の緊急な行動を求めた。
浜中裕徳さん(元環境省、中期目標検討委員)は「限界削減費用均等、GDP一人当たり均等、ベースラインからの削減均等、人口一人当たり排出量均等、セクター別均等」を並べた。政府の代弁者のようだ。
二日目の第1分科会。島田達志さん(環境省地球環境局長)は、「私と大臣の立場は、①子や孫の世代を守る、②米・中を巻き込む、③低炭素社会の環境技術を世界に発進する。GDPが2-3%減少しても、現状の産業連関表の枠組みで計算しているので実際はわからない。6項目の中期目標では、1は限界削減費用のケース、6は全機器省エネ義務化、生産量低下を見積もっている」と述べた。
枝廣淳子さん(環境ジャーナリスト)は「大事なことは、①ビジョン、②システム思考、③行動につなげる仕組み、行動すると得し、行動しないと損する仕組み。①地産地消、②大量生産から足るを知る生産へ、低炭素社会はパラダイムシフトが必要。コストリテラシーも。①コストを追加、②メリットも表す、③やらなければ後で生ずるコストを示す」とクールに説明した。
飯田哲也さん(環境エネルギー研究所)は「原発では地球環境は守れない、世界的不況で建設速度が間に合わない。自然エネルギーこそ役立つ」と訴えた。討論で「麻生首相は新聞投書を注視している(枝廣さん)」、「国際条約を守らないでいいと考えるのは分裂症だ(飯田さん)」、「生活者の声を出して欲しい(寺田さん)」と答えた。
○ NGO・市民のがんばりが流れを変える ○
新日本婦人の会副会長 高橋 和枝
4月25日当日の朝5時30分に東京の自宅を出て、新幹線や南海電鉄、ケーブルカーを乗り継いでちょうど6時間後の11時30分に高野山駅に到着、翌日26日も6時間かけて帰宅、さすがに疲れました。日程の事情があったとはいえ、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された高野山は、心身ともにゆったりと訪れる場所であり、「今回は高野山に行ったことにはならないかもしれない」と、宿題を残した感じです。
「地救ふぉーらむin高野山」には700人が集いましたが、地元和歌山がどんなにがんばったかを、5月7日のMAKE the RULE(MR) キャンペーン実行委員会の場で知りました。わかやま環境ネットワーク代表理事の重栖隆さんは「圧倒的に好評だった。700人中500人が和歌山の参加者。県内に運動を大きく広げることができたと思う。ふだん環境活動に関わっていない人たちが来てくれた。その方たちは『内容は難しかったけど、有名な人が来ていて大事なことなんだと思った』『大変なことだ、がんばらねば』と感想を述べている」と語っていました。
参加者から「期待していたより十数倍良かった」「低炭素社会は必ず実現できると確信した」などの感想文があったとのこと。私も同じような思いを持ちました。
ヒマラヤの温暖化の深刻さを告発した冒険家の三浦雄一郎さんの講演、日本政府の方針転換に期待を込めたデンマーク駐日大使の話、自治体の草の根のとりくみやオバマ政権誕生前後の温暖化対策の前進についてふれたアメリカの報告、日本政府の中期目標案作成にあたって産業構造を変えない前提条件が出されていたことやCO2を大量排出している一部産業界による経済界への締め付け、しかし脱化石燃料、低炭素社会への移行は必然と語った報告などなど、全体会でも分科会でも、豊かで質の高い学習と質疑・討論がおこなわれ、COP15めざすNGOの連帯と決意を固める重要な集会になったと思います。
ふぉーらむの全体会で私は「15万の署名を集めてきた。もっと署名を、行動を」と発言しました。4月20〜26日のアースデー行動期間の宣伝・署名行動を通して、国民がそれを求めていると改めて確信しています。38都道府県119ヵ所、1,000人超の参加で、署名5,338を集めましたが、MRのぼり旗と白くま帽子で目を引く宣伝・署名行動に、サラリーマンを含め老若男女を問わず反応が良く、「いいことしてますね」「こんな宣伝に初めて出会いました」など期待が共通して出されました。新婦人しんぶんの地救ふぉーらむ特集号(5月21日号)も力に、さらにがんばりたいと思います。
○ 「地救ふぉーらむ in 高野山」に参加して ○
農民運動全国連合会新聞「農民」編集部記者 満川 暁代
最も印象的だったのは、参加者や会場全体に「将来世代に住み続けられる地球を手渡すには、今こそ日本政府の姿勢を変えなければならない」という強い緊迫感、切迫感があふれていたことです。実は参加する前は「集うことに意味がある」「NGOが一堂に会することが画期的」というような記念イベントの側面があるのか(失礼!)と思っていました。しかし「ふぉーらむ」は、中期削減目標にきっちりと焦点を絞って、深く熱い討論が繰り広げられ、明確で、強い市民メッセージが発せられ、単なるお祭りイベントでは終わらなかったことに、たいへん意を強くしました。
4月20日に東京で開かれた政府の「市民との意見交換会」を、私も報道登録で傍聴しましたが、こちらも「高野山ふぉーらむ」とは逆の「緊迫感」にあふれていました。会場は「市民」とは名ばかりのスーツ姿の財界・産業界の関係者でいっぱい。述べられる「市民の意見」は、「削減にはコストがかかる」「国際的に不平等だ」「実現可能性がない」という意見のオンパレードで、高炭素経済に依存する一部の産業界の抵抗もまた、非常に「緊迫感」迫るものがありました。中期目標の決定、COP15の開催を前に、まさに今、私たちは大きな歴史の転換点にいて、一人一人がこの流れを変える力なのだと痛感させられました。
「ふぉーらむ」の2日目は「海、山、そして田んぼ、温暖化と生命の源を考える」をテーマにした第4分科会に参加しました。CASAの早川光俊さんをコーディネーターに、漁業分野からは政策研究大学院の小松正行さんと、脱サラして鳥取県で漁師になった河西信明さん、農業分野からは農業環境技術研究所の谷山一郎さん、和歌山県・紀ノ川農協組合長の宇田篤弘さんが報告しました。
紙数の関係で全内容を紹介できないのですが、宇田さんの「米の減反と輸入自由化、農薬や化学肥料の多用、水路のコンクリート化などが、豊かだった農村の生物多様性を壊している。農業・農村の持続可能性を守ることが、温暖化の防止につながる」との訴えは、今後の温暖化と食糧問題、生物多様性、地産地消を軸にした地域経済のあり方など、「どのような低炭素社会にしたいか」「どうやって低炭素社会を実現するか」を考える時、一つの大きな視座になっていくと思いました。
○ 早期ストップ温暖化—COP15の成功を ○
○ 公害・地球懇2009年総会開く ○
公害・地球懇事務局長代行 清水 瀞
公害・地球環境問題懇談会は、5月9日(10:00-17:00)文京区民センターにおいて2009年総会を開きました。総会には、全労連・自治労連・新婦人・農民連・保団連などの団体会員と個人45名が出席。この1年間の活動の前進の手応え、半年後に迫っているCOP15を成功させる決意、さらに久し振りの「地球環境基金」助成内定の朗報もあって、活気ある総会となりました。
○ 3人が連帯あいさつ
総会には3人の来賓をむかえ、連帯あいさつを受けました。公害総行動を軸に、ストップ温暖化の課題に三者共同で取り組んできた全国公害被害者総行動実行委員会・中山裕二事務局長と公害弁護団全国連絡会議・中杉喜代司事務局長は、共に公害総行動の成功とCOP15にむけて公害・地球懇の役割を強調されました。また、全国の市民グループが結集している「MR(MAKE
the RULE)キャンペーン実行委員会」の溝口事務局次長(FoEジャパン)は「地球温暖化を止めるルールづくりをすすめよう」と述べ、公害・地球懇に積極的な役割を果たしてほしいと期待を表明しました。
○ 温暖化がまねく食料危機
本間慎代表幹事(前フェリス女学院大学学長)には、「地球温暖化の被害と農業・食料問題」と題する総会記念の講演をしていただきました。急速に進行している温暖化によって、「海面上昇により広範な農地の水没、高潮被害の増大、防波堤工事費の巨大化」「寒冷地が温暖化しても、耕作可能地がそのまま移動拡大するわけではない。長年かかって蓄積された山地や適作物は、一朝一夕に生まれるものではく、世界的に作物収量は減少する。輸入農産物依存がいつまで続くか疑問」と厳く指摘しました。さらに「東北地方では温暖化による南方系『害虫』(ツマグロヨコバイ)の大量発生が心配されるが、対策はたてられていない。温暖化と食料問題の関連をもっと重視すべきである」と強調しました。
☆農民連の仲間から— この日の講演に関連して神奈川県大和市で野菜を栽培している高橋マス子さんから「温暖化の影響—農業生産の現場から」の報告レポート(当日発言する予定だったもの)が届きました。「温暖化は、農業にとっても深刻です。米や野菜など適地としてされてきた作物も品種の栽培地域がどんどん北上しています」と具体的な影響をあげています。この内容は別途紹介します。(次頁囲み◆)
☆身近な「環境異変調査」— 総会後の第1回運営委員・事務局会議では、本間先生の提起をうけて、地球環境基金助成の事業として「環境変異調査」の事業計画を具体化し、温暖化の影響を自然と農業の現場から3年間継続的に実施する調査企画の検討を始めました。
○ 地救ふぉーらむ「よかった!」
総会には水俣病・桑鶴、東京大気・繁野、高尾山・橋本、地救ふぉーらむ・高橋(新婦人)さんから「特別報告」がありました。公害・地球懇関係から10名が参加した「地救ふぉーらむ」(和歌山県高野山)について高橋さんは、世界遺産に登録された高野山の会場に700人が集い、加速する温暖化—まだ間に合う! コペンハーゲンで決めよう「地救のルール」のテーマで学び・交流したことを報告。あらためてCOP15の意味と国際交流の現状、脱化石燃料・低炭素経済へとすすむ世界と中期目標に象徴される日本の遅れ、その矛盾、運動の課題・方向などが明らかにされ、COP15をめざすNGOの連帯と決意を固め合う集会になったと、感想を述べました。高橋さんは参加した分科会で、「CO2排出の7割を占める電力や鉄鋼など大口排出事業所への規制の問題はあまり報道されず、5%の排出しかない家庭にまるで問題があるかのようなキャンペーンがおこなわれている。こうしたなかでも宣伝・署名には大きな反応がある。もっともっと外に出て署名を、行動を」と発言したことが報告されました。
○ 総括・方針を確認
■2008年度の活動総括案は橋本運営委員が提案をおこない、①3回のシンポジウムの開催、②洞爺湖サミットの札幌行動、③「地球の温暖化をとめて」のDVD制作・普及、④組織・財政問題の調査・検討など、この1年間の前進を報告し、温暖化問題の取り組みが学習から実践へと質的に変化したことを評価しました。
■また、2009年の活動方針案は大嶋運営委員が提案し、①COP15に向けて温暖化対策推進委員会を中心にストップ温暖化の取り組みを前進させる、②DVDに続いてパンフレットを発行し、学習・署名行動をすすめる、③公害・地球懇結成20周年記念にむけて、組織の強化・拡大と財政の確立をすすめる、などを確認しました。とくに今年は地球環境基金の助成を有効に活用して、「市民フォーラム(地方集会)」なども各地で開催し、全国的なネットワークをつくる活動に力を入れることになりました。
■討議では、①水俣病を中心に公害裁判支援の強化、②温暖化と原発問題、③環境アセスメント、④公害・地球懇の「運動のあり方、組織のあり方」などについての発言があり、方針案が補強されました。
◆ アセス制度の改善課題が浮き彫りに ◆
環境アセスメント都民連絡会事務局長 渡辺 章
環境アセスメント都民連絡会は、5月9日、第4回全都環境アセスメント交流会を杉並区・阿佐ヶ谷区民センターで開催しました。
この交流会の目的は、一昨年6月から取り組んできた「東京都環境影響評価条例・技術指針」改訂運動の意味を、具体的事例にもとづいて深め発展させることを目指したものです。同時に、今年は環境影響評価法の「見直し」の年にあたり、どのような見直しが必要かということを実際の事例から明らかにすることを意図して企画されました。
いま、都民の注目を集めている外郭環状道路では、杉並区善福寺の古川英夫さんが、大深度地下トンネルの問題点について、三鷹市の豊田詠史さんが外環PI(パブリック・インボルブメント)とは何であったかについて報告しました。
古川さんは、40m以上も深い地下に、直径16m、5階建てのビルに相当する構造物を2本、長さ16kmにわたって構築すれば、地下水の流れを遮断してダムアップやダムダウンが起こることは明らかだ。国土交通省は、「地下水流動保全工法」を採用するから問題はないといっているが、その工法は「井荻トンネル」で失敗していると指摘しました。
環境アセス法の技術指針にあたる「主務省令」も、調査の手法は、「既存資料の整理解析」をベースにしています。しかし、外環トンネルは、41m以深であり最も深いところは、70mにも及びます。そのために地質を調査した既存資料は存在しませんでした。国土交通省は、仕方なく1kmに一箇所、合計17箇所のボウリング調査をして実地調査をしたと主張。1kmに1箇所の調査で地下水の動向を把握することなど不可能であるにも係わらず、地下水の流れに問題は起こらないと主張しました。
交流会では、次の報告がありました。
▼都市高速道路「外かく環状道路計画」を検証する(市民による外環道路問題連絡会・三鷹=豊田詠史代表)
▼東京港臨港道路南北線建設計画に係る「環境配慮書」の問題点(臨海都民連・市川隆夫氏)
▼環状二号道路と築地市場の移転問題(共産党中央区議・田辺七郎氏)
▼イオンの東久留米出店計画の環境影響評価書案(イオン出店計画を考える会・川井満氏)
▼再開発事業と環境問題の関連を考える(文京区春日・後楽園駅前地区の再開発の場合=共産党文京区議・国府田久美子氏)
▼西東京3・2・6号調布保谷線建設工事差し止め訴訟について(柳田由紀子氏)
▼事後アセスの問題点を考える(環8の会事務局長・佐藤政美氏)
○ 温暖化対策と原子力 ○
産業技術総合研究所 歌川 学
原子力は選ばれる資格なし
温暖化の被害をおさえるため、温暖化対策、温室効果ガス排出大幅削減はまったなしである。発電所や工場など大規模排出源を中心に早急に対策を進めて大幅削減を確実に進める必要がある。
ところが、温暖化対策は排出が減れば何でもいいわけではない。大気汚染公害等の環境負荷をもたらしたり、コミュニティーや社会に大きな影響をもたらすようでは問題である。原子力発電は、放射性廃棄物を長期間いかに保管するかなどの問題がし、原子力施設でも燃料輸送中でも事故があればチェルノブイリのように街全体・地域全体を放棄するような、他の施設ではありえないリスクをかかえている。また、発電所のエネルギー効率では原発は火力より悪いし、送電ロスも大きい。温排水は周辺漁業や海の生態系に悪影響を与える。大量エネルギー消費からの脱却には役立たない。省エネや自然エネルギーをきちんと選べばこういう問題はない。
温暖化対策と原子力
推進側の説明は以下のようなものである。日本は電力の約3割が原発である。原発を全て火力に置き換えれば火力の割合が6割から9割に増え、CO2排出も約4億トンから2億トン増え約6億トンになる。何か変ではないだろうか。
通常は省エネや自然エネルギーなど様々な対策方法の中から選ぶ。省エネや自然エネルギーに投資せずに、原発を選んだということである。電力会社は100万kW級の原発建設で3,000-4,000億円かけている。税も投入され、日本の「電源開発促進対策特別会計」(経済産業省所管。今は石油特別会計と合併)の毎年3,000-4,000億円の予算の多くは、省エネや自然エネ普及ではなく、原発や核燃料サイクルの技術開発予算、原発周辺自治体への交付金などである。
なお、原発は化石燃料を直接燃やすわけではないが、発電時に一部電気を所内で使うので、発電所の排出を消費側の排出とみなす日本の考え方では原発からもCO2排出がある。また、発電所の建材製造、ウラン鉱石採掘、輸送、処理などの各過程でCO2を排出している。加えて廃棄物の長期間の管理で膨大なCO2排出があると考えられる。
日本の温暖化防止政策と原子力
また、排出増への原子力の「役割」は大きい。1997年に京都議定書で日本の2010年目標が1990年比6%削減が決まると、翌1998年に政府の「地球温暖化対策推進大綱」に「原発20基建設」が盛り込まれ、石炭の削減や省エネ・自然エネ大規模普及は先送りされた。2001,2年改正で建設は「原発13基」に減り、データ改ざん、不祥事やトラブル隠しの発覚で建設が困難になると「設備利用率85-87%」(2002年以降実績は60-70%)として原発の電力量増加にこだわった。
不祥事やトラブル隠しの中で原発建設が進まず、設備利用率も低下、省エネや自然エネルギーは先送り、石炭火発建設など温暖化対策に逆行する産業活動を放置してきた。日本の温室効果ガス排出は2007年までに1990年比9%増加し、その大半は、石炭火発と原発を両方増やすつもりが石炭だけ増え、自らの目標を守れず効率を悪化させた分である。原発を縮小させ、他の対策に取り組んだドイツやスウェーデンは排出が減少している。
日本の2020年中期目標の議論でも原発を9基建設し、電力量を今の1.5倍にすることが「共通」対策として各機関に押し付けられた。原発90%稼働(2007-8年実績は60%)を対策に入れた機関もあり、過去の総括もせず同じ過ちがまた繰り返されようとしている。
欧米で原発復活?
日本では、欧米諸国が一部で原発復活と報道されている。新規建設も計画もなく、廃炉一方だった最近までと考えれば検討が増えたこと自体が変化かもしれない。
しかし、日本への伝わり方は異常である。イギリスが最初のエネルギー白書で「原子力は経済的に魅力がない(当面建設する予定はない)」とした際、日本の審議会には「将来建設する可能性を否定しない」と書いたところが引用された。2月にスウェーデンが中期目標を40%削減に強化し、原発全廃を延期した際には、中期目標は伝えず、原発を増やす計画はなく立て替えを認めるだけにも関わらずまるで新規に増やすような報道がなされた。
中国などアジアでは原発建設がある。しかし世界の原子力の市場と、自然エネルギーの市場では後者が桁違いに大きくなった。今後も温暖化対策には原子力しかないような論説が日本でだけ予想されるが、注意が必要である。
JNEP情報2009年5月
◆日本の排出量、1990年比9%増
電力、鉄鋼業界の目標未達成が原因
2007年度の日本の温室効果ガス排出量が発表された。1990年度比(フロン類は1995年度)、9.0%増加の13億7,400万トンで、史上最悪を記録した。6%削減目標まで15%も差がある。
電力業界の自主目標未達成分(CO2原単位20%改善のはずが9%悪化)と鉄鋼業界の自主目標未達成分(総量9%減のはずが1.8%減)の2業界だけで日本全体の排出の10%分、この2業界が目標を守っていれば日本の排出は減少していた。
排出が大きく増えたのは発電所。日本の排出量の約3割を占め、1990年以降の排出増は50%、発電所だけで日本全体の排出を11%増加させた。原因は石炭火力発電所増加にあり、1990年以降の排出が約2.7倍、石炭火力発電所の増加だけで日本全体の排出を11%増加させた。
大口排出源の削減対策とその義務化の必要性がさらに明らかになった。
◆2010年目標を2020年まで先送り
—電事連が2020年度目標を発表—
電事連は4月の会長記者会見で、2020年の目標を発表、目標値はCO2排出原単位を2020年度までに0.33kg-CO2/kWhにするとしている。しかし、現在の電事連目標はCO2排出原単位を2008-12年平均で1990年比20%削減(おおむね0.34
kg-CO2/kWhと発表)としていた。今回発表は、現目標を10年先送りしたと言える。大口排出源の削減は、目標値を業界・企業に任せていては進まないことも明らかになった。
◆排出増加目標を推す全面広告
—産業界・業界団体と大口排出産業労働組合—
日本経団連などの産業界・業界団体は、「考えてみませんか? 日本にふさわしい目標を」を5月21日の各紙朝刊に掲載、「7%削減程度の甘い対策でさえも負担や経済への悪影響が大きいのでもっと甘い目標を」と訴えた。
学者やNGOなどが指摘してきた、温暖化進行の被害をまず考えるべきとの意見や、政府の経済影響試算には対策のメリットであるエネルギーコスト減や新規雇用・産業需要創出などが十分入っていないとの指摘には応えず、省エネ投資を差し引いてもマイナスとしている。
今回は産業団体、業界団体59団体に加え、大口排出源産業の労働組合7団体が新たに名前を連ねた。新たに加わった業界団体もあるが、機械産業の3団体が連名から抜けた。
公害・地球懇 活動日誌
5月7日(木) ◇薬害イレッサ定例宣伝
8日(金) ◇公害総行動運営委員会
9日(土) ◇公害・地球懇2009年総会
12日(火) ◇高尾山天狗裁判最高裁前定例宣伝
15日(金) ◇中央環境審議会大気環境部会(PM2.5環境基準検討)
17日(日) ◇川崎公害・環境・まちづくりフェスタ
17-18日(日-月) ◇全国公害患者の会連合会定期大会(蒲郡)
19日(火) ◇東京あおぞら連絡会理事会
20日(水) ◇有明海農水省前宣伝/農水省交渉
21日(木) ◇公害・地球懇温暖化対策推進委員会
22日(金) ◇公害・地球懇運営委員・事務局会議
23日(土) ◇公害総行動運営委員会
24-25日(日-月) ◇東京公害患者と家族の会「リハビリ一泊旅行」
26日(火) ◇高尾山天狗裁判控訴審
29日(金) ◇PM2.5環境基準—環境省交渉
30日(土) ◇首都圏道路現地調査・交流集会(市川)
◇シンポジウム「公害・薬害・職業病—被害者補償・救済の改善をもとめて」(東京経済大学主催)
31日(日) ◇公害総行動実行委員会
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