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公害・地球懇ニュース 2009年7月号 No.166の内容

■ 第34回公害総行動総決起集会
■ 新潟水俣病提訴
■ CO2削減を求める「電事連」要請
■ 中期目標に対する共同アピール
■ 「地救ふぉーらむ in 高野山」その2
■ JNEP情報





◆ なくせ公害! 守ろう地球環境 ◆
◆ 総決起集会1,100人集う ◆


農民運動全国連合会事務局 満川 暁代

 第34回「全国公害被害者総行動」の一環として、6月1日夜、日比谷公会堂で「総決起集会」が開かれました。集会には、公害被害者をはじめ弁護士、学者・研究者、環境問題に取り組む諸団体や個人など115団体、総勢1,100人が参加しました。
 集会は、川崎、東京の患者会によるコーラスでスタート。CASA専務理事の早川光俊弁護士が、地球温暖化の現状と課題について、映像を使って報告しました。「地球温暖化と公害はまったく同じ問題を含んでいる。温室効果ガスの8割以上が、発電所や工場、自動車など産業部門から排出され、公害原因物質の排出企業と同一である。被害が、生物的・社会的弱者に集中していることも共通している。原因の共通性は対策の共通性にも通じ、日本の公害経験と運動が、地球規模の環境問題でも役立つ」と述べ、「COP15に向け、今、私たちの行動が求められている」と呼びかけました。
 続いて、フェリス女学院大学前学長の本間慎さん、全労連議長の大黒作治さん、新婦人会長の高田公子さん、また原爆症認定集団訴訟原告団の山本英典さんから連帯の挨拶がありました。
 メインイベント「たたかいの交流」は決起集会初の試み。前半は、水俣病、大気汚染、薬害イレッサ、有明海、高尾山、嘉手納基地などの代表が壇上に勢ぞろい。後半は各団体の参加者や支援者がノボリや横断幕を手に登壇し、たたかいを交流しました。

 ノーモアミナマタ訴訟原告の吉海ヤエ子さんは、「中学生の時に発症。何をやってもうまくいかず、同級生にいじめられた。父は私をリヤカーに乗せ、デコボコ道を3時間も引いて8キロ離れた病院に連れて行ってくれた。農家に嫁いだが体調が悪く農作業ができず、最初は気遣ってくれた夫も次第に罵るようになり、浮気をするようになった。何度も自殺をはかったが、生きていることに気づき“死んでいればよかった”と思ったことも。睡眠薬なしでは眠られず、からすまがりの激痛で飛び起きる。チッソ、国、熊本県には、この苦しみと痛みを少しでもわかってもらい、きちんと責任をとってほしい」と訴えました。
 続いて、園田昭人弁護団長が、特別措置法案をめぐる緊迫した情勢を報告。園田さんは「特別措置法は被害者を切り捨て、加害者を助ける本末転倒の法案」と批判し、「この法案が成立すると、他の公害訴訟にも多大な悪影響を与える」と述べ、廃案に追い込むと決意を語りました。また今秋の1,000人規模の住民検診について、不知火患者会会長の大石利生さんは、「行政には何度も住民の健康調査と環境調査を迫ってきたが、一貫して拒否し、幕引きしようとしている。私たちは自らの手で被害実態を明らかにし、抜本的な救済を求めていく」と報告しました。

 この他、新潟水俣病阿賀野患者会や東京、千葉、川崎、名古屋、大阪、尼崎、倉敷など全国の大気汚染公害被害者、そして薬害イレッサ訴訟団の仲間たちも命がけのたたかいを報告しました。
 “豊かな自然を子どもたちに手渡そう”のたたかいも交流しました。「よみがえれ!有明海訴訟」原告の平方宣清さんは、「ギロチン(水門)閉め切り以降、諫早湾は赤潮で魚や貝がとれなくなった。私たち漁業者は、日給8,000円のタマネギの収穫で生計を立て、1日も早く海で生活できるよう、がんばっている」と述べました。馬奈木昭雄弁護団長は「昨年6月佐賀地裁は開門を命じ、“控訴するな”とたたかいを展開したが、農水省は“アセスメントに3年半”、さらに“被害対策のポンプ設置に3年かかる”など、開門まで6年半かかると言う。
 このような農水省の卑劣極まりないやり方に徹底して抗議し、“開門せよ”という裁判所決定を地域住民の手に取り戻すためにがんばる」と決意を述べました。

 この他、高尾山など道路建設による環境破壊に反対するたたかいや、川辺川ダムの仲間の紹介、横田や嘉手納など基地訴訟のたたかいが報告されました。
 最後に、水俣病被害者の救済など緊急課題の解決とCOP15に向け政府に温室効果ガス中期削減目標を25〜40%にさせようと呼びかけた「アピール」を採択。「なくせ!公害」「まもろう!地球」のクラスターを参加者全員がかざし、「ふるさと」を合唱して閉会しました。


満川さんの感想
 私個人、「公害総行動」への参加は初めてでしたが、とても感動し深く考えさせられました。「公害は、被害者にはまったく責任がない。企業のもうけ本位のツケを、もっとも弱い人々が一方的に負わされている」という理不尽さ。そして「被害者自らが声を上げる」ことの大切さを、改めて痛感しました。公害被害者の命がけのたたかいが、原因企業をはじめ、すべての企業に公害対策を取らせる規制につながり、社会全体の環境と国民の健康を守ってきた——このことの重みが、被害者の皆さんの声や生き様となって胸に迫り、何度も目頭が熱くなりました。
とりわけ「被害者自ら声を上げることの大切さ」は、私たち農民との重要な共通点だと思いました。今、日本の家族農業は価格の暴落で、持続可能性が危機に瀕しているのですが、気候変動や世界的な食糧不足と高騰を考えれば、現在の生産者の危機は、消費者の危機でもあります。
 公害被害者たちが自らの被害を訴え、国民全体の健康を守っているように、今、私たち食糧生産者が声を大にして農業の困難を訴えることは、国民全体(食糧輸入大国であることを見れば人類全体にも)の食糧供給を守ることなのだ、と改めて大きな確信を持つことができました。





○ 熊本の患者会と連帯した運動を ○
○ 新潟水俣病 44年目の提訴 ○


新潟民医連事務局 酢山 省三

 熊本ミナマタ病の防止策が遅れたことから発生した第2の水俣病、新潟水俣病が公表されてから、6月12日で44年を迎えました。
 2004年の水俣病関西訴訟最高裁判決以降、熊本、鹿児島では救済を求める新たな被害者が多数生まれました。九州の患者団体や民医連から「新潟でも被害者がいる」と被害地域での広報活動の示唆を受け、新潟民医連は手帳所持者の家族に手紙を出し、地域訪問に取組み、その結果「私も水俣病?」と疑う被害者が沼垂診療所の診察を受けるようになりました。
 水俣病と診断された患者で学習が繰り返され、「一人一人の患者が繋がろう」と2007年6月、46名で新潟水俣病阿賀野患者会がスタートしました。その後、水俣病認定審査会では次々と棄却処分が出されました。一方、2万人を超える未認定患者を対象にした与党プロジェクトチームの「救済策」は、被害者切捨て、水俣病幕引きの中味でした。
 患者会は学習や不知火患者会との交流の中で、今年1月31日の臨時総会で「会員の裁判闘争を支援し、共に闘う」ことを決め原告団の組織化が始まりました。高齢による身体の衰え、家族の問題、仕事の関係…様々な理由が被害者の悩みと葛藤を深めましたが、最終的に第1陣27人が原告として名乗りを上げました。
 新潟水俣病公表日である6月12日午前10時、原告を先頭に弁護団、不知火患者会・弁護団、新潟水俣病共闘会議など100名を超す行進で新潟地裁に入り、10cmにおよぶ訴状を提出しました。9月10日、原告と弁護士による個別意見陳述を行う予定です。
 与党プロジェクト「救済策」に基づく「水俣病特別措置法案」が3月に国会に提出され、4月には民主党の「案」も出て、与党と民主党の協議が開始。民主党は「加害企業を免罪するチッソの分社化、認定審査業務を廃止する地域指定解除」は絶対認められないとの姿勢で今国会「合意」は無理であろうと予想されている中、6月末急遽、3党のトップ段階で「合意」、衆議院環境委員会は質疑なし、翌日、本会議で可決させ参議院に送付されました。
 阿賀野患者会は九州の患者会と共同して議員会館前座り込み、議員要請行動、環境委員へのFAX等、「被害者切り捨て、加害企業免罪の『合意』するな」の要請・抗議行動を展開しました。「被害者の声を聞いて下さい」の願いに背を向ける民主党の態度急変で「合意」がなされ、一気に衆議院通過となりました。
 阿賀野患者会は九州の仲間と連携して、「ノーモア・ミナマタ訴訟」を果敢に闘いながら、「救済法」が通っても、被害者の要望に沿って運用基準を改めさせる運動に取り組むことを、7月5日の阿賀野患者会第5回総会で決定しました。





○ CO2削減求め、"最大排出源"電力業界と交渉 ○
——驚くべき身勝手な言い分「電力供給責任を果たしているだけ」



 6月17日、総行動の要求書(6月2日付)に対する回答と内容ある話し合いを電気事業連合会(電事連)に求めたが、時間は30分と限られ、回答(電事連の言い分)を聞くことに大半の時間がとられた。
 電事連の言い分は、「電気使用量が増え、供給責任を果たす努力をしている」として、最大のCO2排出源である電力(とくに石炭火力発電)の責任を「利用者の責任」にすり替える身勝手な言い分に終始した。今回の申し入れ行動の結果を踏まえ今後の電事連(各電力会社)に対する要請行動に生かしたい。
 交渉団は、小池信太郎(公害総行動実行委・運営委員長/公害・地球懇代表幹事)、清水瀞(公害・地球懇事務局長代行)、大嶋茂男(公害・地球懇運営委員)、高橋和枝(公害・地球懇幹事/新婦人副会長)、清水鳩子(東京あおぞら連絡会理事長/主婦連元会長)。
 電事連側からは、渡邊広志(立地環境部長)、高橋賢司(立地環境部副長)が対応した。
【公害・地球懇事務局長代行 清水 瀞】


 CO2排出量の3分の2が火力発電所や工場、車を入れると8割になる、公害の発生源が温暖化でも主原因。公害総行動実行委員会、公害・地球懇、公害弁連の3団体が共同行動として電気事業連合会
(電事連)と交渉しました。
 交渉は、CO2排出削減と政府との協定、原子力発電依存をやめ石炭利用の抜本的見直しと今後の石炭火発建設中止や天然ガスへの転換、自然エネルギー電力の買取義務化など6項目をもとにすすめました。

電事連の回答
 要求書に対する電事連の回答は、
①要求書の前文 この通りと思うが分析が欠けている。CO2排出が50%増えたというが、電気使用料が1.4倍になっている。「日本のエネルギー自給率(4%)、国際競争力、地球環境」の三つの観点をはずして議論は成り立たない。
②原 発 原発は純国産エネルギーである。不可抗力で原発が止まり稼働率が落ちた。石炭火発が必要なことは理解して欲しい。
③石炭火力発電 石炭は安定的に調達できる。オーストラリアは政情が安定し、埋蔵量も100年以上ある。
④自然エネルギー 安定性に欠け、あくまでも補完的。「買い取り義務化」は経済ベースに乗せるために誰が負担するのか。
⑤野心的な中期目標 産業界の「自主計画」に問題がありと言うが、ネーミングが悪い。社会公約と考えており、計画達成のためには責任をとる。「大口排出源の削減義務化」は生産を止め、輸入に頼ることになる。海外生産でも地元の電力が必要であり、中国は7割、ドイツは5割を石炭に頼っている。こうした状況下で日本の役割は、世界的に優れた技術があり、その開発技術を世界に広げることが温暖化防止に役立つものと考える。原発は、核燃料は燃え続け、CO2を出さない。経済的にも環境面でもよいと考える。

交渉団の主張
 1億4千万トンもふやしていることこそ問題
 発電所ごとの燃料消費データを公表せよ

① 温暖化防止は、IPCCの報告どおり人類の生存にかかわる重要課題であり、世界的な流れに対応すべき。
② 日本の技術がすぐれていると言うが、原単位(一定量を生産するのに必要な原料・動力・労働力などの量)の比較ではなく、どれだけCO2を排出しているかだ。例えば原単位、発電効率が半分でも排出量が2倍になれば効果はゼロである。都合のよい数値をつまみ喰いするのではなく、電力産業が1990年対比で1億4千万トンもふやしていることこそ問題。
 問題点を明らかにするため、発電所ごとの燃料別消費データを示して欲しい。どこが石炭をいくら使い、天然ガスにしたらどれだけ削減できるか明確にすることが求められている。経産省がNGO代表に、「2003年までは、経産省から発電所ごとのデータが発表されていたが、2004年からは非公開になった。わざわざ省令を改正して発電所ごとに報告しないようにした」と言ったと聞いている。石炭火発がCO2排出の大きな原因となっている。この公表は大事なことなので、具体的なデータを示して欲しい(電事連の回答は「わからない」であった)。
③ 原発への依存は納得できない。事故が頻繁に起こっている。地震国日本で、取り返しのつかないことが予想される。原発に傾斜することなく、日本の優れた技術を生かした自然エネルギーの開発と普及を積極的に進めることこそ、深刻な経済危機のもとの経済再生と雇用創出につながる。
 以上について交渉にあたった3団体の要求とし、電事連として努力して欲しいことと、最後に、「京都議定書の6%削減は国際公約、産業界の柱として努力することは当然である」とのことを双方で確認し、引き続き話し合いの場を持つことを要請し交渉のまとめとしました。【公害・地球懇代表幹事 小池 信太郎





○ 「共同アピール」の画期的な意義と今後の課題 ○

公害・地球懇運営委員 大嶋 茂男


 全労連、新婦人、農民連など11団体は、6月10日、麻生首相が温暖化効果ガスの削減目標を公表した直後、首相発表の目標を批判し、私たちの立場を明確にした共同アピールを発表し、環境省の記者クラブに配布した。
 この行動は、しんぶん赤旗が報道した。共同アピールを出した団体からは、論点が明確であり、今後の運動の方向を示すものとして大きな意味がある、との評価を頂いた。
 6月24日には、公害・地球懇も参加し、自治労連が中心になっている『第10回地方自治研究全国集会』実行委員会の場で、「共同アピール」を中心に報告した。参加者からは、「こうした人類的な大きな課題に対し、民主陣営の側からの明確な政策が出ているということは、非常に力強い」と評価された。そして、区切りとなる第10回自治研では、地球環境問題を一つの重点としていくことも確認された。
 今後の見通しであるが、山場はなんといっても12月にデンマーク・コペンハーゲンで開催されるCOP15である。ここでは、今まで京都議定書に加わっていなかった中国やインド、ブラジルなどの発展途上国も締約に参加してくるし、すでに日本に対しては、2012年の6%削減に加えて、2020年までにさらに19%削減するように求める案を公表している。90年比8%削減などいう案が相手にされるはずはないのである。
 こうして、麻生首相の提起した案は、国内で財界の支持を得ただけで、市民からも、外交の場でも相手にされない、馬鹿にされるだけの案として扱われ、遅かれ早かれ大幅な修正に追い込まれることは明白である。そのとき、われわれの側でも、その大幅修正を働きかけるとともに、地球温暖化防止と「人間にふさわしい仕事づくり」との両立は可能だという路線を、説得的提起する責任が生じ来る。





<共同アピール>
◆ 温室効果ガス削減中期目標     ◆
◆ 「90年比8%減」の政府案に反対し、◆
◆ その撤回・再提出を求めます    ◆

2009年6月10日
        
公害・地球環境問題懇談会   全国労働組合総連合   農民運動全国連合会
新日本婦人の会   日本科学者会議   日本自治体労働組合総連合
全日本教職員組合   全日本民主医療機関連合会   全国保険医団体連合会
全国公害被害者総行動実行委員会   全国公害弁護団連絡会議

 政府は6月10日、地球温暖化を防止するための2020年における中期目標を「温室効果ガスを2005年比15%削減(1990年比8%削減)」として公表しました。
 これまで私たちは、共同して「なくせ公害、守ろう地球環境」を合い言葉に、水俣病をはじめとする公害被害者の救済と公害の根絶、やま・かわ・うみ・そらの自然環境を破壊するムダな公共事業に反対し、地球環境保全・実効ある地球温暖化防止政策の実現に取り組んできました。

 この案は、以下の4点の理由で、どうしても認められない内容であり、政府が今回の中期目標をただちに撤回し、COP15(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議)の合意に向けて、先進国にふさわしい責任と役割を果たすために、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学者の求める25〜40%削減要求を満たす、最低でも1990年比25%以上の目標を出すよう強く求めます。

 第1に、科学者の求める削減必要水準よりもはるかに低い水準であり、国際的合意の障害となり、地球の未来にとって自殺行為と言わざるを得ません。
 第2に、京都議定書のマイナス6%削減(1990年比)の目標にはほど遠い2007年度実績(1990年度比9%増)の原因となった、産業界任せで政府の責任を放棄したこれまでのやり方の反省がないことです。さらに、京都議定書の議長国でありながらこともあろうに基準年の変更を試みていることです。
 第3に、洞爺湖サミットの際に閣議決定した「2050年には60〜80%削減」(現状比)を実現するには野心的中期目標が不可欠であるのに、「8%削減」はこれと矛盾するものです。
 第4に、麻生政権は6案の選択にあたっても不当な前提条件をつけ、数値目標の入った「地球温暖化を防止する法律」案を国会に提起せず、国会の集中審議や承認を経ずに、国民の期待からかけ離れた内容で、行政内部の異論も無視して首相単独の決定でことを運ぼうとしていることです。

 地球温暖化が人類滅亡の可能性さえあることを考えると、「狭い意味での国益」といった次元での判断でなく、最善の削減目標を決めなければなりません。
 ところが、大口排出源の電力・鉄鋼業界などの業界団体、経団連や七つの関連労組などは、新聞各紙での一面広告を連発して、「+4%の案」を強硬に主張しました。それに譲歩して、政府は、地球環境に対して無責任な案をきめたものです。ここでも、国民の声よりも経団連の声を重視する政府の姿勢が露骨に出たものと言えます。
 地球温暖化問題の解決には、大量生産・大量消費・大量廃棄をもたらした社会・経済システムを根本から変えること、二酸化炭素(CO2)をできるだけ出さない低炭素社会・経済に根本的に転換することが必要です。そのためには、働く人々に貧困をもたらし、自国の農林水産業を壊し、子どもや若者から将来への希望を奪う財界や大企業の利潤至上主義の新自由主義的政策から一日も早く脱却することです。

 私たちは、中期目標「25%以上削減」と、それを実現するために、大口排出源の削減を義務化する実効性ある政策の導入、再生可能エネルギー重視の政策、人間にふさわしい雇用・仕事と地球環境保全を同時追求する経済・雇用政策などを政府に要求し、運動をいっそうつよめていくものです。
 子どもたちに住み続けられる地球を手渡すために!
 生きとし生けるものが共存する未来のために!





○ 地救ふぉーらむ in 高野山 ○


東京あおぞら連絡会 清水 鳩子
 「地救ふぉーらむ in 高野山」が和歌山の高野山大学で開かれ、東京あおぞら連絡会から参加しました。はじめて耳にしたとき、「地球」ではなく「地救」だと知って感動しました。また、会場が紀伊山地の霊場と参詣道として2004年に世界遺産に登録された高野山だったことも重なる感動でした。
 霊場「高野」は816年に空海が真言密教修禅の道場として創建した金剛峯寺を中心に山麓の慈尊院、そして丹生官省符と丹生群比売の二つの神社で構成されている、と聞きました。
 1,200年のあいだ信仰の山として歴史を秘めた山上の宗教都市高野山、今回の開催には最適の地でした。機会があったら主催者からこの地を開催地に選んだいきさつをお聞きしたいと思っています。
 5月20日開催の東京あおぞら連絡会2009年度第一回理事会では、簡単な報告をさせていただき、配布資料の中に高野山アピールを挿入しておきました。
 アピールは、1.地球のいまを生きる皆さん。2.地球のいまを生きる皆さん。3.地球のいまを生きる皆さん。と三本の柱に分けて呼びかけをしたうえで、具体的な提案をしてあります。締めくくりとして、「地救ふぉーらむ in 高野山」に参加した私たちは、この人類史を画する行動の先頭に立って全力を尽くすことをここに宣言します。と結んであります。
 「ストップ温暖化」は、6月1、2日に開催された今年の総行動の重要なテーマです。COP15にむけて、各団体はパブコメ提出に取り組みました。麻生内閣は6月中に中期削減目標を決めるといっていましたが、COP15の国際合意の足を引っ張る低い目標でした。こうした世界の動きに背を向けることは許されません。
 700人の参加者が満場一致で採択した「地救ふぉーらむ in 高野山」宣言を市民の力、市民の責任において実現しましょう。

尾崎初代
 真言密教の聖地、高野山。霊峰というにふさわしい山の上の静かなたたずまいの町に、117の寺、その一角の高野山大学での「地救ふぉーらむ」は、二日間であるが、びっしり詰まった内容であった。
 基調報告のお一人は駐日デンマーク大使のフランクさん。デンマークが自然エネルギーを利用した風力発電を進めている、風力タービン1台で約2,000軒の年間電力消費を賄うだけでなく雇用にも繋がっている、海中に建設される基礎部が海洋生物の種類を増やすなど、信じられないような話であったが、それ等の報告は自信に満ちあふれ、非常に説得力があった。日本に対する要望として、高い技術力を持っている国だから大いに期待したい、しかし産業界の動きが不安であると結ばれた。
 講演や分科会は大学の講堂や教室で行われたが、標高800mに位置する高野山大学の外気温は低く、移動の度に震え上がった。ただ、宿坊の高室院は、歴史を感じさせる門構えで本堂は7間もあり、早朝の勧行に参加させてもらったが、その荘重な佇まいに驚きと感動を覚えた。宿坊の食事は質素ではあるが胡麻豆腐が美味しく、これが精進料理と頷けた。
 「ふぉーらむ」の参加者は、地球環境問題に熱心に取り組んでいる各団体の参加者が多いと見受けられた。二日間を通して、多くのことを学んだが、結論は“いま、地球が泣いている”“私たち人間に訴えかけている”ということだ。美しかった地球を毀しつつあるのは、私たちだと。その仕返しはやがて自然が怒り、いろいろな形で襲いかかり、私たちは、その苦しみに陥るだろう。それは、人類の生存さえ脅かされることに繋がっていくだろうと。
 私たちの子や、50年後、100年後、1,000年後も、もっと先の未来まで、今を生きる私たち一人、一人が、この温暖化を止めることに何が出来るか、真剣に考え、行動を起こす時にきているのではないか。
 美しい未来を子どもたちに残すのは、私たちの責任、そう思いながらこれまでも生きてきたつもりだが、その思いを一層強くした二日間だった。


▼ 分科会2 DREAM本当の豊かさへ、化石燃料を卒業した世界を考える ▼

○ 高尾山の自然をまもる市民の会 おくだ さがこ
 分科会での田中優さんの話。——環境を護るためには地産地消がいい。エネルギーも、食料も、生活に必要なものはなるべく身近なところから手に入れ大切に使う、ゆったりと生活を楽しめる暮しと社会。自然エネルギーや、エコ住宅は、難しく考えなくても、こうしてできる、私たちのお金はこうしたら生きて動き、暮しに結びつく、という話。そして、軍事にかかるお金と、排出されているCO2が膨大なものであり、世界の直面している危機に対してどんなにムダなものか、ということと、原子力発電推進の欺瞞が、具体的な統計資料を基にしてとてもよくわかった。理想論や「こうあるべき」論でなく、「この方が、経済的にいっても得じゃん!」「こんな暮らしのほうが楽しいじゃん!」というところで、いまを生きる人たちに対しても説得力があると思う。
 全体会でデンマーク大使メルビン氏は、配慮しながらもこの12月のコペンハーゲン・サミットでの合意が、世界にとってどれほど大事なものかを強調し、日本への期待を語った。また、米国気候行動ネットワークのアンジェラ・アンダーソンさんは、オバマ政権の下で大きく進もうとしているアメリカの温暖化対策を語った。経済界に対してものが言えず、2020年までの中期目標+4%を主張する産業界の合唱に抵抗するポーズを取りながら−15%の目標を落しどころにして世界の嘲笑を買った日本政府。大きな選挙を控え、国民として私たちには大きな責任がある。
 全体会・分科会での話もよかったが、私には、清水鳩子さんが主婦連に関わった頃を中心に語ってくれたことがとても印象的。短い時間でごく一部しか聞く時間がなかったけれど、豊かにしなやかにしたたかに生きてこられたすばらしい大先輩に、魅せられました。80歳を超えてなお周りの人にたくさんの元気をくださる鳩子さんに拍手! 地救ふぉーらむ、参加してよかった!
 温暖化問題を学び始めて、私は未来への大きな希望を持つようになった。




▼ 「存在は関係である」〜空海 ▼
 — 高野山から見た地球温暖化


○ ケイト ストロネル
 1,200年前に真言密教を創造した空海が開いた山、高野山。今も人口4,000人のうち、1,000人はお坊さんだというこの聖なる山に2日間過ごして、地球と人間、自然と環境を改めて考えるきっかけとなり 、とても貴重な経験をさせていただきました。
 気候変動はさまざまな角度から見ることができますが、このフォーラムは多様な見方をバランスよく検討したと思います。一日目は、食料危機、水不足、洪水など予想される惨事の科学的根拠が述べられ、討論されました。「気候変動なんか起きない」と“頭を砂に突っ込む”(カンガルーは見たくない物があると頭を砂に突っ込みます。具合の悪いことは見ないようにするというオーストラリアの慣用句)権力者は多くいましたが、最近一般市民でも異常気象を自分たちで実感するようになり、権力者は科学を否定できなくなりました。私はオーストラリア出身ですが、最近の大規模山火事で亡くなった200人とその直前の高気温で亡くなった多くの人は「気候変動犠牲者」と呼ばれているそうです。このような実感が市民の中に湧いてくると難しい科学の話でも一所懸命聞き、その真実が生きてくるという気がしました。

 政治・経済の面の気候変動も話されました。アメリカから来た気候変動活動家が、今までまったく進展しなかったアメリカの気候変動政策がオバマ政権誕生からは希望溢れるようになったと発表がありました。また在日デンマーク大使は、デンマークではさまざまな気候変動防止の取り組みが進んでいるが、これは新しい産業を生み出したり、 経済効果が上がるケースが多いと話しました。日本政府も産業界を説得し、green energy developmentなどをもっとpositiveに考えて、頑張ればいいのにというメッセージに聞こえました。

 二日目は4つの分科会にわかれ、私は「SOUL future」に参加しました。「高野山ならではの分科会」で、宗教と気候変動の話をしました。「なんで気候変動が起きているの?」という質問に対して、この分科会では、人間と自然の関係を仏教、神道、キリスト教のパネラーを中心に考えました。パネラーはほとんど同意見でした。「この便利な、お金でなんでも手に入るように思わせる世の中でほとんどの人々は“いのち“の大事さを忘れている。空海は、人間は自分の存在でさえ他の生き物によって形成されていると言ったが、これを忘れると自然は人間のためにあり、好きなように搾取すればいいという考え方になり、今のような地球環境破壊を招きます」。

 私は金比羅神社神職の資格を持ち、日本の仏教なども勉強しているので、仏教や神道のパネラーがこのような発想するのは普通だと思いますが、驚いたのはキリスト教のパネラーの発言でした。聖書の中に神様が6日間で宇宙を作り、最後に人間を他の生き物を支配するために作ったと書いてあります。私は子供の時にこれを読んで、こういう考え方は地球をどんどん壊すと思い、キリスト教を人生から捨てたという経過があります。しかし、今回のパネラー、ホアン・マシアさん(カトリック・イエズス会所属)の発言でキリスト教を見なおさなければならなくなりました。ホアンさんによると「支配」という言葉は翻訳ミスで、聖書の原本に戻ると人間は他の生き物の「世話をする」という意味に近いそうです。このようなことはなぜ重要かと言いますと宗教はいろんな解釈ができ、政治的な使い方もよくあります。国家神道もいい例ですが、自然を巨大な市場と見るようになったのは政治・経済の都合で、聖書でさえいいように利用されたのではないかと思い始めました。

 日本では昔から神道と仏教は区別できないぐらい一緒になり、神も仏も元は一つだと日本人は本能的に感じていたと思います。高野山は神社もお寺もたくさんあって、それを肌で感じさせるところです。今回、どの宗教も元は「どんな命も共に生かされているという思い」だと思いました。気候変動をはじめ、様々な環境問題はこの宗教の元を私たちが忘れているのが根本的な原因です。しかも宗教を政治的に使い、本当の教えを見えなくしている勢力もあります。宗教の根本的な原点「いのち」、空海の言葉で言えば「他のいのちより私たちは偉いわけではない」とお互いの美しさを感謝し、楽しむ、その関係性を思い出す必要があるということでしょうか。
 文末になりますが、今回の私の高野山行きは公害地球懇の皆様の多額なカンパのご支援なしには実現しませんでした。心より感謝申し上げます。





◆ JNEP情報2009年6月 ◆

◇ 日本政府 中期目標90年比8%削減と発表 
 麻生首相は6月10日、日本の温室効果ガス排出削減中期目標を1990年比8%(発表は2005年比15%削減だが、05年までに日本は排出を7.7%も増加させたので、1990年比では8%削減になる)と発表した。
 この発表は、条約・議定書の特別作業部会開会中に行われた。日本の低い目標発表に対し、会場から拍手はなかった。ドイツ(40%削減目標を掲げる)は「失望に値する」と指摘、途上国は目標上乗せをと要求した。デ・ブア気候変動枠組条約事務局長は「この役職に就いて2年半、言うべき言葉がないのは初めて」(デンマーク政府のCOP15ホームページの記事)と失望感をあらわにした。NGOは交渉を妨げた国に贈る「化石賞」を日本に贈った。
 国内の新聞40紙近くがこの問題を取り上げ、日経は「温暖化防止は将来の子孫に残すべき地球のありようを問うている。科学が予見している地球規模の気候変動と被害を抑える強い意志があるか。それが問題の本質である。目先の利益にとらわれず、将来をにらんで経済や社会を変える。その強い意志を示すのが政治の役割である。中期目標からこの強い意志はほとんど見えてこない。」と酷評したのをはじめ、産経と読売以外の多くの新聞が目標の低さを指摘した。

◇ イギリスは目標を引き上げ 
 イギリス政府は4月に、従来2020年までにCO2排出量を26%削減としていた中期目標を、科学者などからなる気候変動委員会の勧告(2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比34%、国際合意があれば42%削減するよう勧告)を容れ、温室効果ガス排出量を少なくとも34%削減することに引き上げた。

◇ 国立環境研究所などが、温暖化進行を放置した場合の日本への影響を発表
 国立環境研究所や茨城大学など14研究機関が、温暖化の進行による日本への影響の研究成果を公表した。洪水被害で温暖化の進行を放置すると2070年頃には年間9兆円近い被害が予想されるが、気温上昇を産業革命前から2℃程度におさえる対策を実施すれば、6.4兆円程度で抑えられるとの試算、熱中症などの熱ストレスによる死亡リスクも放置すれば2090年には1990年の4倍近くになるが、対策をとれば2倍程度でおさまるとの試算など、対策により被害が軽減できる可能性が示された。

◇ 小名浜石炭火発アセスに環境大臣、経済産業大臣勧告
 環境大臣は、小名浜パワーの小名浜石炭火発(福島県いわき市、設備容量40万kW。完成すれば228万トンと巨大な排出量をもち、また電力1kWhあたりの排出量が0.81kgと天然ガスの2倍以上、電事連平均と比較しても約2倍。)の建設計画に対し、温暖化対策に逆行し「是認しがたい」との意見を述べた。経済産業大臣はこれを受け、最高水準の設備の導入、バイオマス一部導入などでCO2を最大限削減するよう求める勧告を行った。





公害・地球懇 活動日誌
6月1日(月) ◇全国公害被害者総行動総決起集会
  2日(火) ◇全国公害被害者総行動省庁交渉
  9日(火) ◇高尾山天狗裁判最高裁前定例宣伝
  16日(火) ◇温暖化署名提出院内集会
  17日(水) ◇電事連交渉
  22日(月) ◇温暖化問題推進委員会
  24日(水) ◇高尾山天狗裁判更新弁論
  25-26日(木-金) ◇水俣病特措法案反対座り込み
  29-30日(月-火) ◇水俣病特措法案反対座り込み



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