第45回全国公害被害者総行動延期にあたって

 

2020年6月3日

全国公害被害者総行動実行委員会

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新宿区新宿2丁目1−3

サニーシティー新宿御苑10F

電話03−3352−9475

第45回全国公害被害者総行動延期にあたって

コロナ禍対応(要望)について

全国公害被害者総行動を延期します

 6月3日、4日に予定していた第45回全国公害被害者総行動について、期間を定めず延期することといたしました。新型コロナウイルス感染症が全国的に広がっており、5月4日に発せられた緊急事態宣言が5月末まで延長されたこともふまえた措置です。

 私たちは、1976年以来、全国の公害被害者が「環境月間」である6月に毎年、東京に集まり、環境大臣交渉を皮切りに、関係省庁、経済団体への申し入れや交渉、街頭宣伝、総決起集会などを行ってきました。また、年間を通じてそれぞれの公害被害者団体がかかえる裁判や解決にむけての諸行動などについて、情報の交換、行動の相互支援を行い、もって我が国の公害・環境行政の前進に少なからず貢献してきました。

 今回の延期はコロナウイルス感染拡大が原因とはいえ、半世紀近くにわたって、諸先輩が築き上げた歩みを一時止めることになり、誠に残念であると同時に、一刻も早い解決を求める被害者団体にとって断腸の思いです。

 大気汚染公害や建設アスベスト被害などは、呼吸器疾患があり、その他の構成員も公害被害者で抵抗力や免疫力が弱い集団ですので、命を守るために、やむを得ないと判断しました。

 どうか今後とも国民のみなさまのご理解とご協力を切にお願いするものです。

政府、国会はいっそうの対策を

ところで、コロナ禍のひろがりは、公害根絶の取組みを進めてきたものにとって自らの命に直結するものであり、強い危機感を持つものです。

現下の重要な課題は、感染の全体像を明らかすることです。感染が明らかとなった当初、わが国ではクラスター対策が中心であったため、PCR検査のハードルがきわめて高く検査が進みませんでした。その後も検査は、政府の目標数に届いていません。

 水俣病では、公式確認から64年を経てもなお健康調査がおこなわれていないため、被害の全容がいまだ明らかでなく、有効な施策がなされていません。現在も被害者が裁判を継続せざるを得ない事態となっています。

 公害や感染症にかかわらず、国民の健康や財産に被害が生じた場合、その全容を一刻も早く解明し解決策に反映することは、政治の幹でなければなりません。

 また、過去において公害の発生現場では、加害企業や行政による情報の隠蔽や原因究明の妨害があったため被害の全容解明が妨げられ、住民の中には差別と排除を持ち込むことになりました。

 政府、国会においては、感染防止策のいっそうの推進と一刻も早い全容解明のため検査を抜本的に拡充すること、すべての情報を開示するなど、これまで公害被害者が経験した歴史を繰り返さないよう、強く要望するものです。

コロナ禍にあって、私たちは訴えます

 未知のウイルス感染は、今後も起こりうることです。感染を最小限におさえ、それとどう共生していくかが問われています。そのための道は、経済の発展や効率を優先するのではなく、命、健康を何より大切にする方向に向かうことだと思います、私たちの願いである地球上から公害を根絶し、地球規模で環境を守ることと同じ道のはずです。

医療従事者のみなさまに心からの感謝

 最後になりますが、決して忘れてならないのは、医療従事者のみなさまへの感謝の気持ちです。公害被害者は自らの命と向き合って生きていますが、これを心身ともに支えていただいているのが、医師をはじめとする医療従事者のみなさまです。もし、医療崩壊がおこれば、それは私たち自身の命に直接かかわることになります。コロナ禍のもとで過酷な業務にあたっておられることに心から敬意を表しますとともに感謝申し上げるとともに、国は物心両面にわたる援助をしなければならないと思います。

 私たちは、自らが公害を経験したものとして、国民のみなさんとともにこの危機を乗り越えていくことを心から呼びかけるものです。

以上