東京電力福島第一原子力発電所で、高い放射線量に阻まれて人が作業できない3号機の燃料プールから核燃料を取り出すため、新たに開発された遠隔操作の装置が報道関係者に公開されました。
福島第一原発では、事故発生当時、原子炉とは別にそれぞれの建屋の最上階にある使用済み燃料プールで大量の核燃料を保管していました。このうち、4号機はすべての核燃料を取り出す作業が終わっていますが、1号機から3号機については高い放射線量などに阻まれて今も残されたままです。
横浜市にあるメーカーの工場で公開されたのは、3号機の燃料プールで爆発で散乱したがれきを取り除く作業と核燃料を取り出す作業を行ういずれも遠隔操作の2種類の装置です。
このうち、がれきを取り除く装置は、幅1メートル余りの本体にがれきをつかんだり切断したりする2本の腕が取りつけられていて、位置の微調整ができるように6本のワイヤーでつるされています。
カメラの映像を見ながら遠隔操作で装置をプールの中に降ろし、がれきを取り除いたうえで、もう一つの装置で核燃料を取り出す仕組みです。
3号機の燃料プールには現在も566体の核燃料があり、東京電力では、来年度中にも装置を現場に運び込み、訓練などを経て平成30年から取り出し作業を行う計画です。
開発に当たった東芝の関口晃一グループ長は、「プールの中はまだ分からないことが多く、想定していないようながれきがあった場合は、新たな工具を開発するなど安全に確実に作業を進めていきたい」と話しています。