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  福島の高校生、廃炉現場を見学 18歳未満で事故後初 
 20161118
福島の高校生、廃炉現場を見学 18歳未満で事故後初 

朝日デジタル
廃炉作業が続く東京電力福島第一原発の現状を間近に見ようと、福島県立福島高校の生徒らが18日、18歳未満として初めて事故後の構内をバスで見学した。水素爆発などによる損傷が残る原子炉建屋や汚染水タンク群などを、約2時間かけて車窓から見つめた。
生徒たちは「スーパーサイエンスハイスクール部」などの13人。放射線や廃炉について自ら調べ、国内外に発信してきた。食い入るように廃炉現場を見た1年生の小桧山恵香(こびやまけいか)さんは「福島は怖いというイメージを変えるには、正しい知識を持たなければだめだと感じました。まずは同世代の高校生に『私たちも見てきたよ』と伝えたい」と語った。 生徒たちのモットーは「一次情報」にあたること。廃炉作業も、東電幹部の講義などを通じて理解を深めてきた。昨年には、県内を含む国内外の高校生220人に線量計を送り、外部被曝(ひばく)線量の比較結果を発表するなど、データを根拠にして福島を理解してもらう活動を続けてきた。
同行した顧問の原尚志(たかし)教諭は「生徒らは自分たちのふるさとの復興を進めるため、何かできないかと活動してきた。今日見たものがさらなる原動力になるはず」と話した。 東電は事故後、18歳未満の視察を対象外としたが、放射線量も下がったとして例外的に受け入れた。生徒はいずれも見学を希望し、線量計を持参して見学。保護者の同意も得ているという。(川原千夏子)

<福島第1原発>高校生が廃炉作業見学 復興の課題実感

毎日新聞 11/18(金) 22:04配信
 福島県立福島高校(福島市)の生徒13人が18日、東京電力福島第1原発を視察し、廃炉作業が進む原子炉建屋や免震重要棟などを見学した。東電は入構の条件を「原則18歳以上」としており、高校生の視察は原発事故後初めて。同校側の要望を受け、保護者の同意などを条件に許可した。東電は今後、18歳未満の視察を個別事情に応じて認めていく方針。
 視察したのは、同校スーパーサイエンス部などに所属する1、2年生で、原発事故後の風評被害や被ばくによる健康への影響について学んできた。廃炉や事故処理を見届ける若い世代として、復興の課題について考えを深めるのが目的という。
 この日は、物理学の特別授業などで同校と交流を続ける東京大の早野龍五教授(物理学)や教諭らが引率。バスの車内から約1時間、建屋を覆うカバーが取り外されたばかりの1号機や汚染水の貯蔵タンクなどを視察した。免震重要棟にも入り、2011年3月の原発事故時から24時間態勢で稼働する緊急時対策室を見て回った。
 東電は、18歳未満の人を、有害放射線を発散する場所で就業させることを禁じた労働基準法に準じて、入構者を原則18歳以上と規定。事故後から今年6月までに延べ約2万3000人の視察を受け入れたが、高校生は前例がなかった。東電によると、今回の視察による被ばく線量は最大で10マイクロシーベルトだった。
 同校1年の幕田優菜さん(16)は「自分の目で見て、燃料棒の取り出しや廃炉作業で出た廃棄物の処理など、大きな問題がまだまだ残っていると感じた」と話した。1年の菅野翼さん(16)は緊急時対策室が印象深かったといい、「事故を起こした東電に対しては複雑な感情があった。でも、対策室を見て福島のために廃炉に真剣に取り組んでいることが分かった」という。
 生徒は、東電福島復興本社の石崎芳行代表とも懇談した。18歳未満の視察受け入れについて、石崎代表は取材に対し、「今回は生徒に強い希望と問題意識があり実現した。(今後も)ケース・バイ・ケースで判断したい」と述べた。【岸慶太、土江洋範】

「自分の目で見たい」 福島高生が第1原発に、18歳未満事故後初

福島民友

文部科学省から理数教育を重点的に行う「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)に指定されている福島高1、2年生計13人が18日、東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水対策の現場を視察した。バスの車中から1〜4号機や護岸を見て回り、免震重要棟に入った。東電によると、原発事故後に18歳未満が第1原発を視察したのは初めて。 同校はスーパーサイエンス部に放射線班をつくり、生徒が放射線の影響を調査し、国内外で本県の現状を伝えてきた。第1原発の実態について学ぶ中で「自分の目で見てみたい」と強く思うようになったという。
 東電はこれまで、原発事故前からの内規で18歳未満の見学を断ってきた。福島復興本社代表の石崎芳行副社長は、放射線量の低下や環境改善を挙げ「内規に法的根拠がないことが分かった。生徒が強く希望しており、保護者の承諾を得ることを条件に受け入れることにした」と対応を見直した。
 視察後、生徒はJヴィレッジ(楢葉、広野町)で石崎代表、福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者と意見を交わした。1年の生徒2人(16)は「原発事故の対応拠点として日本を救った免震重要棟を間近で見ることができて良い経験になった。廃炉が着実に進んでいると思った」「写真や映像などを通して第1原発を捉えてきたが、働く人や津波の痕跡を見て、現場の空気感を感じ、イメージが変わった」と語った。約2時間の視察で積算の被ばく線量は、線量計が表示できる10マイクロシーベルトを下回った。

  機構「石棺」文言を削除 第一原発廃炉プランの修正版公表  
 20160721
 
機構「石棺」文言を削除 第一原発廃炉プランの修正版公表
福島民報
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構は20日、東京電力福島第一原発の廃炉作業に関する新たな戦略プランで言及した溶融燃料(燃料デブリ)を取り出さず建屋をコンクリートで覆う「石棺」の文言を削除した修正版を公表した。核燃料の長期放置は「世代間の安易な先送り」とし、石棺の文言を外し「このような取り組みは採用せず、デブリを取り出す」と強調している。
 修正版は燃料デブリを取り出していないチェルノブイリ原発事故を念頭に、「核燃料物質を回収の見通しなく長期的に放置することは、当面の閉じ込めに効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難」と指摘。その上で「(福島第一原発の廃炉では)燃料デブリの取り出しの取り組みを進める」と明記した。
 同日、東京都内で会見した山名元理事長は「住民が誤解、心配しやすい表現になっていた部分を修正した。(当初のプランは)配慮に欠けた」と釈明。燃料デブリを取り出す方針は「修正前後で変わっていない」と明言し、石棺方式の採用を改めて否定した。
 石棺方式に触れた部分を削除せずに修正とした理由について、機構は「デブリの取り出しよりも石棺方式を支持する一部専門家や政府関係者がいる。機構はデブリの取り出しが必要との立場で、石棺の技術的な問題点を戦略プランで明確にしておくべきだと考えた」としている。
 内堀雅雄知事は「表現を削除・修正したことで石棺方式の導入はなくなったと受け止めている」と述べ、一定の評価をした。さらに「機構は石棺方式という表現が県民に非常に大きなショックと不安を与えたと肝に銘じ、経緯を鑑みてしっかりと廃炉を進めてほしい」と注文した。
 機構が13日に発表した戦略プランでは、燃料を取り出さない石棺方式に初めて言及。燃料デブリの取り出しが大前提としながらも、「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」と選択の余地を残す内容だった。県や関係市町村は猛反発し、県と経済産業省が機構側に削除や修正を求めていた。

◇戦略プランの修正後と修正前
【修正後】
 こうした視点を踏まえれば、チェルノブイリ原子力発電所4号機の事故への取り組みから懸念されるように、核燃料物質を回収の見通しなく長期的に放置することは、当面の閉じ込めに効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難であり、世代間での安易な先送りと言わざるを得ない。
 したがって、福島第一原子力発電所の廃炉においては、このような取り組みは採用せず、以下のように燃料デブリの取り出しの取り組みを進めることとする。

【修正前】
 なお、チェルノブイリ原子力発電所4号機の事故に対して取られた、通称“石棺方式”の適用は、原子炉建屋の補強などによる当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難である。したがって、現時点においては燃料デブリの取り出しによる中長期のリスク低減に取り組むこととし、今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である。その際、長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送り等に対する懸念を十分に踏まえることが求められる。
  福島第1原発廃炉 「石棺方式」修正へ 
 20160716
 
 

 東京電力福島第1原発事故の廃炉技術を研究する原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元(やまな・はじむ)・理事長は15日、福島県庁に鈴木正晃副知事を訪ね、廃炉処理の計画書に盛り込んでいた「石棺方式」の記述を修正することを明らかにした。「石棺」は溶けた燃料を回収せずに原子炉建屋内に閉じ込める手段で、福島県が撤回を求めていた。来週にも修正した計画書を公表する。
 山名理事長は「石棺方式では放射性物質が将来的に漏れるリスクがあり、全く検討していない」と陳謝した。鈴木副知事は「頭の隅に(石棺方式が)あるのではないか」などと抗議した。
 機構は13日公表した計画書で、石棺方式について「長期にわたる安全管理が困難」とする一方で、続けて「今後明らかになる(原子炉などの)内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」との文言を盛り込んでいた。山名氏は、鈴木副知事に対し「我々の国語能力の甘さだったと深く反省している」と釈明した。【岸慶太】 

福島第1原発「石棺」言及に地元反発、機構打ち消しに走る

産経ニュース
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業の新たな「戦略プラン」で建屋をコンクリートで覆う「石棺」に言及し、地元の反発を招いている。福島県の内堀雅雄知事が15日、経済産業省を訪れ抗議、機構の山名元(はじむ)理事長も同日、福島で打ち消しに走った。機構は石棺に言及した部分を修正したプランを週明けにも公表する。 戦略プランは、第1原発の廃炉作業の技術的な裏付けとなるもので、機構が13日に改定版を公表。石棺は事故で溶け落ちた燃料(デブリ)を取り出さず、原子炉ごとコンクリートで覆うもので、チェルノブイリ原発事故で採用された。

 プランの中では、格納容器を水で満たしてデブリを取り出す方法など従来の内容に加えて、石棺について言及。「当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難」として石棺に否定的な記載だが、「状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である」と選択の余地を残した記述にもなっている。
 これを受けて、内堀知事が高木陽介経産副大臣と会談し、「福島県民は非常に大きなショックを受けた。(住民帰還などを)諦めることと同義語だ。風評被害の払拭にも影響が及ぶ」と強く非難。高木氏は「国として石棺で処理する考えは一切ない」と述べた。
 一方、福島県庁を訪れた機構の山名理事長は鈴木正晃副知事と面会し、「石棺を検討していることは全くない。ご心配をおかけしたことをおわび申し上げたい」と陳謝した。
 石棺の言及について、機構は「問題点について見解を示すためだった」と釈明、あくまでも引き続きデブリの取り出しを目指すという。 

  第一原発「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発 
 20160714
 
 
 第一原発「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発

福島民報
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構は13日、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業での技術的な裏付けとなる新たな「戦略プラン」を公表し、核燃料を建屋内に閉じ込める「石棺」方式について初めて言及した。溶融燃料(燃料デブリ)を取り出すことが大前提としながらも「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」として選択の余地を残した。
 県は取り出した溶融燃料など放射性廃棄物の県外処分を求めている。石棺は廃炉に伴う高レベル放射性廃棄物の県内固定化につながりかねず、県や地元町村は反発している。
 石棺は溶融燃料を残した原子炉をコンクリートで覆う方式。「長期間の安全管理が困難」と慎重な姿勢を示した上で、将来的な計画見直しを踏まえて選択する可能性は残した。その際、「長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送りに対する懸念を十分に踏まえるべきだ」と注文した。石棺は旧ソ連のチェルノブイリ原発で採用されたが、老朽化が問題となっている。
 プランではこのほか、溶融燃料の取り出しで燃料のある場所に応じて複数の工法を組み合わせる可能性が高まった。これまでは一つに絞り込む方針だったが、原子炉内の調査・分析が進んだ結果、溶けた燃料が複数箇所に散在し、一つの工法で取り出すのが難しいと判断した。各号機の状況を踏まえ、具体的な工法を検討する。
 昨年の戦略プランは(1)原子炉格納容器に水を満たして上部から取り出す「冠水工法」(2)水を張らない「気中工法」で上部から取り出す(3)気中工法で側面から取り出す−の3通りを挙げ、燃料の状況に応じて絞り込む方針だった。

■県外処分近く国に要求へ 県と原発周辺市町村

 県と東京電力福島第一原発周辺の13市町村は13日、福島市で開いた会合で、溶融燃料を含む放射性廃棄物や取り出した使用済み燃料を県外で適切に処分するよう国に対して求めることを改めて申し合わせた。これまでも原子力政策を進めてきた国の責任で県外処分を進めるよう要望している。

20160118 

3号機の核燃料取り出し装置を公開

東京電力福島第一原子力発電所で、高い放射線量に阻まれて人が作業できない3号機の燃料プールから核燃料を取り出すため、新たに開発された遠隔操作の装置が報道関係者に公開されました。
福島第一原発では、事故発生当時、原子炉とは別にそれぞれの建屋の最上階にある使用済み燃料プールで大量の核燃料を保管していました。このうち、4号機はすべての核燃料を取り出す作業が終わっていますが、1号機から3号機については高い放射線量などに阻まれて今も残されたままです。
横浜市にあるメーカーの工場で公開されたのは、3号機の燃料プールで爆発で散乱したがれきを取り除く作業と核燃料を取り出す作業を行ういずれも遠隔操作の2種類の装置です。
このうち、がれきを取り除く装置は、幅1メートル余りの本体にがれきをつかんだり切断したりする2本の腕が取りつけられていて、位置の微調整ができるように6本のワイヤーでつるされています。
カメラの映像を見ながら遠隔操作で装置をプールの中に降ろし、がれきを取り除いたうえで、もう一つの装置で核燃料を取り出す仕組みです。
3号機の燃料プールには現在も566体の核燃料があり、東京電力では、来年度中にも装置を現場に運び込み、訓練などを経て平成30年から取り出し作業を行う計画です。
開発に当たった東芝の関口晃一グループ長は、「プールの中はまだ分からないことが多く、想定していないようながれきがあった場合は、新たな工具を開発するなど安全に確実に作業を進めていきたい」と話しています。