| 諫早湾干拓 |
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有明海異変は潮位変動に要因 開門調査検討部会 |
20120330 |
有明海異変は潮位変動に要因 開門調査検討部会
佐賀新聞2012年03月30日
国営諫早湾干拓事業の開門調査環境の在り方を探る「NPO有明海再生機構総合検討部会」が、佐賀大学で開かれた。検討部会は中間報告で「堤防締め切りの影響は諫早湾や調整池にとどまる」とし、有明海の潮流や水質の変化については、地球規模の潮位変動に要因があると報告した。 佐賀大学の研究者ら5人がこれまでの研究を発表。九州大高等研究院の田井明助教は「貧酸素化などは諫干事業だけによるものではなく、外海の潮位変動など、より複雑な地球のメカニズムが影響している可能性がある」と指摘。一方で、「諫早湾や調整池の影響が有明海全域に広がる可能性はある」とし、海域での長期的な定点観測の必要性を訴えた。
開門調査の方法については、九州大学工学院の小松利光教授が「部分開門でも良いが、少なくとも調整池の水質や低湿環境が大幅に改善されるだけの海水量を入れることが必要」とした。
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タイラギ漁師「生物への視点踏まえて」 |
20120319 |
タイラギ漁師「生物への視点踏まえて」
佐賀新聞2012年3月19日
諫早湾干拓の開門調査をテーマにしたシンポジウム(佐賀大主催)が17日、佐賀市の佐賀大であり、研究者や漁業関係者らが意見を交わした。
NPO法人、有明海再生機構の荒牧軍治理事長が「堤防閉め切りが調整池や諫早湾以外の海域に与えた影響は少ない」として、調査目的を当面、諫早湾周辺の環境改善にするべきだと指摘した。
九州大大学院総合理工学研究院の松永信博教授は堤防の南部排水門付近が低酸素化すれば70%以上の確率で湾全体が低酸素化しているデータを示し、「現状をきちんとおさえて開門後の変化を見ることが必要」とした。
話を聞いていた太良町のタイラギ漁師平方宣清さんは壇上の研究者に「堤防閉め切り前にはタイラギの立ち枯れ死はなかった。生物への視点も踏まえたうえで有明海全体への影響を考えてほしい」などと求めた。(岩田正洋)
諫早湾干拓事業:諫干と有明海考える 佐賀大でシンポ、開門調査研究など中間報告 /佐賀
毎日新聞2012年3月19日
国営諫早湾干拓事業(諫干)に関連して、有明海の今後のあり方について考えるシンポジウムが17日、佐賀市本庄町の佐賀大であった。諫早湾の潮受堤防の開門調査や、有明海の環境変化を研究する同大低平地沿岸海域研究センターの主催。 シンポジウムには研究者や漁業者など約50人が参加。開門調査による環境変化のシミュレーションや今後の課題など、5グループによる研究内容を中間報告した。 樫澤秀木・同大経済学部教授は、開門を巡る佐賀、長崎両県の対立について「中立的で権威あるファシリテーター(調整役)の調整が必要」と提言。また、同センターの速水祐一准教授は「開門が決まった今こそ、開門による影響をシミュレーションしながら相互理解を深めていかなくてはならない」と指摘した。 諫早湾潮受堤防の開門調査を命じる福岡高裁判決が10年に確定したのを受けて、同センターでは11年から諫干と有明海の環境変化の因果関係を解明、予測するプロジェクトを発足させている。【田中韻】
諫干問題解決の道筋探る 佐賀大学で研究者らシンポ
佐賀新聞2012年03月18日
有明海異変と国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門調査をテーマにしたシンポジウムが17日、佐賀大学であった。長崎県側の強い反発で開門協議が進展しない中、大学の研究者らが研究成果を踏まえ、解決への道筋を探った。
同大経済学部の樫澤秀木教授は開門訴訟の原告弁護団と国、長崎の3者がそろう裁判も協議の場として機能していないと指摘、「合意を目的としない紛争処理の方式が有効だ」と発表した。これを受け、有明海再生機構の荒牧軍治理事長は討論で「有明海再生に向けた合意形成には、法的に決まっている開門調査がラストチャンス」と訴えた。
堤防閉め切りの影響は諫早湾周辺に限られるとする研究結果も発表され、県内の漁業者から「閉め切り後に発生したタイラギの立ち枯れなどをどう説明するのか」との声が挙がった。
熊本大沿岸域環境科学教育研究センターの滝川清センター長は「数値でのシミュレーションには限界があり、データと実際の生態がどう関連するかを研究者が明らかにしなければならない」と述べた。
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「海のカナリア」の悲鳴 |
20120313 |
「海のカナリア」の悲鳴
朝日新聞2012年03月13日
有明海で二枚貝の大量死が一段と深刻化している。中でも、刺し身やすしネタになるタイラギと赤貝のサルボウだ。これまでも同海特産のアゲマキなど、多種類の貝が姿を消した。この二つはアサリとともに生き残り、採貝専門の漁師の頼みの綱だった。
タイラギの好漁場とされる大牟田市沖の生息調査に同行した。タイラギ漁歴が40年近い中島敏信さん(56)が調査地点ごとに潜り、船上とつなぐインターホンで水深10メートルほどの海底の様子を伝える。「貝殻も何もない、ヘドロだらけ」と潜水特有の高い声。
場所を変えて5回目、ようやく網いっぱいのタイラギが引き揚げられた。船上で広げられたタイラギは100枚余りで生きていたのは2枚だけ。
タイラギは立ったように泥にもぐり、先端を出して餌を取る。この状態で大量死するので「立ち枯れ」と呼ぶ。
昨年春に潜った時、海底の泥に稚貝も成貝もびっしりと立っていた。大漁を予想させたが、徐々に立ち枯れが目立ち始め、夏には全滅状態となった。約10年前から稚貝が夏を越せない傾向にあったが、最悪の今冬は漁を中止した。
サルボウの異変も、昨年秋に柳川市大和町の沖の浅い海で始まった。地元漁協でサルボウ漁が専門の古賀春美さん(64)が、「鋤簾(じょ・れん)」と呼ぶ漁具で採った貝を桶(おけ)に入れると、悪臭がした。多くの貝が口を開けて死んでいた。
県水産海洋技術センター有明海研究所に通報した。研究所が調べると、干潟でも浅い海でもサルボウの大量死が見つかった。好漁場の場所では7割以上が死んだ。生き残った貝も身がやせ細っていた。
過去の大量死で指摘された赤潮の大量発生や貧酸素の広がりは起きておらず、研究所は「原因は不明」と言う。
3カ月以上も漁に出ていない古賀さんは、将来が不安でたまらないという。漁師仲間や協力者らと「有明海復活・再生の会」を結成し、原因究明を求める署名運動を始めた。2月18日、岩本司・農林水産副大臣に約6500人分の署名を添えて陳情した。
「国を中心に、現場の漁業者や研究者と委員会を作って本格調査を」と訴えた。「海の深い方から泥が腐ってきている。海底の実態に目を向けて」と古賀さん。大量死する二枚貝は、ひそかに進む海底の異変を知らせる「海のカナリア」だ。(松本健造)
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滅びゆく「宝」に危機感 |
| 20120221 |
滅びゆく「宝」に危機感
2012年02月21日
5メートルを超える潮の干満差で広大な干潟が広がる有明海。ムツゴロウなどさまざまな魚や貝類をはぐくんできた。だが、「宝の海」との表現は、過去のものになりつつある。外国産などが流通する中で食卓の変化には気づきにくいが、「おいしい魚や貝が育つ海」にこだわり、再生に向けて奮闘する人たちに会った。
「ウミタケはもう4年も見てないなあ。アゲマキは十数年前に消えたままだ」。柳川市にある福岡県魚市場筑後中部魚市場の地浦課長、吉田鉄也さん(50)は、地場産の魚や貝類のせりを担当して20年余り。早朝5時から威勢のよい声を出す時間が、短くなったのを切実に感じる。
事前に出荷状況を見て、ハンドマイクを肩に下げて市場で仲買人たちとやりとりする。かつては午前8時半ごろまでかかっていたせりが、いまでは1時間半で終わってしまうこともある。
フランス料理食材のシタビラメと同じクツゾコも、瀬戸内海産のものは入荷するが、地場産は著しく減った。「栄養分の多い有明海産の煮付けがおいしいのに」という。
「豊かな海が、滅び行く海になった」との危機感から、観光客が訪れる柳川市沖端地区に2年前、私設の「おきのはた水族館」を造った人がいる。福岡県魚市場社長などを務めた近藤潤三さん(81)だ。
水槽に漁師などの協力で集めたムツゴロウやワラスボなど50種を飼育する。1999年から「有明海を育てる会」代表として諫早湾干拓事業や養殖ノリの病気予防の酸処理問題などに関心を寄せて、活動を続ける。
「観光客は、おいしいものを求めて来る。なのに行政が、魚や貝の水揚げが激減している原因究明を積極的にしようとしないのはおかしい。この冬、タイラギの貝柱は小指の先ほどのものが多い」と指摘する。
また同市本城町の料理店経営、津村哲夫さん(62)は、有明海の食材を売り物にし、ユニークな生き物がすむ環境を解説する時もある。だが「30年ほど前に珍味を味わってもらおうと始めたが、消えた食材もあり、季節感を演出しづらくなった。アサリなどはアミノ酸が豊富な独特の味のものが自慢だった」。そう語り、「再生」を願う。(三輪節生)
魚市場取扱量
筑後中部魚市場の有明海産魚介類などの取扱量 福岡県魚市場のまとめでは、国営諫早湾干拓事業の潮止め工事があった1997年に黒のシタビラメが3万7243箱(1箱約3キロ)だったのが、2011年は1万2790箱に減少。タイラギ貝柱は210トンが58トン、アサリ(1箱約5キロ)は、6万5268箱が1万7619箱、クルマエビ(1箱約2キロ)は5269箱が503箱にそれぞれ激減した。一方でクラゲ(1箱約5キロ)は7823箱が、約3倍の2万5754箱に増えた。
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諫干「全開門調査を」 農水副大臣に関係者訴え |
| 20120216 |
諫干「全開門調査を」 農水副大臣に関係者訴え
西日本新聞朝刊 2012年2月16日
国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門の開門調査をめぐり、農林水産省の筒井信隆副大臣が佐賀入りした15日、地元行政や漁業、開門訴訟の関係者からは「一刻も早い全開門調査の実現に努めてほしい」と求める声が一斉に上がった。農水省側は排水門の開け幅が最小の「制限開門」による調査方針に理解を求め、全開門に慎重な姿勢を崩さなかった。 白石町で開かれた意見交換会には古川康知事や県議会、有明海沿岸の首長、漁業者代表が出席。県有明海漁協の草場淳吉組合長は「漁業者も漁場環境改善に努めている。国は高裁判決を早く実現してほしい」。地元の漁業者は「今年のタイラギ漁は採算が取れず漁に出ていない」「ノリに色落ち被害が出れば4割は収入が落ちる」「子孫に引き継いで良かったと思える海に戻してほしい」と窮状を訴えた。 筒井副大臣はノリ養殖場など県沖の有明海視察後、佐賀市で「よみがえれ!有明訴訟」の原告、弁護団約30人とも意見交換。佐賀、長崎両県から集まった漁業者は早期の全開門調査を求めた。馬奈木昭雄弁護団長は「佐賀に来て実際に現場を見ていながら、(制限開門方針など)副大臣の発言は従来と同じ」ともどかしさをにじませ、「目的は開門ではなく有明海再生だ。国は責任を果たすべきだ」と強調した。
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筒井農水副大臣が15日に佐賀訪問 諫早干拓問題で意見交換 |
| 20120215 |
筒井農水副大臣が15日に佐賀訪問 諫早干拓問題で意見交換
西日本新聞2012年2月15日
国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門開門問題で、制限開門調査を行う方針の農林水産省の筒井信隆副大臣は、全開門を求めている佐賀県を15日訪問し、古川康知事や地元漁業者らと意見交換する。常時開放を命じた2010年12月の佐賀訴訟福岡高裁判決確定後、大臣または副大臣が公式に佐賀県を訪れるのは初めて。
筒井氏は同県白石町で意見交換後、ノリ養殖場を視察。佐賀市内で佐賀訴訟の原告弁護団との協議も予定している。
高裁判決確定後、鹿野道彦農相は、開門調査自体に反対している長崎県を3回訪問している。佐賀県は、鹿野農相に来県を要請していた。
農水副大臣が15日佐賀入り 知事や漁業者と会談
佐賀新聞 2012年02月15日
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門問題で、筒井信隆農林水産副大臣が15日に佐賀県を訪れ、開門調査を求める古川康知事や漁業者、原告弁護団らと会談する。有明海西部のノリ養殖漁場も視察。開門問題で農水省政務三役が来県するのは、2010年4月の赤松広隆農相(当時)以来になる。
農水省と県が14日発表した。鹿野道彦農相は排水門の開け幅が小さい「制限開門」を実施する意向で、全開門を求める古川知事は1月末、農相の早期来県を要請、農相は副大臣の派遣を伝えていた。地元長崎県の開門反対は根強く、開門調査に向けた同省の地下水ボーリング調査も着手できない状況が続いている。
副大臣との会談は杵島郡白石町の福富ゆうあい館で行い、知事のほか、佐賀市や太良町など沿岸6市町の首長、有明海漁協組合長が出席。ノリ養殖やタイラギ漁などの漁業者3人も厳しい現状や全開門の必要性を説明する。
その後、白石町の新有明漁港から数キロ先のノリ養殖漁場を船上から視察。午後は弁護団や原告漁業者と佐賀市のホテルで面談、漁業者は深刻な漁業被害などを訴える。
14日の定例会見で、古川知事は「副大臣には開門予算の考え方や、最終的な開門の姿とどう結びつくのかを聞きたい」と話した。
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諫早湾訴訟 補償巡り国が控訴 |
20110708
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諫早湾訴訟 補償巡り国が控訴
NHK 7月8日 14時26分
長崎県諫早湾の干拓事業で漁場の環境が悪化したとして佐賀県や長崎県の漁業者が国に損害賠償を求めた裁判で、長崎地裁が国に賠償を命じる判決を出したことについて鹿野農林水産大臣は、補償はすでに行われており、判決を受け入れれば二重払いになるとして、控訴したことを明らかにしました。
この裁判は、佐賀県や長崎県の漁業者が諫早湾干拓事業で漁場の環境が悪化し、魚介類の減少などの被害を受けたとして、排水門の即時開門と損害賠償を求めていたものです。1審の長崎地裁は先月27日、原告の即時開門の訴えは退けましたが、国に1億3000万円の損害賠償の支払いを命じました。これについて鹿野農林水産大臣は、閣議のあとの記者会見で「漁業補償はすでに漁協を通じて漁業者に交付されている。判決は漁業補償の二重払いを強いるものであり、国としては受け入れられない」と述べ、8日、福岡高裁に控訴したことを明らかにしました。この裁判を巡っては、原告の漁業者も排水門の即時開門を求めて,8日、福岡高裁に控訴しました。これに対して国は、平成25年12月までの開門を命じた福岡高裁の判決に従うことにしており、即時開門に反対することにしています。 |
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諫干・開門求める原告弁護団 国と県に協力要請 佐賀新聞(11年6月29日) |
20110629
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国営諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査問題で、開門を求める原告弁護団は28日、国会などで集会を開き、開門請求を棄却した27日の長崎地裁判決の不当性を訴え、国会議員らに早期開門実現を要請した。
国会内の集会には長崎地裁訴訟に加わった藤津郡太良町の漁業者平方宣清(ひらかたのぶきよ)さん(58)や支援者ら約50人が参加。馬奈木(まなぎ)昭雄弁護団長が「今後は長崎側が起こした開門差し止め訴訟が開門協議のメーンになる。国が対策を示し、きちんと協議していけば泥沼化はない」と協力を求めた。
出席した鳩山邦夫衆院議員(無所属、福岡6区)は「(農水省など)行政には厳しく問題点を指摘していく」と、連携する考えを伝えた。
農水省前で行った街宣活動では、平方さんらが「長崎地裁判決は漁業者の本当の苦しみを理解していない。求めているのは賠償ではなく、宝の海の再生だ」と訴えた。
開門訴訟弁護団は、佐賀県と県議会にも協力を要請。杉山胤明(たねあき)くらし環境本部副本部長は「有明海を再生させる思いは同じ。環境アセス準備書で、県の意見をきちんと言っていきたい」と応じた。 |
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諫早湾干拓問題、長崎地裁は「開門棄却」 佐賀新聞(11年6月28日) |
20110629
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国営諫早湾干拓事業で有明海の漁場環境が悪化したとして、佐賀、長崎両県の漁業者41人が、国に潮受け堤防排水門の開門などを求めた訴訟の判決で、長崎地裁は27日、「事業は公共性が低いとはいえず、開門しないことが原告に対する違法な侵害行為とは認められない」として請求を棄却した。原告側は「不当判決だ」として控訴する方針。
5年間の常時開門を命じ、昨年12月に国の上告断念で確定した福岡高裁判決とは逆の結論となり、開門調査の実施へ向け、混乱を招きそうだ。
判決理由で須田啓之裁判長は、アサリ養殖やタイラギ漁について「漁場環境の悪化や漁獲量減少と、干拓事業との因果関係を認めることはできない」と指摘。コノシロなどの漁船漁業に関してのみ「漁場環境の悪化は認められる」としたが、「漁業補償を超える権利侵害だったかは明らかではない」と述べた。
干拓事業と漁業不振の因果関係については、福岡高裁判決が「堤防閉め切り後、全国的傾向よりも急激に漁獲量が減少しており、高度の蓋然(がいぜん)性(=確率)がある」とした認定と正面から対立した。
干拓事業が持つ防災機能や営農目的などの「公共性」についても、福岡高裁が「高度の漁業権侵害に対し、堤防の防災機能は限定的」としたのに対し、須田裁判長は「高潮の遮断効果は、限定的だが洪水時の防災効果を有する。農業用水を提供し、営農効果もある」と認定。その上で「これらは代替措置で維持できる可能性があるが、相応の費用と時間がかかることを考えると公共性が低いとはいえない」と結論づけた。
藤津郡太良町の漁業者で、漁船漁業を営み、漁業補償の額が少なかった原告16人については、国に計約1億1100万円の支払いを命じた。
国は今月10日、開門調査に伴う環境影響評価(アセスメント)の中間報告を公表。開門調査へ向け、長崎県側の同意が焦点となっている。
【解説】
干拓事業と漁場環境悪化の因果関係を認めず、開門請求を退けた27日の長崎地裁判決は、福岡高裁で確定した開門判決と多くの点で対立する事実認定をしている。しかし、国が負う開門の法的義務が消えることはなく、関係者の混乱を招くとしても、影響は限定的にとどまりそうだ。
長崎訴訟の原告は、諫早湾周辺の藤津郡太良町の漁業者32人と、一連の開門訴訟に初めて加わった湾内の小長井漁協の9人。判決は、小長井の漁業者は「漁業補償を受けている」として権利侵害の程度を低く評価し、請求を棄却した。一方、福岡高裁の勝訴原告も含む太良町の漁業者は今回、開門は求めておらず、請求した損害賠償は認められ、「勝訴」した者もいる。
同じ内容で争う訴訟でも、原告の被害の質や量が違えば異なる判決になるのも珍しくない。そうした意味ではこの判決が、確定した高裁判決に与える影響は無いに等しい。
長崎地裁判決は、干拓営農者の主張を後押しする面はある。しかし、開門の法的義務を負った国に今、求められているのは、長崎側の同意を取り付け、開門方法と工程を決め、対策工事を遂行し、漁業と農業、防災が両立する開門を一刻も早く実現することだ。そこが揺らぐことは許されない。
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首相、諫早訴訟の上告断念を表明 |
20101215
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菅首相が上告断念表明=「高裁判断重い」−12年度開門へ・諫早干拓訴訟
時事通信
菅直人首相は15日午前、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の5年間常時開門を命じた福岡高裁判決について、上告断念を表明した。鹿野道彦農林水産相が16日にも長崎県を訪れ、開門に反対している県側の理解を求める方向だ。政府・与党内には上告すべきだとの声も一部あったが、野党時代から同事業を批判してきた菅首相が最終的に政治決断した。農水省は2012年度にも開門する方針。
首相は上告断念の理由について「現地に何度も足を運んで、私なりの知見を持っていたので総合的に判断した。工事は完了しているが、開門で海をきれいにしようという高裁の判断は重い」と述べた。
国の上告断念により、5年間の排水門常時開放を命じた08年6月の一審佐賀地裁判決を支持して、「堤防閉め切りによる漁業権の侵害は違法」と判断した高裁判決が確定する。同事業は「ギロチン」と呼ばれた1997年の堤防閉め切りから14年目で、大きな転換点を迎える。(2010/12/15-)
首相が上告見送りを表明 諫早干拓問題
2010/12/15
11:21 【共同通信】
菅直人首相は15日、国営諫早湾干拓事業の5年間の排水門常時開放を命じた福岡高裁判決について上告を断念することを表明した。判決は確定し、農林水産省は2012年度にも開門調査を実施することになる。鹿野道彦農相が16日に長崎県を訪れ、関係者に伝達する。
菅首相は「ギロチンといわれた1997年の工事以来、何度も現地に足を運んでおり、最終的に判断した」と述べた。「動きだしたら止まらない公共事業の典型」などと環境団体などから強い批判を浴びた事業の転換点となる。
鹿野氏は長崎訪問で、開門調査では干拓地の農業に影響を与えないよう代替水源確保や防災対策に万全を期す考えを説明する。
諌早湾訴訟 上告見送りを表明
12月15日 11時57分
NHK
菅総理大臣は、長崎県の諫早湾の干拓事業を巡る裁判の2審で、堤防の排水門を開けるよう国に命じる判決が出たことを受けて、この判決を受け入れ、最高裁判所への上告を見送る方針を表明しました。これにより判決は確定し、政府は排水門の開門調査を行うことになりました。
諫早湾の干拓事業を巡る裁判で、2審の福岡高等裁判所は、今月6日、「諫早湾を堤防で閉めきったことで漁業の被害が発生した可能性が高い」として、1審に続いて、堤防の排水門を5年間開けるよう国に命じる判決を言い渡しています。これを受けて、政府内では、この判決を受け入れるかどうか検討が進められてきましたが、15日午前、菅総理大臣が仙谷官房長官と鹿野農林水産大臣と協議した結果、この判決を受け入れて上告を見送る方針を決め、政府は排水門の開門調査を行うことになりました。そのうえで、菅総理大臣は仙谷長官らに対し、開門に伴い、環境にどういう影響があるのか専門的な調査を行うとともに、開門に先立って、地元自治体や干拓地の農家など関係者と協議を行う態勢を作るよう、指示しました。これについて、菅総理大臣は記者団に対し、「私は、1997年の『ギロチン』と呼ばれた工事のとき以来、何度も現地に足を運んで、私なりの知見を持っていた。総合的に判断して、上告をしないという最終判断をした。その線に沿って今後の対応をするよう指示した。すでに工事が終了しているが、開門によって海をきれいにしていくという高裁の判断は大変重いものがある」と述べました。
この干拓事業を巡っては、有明海の漁業への影響を懸念する福岡、熊本、佐賀の各県が開門を求める一方、長崎県や干拓地の農家は「農業に大きな影響が及ぶ」として排水門の開放に反対するなど、意見の対立が続いていました。
仙谷官房長官は記者会見で、「菅総理大臣は、何度も現地を訪れて、さまざまな方とも関係があり、そうした蓄積も前提にして、上告をしない決断したもので、合理的な判断だ。政権交代した効果もあったのかと思う」と述べました。
そのうえで、仙谷長官は、政府として、今後、地元自治体と協議を進めていくことについて、「すべての方々に100%納得できる開門の在り方ができるかどうか分からないが、今後、精力的な協議を進めていきたい。長年の蓄積もあり、丁寧な協議を進めていけば、しかるべき結論は出ると思う」と述べました。
諫早湾干拓事業を巡る裁判で原告側弁護団の事務局長を務める堀良一弁護士は「長年にわたる開門への戦いに終止符を打つ英断であり、心から歓迎する。今後は営農者と漁業者がしっかり協議したうえで段階的開門を行っていきたい」と話しています。
開門に賛成している佐賀県の古川康知事は、菅総理大臣が上告を見送る方針を表明したことについて、15日午前、緊急の記者会見を開きました。古川知事は「これまでの漁業被害を考えると手放しで喜ぶことはできないが、今回の決断が有明海の再生に向けた大きな一歩になることは間違いない。10年かかってやっとここまで来た。これは、裁判の原告や有明海を早く元に戻してほしいと願っている人たちの切なる思いに政治が答えてくれたのだと思う」と述べ、国の決断を歓迎しました。また、今後の開門調査の方法について、古川知事は、干拓地で農業を営んでいる人などに影響が及ばないようにするべきだとしたうえで、「農業、防災、漁業が並立できる形での開門調査を強く望んでいきたい」と述べました。
干拓地の農業に影響が出るなどとして開門に反対している長崎県の中村知事は「何としても上告してもらいたいと国に要望を重ねていたので、残念だ。干拓事業の事業主体は国ではあるが、深刻な影響を受ける地元の農業者や漁業者、行政側にも一切説明がないまま方向性を出したことは遺憾に思う。事業の目的である防災の機能をどう確保するかも分からない。地元の関係者と話し合ったうえでしかるべき対応を考えたい」と話しています。
首相、諫早訴訟の上告断念を表明 開門方法を協議へ
2010年12月15日15時5分 朝日新聞
菅直人首相は15日午前、長崎県での国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の5年間の開門を命じた福岡高裁判決について「総合的に判断し、上告しないという最終判断をした」と述べ、上告を断念する方針を表明した。首相官邸で記者団に語った。事業主体の農水省は2012年度にも長期開門調査の実施に踏み切り、常時開門になる見込み。
首相はこの日午前、鹿野道彦農林水産相を官邸に呼び、仙谷由人官房長官兼法相を交えて対応を協議し、上告を断念するよう指示した。その後、記者団に「私に最終判断をしてほしいという話があった。私自身もギロチンと呼ばれた(閉門)工事の時以来、現地に何度も足を運んだ」と強調。「高裁の判断は大変重い。最終的に上告をしないという判断を下した」と説明した。
上告期限の今月20日を前に鹿野氏らが16日にも長崎県を訪問し、開門に反対している中村法道知事らに方針を伝える見通し。その上で、農水省を中心に長崎、佐賀両県など関係自治体と具体的な開門方法などについて協議に入りたい考えだ。
「5年間の常時開門」を命じた高裁判決に対し、農水省は「開門の期間や方式まで命じた判決は受け入れられない」として、1年以上の期間をかける長期開門調査だけは実施しながらも、判決については上告する方向で検討していた。しかし、野党時代から諫早湾の干拓問題に強い関心を持ち、「止まらない公共事業の象徴」と批判してきた菅首相が同省の方針を覆した。
仙谷氏は記者会見で「政権交代がなければ、こういう判決を重く受け止めて政治的、行政的な解決に乗り出すことができたかわからない。(民主党は)農業土木や土地改良をめぐるモラルハザードや農政全体との整合性(のなさ)などを批判してきた。政権交代した効果もあったのではないか」と述べた。
諫早湾干拓事業訴訟:国側、上告せず 12年度にも開門 菅首相「高裁判断重い」
毎日新聞 2010年12月15日 東京夕刊
菅直人首相は15日午前、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の排水門開門を命じた福岡高裁判決(6日)について「上告しないという最終判断をした。その線に沿って今後の対応をするよう指示した」と語り、上告断念を表明した。首相官邸で記者団に語った。鹿野道彦農相が16日に同県を訪れ、長期開門調査を実施する方針とともに県側に伝え、早ければ12年度にも開門調査が始まる。上告の期限は20日で、政府は17日の閣議で上告断念を正式に決める。
福岡高裁判決は「5年間の常時開門」を命じており、段階的な開門を検討してきた農林水産省の路線を転換することになる。
首相は上告断念の理由について「1997年の(水門が閉まる様子から)ギロチンと言われた工事以来、何度も現地に足を運び私なりに知見を持っていた。工事は既に終了しているが、開門して海をきれいにしようという福岡高裁の判断は大変重い」と語った。
政府筋は15日、半年間の政権運営を「仮免許」と表現した首相発言に絡めて、「(上告断念が)これから本免許になる第1号」と首相の指導力を強調した。
首相は野党時代から諫早湾の干拓問題に関心を持っており、干拓を進めたいのは農水省と業者から献金を受けている族議員だけだなどと批判してきた。福岡高裁判決後の7日には「私にとっても大変長い間取り組んできた問題で、いろんな場面が思い出される。判決への対応は政府として検討していきたい」と語っていた。
訴訟対応を検討する関係府省の協議では、農水省が「開門方法を検討中」などとして上告を求めていたが、首相が押し切った形となった。
上告断念で、営農者らに被害が及ぶとして開門調査に反発する長崎県が態度を硬化させ、営農者らによる反対運動が過熱する可能性がある。一方、開門調査を求める佐賀県などは政治決断を歓迎するとみられる。
農水省は来春にまとめる環境影響評価(アセスメント)で、開門方法について(1)開門当初から二つの排水門を全開(2)調整池への海水導入量と調整池からの排水量を3段階で増やし、最終的には排水門を全開(3)調整池の水位や流速を制限−−の3ケースを検討している。
判決は「5年間の常時開門」を命じており(1)に近いと解釈でき、農水省は(1)を採用すれば調整池からの淡水が諫早湾内に急激に入るため、漁場の環境悪化などを懸念。後背地の防災と潮受け堤防の安全性確保に配慮しながら排水門を極力全開にする(2)か、これらの影響を最少にする(3)を軸に検討を進めてきた。上告断念により、開門方法などが今後の焦点となるが、常時開門なら600億円を超える対策費が必要とみられる。【野口武則、佐藤浩】
◇開門条件、方法 柔軟対応の意向−−仙谷長官
仙谷由人官房長官は15日の記者会見で、首相から派生的な被害が出ないよう関係者と協議するよう指示を受けたとしたうえで、「すべての方々に100%満足いただける開門のあり方を発見できるか分からないが、(判決に)3年間の猶予(期間)があり精力的に協議する」と語った。
また「(判決は)常時無条件全面開放と読めるが、ある種のコントロールは必要という原告もいるやに聞いている」と述べ、柔軟に対応する意向を示した。
諫早干拓訴訟で国が上告断念、12年度にも開門へ
(2010年12月15日
読売新聞)
菅首相は15日午前、国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、潮受け堤防排水門の5年間の開門を国に命じた福岡高裁判決について最高裁への上告を断念する方針を表明した。首相官邸で記者団に語った。事業を実施してきた農林水産省などは上告を求めていたが、首相が政治判断した。判決は確定し、2012年度にも常時開門して農業被害などの調査が実施される見通しだ。
首相は15日午前、首相官邸で鹿野農相、仙谷官房長官と会談し、上告断念の方針を伝えた。その後、記者団に「1997年の『ギロチン』と言われた(堤防閉め切り)工事の時以来、現地に何度も足を運んで私なりの知見を持っていた。工事は終了しているが、開門で海をきれいにしていこうという高裁の判断は大変に重い」と理由を説明した。
鹿野農相は16日に長崎県を訪問し、開門に反対してきた県に理解を求める。
首相は野党時代から同事業を見直しが必要な「公共事業」の象徴と位置づけてきた。高裁判決後は周辺に「私の思いが非常に強い」と伝えるなど、開門に伴う農業や漁業への被害などを理由に上告を求めた農水省などを押し切った。
諫早湾干拓事業をめぐっては、佐賀県などの漁業者は有明海での漁業被害を訴え開門を強く求める一方、干拓地で営農する農業者や長崎県、地元・諫早市は全面開門すれば堤防内に海水が流入して農業被害が生じる懸念が大きいなどとして開門に反対している。
仙谷官房長官は15日午前の記者会見で開門の時期や方法について、「3年間で精力的な協議を行う。専門的な判断や利害関係者の協議でしかるべき結論が出る」と述べた。
農水省は、2年程度かけて開門により生じる農業被害などの対策工事を行った上で、12年度にも開門調査に踏み切る方針。高裁判決を踏まえ、常時開放を前提に〈1〉一気に開門する〈2〉開閉を繰り返しながら段階的に開門する範囲や期間を広げる――などの方法を検討しており、来春まとまる環境影響評価の結果を受け、開門方法を決めたい考えだ。
首相、諫早判決で上告せず 常時開門へ
2010/12/15 日本経済新聞
菅直人首相は15日午前、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)をめぐり福岡高裁が国に潮受け堤防の排水門の開門を命じた判決について上告を断念した。
判決は確定し、干拓の事業主体である農林水産省は2012年度にも長期開門調査を実施し、常時開門となる。
諫早訴訟、上告を断念 首相表明、常時開門へ
2010年12月15日
夕刊 中日新聞
菅直人首相は15日午前、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の5年間の排水門常時開放を求めた福岡高裁判決に対し、上告を断念する方針を表明した。これにより判決は確定し、潮受け堤防の南北排水門は、3年間の猶予期間を経て5年間、常時開門される。途中で中止できない公共事業の典型とされてきた同事
業は、大きな転換点を迎える。
首相は官邸で記者団に「総合的に判断して、高裁判決に対して上告しないという最終判断をした。開門により、海をきれいにしていこうという高裁の判断は大変重い」と指摘。これに先立ち、首相は、仙谷由人官房長官と鹿野道彦農相に、上告断念の方針に沿って対応するよう指示した。
政府は福岡高裁判決に対する上告期限の20日に向けて、対応を協議。長期開門調査に踏み切った場合、防災機能低下や営農地で塩害が発生するなどの弊害も指摘されたため、上告した上で、適切な開門調査の方法を政府主導で検討すべきだとの意見も出ていた。
ただ、民主党は野党時代から諫早湾干拓事業を、無駄な公共事業の典型として批判。上告すべきでないとの意見も強いことから、最終的に首相の判断に委ねた。鹿野氏は16日に長崎県を訪れ、中村法道知事らに政府の方針を伝える。同県は開門に強く反対しており反発が予想される。
諫干 国が上告断念 首相表明 開門調査へ
=2010/12/15付
西日本新聞夕刊=
菅直人首相は15日、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門をめぐり5年間の常時開放を命じた福岡高裁判決について、「高裁の判断は大変重いものがある」として上告を断念すると表明した。16日に鹿野道彦農相と筒井信隆農林水産副大臣らが長崎県を訪れ、中村法道知事や干拓地の営農者らに伝える。判決が確定することになり、農水省は2012年度にも5年間の開門調査を始める方向で検討に入った。17日に正式に決定する。
菅首相は15日、官邸で鹿野農相や法相を兼ねる仙谷由人官房長官と協議し政府としての対応を決めた。終了後、菅首相は記者団に「ギロチンと言われたあの工事の時以来、私なりの知見を持っていたので、総合的に判断して上告しないという最終判断をした」と述べ、農水省などの上告方針を覆し「政治決断」したことを強調した。
高裁判決後、農水省は「法的義務として5年間の常時開放は受け入れられない」として上告する一方、1年以上の開門調査を実施する方針を固め、官邸側と協議。野党時代から同事業の推進に反対してきた菅首相は、農水省の上告方針を受け入れず、上告見送りを模索。首相の強い意向を受け、鹿野農相が上告断念を受け入れた。
地元の長崎県では、調整池の水を農業用水に利用する干拓地の営農者や、水害などの防災機能の低下を心配する市民などが開門調査に反対しており、政府方針への反発は必至。同事業の管理者は長崎県に移行しており、県側が強硬に拒めば、開門調査実施は困難とみられる。
農水省は11年度予算の概算要求で開門調査の準備経費4億円を計上。実施中の環境影響評価(環境アセスメント)の中間報告が出る来年5月以降に本格的な準備を進める。「常時開放」の具体的な開門方法は高裁判決や環境アセスメントを踏まえ検討する。
諫早湾干拓訴訟での首相発言要旨
2010/12/15 【共同通信】
菅直人首相の国営諫早湾干拓事業をめぐる訴訟に関する発言要旨は次の通り。
鹿野道彦農相、仙谷由人官房長官から国営諫早湾干拓事業に関する福岡高裁判決を受けた最終判断を求められた。いろいろと話を聞いた上で、私自身もギロチンといわれた1997年の工事以来、何度も現地に足を運んでおり、私なりの知見を総合して最終的に上告しないと判断した。その線に沿った今後の対応を指示した。この問題には多くの皆さんが取り組んできた。開門により海をきれいにしていこうという福岡高裁の判断は重いものがある。
諫早開門上告方針、首相が退ける 農相長崎入り知事拒否
2010/12/15
17:14 【共同通信】
鹿野道彦農相は15日、国営諫早湾干拓事業について、5年間の排水門常時開放を命じた福岡高裁判決に上告する方針を同日朝、菅直人首相に伝えたところ「総合的に判断して上告しない」と退けられたことを記者団に明らかにした。
また開門調査の実施を説明するため16日に予定していた長崎県入りを、中村法道知事に断られたとして、訪問を先送りする考えを示した。
鹿野氏は、上告方針が退けられたことについて「首相の政治判断であり、それに従って対応していく」と述べた。また開門方式や調査時期については「関係者と協議することが必要だ」と説明。地元自治体などと話し合った上で、柔軟に対応する意向を表明した。
長崎知事、農水相との面会拒否 諫早訴訟上告断念受け
2010年12月15日 朝日新聞
福岡高裁判決が、潮受け堤防排水門の5年間の常時開門を命じた国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、鹿野道彦農林水産相は15日、菅直人首相が表明した上告断念を説明するために、同県の中村法道知事に面会を求めたが、拒否されたことを明らかにした。鹿野農水相は記者団に「明日(16日)にもさっそくうかがって説明したいと申し上げたが、お会いすることができない、ということだった。今後も協議を申し入れたい」と話した。
今月6日の福岡高裁判決の後、中村知事は上京し、「防災上重要なうえ、営農者もおり、開門は認められない」として、鹿野農水相に上告を要望していた。菅首相は15日、開門調査の方法などを協議する体制をつくるよう鹿野農水相らに指示を出したが、長崎県側の拒否で当初から難航しそうだ。
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諫早開門へ、国の上告断念の記事 |
| 20101215 |
2番目の朝日の記事だけ上告断念方針と伝えています。
諫早訴訟の上告、首相15日に判断
2010/12/15 日本経済新聞
鹿野道彦農相は14日、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の訴訟問題に関連し、16日に長崎県を訪問する意向を固めた。2012年度にも開門調査を実施する方針を周辺住民に伝える。長崎県側は開門に反発しており、合意を得るのは難しい見通しだ。最高裁へ上告するかどうかは15日に農相が菅直人首相に最終判断を仰ぐ。
諫早水門、常時開門へ 干拓訴訟、首相が上告断念の方針
2010年12月15日 朝日新聞
菅直人首相は14日、国営諫早湾干拓事業(長崎県)で潮受け堤防排水門の5年間の開門を命じた福岡高裁判決について、上告を断念する方針を固めた。判決は確定し、干拓の事業主体の農林水産省は2012年度にも長期開門調査を実施、常時開門となる方向。段階的な開門は認めるという同省の路線を抜本的に転換する判断だ。
上告期限は今月20日。菅内閣は17日の閣議で上告断念を正式決定する。それに先立ち鹿野道彦農水相らが16日にも長崎県を訪れ、開門に反対している中村法道知事らに上告断念の方針を伝える方向だ。
50年以上前に構想が浮上し「止まらない大型公共事業の典型」といわれた事業は大きな転換点を迎えた。菅首相は諫早干拓事業を「公共事業見直しの象徴」と位置づけていた。
農水省は1年以上の期間をかける長期開門調査を実施する方針を固めていた。
その際には、門の開き具合や開く期間で水量を調節する段階的な開門方法を採用する考えだった。だが、6日の福岡高裁判決で命じられた「5年間の常時開門」と異なるため、同省は上告する方向で検討を続けていた。
しかし、菅首相は野党時代から諫早湾の干拓問題に強い関心を示し、何度も現地を視察。02年には「一般国民は誰も干拓事業が必要とは思っていない。進めたいのは予算を消化して天下り先を確保している農水省と業者から献金を受けている族議員だけ」と批判。今回の判決後の7日には「私にとっても大変長い間取り組んできた問題であり、いろいろな場面が思い出される。判決への対応を検討していきたい」と記者団に語っていた。最終的には首相が、「開門調査はするが、開門を命じた判決は受け入れない」という農水省の方針を受け入れず、上告断念が固まった。
農水省と与党が設置した検討委員会は4月に「環境影響評価(アセスメント)の上で開門調査を実施することが適当」とする報告書をまとめていた。その過程では、開門調査の方式を3パターンに分けて検討。その結果、当初から門を全開する方式では、堤防の閉め切りでできた調整池の汚れた淡水が一気に海に流れ込むため、漁業や防災面で悪影響を与えるとされ、対策費が600億円以上かかると試算していた。
潮受け堤防から離れた地域の佐賀県などの漁業者は、有明海での漁業悪化の原因を干拓事業と疑い、開門を強く求めてきた。一方、干拓地で営農する農業者や長崎県側は開門に一貫して反対しており、開門調査の問題は長年地元を二分してきた。民主党内でも佐賀県連と長崎県連で対応が分かれている。
農相、諫早開門実施を16日伝達 上告も決定
2010/12/15
02:02 【共同通信】
鹿野農相は14日、長崎県を16日に訪れ、国営諫早湾干拓事業の開門調査の実施を関係者に伝達する方針を固めた。5年間の排水門常時開放を命じた福岡高裁判決の上告を17日に正式決定、開門方針と合わせて公式表明する考え。
鹿野氏は長崎県に対し、調査実施では干拓農地に影響を与えないよう代替水源の確保や防災対策に万全を期す考えを説明する。上告は高裁が命じた開門方法では干拓農家などへの影響が大きいことが懸念されるため。実際の開門方式は現在、農林水産省が環境影響評価(アセスメント)で検討している方式から選ぶ。
長崎県側は干拓地の農業で塩害が生じる懸念などから強硬に開門に反対しており、16日中に同意を得るのは困難とみられる。
上告や開門調査判断「今週中に判断」 鹿野農相
鹿野道彦農相は14日、国営諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門の常時開門を命じた福岡高裁判決への対応について、今週中に判断する考えを示した。上告や開門調査するかどうかの政治判断を下す前に、現地を視察するかどうかは明言を避けた。
閣議後会見で答えた。鹿野農相は判断を下す時期について「(上告期限の)20日は月曜なので、今週中ということなのではないか」と、週内に対応を決める方針を示した。上告を含めた今後の対応は「現在、詰めている段階で、どうするのか(方針を)言える状況ではない」とし、現地視察についても「いくかどうかを含めて検討している」と述べるにとどめた。
高裁判決を受け、農水省は排水門のゲートを一定期間上げて潮流変化などを調べる開門調査を実施する方針を固めている。一方、高裁が命じた5年間の常時開門は「干拓農地への影響が大きい」との懸念もあり、上告するかどうかは関係府省で検討している。
鹿野農相:16日長崎訪問 諫早開門伝達へ
毎日新聞 2010年12月15日
長崎県の国営諫早湾干拓事業を巡り、鹿野道彦農相が16日に同県を訪れ、潮受け堤防排水門の長期開門調査を実施すると同県側に伝える方針であることが分かった。5年間の開門を命じた福岡高裁判決(6日)については、農林水産省が開門方法などを検討中であることから政府は上告する方針だが、最終的に菅直人首相が「上告断念」を政治決断する余地もある。
開門実施と訴訟への対応は、17日に正式表明する見通し。
鹿野農相は長崎県側に対し、防災対策や営農地の代替水源の確保に努める決意を伝え、調査への理解を求めるとみられるが、営農者らに被害が及ぶなどとして調査に強く反対する長崎県側の反発は必至だ。【佐藤浩】
諫早干拓訴訟、民主党議連が上告断念を要請
2010年12月14日佐賀新聞
佐賀、福岡などの民主党議員でつくる「有明海の再生を考える議員の会」は14日、諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門の開門を命じた福岡高裁判決について、上告を断念し、一刻も早く開門調査を行うよう鹿野道彦農相に要請した。
要請には会長の古賀一成衆院議員(福岡)のほか、佐賀から事務局長の川崎稔参院議員と大串博志衆院議員が参加した。
非公開の面談の後、取材に応じた副会長の松野信夫参院議員(熊本)は「既に開門調査の方向性はあると思っており、焦点は上告するかどうか」としたうえで、「上告すれば司法判断で開門したようになる」とし、今の時点で政治判断で上告を断念するよう要請した鹿野農相は「詰めの作業をしている段階」と答え、結論についての話はなかったというが松野議員は「大臣にはしっかり受け止めてもらった」と手応えを口にした。
諫干開門 判決に県反論
=2010/12/15付
西日本新聞朝刊=
諫早湾干拓事業の排水門開門問題をめぐり、県は14日、開門を命じた福岡高裁判決に対する反論資料を、県議会農水経済委員会に提出した。宮本明雄・諫早市長も同日から上京して国に上告を要請するなど、20日の上告期限を前にした動きが加速している。
県は、判決文の各部分について反論を列挙。干拓事業と漁業被害について判決文が「因果関係を肯定するのが相当」としたのに対し、県は「最高裁決定(2005年)で因果関係を認めておらず、はなはだ疑問」としている。潮受け堤防の防災機能について「限定的」とした判決文に対し、県は「堤防閉め切り後に被害が減少している」と主張した。
委員会では開門賛成の楠大典議員(改革21)が「判決を重く受け止めるべきだ」と強調、「宝の海に戻したいという思いは共通しており、一度開けて調査した方がいい」と述べた。この日、開門反対の議員から質問や意見は出なかったが、金沢秀三郎委員長は「すでに本会議で開門反対の意見書が可決されており、特に意見を言う必要がないため」と説明した。
一方、諫早市の宮本市長と、市議有志でつくる「諫早湾干拓排水門開門反対議員の会」会長の宮崎博通・副議長は14日、東京へ出発した。15日に民主党本部や農水省などを訪れ、上告するよう要請する。
「諫早開門+上告」に異論
2010年12月14日 朝日新聞(長崎県版)
県など「政治判断でも開門反対」
原告側「開け方
協議で変更可能」
段階的開門の一方で上告も―。諫早湾干拓(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門を開けるよう福岡高裁に命じられた国が固めたこの方針を巡り、賛否両派が異論を唱えている。長崎県などは「判決でも政治判断でも開門には反対だ」と訴え、開門を求める原告漁民たちは「上告なしでの決着を」と迫る。折衷案にもみえる国方針を、賛否両派はどう考えるのか。言い分を整理した。
農林水産省が上告期限の20日までに表明を検討中の方針は、開門の期間や範囲を徐々に広げていく「段階的開門」を早ければ2012年度にも実施する一方、最高裁に上告もする、というものだ。
段階的開門は、防災工事などに必要な3年の猶予期間の後、5年間の常時開門をせよ、と命じた福岡高裁判決とは異なる方式。判決が確定して、開門の仕方が縛られることを避けようというのが、同省が上告を持ち出す理由だ。
13日、東京・霞が関の農水省前。原告弁護団事務局長の堀良一弁護士は「国が考える開門方法と判決内容が違う、という理由で上告するのは筋違いだ」と訴えた。
高裁判決が確定しても、勝訴した原告漁民さえ同意すれば、「5年間の常時開門」を絶対視する必要はない、というのが弁護団の見解だ。
「段階的開門を提言してきた私たちには、開け方を国と協議する用意はある」と堀氏は言う。11日、諫早市であった開門賛成派の集会では「上告しながら裁判外で開門すると述べても、ジキルとハイドのようで説得力がない」と批判して、国に上告断念を迫った。
一方、あくまで開門を拒み、上告を求めるのが長崎県など開門反対派の立場だ。
12日、諫早市に2500人(主催者発表)が集まった開門反対派の集会。中村法道長崎県知事は「判決であろうと政治判断であろうと開門をするというのはまったく変わりない。開門は断固阻止する」と訴えた。集会後、中村知事は取材に「開門調査は地元の了解を得てやるもの。手順を踏んで判断してもらいたい」と述べ、政府が地元同意なしで開門しないよう、くぎを刺した。
賛否両派が主張の声を高める中、佐賀県の古川康知事は農水省方針に一定の評価を示している。古川知事は10日、農水省方針について「今この段階で、我々が得なければいけない成果は、開門という判断を政府にしっかりやっていただくこと。それがあれば、漁業者にもホッとしてもらえる」と語った。
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諫早開門 社説 |
| 20101208 |
諫早湾干拓訴訟 「開門」命令が問う政治の責任
(12月8日付・読売社説)
国の諫早湾干拓事業を巡り、漁業者側が潮受け堤防排水門の開放などを求めた訴訟で、福岡高裁は事業の影響調査のため5年間、堤防を常時開放するよう国に命じる判決を言い渡した。
堤防の閉め切りと、漁獲高が減少するなどの漁業被害との因果関係を明確に認めた。堤防閉め切りが地元漁業者の漁業を営む権利を侵害しているとも指摘した。
1審の佐賀地裁と同様、漁業者側の主張をほぼ全面的に認めた判決と言えよう。
国側は、開門すれば高潮や洪水時に堤防の防災機能が失われ、堤防内の調整池に海水が入り込んで干拓地農業にも被害が出ると主張していた。地元長崎県や干拓地農家の意向を踏まえたものだ。
しかし判決は「影響は限定的」と、これを退けた。
開門の準備に3年間の猶予を与えた上で、とりあえず排水門を開け、有明海の環境に及ぼす影響や漁業資源の回復策などを5年間で探れ、と命じた判決である。
干拓事業は、有明海の一角である諫早湾を全長7キロの潮受け堤防でせき止め、内側に広大な調整池と農地を造成した。1989年に着工、総額2500億円を投じて2008年に事業は完成した。
干拓による環境変化で魚介類が減少したとする漁業者側は、まず工事の差し止めを求めたが敗訴した。事業が完成した後は、堤防の撤去や排水門の開放などを求める訴訟で国と争ってきた。
干拓地農家の不安、長崎県や有明海に臨む周辺各県の思惑なども絡み合う中、「諫早問題」が混迷を深めた背景には二転三転した政治の対応のまずさもあろう。
自民党政権は、地方への利益誘導を狙って大型公共事業を乱発した。諫早湾干拓もその一つだ。
民主党は、有明海を再生するとして野党時代から開門に前向きだった。政権交代後の今年4月には、政府・与党の検討委員会が開門を妥当とする報告書をまとめた。
しかし、検討委を主導した当時の赤松農林水産相が宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題を機に退任した後は、この問題から遠ざかっている。
農水省は、開門の適否を判断する環境影響評価を進めており、来春に報告をまとめる方針だ。
判決を受けて仙谷官房長官は、開門に前向きな姿勢を示しつつ、環境影響評価の結果も踏まえて検討する意向を表明した。
最終的な判断は政治に委ねられる。漁業者と農家、双方に配慮した解決策を探る責任があろう。
諫早湾開門判決 駄目押しされてしまった
2010/12/07付
西日本新聞社説
駄目押しされた。国の完敗だった。
長崎県の国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りと、有明海異変に因果関係が認められるか。国と福岡、佐賀、長崎、熊本4県の漁業者などが争っていた訴訟の控訴審判決が福岡高裁であった。
結果は、一審の佐賀地裁に続き、福岡高裁でも漁業者側の勝訴となった。
控訴審判決は、少なくとも諫早湾内やその近くの漁場での魚類資源の急速な減少は、潮受け堤防閉め切りをきっかけにして起きた可能性が高い、と認定した。
そのうえで、福岡高裁は判決確定から3年間の猶予後、防災上やむを得ない場合を除き、5年間の常時開門を命じた。
中・長期の開門調査は、この干拓事業と有明海異変との因果関係をはっきりさせるために漁業者側が求めていた。
一審佐賀地裁の判決は2008年6月にあった。このとき、私たちは国は開門調査を先送りすべきではないと訴えた。
国は時間稼ぎをしながら既成事実を積み上げてきた。07年11月には干拓事業の完工式を行い、そこで農業も始まった。
こうなっては仕方ないと漁業者などが諦めればいいのかもしれない。しかし、現実は逆である。今年3月にも諫早湾内3漁協の組合員計29人が、新たに国に開門を求め、長崎地裁に提訴した。
地域間の対立も残ったままだ。防災機能が損なわれると開門に反対する長崎県と、開門を求める佐賀県が典型的だ。
中・長期の開門調査が提案されたのは01年暮れだった。前年からのノリの大不作を受けて農林水産省は原因を調査する第三者委員会を設けた。その提言が短期、中期、長期の3段階の調査だった。
だが、農水省は短期だけで済ませた。
佐賀地裁の判決を受けて国が福岡高裁に控訴したときも、私たちは書いた。
先送りしても根本的な解決にはならない、開門を前提に条件整備を進めよ−と。
控訴審では、漁業者側は、短期から3段階に分けて最終的に全開門する「段階的開門」を提案するなど、国に和解を呼びかけたが、国は応じなかったという。
だが、控訴審判決は、干拓地の営農にとって潮受け堤防の閉め切りは必要不可欠であるとはいえない、排水門を常時開放しても防災機能を相当程度確保できる−などと国の主張を退けていった。
ここで国はどうするのか。さらに時間をかけて争っていくのだろうか。
今春にも開門調査に向けた動きはあった。政府与党の諫早湾干拓事業検討委員会の報告を受け、当時の赤松広隆農相が政治決断するとの見方が強まった。
このとき、私たちはきちんとした調査をすべきであり、前提として地元の不
安を消す準備が欠かせないと主張した。
しかし、鳩山由紀夫内閣の総辞職で赤松氏も交代し、決断は先送りされた。
調整が難しく、骨が折れる仕事なのに国の姿勢はふらふらして定まらない。
だから駄目押しを受けてしまった。ここは奮起して真正面から取り組むときだ。
諫干訴訟判決 国は真摯に受け止めよ
佐賀新聞論説(12月7日付)
開門は必要だ−。諫早湾干拓事業で有明海の漁業環境が悪化したとして、沿岸漁業者が国に対して潮受け堤防の撤去や排水門の開門を求めていた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は一審佐賀地裁に続き、5年間開門するよう国に命じた。基本的に一審を踏襲した判決だが、さらに踏み込んでいる。国は判決を真摯(しんし)に受け止め、開門に動くべきだ。
判決は、堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を、諫早湾口部とその周辺において認めた。潮受け堤防によって1550ヘクタールの干潟が消失し、周辺の潮の流れが弱くなった、と指摘している。そのために生物が生息できない貧酸素水塊の発生が促進された可能性が高いと判断している。
国は一貫して事業と漁業被害の因果関係を否定。漁獲量の減少を、閉鎖性海域に共通の要因であり、全国的な傾向と同じ要因と主張してきた。しかし判決は、閉め切り後に全国的な傾向よりもはるかに急激に漁獲量が減少していると断じている。
また、判決は潮受け堤防の防災機能は限定的なものとし、干拓地の営農にとっても堤防の閉め切りが必要不可欠なものとはいえない、と踏み込んだ判断を示した。これまで国や長崎県側が主張してきた「開門できない根拠」が崩れたことになる。
国営諫早湾干拓事業は、農耕地の拡大と水害を防ぐために計画された。1997年にギロチンと呼ばれる293枚の鋼板を下ろし、長さ7キロの堤防で湾を閉め切った。湾内には672ヘクタールの農地と2700ヘクタールの調整池がつくられた。
ところが、閉め切って以降、ノリや魚介類に被害が頻発した。潮流が変化し、赤潮の発生が増加した。2000年にはノリの生産量が激減し、生育不良による色落ちから価格も下がった。その後、生産量は戻ったが、作柄は不安定になっている。
タイラギも諫早湾の入り口に位置する太良町漁協大浦支所では、収穫量が激減した。96年度に318トンあったのが、97年度には97トン、98年度には14トンに減った。閉め切り以降、収穫量ゼロの年が6回もあった。
有明海はムツゴロウ、ワラスボ、アゲマキなど珍しい魚介類が生息し、ノリの生産量は日本一だ。栄養分豊かな泥の海は「宝の海」と呼ばれてきた。元の豊かな海を取り戻すには、湾閉め切りの影響調査は欠かせない。
干拓に対する考え方は時代とともに変わってきた。以前は干潟は無用のもので、農地に埋め立てた方がずっと有益と考えられてきた。ところが近年、干潟が多様な生物を育て、水質を浄化する効果があることが分かってきた。世界的に干潟の自然を保護し、生物の多様性を守る傾向に動いている。
諫早湾干拓は、時代遅れの公共工事であり、走り出したら止まらない公共工事の典型といわれている。事前にもっとしっかり環境調査を行っていれば、工事は着工できていなかったかもしれない。
責任を負うべきは国だが、農相が交代するたびに主張が揺れ動く。民主党が野党の時代には「政権交代すればすぐに開門する」と言っていた菅直人首相も、この問題を避けているように見える。判決をしっかり受け止め、首相の判断で開門への道筋を探るべきだ。(園田 寛)
諫早湾干拓訴訟 有明海再生に開門調査を
熊本日日新聞社説
2010年12月07日
国営諫早湾干拓事業をめぐり、有明海沿岸の漁業者らが、漁業不振の原因は潮受け堤防を閉め切ったためだとして、国に排水門の開門などを求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は、一審の佐賀地裁に続き、堤防の南北2カ所にある排水門を5年間常時開けるよう命じた。
国は判決を真摯[しんし]に受け止め、「宝の海」とも呼ばれた有明海の再生に向け、開門調査を含むあらゆる手段を講ずるべきだ。
判決は、潮受け堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を認め、「漁業権の侵害状態は違法」と認定。国側が、開門すれば洪水や高潮への防災機能が低下、農業用水が確保できないなどとしていた点については「営農にとって堤防閉め切りが必要不可欠とはいえない」との判断を示し、一審と同様、「洪水時の防災機能などを代替する工事のため、開門を3年間は猶予するのが相当」とした。
国営諫早湾干拓事業の計画は1950年代。コメ増産が目的で、後に防災機能も加えられた。2008年3月、総事業費約2500億円で完成。現在670ヘクタールの大規模農地に、41の個人と法人が営農している。
1997年に、湾の奥を約7キロの潮受け堤防で閉め切った。「ギロチン」と呼ばれたこの工事の直後からノリの色落ち被害が顕在化。特産のタイラギ漁が激減するなど漁業被害も深刻化し、漁業者らが佐賀地裁に提訴。08年6月、同地裁が潮受け堤防排水門の5年間常時開放を命じたため、国が控訴していた。
有明海では今も赤潮被害が毎年のように発生、研究者からは諫早湾干拓による潮流の変化との関連を指摘する声が上がっている。短期の開門を行った際には、貝類の生息数が4倍に増えたという研究結果もある。
国の対応は迷走気味だ。政権交代後の10年4月、政府、与党の検討委員会が開門調査を求める報告書を農相に提出したが、最終決定は「環境影響評価の中間報告が出る11年5月ごろ」に延ばした。開門を求める佐賀、熊本県などに対し、足元の長崎県が反対するという事情があるためだが、この例が象徴するように、国の姿勢は常に問題を先送りするだけだった。
有明海を豊かな海に戻すことに誰も異論はあるまい。国は今回の判決を好機ととらえるべきではないか。開門に反対する声には丁寧な説明が必要だろうが、判決が3年の猶予を付けたのもそのための配慮である。
長崎新聞論説 (2010年12月7日更新)
高裁も開門命令 政治の責任で早期解決策を
有明海の漁業不振は国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りが原因だとして、沿岸4県の漁業者らが国に堤防撤去や、排水門を開放して因果関係を調べる開門調査などを求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁の古賀寛裁判長は6日、一審佐賀地裁判決を支持して、国に5年間の開門調査実施を命じる判決を言い渡した。
2008年6月の一審判決は、閉め切りと漁業被害の因果関係を認め、5年間の常時開門調査の実施を命じた。高裁の古賀裁判長は一審判決を支持し、「閉め切りと漁業被害に因果関係が認められる。閉め切りによる漁業権の侵害状態は違法」と断定した。さらに、「開門すれば堤防の防災機能が失われる」という国の主張も、「堤防の防災機能は限定的で、営農に必要不可欠とはいえない」と退けた。その上で、判決確定から3年の猶予期間を置いて、南北排水門を5年間常時開門するよう命じた。
国は「漁業不振と閉め切りは無関係」「開門すれば干拓地農業が被害を受け、防災面に不安が生じる」と主張してきた。それだけに、再び開門命令が出たことに衝撃を受けている。
ただ、一審、二審ともに、漁業不振の深刻さを認め、その原因は堤防閉め切りと認定した事実は重い。国が仮に上告して「閉め切りとは無関係」との主張を続けるとしても、単に最高裁判決を待つだけで、有明海の深刻な状況を放置することは許されないだろう。裁判の行方に関わりなく、国の責任で有明海の再生策を示し、推進すべきだ。
だが同時に、開門調査については、慎重な検討が必要だ。干拓地農業者や地元住民は開門に重大な懸念を抱いており、こうした懸念を無視することはできない。国が将来、何らかの形で開門調査に踏み切ることがあったとしても、地元の懸念を完全に払拭(ふっしょく)できるだけの、事前の十分な対策と説明が不可欠である。
漁業者の見解と、国や県、干拓地農業者の見解が真っ向から対立している現状では、直ちに双方を納得させる解決策を見いだすことは困難だろう。だが、だからといって、これ以上、解決を引き延ばすことも許されない。一方だけが満足し、もう一方は悲憤を押しつけられるという事態など、あってはならないことだ。ともに有明海沿岸に暮らし、自然の恵みを受けて暮らす地域共同体の一員であることを自覚し、共存共栄の道を探らなければならない。
そのために、司法の場とは別に、有明海再生の具体策を漁業者、農業者が一緒になって議論し、前向きに取り組む場を設けてはどうだろう。互いに主張し合うだけでなく、多角的で冷静な議論が求められる。そうした努力を地道に続ければ、双方が納得できる解決策が見つかる可能性が高い。
そこで求められるのは政治の役割だ。政治の責任で調整に動き、建設的な議論を進めて早期解決を図るべきだ。今こそ政治の出番であり、政府が責任を果たすときだ。(高橋信雄)
愛媛新聞社説2010年12月07日(火)付
諫早湾干拓高裁判決 もはや開門は避けられない
動きだしたら止まらない公共工事の代表格である長崎県の諫早湾干拓。司法の答えは二審も「門を開けよ」だ。
沿岸の漁業者たちが干拓地と海を仕切る潮受け堤防の撤去などを国に求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁はきのう、3年間の猶予を設けた上で堤防にある排水門を5年間常時開けるよう命じた。
堤防の締め切りと漁業被害との因果関係を一部認めた2年前の佐賀地裁に続く、極めてまっとうな判決といえる。さらに注目すべき点がある。
地裁は干拓地への営農と漁業権のどちらが優先するか、公益性の観点で比較 て開門の結論を導いた。これに対し高裁は「営農に堤防閉め切りが必要不可欠とはいえず、漁業権の侵害状態は違法だ」とまで言い切っている。国が主張する防災上の懸念は「やむを得ない場合に門を閉じることで防災機能を確保できる」として完全に退けている。
行政の不作為への司法の戒めとも受け取れよう。1997年に堤防が閉め切られて以降、大規模な赤潮発生、アサリ漁やタイラギの漁などへの被害は再三指摘されてきた。過去の裁判や公害調停で開門調査の必要性が何度も求められたにもかかわらず、国はまともに応じてこなかった。
問題の発端が堤防完成前の環境データの不十分さにあることは明白だ。中長期の調査データがない限り、潮の流れや水質の変化を正しく検証はできない。
強引に進めた公共事業の代償は大きすぎる。
当然、開門には賛否両論ある。すでに農地には41の法人と個人が入植し、国内有数の大規模農業が軌道に乗り始めている。開門によって塩害などの影響が出ることになれば新たな「国策の犠牲者」を生むことになってしまう。
利害調整の役割を果たすべきは政治であるはずだ。決着の先送りを重ね、事業そのものが利権化し、完成後も地域が対立し続ける状況を招いた責任は限りなく重い。
自民党政権下に種がまかれたことだが、政権交代後も展望は描き切れていない。今年4月に政府・与党検討委員会が「開門調査が適当」とする報告書をまとめたが、農相交代が相次ぎ、姿勢も一貫性を欠いている。民主党は野党時代に開門を求めてきた事実を忘れてはなるまい。
政府は来春にもまとまる有明海の環境影響評価(アセスメント)の結果を待って判断する方針だが、今後は漁業にも農業にも誠実に対応すべきなのはいうまでもない。営農や災害に関する代替工事を早急に練り上げるべきだ。
もはや開門は避けられない。かつて干拓事業批判の先頭に立っていたのは、ほかでもない菅直人首相である。上告した場合には、以前の主張との整合性を問われる。
諫早開門 漁業と農業両立の道を
信濃毎日新聞社説12月9日(木)
有明海の国営諫早湾干拓事業で福岡高裁は、潮受け堤防の排水門を開けるよう命じた。堤防を閉め切ったために漁業被害を受けたとして、沿岸の漁民が水門の常時開門や堤防の撤去を求めた訴訟である。
判決を受けて農林水産省は、1年以上の「長期開門調査」をする方針を固めた。だが、常時の開放には多額の対策費用がかかるとして応じず、上告する方向で調整している。
国が否定してきた漁業被害を一、二審とも認めた事実は重い。もともと諫早湾干拓は、菅直人首相が野党時代に「歴史に残る大失政」と糾弾し、中止を迫った事業である。首相は指導力を発揮し、政治判断によって上告を取りやめ、常時開門を進めるべきだ。
自民党政権時代の大型公共事業は、一度動きだしたら止まらないと言われてきた。諫早湾干拓もそれを象徴する事業に挙げられる。
構想が浮上したのは食糧増産が叫ばれた1952年だが、事業計画が決まったのは、米が余って困っていた86年だ。規模を縮小し、目的を防災に変えて、つじつまを合わせた。
97年に約7キロの堤防を閉め切ると、その数年後から近くで特産のノリや高級貝のタイラギが採れなくなった。
約2500億円もの事業費を投じながら、海の幸を台無しにしたとすれば、いったい何のための農政かと言いたくなる。政官の無責任な体質はあらためて厳しく問われるべきだろう。
高裁判決は「堤防の防災機能は限定的で、営農に必要不可欠ともいえない」とし、防災対策に必要な3年間の猶予を認めたうえで、調査のために2カ所の排水門を5年間開けるよう命じた。
厄介なのは事業が進んでしまったことだ。造成された約680ヘクタールの干拓農地では2年前から41の個人・法人が営農を始めている。開門すれば用水に海水が混じって使えなくなり、塩害の恐れもあるとして、農家は強く反対する。
もはや事業は元に戻せない。かといって判決が出た以上、補償や対策工事に数百億円かかるとして難色を示してきた農水省の姿勢は許されない。これからは開門による農業への打撃をいかに少なくするかを考える必要がある。
首相が主導して漁業と農業の両立の道をさぐるべきだ。双方が折り合える最善の手だてを見つけることが、事態を長引かせた政治の責任である。問題の大型事業に決着をつけるモデルとしたい。
諫早湾干拓判決 開門調査へ国は決断せよ
山陽新聞社説 (12/7
8:52)
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防閉め切りの是非をめぐる訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は一審に続き、国に対して堤防にある南北2カ所の排水門を5年間、常時開放するよう命じた。
重ねて示された司法の開門命令を、国は重く受け止めなければならない。巨大公共事業は、計画から半世紀を経て大きな岐路に立たされたといえよう。
諫早湾がある有明海で生じた漁業不振について「堤防の閉め切りが原因」とする沿岸の漁業者らが、撤去や排水門の開門などを求め2002年から段階的に佐賀地裁に提訴した。国側は因果関係を否定し、開門による防災機能や干拓地での営農への影響などを訴えた。
08年6月の一審判決では、有明海の中でも諫早湾内と周辺に限り因果関係や一部原告の被害を認めた。防災機能などの代替工事のため3年間猶予した上で、5年間の常時開門を命じた。さらに中・長期の開門調査実施も付言した。
控訴審判決は、こうした一審判決をほぼ踏襲した上で「漁業行使権の侵害状態は違法だ」と厳しく指摘。「堤防の防災機能は限定的で、閉め切りが営農に必要不可欠ともいえない」とし、開門の弊害を説く国側の主張を退けた。さらに、一審で因果関係が否定された原告の一部も新たに被害が認められた。
諫早湾干拓は再三目的が変わるなど、動きだしたら止まらない公共事業の典型例である。そうした国の姿勢が漁業者、営農家の双方に苦しみや対立をもたらしたといえよう。
事態打開へ有明海異変の原因究明が急がれる。政府の開門調査に対する判断は先送りされてきた。農業への被害防止策などに十分配慮し、調査実施へ向かうときであろう。
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諫早開門判決関係2 |
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諫早開門判決「上告やむなし」 民主・農水省
2010年12月10日朝日新聞
民主党政策調査会の農林水産部門会議が9日、参院議員会館であり、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の常時開門を命じた福岡高裁判決について、党、農水省側双方から「上告はやむを得ない」との考えが示された。
判決を受け、農林水産省は排水門を段階的に1年以上開門することを検討する一方、5年間の常時開門を命じた判決とは開門方法が異なるため上告の方向で協議している。
会議は非公開。終了後、座長の佐々木隆博衆院議員は「上告期限と、(来年4月ごろに中間報告がまとまる)環境影響評価(アセスメント)とはタイムラグがある。(国民に)分かりにくいが、仕方ない」と話し、上告はやむを得ないとの見方を示した。同席した松木謙公農水政務官も上告を容認する姿勢を見せた。
「上告は百害あって一利なし」諫早開門判決で原告弁護団
2010年12月11日 朝日新聞
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の常時開門を命じた福岡高裁判決を受け、農林水産省が段階的な開門調査実施の方針を固める一方で上告を検討していることに対し、原告弁護団事務局長の堀良一弁護士は11日、「上告は真の解決にはならず、百害あって一利なし」と批判した。長崎県諫早市で開かれた支援者集会で、弁護団の見解として表明した。
弁護団は、上告は憲法や判例、法律違反について行われるのが原則で、今回はなじまない――などとしている。堀弁護士らは「国が無意味な上告をすれば、湾内漁民が長崎地裁で争い、来年3月に判決が出る別の開門訴訟でも、確実な開門の判決を目指さざるを得ない」と述べ、追加提訴を含め、あらゆる法
的措置で対抗する構えをみせた。
佐賀県議会、開門調査の早期実施要請を決議
2010年12月08日佐賀新聞
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の5年間開門を命じた福岡高裁判決を受け、佐賀県議会は7日、国に対し、上告を断念し、中長期開門調査の早期実施を強く要請する決議を全会一致で可決した。
決議は、高裁判決を「原告のみならず、県民にとってはまさに意を得た」と評価。有明海では赤潮の多発などで貝類が激減し、県南西部では近年、ノリの色落ち被害が発生するなどの厳しい現状を示し、「判決を重く受け止め、上告を断念し、開門調査を実施することが沿岸漁業者をはじめとする県民総意の願い」として開門調査の早期実施を求めている。
これをもとに県議会は各会派代表者ら議員8人が8日、古川康知事とともに官邸や農水省などに要請する。留守茂幸議長は「高裁判決は漁業者はもとより私たちも勇気づけられた。このタイミングを逃さず、国に政治判断で開門調査を責任持ってやるよう訴えたい」と話した。
長崎県議会は上告求める意見書可決
2010年12月08日佐賀新聞
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の5年間常時開放を命じた福岡高裁判決を受け、長崎県議会は7日、判決を不服として国が上告するよう求める意見書を賛成多数で可決した。横路孝弘衆院議長や菅直人首相らに提出する。
意見書は高裁判決について「潮受け堤防が果たす防災効果や、調整池が営農上不可欠という実態を全く無視している」と批判。「高潮、洪水で被害を受けるのは地域住民であり、到底容認できない」とした。
「早期開門を」「やめて」佐賀・長崎知事が直訴
(2010年12月9日
読売新聞)
国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、潮受け堤防排水門の開放を命じた福岡高裁の控訴審判決を受け、佐賀、長崎両県知事が8日、それぞれ農林水産省を訪れ、鹿野農相と面会した。湾を閉め切った潮受け堤防排水門を2012年度にも長期開門する同省の方針が明らかになる中、両知事は「早期開門を」「開門しないで」と立て続けに直訴した。
農水省は判決を受け、1年以上の長期開門調査を早ければ12年度にも実施する方針を固め、上告期限の20日までに正式表明する見通し。
佐賀県の古川康知事は8日午後、開門調査の即時決定などを求める要請書を鹿野農相に手渡し、「あとは大臣の決断を頂くだけ」と迫った。鹿野農相は「高裁判決を大変重く受け止めている。時間は限られているが、慎重に考える」と応じたという。古川知事は「段階的な開門でも構わない。まずは決断してもらうのが第一」と語った。
面会を終えた古川知事が廊下で報道陣の取材を受ける中、長崎県の中村法道知事がその横を通り過ぎ、大臣室に乗り込んだ。
中村知事によると、「環境影響評価(アセスメント)後に科学的、客観的なデータに基づき判断を」と、開門せずに上告するよう求めたが、鹿野農相は「検討している」と答えるにとどまったという。中村知事は手応えについて「全く分からない」と渋い表情を見せた。同行した小長井町漁協(長崎県諫早市)の新宮隆喜組合長は「開門するなら、国を相手に訴訟も検討する」と憤りをあらわにした。
諫干、国は上告断念を 農水省前で漁業者ら座り込み
2010年12月13日佐賀新聞
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門開門を命じた福岡高裁判決を受け、佐賀県の漁業者ら原告と弁護団の約20人が13日、国に上告断念などを求め、農水省前で座り込みを始めた。上告期限は20日で、国が断念するまで続けるとしている。
「よみがえれ有明海」の横断幕を掲げ、藤津郡太良町のタイラギ漁業者平方宣清さん(58)は「漁業者はもう待てない。国は判決を受け入れ、上告せずに開門すべきだ」と声を張り上げた。
弁護団の堀良一弁護士は「開門方法が縛られるという理屈は全く上告理由にならない」と指摘。「われわれは漁業と農業が両立する開門方法を提案している。国は協議に応じるべき」と語気を強めた。
諫早開門判決への対応、週内に決定 農相
2010/12/14
11:24日本経済新聞
鹿野道彦農相は14日の閣議後の記者会見で、国営諫早湾干拓事業(長崎県)で国に潮受け堤防の開門を求めた6日の福岡高裁判決への対応を判断する時期について「今週中ということではないか」と述べ、17日までに決める考えを示した。上告期限は20日まで。現在の考えについては「判決への対応や開門調査の政治判断は詰めている段階だ」と述べるにとどめた。
(関連)
諫干農地 県支出 差し止め認めず 福岡高裁判決
2010年12月6日
14:27
国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、県が干拓農地(672ヘクタール)の取得に公金を支出したのは違法として、事業に反対する長崎県民76人 当時の県知事に対し、支出差し止めなどを求めた住民訴訟の控訴審判決が6日午後、福岡高裁で言い渡された。古賀寛裁判長は、公金支出に違法性はないとした一審長崎地裁判決を支持、原告側の控訴を棄却した。
訴状によると、干拓農地は県が100%出資する県農業振興公社が政府系金融機関などの融資を受けて約51億円で国から一括購入し、営農者にリース。
返済は営農者が支払う農地のリース料のほか、県が公社に貸し付ける約34億円を充てる。計画では、県への返済も含めて完済までに98年かかるという。
原告は「干拓営農は成功する見込みはない。県と公社は一体であり、県への農地配分を認めていない土地改良法にも違反する」などとして2006年8月に提訴した。
08年1月の一審判決は「干拓営農が成功する見込みは一応あり、公金の支出が違法であるとまではいえない」などとして原告側の請求を退けた。
控訴審で原告側は「3分の1以上の営農者がリース料を滞納しており、計画 破綻は明らか」と主張。国側は「リース料の未納額はわずかだ。先進的な環境保全型農業で地域の農業振興につながる」と反論した。
福岡高裁では6日午後2時半からは、干拓事業による潮受け堤防の閉め切りで漁業不振に陥ったとして、福岡、佐賀、長崎、熊本4県の漁業者らが国に対し、堤防の撤去や排水門の開門を求める訴訟の控訴審判決が言い渡される。
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諫早、段階的に開門へ 農水省、2012年度にも |
| 20101208 |
諫早干拓、開門調査へ=高裁判決受け12年度にも−農水省
時事通信
農林水産省は8日、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門開放を命じた福岡高裁判決を受け、2012年度にも開門調査を行う方針を固めた。有明海の環境変化と事業の因果関係の調査が目的で、上告期限の20日までに表明する。上告の是非については政府内で協議中。
農水省は、来春にも出る予定の水門開放に関する環境影響評価(アセスメント)の結果を分析した上で、必要経費を12年度予算に盛り込む。開門調査による影響について、松木謙公政務官は8日の衆院農水委員会の閉会中審査で「常時開門した場合、(調整池から取水している)農業用水の代替水源の確保や老朽化した既存堤防の改修などが必要になる」と答弁した。
(2010/12/08)
諫早湾、長期開門調査を実施へ 高裁判決受け
2010/12/08 12:40
【共同通信】
農林水産省は8日、福岡高裁が5年間の潮受け堤防排水門の常時開放を命じた国営諫早湾干拓事業(長崎県)について、1年以上にわたる「長期開門調査」を実施する方針を固めた。2012年度にもスタートする。
農水省は、来春にまとまる環境影響評価(アセスメント)の中間報告を受け、3段階に分けてゲートを上げて最終的に全開とする方式か、ゲートの上げ幅を制限して潮位をコントロールする方式かを決める方針。
農水省は、高裁判決が命じた常時開放は排水門付近で強い潮流を引き起こし、周辺の海底の補強工事などに多額の対策費が必要となるほか、漁業被害なども予想されるとして、採用を見送る方針。
諫早、段階的に開門へ 農水省、2012年度にも
2010年12月8日 朝日新聞
福岡高裁判決が5年間の常時開門を命じた国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門について、農林水産省は、1年以上の期間で段階的に開く方式で長期開門調査を実施する方針を固めた。早ければ2012年度にも始めるという。判決と開門方式が異なるため、農水省は上告する方向で法務省と協議に入る。
一方、菅直人首相は7日、記者団に「(諫早干拓事業は)私にとっても大変長い間取り組んできた問題。判決に対しての対応はしっかり政府として検討していきたい」と述べた。
干拓事業による有明海の漁業などへの影響を調べる開門調査をめぐっては、農水省と与党の検討委員会が4月、実施が適当とする報告書をまとめた。その過程で、開門方式について、最初から制限を設けずに全体を常時開く方式のほか、期間や範囲を区切ってまず開き、徐々に広げて常時開門につなげる方式など、複数のパターンが検討された。
農水省の政務三役は判決後、改めてこれらのパターンを検討。制限なしに開く調査では、堤防の閉め切りによってできた調整池の汚れた淡水が一挙に諫早湾に流れ込んで漁場環境が急速に悪化することなどが想定され、600億円を超える対策費用が必要になるという。このため開門期間や範囲を徐々に広げ、
調整池に入れる海水量を3段階で増やす方式を採用する方向だ。
開門調査を実施した際の影響を調べる国の環境影響評価(アセスメント)が現在実施されており、中間報告が11年4〜5月にもまとまる。農水省はアセスを受け、魚種の保護や農業者の塩害対策のための代替水源確保などを実施したうえで、12年度以降に開門調査を始める意向だ。農水省はこうした方針を、判決の上告期限となる20日までに表明する。(大谷聡)
諫早湾干拓事業訴訟:2審も開門命令 開門調査へ 農水省が表明方針
毎日新聞 2010年12月8日 東京夕刊
長崎県の国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門開門を巡る訴訟の控訴審判決(6日)で敗訴したことを受け農林水産省は、上告期限内の来週までに長期開門調査の実施を表明する方針を固めた。同省は開門方法などでさらに検討が必要として、訴訟については上告するよう求め、関係府省と最終的な協議を続けている。
開門調査を巡っては、4月に政府・与党の検討委員会が実施を「適当」とする結論を出しており、これを尊重する意向の赤松広隆農相(当時)が5月に表明する見通しだったが、宮崎県の口蹄疫(こうていえき)への対応で表明の機会を失い、その後は事実上、先送りされてきた。
農水省は控訴審も開門を命じた司法判断を重く受け止め、来春まとまる環境影響評価(アセスメント)の前に表明することにした。1年以上の期間で段階的に開門する方式を検討している。【佐藤浩】
諫早干拓12年度にも開門、代替水源確保後に
(2010年12月8日
読売新聞)
国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、潮受け堤防排水門の開放を命じた福岡高裁の控訴審判決を受け、農林水産省は8日、1年以上の長期開門調査を早ければ2012年度にも実施する方針を固めた。上告期限の20日までに正式表明する。上告するかどうかは政府内で引き続き協議する。
高裁判決は、干拓事業と漁業被害の因果関係を認定し、「堤防閉め切りは違法で、排水門を開けても防災面や干拓地農業への影響は限定的」と指摘。5年間の常時開門を命じた。1審に続いての開門命令で、同省は長期の開門調査は避けられないと判断した。
開門方式については、同省で検討を続けている。最初から門を常時全開する方式では、調整池の淡水が諫早湾に一挙に流出し、土砂が海中に巻き上がって新たな漁業被害が出る恐れがあり、それを防ぐ海底工事などに600億円以上の費用がかかるとされる。このため、対策の工事費を抑えるため、開門の期間や範囲を徐々に広げる方式が有力視されている。
開門調査を実施した場合の影響を調べる環境影響評価が現在行われており、中間報告が来年春にまとまる。
同省では、この後に、干拓地の農業者のために代替の水源を確保するなどの対策をとり、早ければ12年度にも開門調査を実施したい意向だ。
一方、判決は常時開門を命じているが、同省は常時開門に否定的で、上告するかどうか協議する。
諫干長期開門調査へ 農水省12年度にも 訴訟は上告の方針
2010年12月9日 西日本新聞
国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)をめぐり、潮受け堤防排水門の5年間常時開放を命じた福岡高裁判決を受け、農林水産省は8日、1年以上にわたる長期開門調査を実施する方針を決めた。最高裁に上告するかどうかの対応とあわせ、来週にも表明する。農水省は現在、開門調査に伴う海域などへの影響を調べる環境影響評価(環境アセスメント)を実施中。2011年5月ごろにまとまる中間報告を踏まえて、12年度の調査開始を視野に、調査期間や開門方法などを検討する。
高裁判決について同省は「法的義務として5年間の常時開門を確定するわけにはいかない」として、最高裁に上告する方針で、法務省などと協議している。
開門方式については、環境アセスメントで想定した3方式のうち、門の開き具合を調整し、調整池の水位や水流の速さを制限する方法を軸に検討。潮流や海底の土への影響を最小限に抑え、営農地などに配慮した方策を目指す。
ただ、営農用の代替水源確保、防災対策のための旧堤防補修などが必要で、対策にかかる費用もあわせて試算している。
対応方針では、長期開門調査の開始時期や期間、開門方法については踏み込まず、環境アセスメントの中間報告や、地元と営農者の理解を得た上で、今後判断していくとみられる。
同省は、環境アセスメントを実施するにあたり、全体を一気に開門し常時開門する方法、調整池への海水導入量を段階的に増やし最終的に全開にする方法についても想定。高裁判決は、判決確定から3年の猶予を経て排水門を5年間、常時開放するよう命じた。
仙谷官房長官、諫早開門調査に前向き 現地視察にも意欲
2010年12月7日 朝日新聞
仙谷由人官房長官は7日午前の記者会見で、国営諫早湾干拓事業(長崎県)で5年間の常時開門を命じた福岡高裁の判決について「重く受け止めたうえで、開門調査の実施に向けてどのような条件整備が必要なのか早急に検討する」と述べ、開門調査に前向きな姿勢を示した。
仙谷氏は、農林水産省と与党の検討委員会が4月にまとめた「環境影響評価(アセスメント)の上で開門調査を実施することが適当」とする報告書について「これに従った政治方針をとるべきだ」と語った。
上告については「関係府省で判決内容を詳細に検討した上で、適切に対応したい」と述べた。菅直人首相が野党時代に事業の中止を訴えていたことについては「公共事業としてほぼ終わってしまったという現実の前に、どのような段取りでやったらいいのか、改めて考えないといけない」と指摘。その上で「干拓地で何が行われているのか、見て判断しなければ」と語り、現地視察に意欲を示した。
また、鹿野道彦農水相は同日の閣議後会見で、上告の判断と同時に開門調査を実施するかどうかの政治判断をする可能性について「一つの考え方としてあるんじゃないか」と述べた。
鹿野氏は高裁判決について「一審判決よりも厳しい判断が示されたという思いが正直ある」と語った。上告までの期限は2週間だが、「訴訟対応と政治判断をどうするかは非常に難しい課題」とし、訴訟対応と開門の政治判断は別とする考えを示した上で、両者を同時に行う可能性に言及した。
開門調査へ「やっとここまで」県関係者評価
◆漁業者は「即時実施を」
2010年12月09日佐賀新聞
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査について、農水省が2012年度にも開始する方針を固めた8日、古川康知事ら県関係者は「やっとここまで来た」と評価した。一方、訴訟の原告や弁護団は「上告は別としており、また先延ばしにするのか」と批判、あくまで即時開門と上告断念を求めた。
開門調査の決断を求めて県議会や漁協関係者らと上京した古川知事。鹿野道彦農相との面会では「4月の政府与党検討委報告、再び開門を命じた今回の福岡高裁判決。諍(いさか)いの海を和解と再生の海にしていく決断を」と訴えた。
「真意を確かめたい」としていた開門について古川知事は「話した感触では既に心の中で決められている印象。やっとここまで来たという感じだ」と開門を確信した表情。佐賀県有明海漁協の川崎守組合長も「開門方針を固めたことを歓迎したい」と話した。
一方、訴訟の漁業者や弁護団からは厳しい声が上がった。「佐賀有明の会」会長のノリ漁業者川崎賢朗さん(50)は「12年度からでは開門先延ばしと同じ。即時開門しないなら、したくないとしか思えない」と不信感を募らせる。さらに「官邸や農水省の思惑だけで進めず、漁業者と同じテーブルに着き、道を探るべきだ」と話した。
弁護団の馬奈木昭雄団長も「即時開門を求めるわれわれの立場からすれば到底、受け入れられない。上告する理由が、開門方法が縛られるというのは、法的な理由にならない」と指摘した。
佐賀県選出の民主党国会議員は、農水省や政府の正式表明がないこともあり、慎重な姿勢を見せた。政府与党検討委メンバーの川崎稔参院議員は「検討委の議論が実を結ぼうとしている。正式表明まで働きかけていく」と話した。
大串博志衆院議員は「官房長官発言は開門に前向きな政府の立場を示した。今後もより具体的な道筋を示せるようにしたい」と語った。
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諫早干拓:2審も開門命令、堤防閉め切り「違法」 |
20101207
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諫早湾干拓:2審も開門命じる…福岡高裁
毎日新聞 2010年12月6日 14時44分(最終更新 12月7日)
長崎県の国営諫早湾干拓事業による潮受け堤防閉め切りにより有明海の漁場環境が悪化したとして、長崎や佐賀など沿岸4県の漁業者らが、国を相手に堤防撤去や排水門開門を求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は「堤防閉め切りによる漁業行使権の侵害状態は違法」と指摘。5年間の排水門開門を命じた1審・佐賀地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。開門判断を先送りしてきた民主党政権が上告するか、政治判断が焦点になる。
控訴審の最大の争点は開門の是非だった。国側は、開門すれば堤防の防災機能に悪影響があるほか、調整池に海水が混じり干拓農地営農者の農業用水確保が困難になると主張。原告側は潮受け堤防閉め切りによる漁業被害を訴えた。
控訴審判決はまず、干拓事業と漁業被害の因果関係を検討。1審同様、有明海全域については因果関係を認めなかった。しかし諫早湾とその近海に限り、「干潟の消失や潮流の変化などで漁業被害が生じた」と因果関係を認定。1審の漁業者50人に加え9人の漁業被害を認めた。漁業行使権を「生活の基盤に関わる財産的権利」と位置付け「諫早湾における漁獲量の減少を考慮すれば権利侵害の程度は高い」と判断した。
防災機能について「防災上やむを得ないときに閉じれば一定の防災機能は相当程度確保できる」と指摘。国側は、開門の場合に排水対策工事などで600億円以上が必要とも主張したが、判決は「根拠は具体的に示されていない」と一蹴した。
開門に向けた代替工事に必要として3年間猶予し、5年間の排水門開門を命じた。08年6月の1審判決を受け国側は控訴したが、09年9月の政権交代後、民主党政権は開門に前向きな姿勢を示し、政府・与党の事業検討委も今年4月「開門調査が適当」との結論を出すなど開門の機運が高まった。しかし、
鳩山内閣総辞職などで開門判断は先送りされ、鹿野道彦農相は来春まとまる環境影響評価(アセスメント)を経て政治判断する方針を示していた。【岸達也】
◇国営諫早湾干拓事業
農地造成と防災を目的に86年に着手。97年4月、長崎県・諫早湾央部を約7キロの潮受け堤防で閉め切り、湾奥部に干拓農地(672ヘクタール)と淡水の調整池(2600ヘクタール)を造成、07年に完成した。総事業費は2533億円。潮受け堤防の300枚近い鉄板が次々に落下した様子は「ギロチン」と形容された。
諫早干拓2審も開門命令、堤防閉め切り「違法」
(2010年12月7日
読売新聞)
国営諫早湾干拓事業(長崎県)で有明海の環境が変化して漁業被害が出たとして、福岡、佐賀、長崎、熊本4県の漁業者ら100人が、国に潮受け堤防排水門の常時開放などを求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁であった。
古賀寛裁判長は、事業と漁業被害の因果関係を認定した上で、「堤防閉め切りは漁業者の権利を侵害しており違法。排水門を開けても防災面や干拓地農業への影響は限定的」と指摘。国の控訴を棄却し、1審判決と同様、事業の影響調査のため国に5年間、排水門を開放するよう命じた。
古賀裁判長は、2008年6月の佐賀地裁判決と同様、有明海西部の諫早湾内を堤防で仕切って干拓地などを造ったことで、潮の流れが遅くなり、赤潮が起きやすくなった可能性があると指摘。「湾近辺の漁獲高は全国的な傾向よりも急激に減少した。閉め切りと漁業被害に高度の関係性が認められる」と述べた。
その上で、1審で勝訴した湾近くの佐賀県太良町と長崎県島原市でアサリ漁や漁船漁業などを営む50人(1人は1審後死亡)に加え、1審で敗訴した51人のうち太良町の9人の被害を追加認定した。被害の判断基準は変えず、9人については控訴審で立証が尽くされたと判断した。
常時開門を巡って国は、高潮や洪水時に堤防の防災機能が失われるとともに、農業用水に使っている堤防内の調整池に海水が入り込んで塩害が生じるなどと主張してきた。
これに対し古賀裁判長は「やむを得ない場合、排水門を閉じれば防災機能は確保できる。農業用水は他の方法で得ることが可能で、国の農業被害に関する立証も不十分」と指摘。防災や農業への影響よりも漁業被害が深刻とし、非常時を除いて排水門の常時開放が認められると結論づけた。
開門に当たっては、防災面の追加工事などに配慮して判決確定から3年間の猶予を与え、一定期間の調査が必要なことから開門期間は5年間が相当とした。
大型事業の意義問い直し 諫早湾干拓、二審も開門命令
「漁業の権利侵害」 公共性、厳しく評価
2010/12/6
23:34日本経済新聞
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防の排水門開門を改めて命じた6日の福岡高裁判決は、排水門の閉め切りが「生活基盤である漁業行使権への侵害」だとして違法性を指摘した。事業が防災や営農に果たす役割などを訴えた国側の主張を退け、大型公共事業の意義自体にも疑問を投げかけた形だ。漁業者や営農者、自治体の反応は割れ、長年、地元を翻弄してきた問題の複雑さを浮き彫りにした。
控訴審も(1)事業と漁業不振の因果関係(2)営農や防災機能といった事業の公共性と、開門による漁業者の利益との比較評価――が主な争点だった。
判決理由で、古賀寛裁判長は諫早湾と付近での漁業被害と、堤防閉め切りとの因果関係を認定。国側は「漁獲量減少は全国的な傾向で、別の要因が考えられる」などと主張したが、判決は「堤防閉め切りで潮流などに変化が生じ、漁業被害が生じた可能性が高い」などと退け、調査のため「一定の期限つきで開門を認めるのが相当」として期間を5年間とした。
また、判決は堤防完成後も後背地で水害が発生したことや、干拓地と共に整備した淡水調整池の農業用水への使用量が少ないなど、計画段階での目的が達成されていない点などを重視。「漁業者の権利の侵害」と比べ、「(堤防の)防災機能は限定的で、営農にも不可欠なものではない」と、一審・佐賀地裁判決より踏み込んだ表現で、事業自体にも疑問を呈した。
そのうえで「開門してもやむを得ない場合には閉じることで、防災機能を相当程度確保できる」とした。
大型公共事業を巡っては、事業主体による計画の妥当性を厳しく見極める判決も続いている。
泡瀬干潟(沖縄県沖縄市)の開発事業への公金支出の差し止めを命じた昨年10月の二審・福岡高裁那覇支部判決=確定=は事業主体の市による埋め立て地の利用計画を「経済的合理性の調査・検討が不十分」と認定。「埋め立ての合理性が認められない」と断じた。
瀬戸内海の景勝地、鞆の浦(広島県福山市)の架橋などを巡る訴訟=広島高裁で係争中=の昨年10月の広島地裁判決も「公共性などの根拠について広島県などの調査が不十分」と判断。県の埋め立て免許を差し止めた。
諫干 二審も開門命令 福岡高裁 閉め切り 漁業被害認定
2010年12月7日
00:22 西日本新聞
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りによって漁業被害を受けたとして、福岡、佐賀、長崎、熊本4県の漁業者ら100人が国に対し、潮受け堤防の排水門の開門などを求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁で言い渡された。古賀寛裁判長は、漁業被害と堤防閉め切りとの因果関係を認定した上で「堤防閉め切りは漁業をする権利を侵害しており違法」と述べ、一審佐賀地裁判決に続き排水門を5年間常時開門するよう命じた。
一審判決が被害を認めなかった原告のうち、佐賀県の漁業者9人の請求も認めた。
一審判決後も開門の判断を先送りしてきた政府に、早急な判断を迫った判決だ。半世紀にわたって有明海の沿岸住民を対立させてきた大型公共事業は転換点を迎える。
古賀裁判長は、事実認定で一審判決をほぼ踏襲した。諫早湾とその周辺海域は、堤防の閉め切りによって潮の流れが遅くなり赤潮が発生したと認めた。漁業被害についても、堤防が閉め切られた後の漁獲量は全国的な傾向よりもはるかに急激に減ったと指摘。「堤防閉め切りにより漁業被害が発生した蓋然(がいぜん)性(確率)が高い」と認定した。一審と同様、有明海全体での因果関係は認めなかった。
一、二審を通して国側は、開門すれば周辺自治体を高潮などから守る堤防の防災機能が失われ、営農地に塩害が生じ、費用も高額だと主張した。
だが古賀裁判長は「生活の基盤にかかわる漁業をする権利はかなり侵害を受けているのに対し、堤防の防災機能は限定的で営農に必要不可欠ともいえない」と述べ、防災上やむを得ない場合を除いて5年間常時開門するべきだとした。塩害の主張も「立証されていない」と退け、費用についても「現時点で過大な費用を要する事実は認められない」とした。
諫干、二審も開門命令 福岡高裁判決、漁業被害との因果認定
長崎新聞(2010/12/06)
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りが有明海の漁業不振を招いたとして、沿岸漁業者らが国に潮受け堤防の撤去や排水門の常時開門などを求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は一審佐賀地裁判決に続き、諫干事業と一部海域の漁業被害との因果関係を認定。代替工事に要する3年間の猶予の後、南北排水門を5年間常時開門するよう命じた。
判決は「潮受け堤防閉め切りによる漁業行使権の侵害状態は違法」との認識を示し、一審の判決後、開門をめぐる判断を先送りにしてきた政府に再び決断を迫る内容。今後の対応や政治判断が注目される。
最大の争点となった諫干事業と漁業被害との因果関係について、古賀裁判長は「諫早湾閉め切り後に漁獲量が減少。潮汐、潮流速が減少し、貧酸素水塊や赤潮が促進されている可能性が高い。漁業行使権は侵害されている」との判断を示し、諫早湾とその湾口部について、事業と漁業被害の因果関係を明確に認めた。
国側が主張した▽漁獲減は全国的な傾向▽ノリの酸処理剤−などの原因説に関しても「抽象的なものにすぎず、(潮受け堤防)閉め切りとの因果関係を否定するものではない」とした。
防災、営農への支障など国側が開門調査を拒む根拠としてきた事業の公共性については「漁業行使権が高度に侵害されているのに比べ、防災機能は限定的であり、閉め切りが営農に必要不可欠ともいえない。防災上やむを得ない場合に閉じることで相当程度確保できる」と指摘。洪水防止機能については「湛水(たんすい)被害をある程度抑制している」と認めたが、背後地の排水改善機能は「評価することは困難」と否定した。
海水流入など開門調査による営農地への影響については「(国は)具体的危険性の有無や程度について何ら主張立証していない」との見解。「巨額の費用が必要」と国が強調する開門調査のための対策工事に関しても「常時開放とは無関係なものも相当程度含まれている」「具体的根拠が示されていない」などと退けた。農業用水の確保も代替え水源の確保は可能と判断した。
控訴審では、佐賀県太良町の漁船漁業者9人の漁業被害も新たに認定した。
諫早干拓開門訴訟 控訴審判決の要旨
朝日新聞2010年12月6日
諫早湾干拓事業の開門請求訴訟で、福岡高裁が6日に示した判決の要旨は以下の通り。
■有明海の漁業被害の有無と干拓事業との因果関係
(1)有明海のうち、諫早湾とその付近を除く海域については、現時点では、干拓事業と環境変化との関係を高度の蓋然(がいぜん)性をもって認めることはできない。
(2)諫早湾湾口部とその付近では、堤防閉め切り後、魚類の漁獲量が減少しており、漁業被害の発生が認められる。
(3)堤防閉め切りによって、諫早湾では1550ヘクタールもの干潟が消失した。諫早湾とその付近では潮汐(ちょうせき)や潮流速が減少し、貧酸素水塊の発生が促進されている可能性が高い。すなわち魚類資源の減少に関与する可能性のある要因が複数生じた可能性が高い。
堤防閉め切り後、諫早湾では全国的な傾向よりもはるかに急激に漁獲量が減少している。以上を総合すると、堤防閉め切りで原告らの漁業被害が発生した蓋然性が高いというべきであり、堤防の閉め切りと、(一審勝訴の原告49人と一審敗訴の9人について)漁業被害の因果関係を肯定するのが相当である。
■堤防閉め切りの違法性
漁業行使権(漁業を営む権利)に基づく妨害排除請求権の行使が認められるためには、漁業行使権の侵害状態が客観的に違法と評価されるものでなければならない。
堤防を撤去すると、高潮時や洪水時の防災機能がすべて失われることになるから、撤去請求を認めるほどの違法性は認められない。
他方、原告らは生活の基盤にかかわる権利である漁業行使権に対する高度の侵害を受けているのに対し、堤防の防災機能は限定的であり、かんがい用水には調整池に代わる水源が確保できる可能性もある。(国側は)干拓地の土壌に塩水が浸透する恐れについても対策や費用について具体的な立証をしない。
現時点において、干拓地の営農にとって堤防閉め切りが必要不可欠ともいえず、常時開門で過大な費用を要するなどの事実も認められない。
以上から、防災上やむを得ない場合を除き常時開門する限度で認めるに足りる程度の違法性は認められる。
■開門方法
堤防が果たす洪水時の防災機能や排水不良の改善機能などを代替するための工事に3年程度を要することから、判決確定から3年間は開門を猶予するのが相当である。
現時点では、干拓事業が有明海の環境に及ぼす影響がすべて解明されたとはいえず、将来的に常時開門よりも適切な措置が発見、開発され、事実関係が変動する可能性がある。そこで、常時開門は一定の期限付きで認めるのが相当である。
その期限は、開門後、干潟生態系が淡水域から海域の生態系に移行するのに最低2年を要するほか、複数年の調査が必要であると認められることなどを考慮し、5年間とするのが相当である。
諫早湾干拓:2審も開門命令 「宝の海取り戻したい」
毎日新聞 2010年12月6日
「一日も早く宝の海を取り戻したい」。漁民たちの声は再び司法に届いた。
長崎県の国営諫早湾干拓事業(諫干)で、1審・佐賀地裁に続いて潮受け堤防の開門を命じた6日の福岡高裁判決。堤防閉め切りから13年余、有明海の漁業者と干拓地の営農者の人生を翻弄(ほんろう)し続ける巨大公共事業の「罪」が再びあぶり出された。煮え切らない民主党政権の開門判断にいらだつ漁民たちの声を代弁した判決は、政府に重い課題を突き付けた。【姜弘修、関谷俊介、近松仁太郎】
午後2時半。福岡高裁501号法廷では、裁判長が主文を読み上げると、弁護士がガッツポーズを見せ漁民や支援者たちは晴れやかな顔で拍手した。その瞬間、佐賀県太良町でタイラギ漁を営む漁師、平方(ひらかた)宣清(のぶきよ)さん(58)は原告席で拳を握り締めた。「地元の仲間と喜びを分かち合いたい」と言葉を詰まらせた。
「宝の海」とも言われた有明海の中でも、魚の産卵場所として「有明海の子宮」と呼ばれた諫早湾は、97年に潮受け堤防が閉め切られてから変わった。
平方さんら太良町の漁業者が収入の道とする高級二枚貝・タイラギの貝柱の水揚げは96年度に318トンあったが、98年度以降の12年間で、休漁や休漁状態の年が7回。今夏には成貝の大量死が起きている。
平方さんは「国は絶対に上告しないでほしい。一日も早く判決通りの開門を求めたい」と言葉に力を込めた。
一方、00年12月に季節外れの赤潮が発生し、記録的な不作に見舞われたノリ養殖。沿岸4県で、ノリの落札枚数は前季の45〜80%に落ち込んだ。
それから10年。18歳から養殖を続ける佐賀市の川崎賢朗(けんろう)さん(50)は「以前はなかった時期に赤潮が出るようになり、いつ取れなくなるか分からない」と言う。
◇「順調なのに」 不安な入植者ら
判決から2時間後。干拓地では、入植した3法人による初の輸出出荷式があった。キャベツ、ダイコンなど約815キロを台湾に向け出荷。喜びにあふれる式になるはずだったが、干拓地で営農する松尾公春さん(53)=長崎県島原市=は「3年目でようやく営農が順調にできている中での判決。塩害など不安を抱えながらでは農業はできない。裁判所は私たちがどんな被害を受けるのか分かっているのだろうか」と首をかしげた。【柳瀬成一郎】
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