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野田市でコウノトリ生息の環境づくり進む |
20120330
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野田市、コウノトリ放鳥へ 根本市町、検討委で表明 提言・戦略プログラムを了承
千葉日報2010年03月30日10時30分[県西エリア]
国土交通省、農林水産省と、千葉県など南関東の5県27市町村が共同してコウノトリ、トキの野生復帰に向けた地域づくりを目指す「第2回南関東エコロジカル・ネットワーク形成に関する検討委員会」(涌井史郎委員長)が29日、さいたま市内で開かれ、「提言」「将来目標図」「戦略プログラム」など具体化に向けた構想を了承した。会合では、中心的な役割を果たしている野田市の根本崇市長が「2012年度にも野田市内でコウノトリの放鳥を目指す」と述べ、新たなコウノトリの里に向けて名乗りを上げた。
検討委が了承した提言では、「南関東コウノトリ・トキの舞う魅力的な地域づくり宣言」として、河川や周辺地域での水辺環境等の保全・再生に取り組み、水と緑が豊かなエコロジカル・ネットワークを形成すると表明。そのシンボルとしてコウノトリ・トキの野生復帰を目指し、地域振興・経済活性化方策にもつなげるとした。
戦略プログラムでは、(1)ステージA(たね地づくり)(2)ステージB(定着地づくり)(3)ステージC(人づくり・地域づくり)−と、コウノトリ・トキが住み着くための段階的な展開を示し、各市町村や広域での取り組みを求めた。
これを受けて、根本市長は、「野田市でステージAに着手したい」と表明。会合後の取材に、「予算化するには議会の了承が必要だが、12年度に放鳥できるようにしたい」と述べた。
11月にもコウノトリの飼育へ 野田市 多摩動物公園から借り受け
産経ニュース2012.4.3 21:45
多摩動物公園のコウノトリ=東京動物園協会提供
国の天然記念物コウノトリがすむ環境づくりを進めている野田市は、江川地区で11月にも飼育を始める方針を決めた。東京都立多摩動物公園から1ペアを借り受け、年内に公開する計画。同市は、コウノトリ飼育は地域で環境保護の機運を高めるだけでなく観光振興にもつながると期待している。
野田市を含む江戸川、利根川、荒川流域の関東29市町村でつくる「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」で、専門家も加わった勉強会を昨年4月に組織し、有識者会議や国の指導を受けてきた。今年3月には、コウノトリの提供や技術指導、獣医師の派遣などを受けることで東京都と合意した。
同市は、10月までに飼育施設や飼育態勢を整え、コウノトリを受け入れる。飼育公開ゲージは約600平方メートルで、隣接してガラス張りの観察舎を設ける計画。
施設整備費約1億3700万円と飼育経費として見込まれる年間2千万円は市営ゴルフ場の利用料金の一部を積み立てている「みどりのふるさと基金」から充てる。
プロジェクトは子供たちに自然を残すことが最大の狙い。同市ではさらに「コウノトリの見学と市の観光資源を組み合わせた新しいエコツーリズムの形を作り出すことで経済効果も期待できる」としている。
野田市でコウノトリ生息の環境づくり進む
2012年3月30日 読売新聞
国の特別天然記念物・コウノトリがすむ環境づくりを目指す野田市は29日、市南部の江川地区で11月にも、1つがいのコウノトリの飼育を開始すると発表した。同市を含む29市町村でつくる「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」が、多摩動物公園(東京都日野市)から借り受ける。年内をめどに公開する予定だ。
発表によると、同フォーラムは、専門家による有識者会議や国の指導を受け、協議を東京都と進めた結果、コウノトリの提供や繁殖の技術指導、獣医師の派遣などで同意を得た。今後、都と借り受けの協定を結び、3つがいを収容できる飼育観察施設を10月までに整備する。約1億3700万円の施設整備費や年間2000万円を見込む飼育経費は、市営ゴルフ場の利用料金の一部を積み立てている「みどりのふるさと基金」から充てる。
同フォーラム代表理事の根本崇市長は「未来を託す子どもたちに夢を与える事業で、減農薬の農業やエコツーリズムなどでも経済効果が狙える」と話している。
コウノトリの里:野田市、11月にも飼育開始の計画 /千葉
毎日新聞 2012年03月30日 地方版
野田市と東京都動物園協会は29日、同市江川地区の「瀬戸の谷津」で進められている「コウノトリの里」計画で、1つがいのコウノトリの飼育を、今年11月をめどに開始すると発表した。つがいは同協会が運営する多摩動物公園(東京都日野市)から提供される予定。
野田市によるとコウノトリは幅約20メートル、奥行き30メートルの「公開ケージ」内で飼育され、見学者は隣接するガラス張りの観察舎から生態を観察する。施設内では最大3つがい6羽の飼育が可能で、今後10年以内に1つがいを野外に定着させ、繁殖を目指すという。
コウノトリは71年に野生種が失われたが、多摩動物公園が88年に国内で初めて人工繁殖に成功。兵庫県豊岡市では野生復帰事業が進められている。関東では、29市町村でコウノトリを野生に戻す取り組みが計画されており、野田市が最初の飼育地となっている。【橋口正】
多摩動物公園からコウノトリ1ペア 野田市
朝日新聞2012年03月30日
国の特別天然記念物コウノトリを自然の中に戻していこうとの試みが千葉など首都圏で本格化する。多摩動物公園(東京都日野市)が今秋、飼育しているつがい1ペアを千葉県野田市に貸し出す。同園は「コウノトリの野生への復帰に貢献したい」としている。
国内のコウノトリは約40年前に絶滅した。多摩動物公園と兵庫県で人工繁殖が取り組まれ、野生に復帰させる放鳥は兵庫県で2005年から始まっている。
関東では千葉と茨城、埼玉、栃木各県の29市町村が野生復帰に向けて「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」を設立。第1弾として野田市が同市内の江川地区に飼育施設(約600平方メートル)を整備、今年11月ごろ飼育を始める。多摩動物公園はつがいの提供や技術面のサポートなどを行うことにしている。
同園で飼育しているコウノトリは48羽。野田に送るつがいはこれから選ぶ。同園は「野生での繁殖につながるよう、血統を調べて相性のいい2羽をペアにしたい」と話している。
都立動物園・水族園からのお知らせ
ニホンコウノトリの保全事業への協力について
平成24年3月29日
建設局
(公財)東京動物園協会
東京都と(公財)東京動物園協会は、都立動物園が保有しているニホンコウノトリの飼育繁殖技術を活用し、「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」(野田市をはじめとする千葉県や茨城県など関東4県の29市町村で構成。代表理事・根本崇野田市長)が進めるニホンコウノトリの保全事業に協力することといたしましたので、お知らせいたします。
1 千葉県野田市のニホンコウノトリ保全事業
野田市は、「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」の先行的取組として、将来のニホンコウノトリの野生復帰に向け、平成24年度にニホンコウノトリの飼育繁殖施設の建設に着手し、施設完成後、飼育を開始する予定です。
2 東京都のニホンコウノトリ保全の取組
東京都は、昭和47年から多摩動物公園において、絶滅危惧種であるニホンコウノトリの飼育に取り組んできました。昭和63年には日本で初めて飼育下繁殖に成功したほか、平成7年からはニホンコウノトリの国際血統登録※の役割を担うなど、国内外の動物園や保護施設と連携して保護増殖に努めています。
また、ニホンコウノトリの野生復帰については、昭和56年から兵庫県立コウノトリの郷公園に対する支援を続けています。今後は、「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」への支援も併せて、広域的なニホンコウノトリの野生復帰に貢献していきます。
※国際血統登録とは、飼育されている動物の遺伝的な多様性を保ちながら計画的に繁殖させるために、世界中の動物園や保護施設等が協力して動物の血統に関する情報を記録するもの。
3 協力内容
今後、野田市に対して飼育繁殖を行うためのニホンコウノトリの提供及び技術供与を行っていきます。具体的な協力方法については、野田市における施設整備や受入体制の準備状況を踏まえて、別途、調整していきます。
また、都立動物園内において、ニホンコウノトリの保全に関するシンポジウムの開催や来園者への積極的な情報提供などを行っていきます。
【参考】
ニホンコウノトリ(東京都ズーストック種、国際自然保護連合レッドリスト:絶滅危惧種、特別天然記念物)
- 学名
Ciconia boyciana
- 英名
Oriental white stork
- 分類
コウノトリ目 コウノトリ科
- 分布
東アジアの草原や湿地
- 生態等
全長約1.2メートル、体重約4キログラム。魚・カエル・ザリガニ・バッタなどを食べる。コウノトリは1回の産卵で2〜5個の卵を産み、ふ化日数は約30日とされ、ふ化してから巣立ちまで約63日かかる。明治以前には日本でも普通に見られた鳥だが乱獲や農薬等、環境の変化により野生のものは日本から姿を消してしまった。
- 日本国内の飼育状況(2011年12月31日現在)
15園館 182羽(オス90、メス92)
※資料:ニホンコウノトリ国内血統登録 (社)日本動物園水族館協会
※東京都ズーストック種:都立動物園が重点的に飼育繁殖に取り組む希少動物50種をいいます。
「2020年の東京」への実行プログラム2012
Visit Zooキャンぺーンは、「2020年の東京」への実行プログラム2012において、以下の目標・施策に指定されています。
目標5 産業力と都市の魅力を高め、東京を新たな成長軌道に乗せる
施策13 東京の多彩な魅力を演出・発信し、国内外から来訪者を呼び込む
問い合わせ先
(多摩動物公園の取組に関するお問い合わせ)
(公財)東京動物園協会
多摩動物公園飼育展示課
電話 042-591-1611
建設局公園緑地部計画課
電話 03-5320-5326
(野田市の二ホンコウノトリ保全事業に関するお問い合わせ)
千葉県野田市建設局都市部みどりと水のまちづくり課
電話 04-7125-1111
http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/activity/symposium/symposium2009/report2009-6.pdf
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生物多様性テーマに80人が議論 |
20110626
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西日本新聞 2011年6月26日 01:21
25年後の福岡市の将来像を示す「新ビジョン」をつくるため、有識者や市民が方向性を探る「アジアのリーダー都市ふくおか!プロジェクト」第2回リレーフォーラムが25日、同市中央区の市美術館であった。約80人の市民が「生物多様性とまちづくり」をテーマに意見を交わした。
パネル討論には、商品企画・デザイン会社「ウィロー」代表の浅羽雄一氏▽日本野鳥の会福岡代表の小野仁氏▽市漁業協同組合伊崎支所の半田孝之氏▽九州大大学院教授(環境資源経済学)の矢部光保氏−が参加。同大学院の朝広和夫准教授(緑地保全学)がコーディネーターを務めた。
過去25年間で生じた環境の課題として、小野氏が「環境悪化に対し、市民・行政の責任が不足していた」と指摘。将来像案として、矢部氏は開発などで自然を破壊した場合に、同じような自然を近くに再生させることを義務付ける「環境オフセット」の導入を提案した。浅羽氏は市民に環境問題を訴えても行動に直結しにくい点を指摘。「人の欲を刺激するような仕掛けをつくり、結果として地球のためになればいい」と話した。
第3回は7月2日午後2時半から市立婦人会館(中央区)であり、テーマは「アクティブエイジング いくつになってもいきいきと暮らせるまち」。定員100人。問い合わせは市企画調整部=092(711)4093。
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小笠原諸島、世界自然遺産に決定 |
20110624
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<世界遺産>小笠原諸島、自然遺産に登録決定 ユネスコ
毎日新聞 6月24日(金)22時53分配信
パリで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第35回世界遺産委員会は24日、小笠原諸島(東京都小笠原村)の世界自然遺産登録を決定した。他地域にみられない固有種の多さなどが評価された。日本の自然遺産は白神山地(青森、秋田県)、屋久島(鹿児島県)、知床(北海道)に続き4カ所目。
小笠原諸島は都心から約1000キロ南の太平洋上にあり、南北約400キロに及ぶ大小30の島々で構成される。登録地は、自衛隊基地がある硫黄島などを除く陸海合わせて約7940ヘクタール。大陸と地続きになったことのない「海洋島」で、動植物が独自の進化を遂げ、「進化の実験場」「東洋のガラパゴス」と呼ばれる。
カタツムリなどの陸産貝類106種の100種(94%)、植物441種の161種(36%)、昆虫1380種の379種(27%)が他では見られない固有種だ。特に、陸産貝類はガラパゴス諸島(エクアドル)など他の海洋島と比べて面積あたりの固有種率が高く、絶滅率は22%と低い。国際的に貴重で絶滅が心配される野生生物は、オガサワラオオコウモリやクロアシアホウドリなど57種に上る。
同委員会では、現地を調査した国際自然保護連合(IUCN)から「固有種が多く、一つの種から多様な進化を遂げている点でも他の海洋島と異なる」と説明。固有種の生息を脅かす外来種対策では「島民と行政など関係機関が一体となって取り組んでいる」と評価した。その上で21カ国の委員が審査し、登録を決めた。
小笠原諸島を訪れる観光客は年間約1万5000人。登録に伴って、地域の活性化が期待されるが、外来種持ち込みの危険性は高まる。政府や村は外来種の駆除を継続するほか、検疫を検討していく。【八田浩輔】
◇世界遺産
生態系や景観などを対象とする自然遺産、歴史的建造物や遺跡などの文化遺産、その両方の性質を持つ複合遺産の3種類がある。各国が人類共通の財産として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録を推薦し、毎年の世界遺産委員会で可否が決まる。登録されると保護が義務づけられる。昨年までに、自然遺産180件(うち日本3件)、文化遺産704件(同11件)、複合遺産27件(該当なし)の計911件が登録されている。
小笠原諸島 世界遺産に ユネスコ決定
東京新聞 2011年6月25日 朝刊
【パリ=清水俊郎】パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は二十四日午後(日本時間同日深夜)、日本政府が推薦した自然遺産「小笠原諸島」(東京都)を世界自然遺産に登録することを決めた。遺産条約の締約国から選出された二十一カ国の全会一致だった。大陸から隔絶された環境で、独自の進化を遂げた豊かな生態系を保っている点が高く評価された。日本の自然遺産登録は二〇〇五年の「知床」(北海道)以来六年ぶりで、四件目。東京では初めての世界遺産になった。
「平泉の文化遺産」(岩手県)も二十五日中には世界文化遺産として認められる見通しで、国内の世界遺産は計十六件になる。複数の世界遺産が同時に登録されれば、一九九六年に登録された「原爆ドーム」(広島県)と「厳島神社」(同)以来になる。
「東洋のガラパゴス」に例えられる小笠原諸島の審査では、オーストラリアやエジプトなどの締約国から世界遺産登録による環境への影響について質問が出された。日本側は「観光客の人数は制限されており、影響は小さい」と主張。最も面積が広い父島に渡る交通手段は週一便の船にほぼ限られていることなども説明した。
小笠原村を代表してパリを訪れ、世界遺産委員会の審査を見届けた石田和彦副村長(63)は「首都に自然遺産ができたのは、すごいこと。世界的にも例がない」と語った。
同委員会は二十三日から世界遺産候補の個別審査を始める予定だったが、議事進行が大幅に遅れ、審査開始が延期されていた。
◆次代に引き継ぐ
石原慎太郎東京都知事の話 都は国に先駆けて外来種対策を進め、都独自のエコツーリズムなど、小笠原の自然保全に取り組んできた。世界遺産登録はあくまで通過点で、ゴールではない。小笠原の自然を永遠に保全していくことが重要で、それが世界に対する責務。都は今後も小笠原の自然遺産を将来世代に確実に引き継いでいく。
小笠原諸島、世界自然遺産に決定
朝日新聞 2011年6月24日22時53分
パリで開かれているユネスコの世界遺産委員会は24日、日本政府が推薦した小笠原諸島(東京都)を世界自然遺産に登録することを決めた。大陸と一度も地続きになっておらず、独自の進化をとげた動植物が多いことなどが評価された。
小笠原諸島は、東京湾から南に約千キロ離れた大小約30の亜熱帯の島々。公共の交通機関は東京から片道25時間半の船だけだ。登録区域は父島、母島の居住地などを除く陸域6360ヘクタール、海域1580ヘクタールとなる。
国内の世界自然遺産は、1993年の屋久島(鹿児島)と白神山地(青森、秋田)、2005年の知床(北海道)に続き4件目。
小笠原の固有種は、カタツムリ類106種のうち100種(94%)、樹木やシダ植物など441種のうち161種(36%)、昆虫類1380種のうち379種(27%)に上る。生息数が300頭ほどのオガサワラオオコウモリ、数十羽のアカガシラカラスバトなど絶滅が危ぶまれる希少種も多い。
また、近しい種を比較することで、生物が独特の進化をとげた過程がわかることから、「進化の実験場」とも呼ばれる。
世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合は、独特の生態系や保護の取り組みを評価。5月に「登録が適当」との勧告をまとめ、同委員会は勧告をふまえて登録を決めた。
勧告では行政や研究者、地域が連携して自然を管理している姿勢も評価した。一方、より効果的な管理ができるように海域の保護区を広げることや、世界遺産になることで増加が予想される観光客が悪影響を及ぼさないよう注意深く管理することを求めている。これを受け、政府は固有種を脅かす外来種の対策などをさらに推し進めていく。
小笠原諸島 世界遺産登録決まる
NHK 6月25日 0時29分
世界でも貴重な固有の動植物が生息する「小笠原諸島」について、ユネスコの世界遺産委員会は、24日、世界遺産に登録することを決めました。これで日本国内の世界遺産は合わせて15件となり、自然遺産としては4件目となります。
パリのユネスコ本部で開かれている世界遺産委員会は、日本時間の24日夕方から新たな世界遺産の登録審査を始めました。そして、東京湾から南におよそ1000キロ離れた「小笠原諸島」について、世界自然遺産に登録することを正式に決めました。これで日本国内の世界遺産は合わせて15件となり、自然遺産としては4件目となります。登録の理由について、世界遺産委員会は「小笠原諸島の生態系は多くの固有の種に加え、アジア各地の植物が集まっており、幅広い進化の過程を示している」として、その生態系の豊かさを高く評価しました。登録決定について、世界遺産委員会に出席した小笠原村の石田和彦副村長は、知らせを待つ地元に直ちに電話で登録決定を伝えました。そして、記者団の質問に対し「決まったときは目頭が熱くなり、ジンときました。これまでと同様に、またこれまで以上に保全に努めていきたいと思います」と話し、喜びをかみしめていました。「小笠原諸島」と並んで世界遺産に登録される見通しとなっている岩手県の「平泉の文化遺産」については、日本時間の25日、審査が行われる見通しです。
「平泉」と「小笠原諸島」世界遺産に登録へ ユネスコ
朝日新聞 2011年5月7日12時9分
文化遺産候補「平泉」(岩手県)と、自然遺産候補「小笠原諸島」(東京都)が、いずれもユネスコの世界遺産に登録される見通しとなった。最終的に登録を決めるユネスコの世界遺産委員会は、6月19日からパリで開かれる。
ユネスコ世界遺産センター(パリ)は6日(現地時間)、登録の妥当性を「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で評価する諮問機関からの勧告内容を日本政府に伝えた。文化庁、環境省によると、「平泉」「小笠原諸島」への勧告はいずれも「登録」だった。
「平泉」について文化遺産候補を評価する国際記念物遺跡会議(イコモス)は、金色堂を含む中尊(ちゅうそん)寺、毛越(もうつう)寺などの四つの庭園と、信仰の山とされる金鶏山について、「仏国土(浄土)を表す資産として顕著な普遍的価値がある」と評価した。
しかし、奥州藤原氏が住んでいた「平泉館」跡の「柳之御所遺跡」については、「顕著な普遍的価値の一部をなすものとは認められない」として構成資産から外すことを条件に「登録」を勧告。金鶏山に鉄塔があることにも触れ、「資産価値への悪影響がみられる」と指摘した。
「平泉」は前回挑戦した2008年、イコモスから浄土思想との関連が弱いとして構成資産の再検討を求められ、「登録延期」となった。今回は資産を四つ減らして臨んでいた。文化庁と地元は今後、イコモスの新たな指摘にどう対応するのか協議するという。
「小笠原諸島」は南北約400キロにわたる約30の島々。登録区域は父島列島と母島列島の居住区域外などの一部、聟島(むこじま)列島などの陸地約6360ヘクタールと周辺海域約1580ヘクタールだ。
小笠原諸島、世界遺産に ユネスコ登録決定
中日新聞 2011年6月25日 02時08分
【パリ=清水俊郎】パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は24日午後(日本時間同日深夜)、日本政府が推薦した自然遺産「小笠原諸島」(東京都)を世界自然遺産に登録することを決めた。遺産条約の締約国から選出された21カ国の全会一致だった。大陸から隔絶された環境で、独自の進化を遂げた豊かな生態系を保っている点が高く評価された。日本の自然遺産登録は2005年の「知床」(北海道)以来6年ぶりで、4件目。
「平泉の文化遺産」(岩手県)も25日中には世界文化遺産として認められる見通しで、国内の世界遺産は計16件になる。
「東洋のガラパゴス」に例えられる小笠原諸島の審査では、オーストラリアやエジプトなどの締約国から世界遺産登録による環境への影響について質問が出された。日本側は「観光客の人数は制限されており、影響は小さい」と主張。最も面積が広い父島に渡る交通手段は週1便の船にほぼ限られていることなども説明した 小笠原村を代表してパリを訪れ、世界遺産委員会の審査を見届けた石田和彦副村長(63)は「首都に自然遺産ができたのは、すごいことだと思う。世界的にも例がない。今後も保全に努めたい」と語った。
<小笠原諸島> 東京の南約1000キロにある亜熱帯地域で、南北約400キロに点在する大小30余の島々。世界的に珍しい動植物が生息する。父島まで定期船で25時間半。父島には約2000人、母島は約450人が居住している。世界遺産登録の対象は聟(むこ)島列島と西之島、北硫黄島、南硫黄島など陸域約6360ヘクタールと父島列島と母島列島の周辺の海域約1580ヘクタール。
小笠原諸島、6月23日にも世界遺産登録へ アクセスの悪さ、環境には利点
産経新聞 2011.5.21 00:11
小笠原諸島(東京都小笠原村)が6月23日にもユネスコの世界遺産に登録されることが20日、分かった。石原慎太郎都知事は世界遺産登録に絡み、「二十数時間かけて船でしか行けないところがあるのは結構」との見方を示す。不便な交通手段は観光客増のネックとなりかねないが、それこそが“東洋のガラパゴス”と呼ばれる多様な自然保護につながっている。押し寄せる観光客に世界遺産を荒らされるケースも各地で起きている中で、アクセスの悪さは、小笠原の環境を守る“切り札”となりそうだ。
正式に世界遺産登録が決定するのはパリで開かれる世界遺産委員会。関係者によると、6月23〜25日に決まる可能性が濃厚という。
小笠原諸島までは、東京都港区の竹芝桟橋から「おがさわら丸」に乗り、約25時間半。これまでに高速の大型貨客船「テクノスーパーライナー(TSL)」を就航させる計画もあったが、燃料代の問題などから頓挫。空港建設案も検討されているが、世界遺産登録で困難になる情勢だ。
石原知事も「人が行かない方がいい」と、空路開設には消極的だ。石原知事は就任後に荒れた南島を視察。これを契機に都は行政主導で平成15年から、1日の入島者数を最大100人、滞在時間を2時間に制限。自然ガイドの同行を必須とし、年に3カ月間の入島禁止期間を設定した。
実際、世界遺産の称号を維持するのは簡単ではない。世界遺産委員会は6年ごとに再審査し、環境が危機にさらされている場合は「危機遺産」のリストに掲載。改善がみられない場合は、世界遺産の登録が抹消される可能性もある。
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能登市佐渡市が世界遺産へ |
20110611
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ジアス(GIAHS:世界重要農業資産システム)とは、FAO(国連食糧農業機関)が提唱している「Globally Important
Agricultural Heritage
Systems」の略称です。後世に残すべき生物多様性を保全している農業上の土地利用方式や景観について、FAOが認定するものです。
本日6月11日、佐渡市は、石川県能登地域とともに日本で初めてジアスに登録されることが決定しました。今後、農業振興だけでなく観光振興のきっかけとしても期待できます。
ジアスについて、詳しくは下記ページをご覧ください。
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能登 佐渡 世界農業遺産に決定 |
20110611
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能登 世界農業遺産に決定 佐渡と同時 きょう正式発表
中日新聞2011年6月11日
【北京=朝田憲祐】北京で開かれている国連食糧農業機関(FAO)の「世界重要農業資産システム(GIAHS)国際フォーラム」は十日、石川県・能登半島の「能登の里山里海」と、新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」を、「世界農業遺産」に登録することを決めた。
同日夕に開かれた審議機関、GIAHS運営委員会の出席者が明らかにした。十一日に正式発表される。世界農業遺産の登録認定は、日本では初めて。
運営委員会に先立つ候補地による事前説明会では、七尾市の武元文平市長と佐渡市の高野宏一郎市長が、それぞれの取り組みを紹介した。
能登半島の四市四町は、千枚田など伝統的な農村文化の保存や持続的な農業生産の取り組みを「能登の里山里海」として申請。
説明会で武元市長は「認定を大きな契機として、先人から引き継いだ生物多様性や自然環境を大切に守り、新たな価値や魅力を追加して次世代につなげたい」と抱負を語った。
国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットのあん・まくどなるど所長は、スライドを使い、能登半島の魅力をPR。金沢大の中村浩二教授は、能登半島で実践している「里山里海」の持続可能な活用を目指すプロジェクトを紹介した。
佐渡市は、国の特別天然記念物トキの放鳥事業に伴う減農薬稲作に取り組んでいる。高野市長は「生物多様性の象徴としてトキを守ることで、餌場となる水田が増え、農家収入も増えた」と成果を強調した。
過疎歯止め契機に
武元文平・七尾市長の話 「世界農業遺産」としての登録が、能登地域の伝統農業保全や過疎化歯止めへの契機になれば。地元の人たちも、故郷の価値に目覚めてくれるのではないか。能登を訪れた人には、農業体験を取り入れたアグリツーリズムなどで魅力を感じてほしい。今回、一緒に登録が認められた新潟県佐渡市とも連携していきたい。
佐渡・能登が世界農業遺産に
NHK 6月11日 14時56分
自然を生かした伝統的な農業の保護などに努める地域を認定する「世界農業遺産」に、日本から初めて新潟県佐渡市と石川県の能登半島が選ばれました。
FAO=国連食糧農業機関は、地域環境を生かした伝統的な農法や、環境に配慮し、生物多様性が守られる地域社会の取り組みなどを後世に残すため、9年前から「世界重要農業遺産システム」いわゆる「世界農業遺産」の制度を始めています。「世界農業遺産」のことしの選考委員会が今週、中国の北京で開かれ、日本からは初めて新潟県佐渡市と石川県の能登半島が認定されました。認定の理由として、▽佐渡市は、国の特別天然記念物であるトキを守るため農薬を減らした稲作を進めるなど、自然と人間が共生する取り組みが評価され、▽能登半島は、「能登の里山里海」と呼ばれる美しい棚田の風景や一年の豊作を神に感謝する伝統行事「あえのこと」が、農家の間で今も息づいていることなどが評価されました。11日行われた認定証の授与式には、佐渡市の高野宏一郎市長と能登半島の対象地域、4市4町を代表して、石川県七尾市の武元文平市長が出席し、そろって認定証を受け取りました。佐渡市の高野市長は「これを機に生物多様性が守られ、文化的な景観にあふれた島の農業を、今まで以上に確固たるものにしていきたい」と話していました。また、七尾市の武元市長は「豊かな自然と文化、それに古くからの農林水産業が営々と続いてきた、この先人の積み重ねが改めて評価されたと思う」と認定の喜びを語っていました。
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生物多様性の10年」採択 国連総会、保全に向け
2010/12/21 13:00 【共同通信】 |
| 20101221 |
2011〜20年を「生物多様性の10年」と位置付け、国際社会が協力して生態系保全に取り組むとの決議が国連総会で20日、採択された。松本龍環境相は21日の閣議後会見で「保全目標の達成にとって重要で、環境省としてもしっかり対応したい」と述べた。
多様性の損失が世界規模で進んでいるのが背景。決議は10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で国連総会への提案が決まり、現地時間の20日に採択された。
これとは別に、科学的知識に基づいて多様性保全を進めるための新たな国際枠組み(IPBES)の設立についても国連総会が決議。地球温暖化問題に関する科学者組織「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の生物多様性版で、11年以降に設立に関する会議が開かれる。 |
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生態系の経済価値、政策に反映 世銀、指針作成へ
開発と自然保護の両立探る |
| 20101031 |
世界銀行は28 日、災害防止や水産資源といった生態系が持つ経済価値を正しく評価し、これを政策に反映させる新たな国際事業をスタートさせると発表した。まず試験的にインド、コロンビア、メキシコなど6〜10カ国で始める。
経済成長する際に自然を壊しながら進めていくのではなく、うまく活用して自然保護と両立する道を探る。試験事業をもとに、世界共通のガイドライン(指針)を作成する。
名古屋市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で発表した。記者会見したゼーリック総裁は「国家会計に生態系の価値を反映させる」と説明した。
国連環境計画(UNEP)がまとめた報告書「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)のもと、実際に政策に反映させるのが今回のプロジェクト。
例えば熱帯・亜熱帯地域のマングローブを伐採してエビの養殖場を造れば、養殖エビの利益が得られる半面、サイクロンの被害を防ぐ防波堤の建設や維持費が必要になる。こうしたメリット・デメリットを総合的に判断し、自然開発の是非を考える。
各国が意思決定の段階でどう判断したかを分析し、最終的に政策を実施する際の指針を作る。 |
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名古屋議定書 生物の多様性を守る出発点に |
| 20101031 |
生物多様性―誇りを持って名古屋から
2010年10月31日付 朝日新聞社説
日本の都市の名を冠する二つ目の議定書が生まれた。
生物多様性条約の会議で採択された「名古屋議定書」である。温暖化の京都議定書に続き、議長国日本が誇りにできる成果だ。久しぶりに笑顔と拍手で終わった環境会議でもあった。
名古屋会議で採択された主なものは、議定書と、2020年に向けた生態系保全の目標「愛知ターゲット」、途上国への資金援助戦略の三つだ。
生物多様性条約は1992年にできたが、「対象が広すぎる」として主要な分野で世界全体の対策を盛り込んだ議定書ができなかった。18年たっての大きな前進になった。
議定書は、ABS議定書ともよばれる。条約の主要目的の一つ「遺伝資源から得られた利益の公平な配分」の頭文字をとった。先進国の企業が途上国の資源を利用して薬などを開発する場合、利益の一部を原産国に支払うようになる。そのルールを決めた。途上国には豊かな生物資源が富をもたらし、先進国の企業も開発やビジネスをしやすくなる。
愛知ターゲットは「生物多様性の損失を止めるための効果的で緊急の行動を実施する」を全体目的とし、20の個別目標を掲げた。02年につくった10年目標が全く達成できなかったため、今回は「陸域で17%以上、海で10%の保護区をつくる」と数字を入れた。
南の途上国と北の先進国が対立したため、妥協によって緩い内容になった点もある。しかし、三つの枠組みができたことを評価したい。
地球環境の交渉会議は、「全会一致方式」を逆手にとった議事妨害や引き延ばしがしばしばおきる。昨年12月、コペンハーゲンで開かれた温暖化の交渉会議(COP15)が典型だ。
ナミビア代表が「コペンハーゲンの失敗を繰り返せば、歴史は今の政治指導者を許さないだろう」と演説するなど、国際世論を無視した妨害を自重する雰囲気が今回はあった。議長国の日本も反対意見を何度も聞いて丁寧な運営に徹し、合意を積み上げた。
しかし、成功に浮かれている時間はない。
地球環境問題で国際社会の対応は順調といえない。乱開発による生態系の破壊はいっそう速度を増している。温暖化の規制づくりは足踏みしている。
これらの分野で主導する国になりたい。今回のように、重要な国際会議を開いて成果を上げることの意味は大きい。国内の関心が高まり、NGOが育ち、国際社会での発言力が増す。
そして真のリーダーシップは、世界に先がけて国内政策を充実し、その実績と国民の支持に基づいて、国際社会に先進的な提案をしてこそ生まれる。
二つの議定書を生み出した国の覚悟が日本に求められる。
名古屋議定書 社会を変える転機に
毎日新聞社説 2010年10月31日 2時30分
議長国・日本の「正面突破」が功を奏した。多様な生き物を守りつつ持続的に利用することをめざす「名古屋議定書」の採択は、自然の価値を再認識する歴史的な一歩だ。
途上国と先進国の利益配分をめぐる堂々巡りの議論には、ぜひとも終止符を打つ必要があった。困難な局面を議長提案で乗り切ったことは評価できる。各国がそれぞれの思惑を超えて合意する強い意志を示した意義は大きい。
名古屋議定書と共倒れになる恐れのあった生態系保全の新国際目標「愛知ターゲット」に合意できたことも重要だ。争点となった陸や海の保護地域の数値目標も、妥協の産物とはいえ、これまでに比べれば具体性があり前進した。
ただし、本当に大事なのは議定書や目標の採択そのものではない。なぜこうした議定書や目標が必要なのか。結果的に生態系を破壊することで主に先進国が利益を得てきた構図の危うさを再認識する必要がある。その上で各国が立場に応じて実際に行動を起こさなければ現実は変わらない。
今回の交渉を振り返ると、途上国が先進国からどれだけ資金を引き出せるかが焦点となり、生き物がかすんでしまった感がある。議定書そのものも、微妙なバランスの上に立つ妥協の産物であるために、私たち自身の生活にどうかかわっていくのかわかりにくい。愛知ターゲットも実効性は不透明だ。
解釈次第では、各国の対応がこれまでとあまり変わらず、意義がぼやけてしまう恐れもある。だからこそ、会議の成果をきっかけに、社会を変えていこうという強い意志や政策が必要だ。一人一人の行動が生物多様性に及ぼす影響に敏感になる。その積み重ねが社会の変革につながるのではないか。
そもそも、生物多様性の考えは日本人になじみがなかった。だが、私たちの身の回りには生物の恩恵を受けているものがたくさんある。
微生物や動植物を利用した抗生物質や抗がん剤だけではない。受粉に役立つミツバチのように、いなくなると産業への打撃となる生き物もいる。森林は土壌や水質の保全にも役立っている。
今後は、経済活動の価値を測る際にも自然の恵みや自然破壊による損失を考慮に入れる必要がある。温暖化対策が社会を変え始めているように、生物多様性をキーワードに経済活動も社会も変えていかなくてはならない。
私たちは今、6回目の「大量絶滅」の危機に瀕(ひん)しているといわれる。背景には人間の活動がある。今回の会議の成果を、手遅れにならないための目覚まし時計と受け止めたい。
名古屋議定書 生物の多様性を守る出発点に
(10月31日付・読売社説)
様々な動植物が生息できる環境を保全していくための基本ルールは、何とか出来上がった。
自然の恵みを享受し続けるためには、このルールに基づいた先進国と途上国の協調が欠かせない。
名古屋市で開かれていた生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)は、「名古屋議定書」などを採択して閉幕した。
急速に損なわれている生物の多様性を守ることは、世界全体の課題である。
だが、保全のあり方については、各国の利害が複雑に絡む。それを改めて浮き彫りにした会議だったと言えよう。
その象徴が、名古屋議定書を巡る先進国と途上国の対立だ。
先進国の企業は、途上国原産の動植物や微生物などの生物遺伝資源から、医薬品や食料品などを製造してきた。その利益を原産国に配分する基本的ルールを定めたのが名古屋議定書だ。
途上国は、植民地時代にまでさかのぼって利益を還元するよう先進国に求めた。先進国から可能な限り多くの資金を引き出そうという途上国側の姿勢が際立ち、会議は決裂の可能性もあった。
それを回避するために、議長を務めた松本環境相が提示した議定書案が、ほぼそのまま議定書として採択された。
議定書では「公正かつ公平な分配」が規定されたが、過去の利益配分は退けられた。先進国側の負担が膨大になりかねないことを考えれば、現実的な結論である。
その一方で、アフリカ諸国の提案を取り入れ、利益配分の一部を原資にする多国間の基金創設が議定書に盛り込まれた。
松本環境相が「各国代表が歯がゆい思いで譲歩し、妥協した結果」と語ったように、先進国と途上国双方の譲歩の末に採択された議定書だったといえる。
2020年までの世界共通目標についても、「生物多様性の損失を止めるための効果的な緊急行動を起こす」という抽象的な表現で決着した。
会議での採択は全会一致が原則だが、190を超える加盟国・地域のすべてが満足する結論を得るのは困難だ。それを考えれば、議定書などの採択にこぎ着けたことで、日本は議長国として一定の責務を果たしたといえる。
今後は、会議の成果を生物多様性の保全に確実につなげていかねばならない。各国に求められるのは、自然の恵みを将来にわたって持続的に利用していくための節度ある姿勢である。
末永く生物の恵み使うには
日本経済新聞社説2010/10/31付
動植物を利用し開発した薬や食品の利益をどう配分するか。動植物をはぐくむ生態系をどう守るか。この問題で、名古屋市で開いた生物多様性条約の締約国会議は、歴史的な成果をあげた。これを基点に対立しがちな先進国と途上国の利害の調整という課題に取り組むべきだ。
成果は3つある。まず、先進国の企業が途上国の動植物など「遺伝資源」をもとに開発した新薬などの利益を、途上国に還元するルールを決めた。1992年の条約採択以来の懸案をひとまず決着させた。
先進国の植民地だった時代にさかのぼって利益配分を求めた途上国の主張は退けた。一方で、薬草の効能など先住民の知識にも利益を配分することとした。動植物を不正に手に入れようとする人や企業を監視する機関もつくる。ただ遺伝資源が意味する範囲はあいまいで、企業が安心して利用できるようにするには、提供国と利用国で具体的な取り決めを結ぶ必要がある。
第2は、生態系保全の世界共通目標だ。貴重な生物種の絶滅を防ぐため海や湿地など保護区を広げる。ただ、開発を急ぐ途上国の反対で数値目標は低く抑えられた。日本も海洋保護区の大幅な拡大が必要で、漁業などに影響が出よう。
第3は、途上国の生態系保全を後押しする資金配分機関の設置だ。途上国が強く求めた結果だが、資金規模などは未定だ。日本は途上国の譲歩を引き出し会議をまとめる代償として、3年間で20億ドル(1600億円強)の提供を約束した。お金をムダにせず、実際に生態系の保全に役立てることを途上国に求めたい。
多様性会議の狙いは、自然の恵みを長く利用するための話し合いのはずだ。
しかし生物や生態系を原産国の資源ととらえ、提供や保全の見返りに先進国の支援を引きだそうとする途上国の資源外交が前面に出た。
地球規模の環境問題は経済・政治的な色彩を強めている。開発と保全の両立で、世界が足並みをそろえないと自然の恵みは失われるだけだ。
日本は対立を合意に導き議長国の責任を果たした。2年後にインドに引き継ぐまで議長役は続く。名古屋の成果を実りあるものにするため、残された課題に取り組んでほしい。
【主張】名古屋議定書 配分益は多様性に生かせ
産経新聞2010.10.31
03:43
地球上、とりわけ途上国での野生動植物の絶滅を防ぎ、その多様性を守るための保全資金の流れを組み込んだ国際条約「名古屋議定書」が成立した。世界の約190カ国・地域の代表が集まり、名古屋で開かれていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された。
2020年に向けた生態系保全の共通目標「愛知ターゲット」もまとまった。先進国と途上国の利害の鋭い対立で、COP10での議定書採択は困難視されていたことを考えれば、大きな前進と受け止めたい。
名古屋議定書は、利益配分の取り決めだ。現代の医薬品類には熱帯雨林などの動植物や微生物(遺伝資源)をもとに開発されたものがある。そこから得られる利益について途上国が提供者としての権利を要求しており、先進国との間での分配のルール作りが長年の懸案となっていた。
名古屋議定書の成立で、先進国から原産国・途上国への利益還元の道筋ができた。途上国には、議定書に基づいて提供される利益を、野生生物の保護や生態系の回復保全に活用してもらいたい。
間違ってもその資金を、さらなる土地開発や森林伐採などに注ぎ込むような背信は、あってはならない。ともあれ、名古屋議定書によって、生物多様性を保全しつつ持続可能な形で利用するメカニズムは用意された。今後は、その歯車を逆転させないための検証努力が求められる。
今回、気になるのは名古屋議定書の採択に向けて、日本政府が途上国に多額の資金拠出を提示した点だ。COP10は、自然と人類の永遠の共存を可能にしていくために、世界各国が知恵を出し合う会議であったはずである。
何事にも資金はいる。だが、カネでは買えないものの代表が生物多様性ではないか。金塊を積んでも絶滅した生物は再生しない。生物や自然を、経済価値のみで測って恥じない風潮が強まるようなことになれば本末転倒だ。
11月には、気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)がメキシコで開かれる。こちらは対応を誤ると、日本にとって不公平な京都議定書の単純延長になりかねない。地球環境問題は、南北間の経済交渉に変質しつつある。国際交渉にあたっては、現実の直視と国益の重視が必要だ。
地球・生きもの生き残る 名古屋議定書採択
中日新聞社説2010年10月30日
開催地の地名を冠した成果を残し、生物多様性条約名古屋会議(COP10)が閉幕した。生きものと共生する未来に対し、私たちは新たな責任を負った。
土壇場で救われた。地球ではなく、人間の未来が、だ。正しくは、地球に暮らす無数の生きもの、とりわけ、その恵みを独占して繁栄する人間の未来に、一筋の希望の光が差した。今の無法状態のままで、他の生きものを絶滅に追い込み続けていれば、遅かれ早かれ人間の未来も危険になるのは自明である。その点では、先進国も途上国も関係ない。
名古屋議定書の意義
COP10の主要な論点は二つ。一つは、微生物や動植物から得られる利益を、途上国へどのように分配するか、その国際ルール(ABS議定書)を定めること。医薬品や化粧品、食料品などの原料になる生き物は、途上国が豊富に持っている。しかし、原料を安く使って風邪薬などを開発し、特許を得て巨額の利益を挙げてきた。そのことに、アフリカやアジアの途上国は憤る。
生物多様性条約は、利益の配分自体は、途上国側の当然の権利として当初から認めている。しかし、どんな製品に、どこまでさかのぼって分配を認めるかで折り合わず、八年前のCOP6以来の懸案とされてきた。
もう一つは、人間の営みが千倍に加速させたといわれる生きものの絶滅速度にしっかりと歯止めをかけるため、条約を結んだ国々が共通の目標を持つことだ。それが世界共通の新戦略目標だ。しかしここでも、保護する海や陸地の割合などより高い目標を掲げたい先進国と、資源として使うために、低く抑えたい中国など途上国グループの対立が続いていた。
理想は容易に語れても、実現に向けて実際に行動を起こすのは難しい。温暖化対策が、昨年末コペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約の締約国会議で頓挫し、これも緊急の課題である二酸化炭素(CO2)の新たな削減目標設定がその後足踏み状態に陥っているのも、途上国と先進国の利害の溝、理想と現実、国益と地球益の間の深いギャップを乗り越えられないせいである。
しかし、今度のCOP10では、不完全なかたちとはいえ、利益配分の「名古屋議定書」、絶滅速度に歯止めをかける「愛知ターゲット」という、開催地の名前をつけた答えを出せた。途上国と先進国が、国際会議で妥協ができる、話し合いで解決できるという先例をつくった意義の大きさは計り知れない。愛知ターゲット達成のための資金援助と引き換えに、いつの時代までさかのぼって利益配分をするかについてはとりあえず途上国側の妥協を引き出した。
地球と地域が変わる
ただし、議長国の任期はインドでCOP11が開かれるまでの二年間、議定書をより完全に近づけるために、さらなる努力が必要だ。会議終盤、閣僚級会合の開会式で、菅直人首相が提供資金の大幅な積み増しを表明したことなどで、事態は打開に動いたといわれている。環境の国際会議は、途上国が先進国からいかに資金を引き出すかの駆け引きの場になりがちだ。そんな時代はそろそろ終わりにしたい。
資金を有効に使って途上国がその豊富な自然を守り、先進国は進んだ技術を持ち込んで、人間がより幸福になるための医薬品や食料を未来にわたって開発
、その利益を分かち合う。
このような南北協調と資源循環のスムーズな流れをつくり、地球に定着させてこそ、名古屋議定書の名はいっそうの光を放つ。循環と協調の仕組みが有効なら、条約不参加の米国も必ず興味を示すだろう。COP10成功を機に世界は変わるべきである。
地域も変わっていくだろう。生物多様性という聞き慣れない言葉をメディアが頻繁に報道し、しばしば耳にすることで、多くの人がそれが単純な自然保護の問題ではなく、人が自然の恵みで生かされていて、その恵みをいかに未来へつなげていくか、自分自身の暮らしに直結する問題であることを知っただろう。
一つ一つの小さな気づきが、小さな行動に結び付き、その集積が生物多様性に満ちた地球を次世代に手渡す力になる。
わたしたちは地球の子
COP10の関連行事に参加した東ティモールの音楽家エゴ・レモスさんは結果を見て「北も南も、私たちはみな地球の子、次は母なる地球のために具体的行動を起こすべきだ。COP10を政治の会議、環境の祭りに終わらせてはならない」とつぶやいた。
COP10は閉幕し、日本からの提案がこの日採択されて「国連生物多様性の十年」が始まった。
COP10閉幕 実行せねば実効もない
北海道新聞社説(10月31日)
名古屋市で開かれていた国連生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が終わった。
医薬品などの利益を原料生物の原産国にも配分する初の国際ルール「名古屋 定書」を難航の末に採択し、2020年まで10年間に及ぶ生態系保全目標「愛知ターゲット」も制定した。
途上国と先進国の対立を調整し、二つの難題を結論に導いた日本政府の努力を多としたい。
ただ、名古屋での到達点は危うい妥協の上に成り立つ。日々多くの生物種が絶滅していく現状をみると、十分な内容とはいえまい。
日本の議長国任務は、12年10月にインドで開かれる次回のCOP11まで続く。残された未解決課題の前進を図るとともに、条約未加入の米国を説得
べきだろう。
名古屋議定書は《1》生物資源による利益を公平に配分する《2》先住民族の知識に基づく薬草の効能なども配分の対象とする《3》先進国政府は企業などの不正利用をチェックする−などを骨格としている。
新型ウイルス発生などの緊急事態では、途上国も病原体の早期利用に考慮することを盛り込んだ。
一方の生態系保全目標は「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的な行動を取る」との表現に落ち着いた。難航した数値目標も、陸域の17%と海域の10%を保存することで折り合った。
会議を通じて鮮明になったのは、途上国の立場強化である。一カ国でも反対すれば採択できない全会一致原則のためだけではない。
途上国は利益配分問題に限らず、保全目標設定でも、先進国から資金援助を引き出すことに成功した。多数を占める強みがみえる。
結果的に、妥協の成否は資金問題に左右された感は否めない。豊かな生態系を自然破壊や地球環境悪化からどう守るのかという本来の趣旨からは、物足りなくも映る。
ただ、角度を変えれば、途上国の真意も見えるのではないか。
−持ち出された自国の資源が巨大な利益を生んでいる。植民地時代からの収奪に加え、今度は生物多様性のため開発を制御しろという。貧困の固定化を拒否する上で、この会議は大きな機会になる−。
正当性はある。多様性保全と開発という矛盾は、技術と資金で克服していくしかないのだ。
名古屋議定書は50カ国の批准から90日後に発効する。日本は真っ先の批准を目指してほしい。
多様性保全も、目標の採択で成果が上がるわけではない。実効を得られるかどうかは、関連国内法整備など各国の実行にかかっている。
COP10合意 生物保全へ貴重な一歩
秋田魁新報社説:(2010/10/31
10:32 更新)
名古屋市で開かれていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が閉幕した。遺伝資源の利益配分に関するルールを定めた「名古屋議定書」と、多様性を保全するための目標を掲げた「愛知ターゲット」は、いずれも採択された。
名古屋議定書では、企業が植物や微生物などの遺伝資源を入手する際、原産国から事前に同意を得なければならないことや、その資源を使って薬などを開発した際の利益は、原産国にも公平に還元することなどを定めた。生物多様性条約が採択された1992年以来の課題だった。利害が衝突するテーマで合意に至ったことを、貴重な一歩と受け止めたい。
先進国の製薬会社が発展途上国の遺伝資源を勝手に持ち出して利益を独占することへの不満が、途上国にくすぶっている。議定書をめぐる交渉では、多くの利益を確保したい途上国と、企業への制約をできるだけ増やしたくない先進国が対立し、その行方が危ぶまれていた。
行き詰まった状況を打開したのは、松本龍環境相が土壇場で提示した議長案だ。先進国の主張を取り入れる一方、途上国の主張も反映させてバランスを取り、双方の妥協を導いた。日本が議長国としての責任を果たしたことを評価したい。
ただし、採択された議定書は、いわばたたき台のようなものだ。実効性を高めるには、これから各国が、合意事項をいかに真摯(しんし)に実行するかに
かっている。
利益配分の対象をどこまで広げるのかや、過去にもさかのぼって配分するのかなど、先進国と途上国の利害が真っ向から対立している点が先送りされたことも見逃せない。一定の合意は得られたものの、依然として火種は残ったままなのだ。
愛知ターゲットは、損なわれた生態系を緊急に回復させるため「2020年までに少なくとも陸域の17%、海域の10%を保全する」との数値目標を示した。現在1%にも満たないとされている海の保護区の面積を、この10年で10倍以上に広げる意欲的な目標だ。国際的な環境保護団体からも「非常に大きな成果」と支持された。
議定書同様、大切なのは各国が目標達成のためにいかに努力するかだ。地球環境保全に逆行する行為は許されない。開発の際は、生態系を破壊しないよう細心の注意を払う必要がある。
生物多様性条約は、地球上の生態系の悪化や生物種の減少に歯止めをかける目的から1992年に採択された。現在は日本を含め約190カ国が加盟し、協議を進めている。残念なのは、製薬や食品など多くの巨大企業を抱える米国が加わっていないことだ。
次回の第11回締約国会議は2012年にインドで開かれる。名古屋での成果を踏まえ、豊かな生態系を保全するための取り組みを一層加速させたい。
多様性会議 合意を生かす行動こそ
信濃毎日新聞社説
10月31日(日)
生物多様性を守るための国際的な合意が難航の末に得られた。これを踏まえて、行動を強めたい。
名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、遺伝資源の利益配分を定めた「名古屋議定書」と、2010年以降の保全目標「愛知ターゲット」の2主要議題を採択し閉幕した。
環境をめぐる国際会議では、先進国と発展途上国との南北対立が激化しがちだ。地球温暖化対策の「京都議定書」に続く枠組みを協議した昨年のコペンハーゲン会議では、南北対立が埋まらず、前進できなかった。
今回も、その恐れがあった。議長国・日本が最終日に、双方の主張を盛り込んだ案を提示して合意にこぎ着けた。
先進国の主張に沿って、議定書発効前に入手した遺伝資源に関する規定は除外。一方で、公海などで得た資源の利益が途上国にも流れる新たな多国間の仕組みも盛り込んでいる。
途上国の保全活動のため、日本など先進国が積極的な経済支援を表明した。
途上国が議長提案を受け入れた要因の一つだ。
日本の地名を付けた議定書は、京都と名古屋の二つになる。地球環境の保全のため、日本は積極的に責任を果たしたい。
大切なことは生物を守る機運を地球全体に広げることだ。先進国は、途上国の生物資源から医薬品などをつくり、その利益を途上国に配分する。その資金で途上国は乱開発を防ぐ。この流れを確かなものにすべきだ。
議定書には主要争点で先送りされた部分もある。今後の交渉で詰める必要がある。
生物多様性条約に、大国の米国は未加盟だ。名古屋での合意をもとに遺伝資源の利益配分を軌道に乗せて、米国にも参加を求めていくことが肝要だ。
「愛知ターゲット」では▽多様性の損失を止めるため緊急に行動し、20年までに生態系が回復される▽20年までに、少なくとも陸域の17%、海域の10%が効果的に管理、保全される−などを目標に掲げている。
確実に実現するには、各国が方策を練り、地域や企業、個人が何をするべきかを具体的に示すべきだ。保全地域には、予算や人員の確保が欠かせない。
信州の現実にも向き合う機会にしたい。多様性をはぐくむ里山の復活、絶滅危(き)惧(ぐ)種対策、外来種対策、高山植生の保全など取り組みを強めるべき課題は多い。
COP10閉幕 多様性保全への大きな前進だ
愛媛新聞社説2010年10月31日(日)付
難航を続けた会議は「歴史的成果」へのスタンディングオベーションで幕を閉じた。名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、協議が30日未明にもつれこんだ末に各国の政治判断で決着した。
人間活動が引き起こした生物多様性損失の危機は恩恵を受ける人類の存続にかかわる問題。が、保全と持続的利用に向けた具体的目標やルール策定となると、途上国と先進国の利害対立に各国の思惑が絡む。COP10で国際協調できたこと自体が画期的だ。
最大の焦点は、薬などの原料となる植物や微生物など遺伝資源の利用に関する「議定書」の策定だった。
利益を原産国に公平に還元する仕組みづくりは条約採択以来の課題。実務レベルの協議は頓挫し、会議の成否は閣僚級会合に託されていた。
土壇場で決着を促したのは最終日、議長国の日本が用意した議長案。先進国の要求を受けて過去への遡及(そきゅう)には言及せず、一方で「派生品」の一部を利益配分の対象とするなど途上国にも配慮した。
事前に日本が表明した資金支援も好感され、各国が歩み寄り、新たな国際協定「名古屋議定書」を採択した。自国の利益追求に拘泥せず、将来の世代のため一歩を踏み出した意義は大きい。
2010年以降の保全目標「愛知ターゲット」も採択された。20年までに少なくとも陸域の17%、海域の10%を保全するなど数値目標を掲げ、多様性の損失を止めるための緊急な行動を求める。
「行動」が肝心だ。今後は立法措置や政策推進といった各締約国内の取り組みが問われる。これまでの10年、「損失速度を顕著に減少させる」という目標達成に至らなかった現実を忘れてはならない。
特に、途上国の資源を搾取することで繁栄した先進国側は、積極的な資金や技術の提供を通じて、地球全体の多様性保全に貢献する責務を自覚してもらいたい。
明文化を避け、先送りした争点も多い。遺伝物資の不正持ち出し監視や多国間の利益配分の仕組みなど、さらに検討が必要な課題が残る。
条約を実効性あるものにするには、最大の生物資源利用国であり未加盟の米国を引き込む必要があろう。議長国の日本が率先して呼びかけるべきだ。
わたしたち個人にもできることがある。たとえば生物多様性に配慮した商品を選択する、あるいは保全に積極的な企業を支援する―。こうした購買行動の積み重ねで社会全体の意識も変わりうる。
「生物多様性」という言葉の普及も名古屋会議の成果だろう。恩恵を受ける当事者として、保全と持続的な利用につながる行動を考えたい。
生物多様性会議 合意は行動起こす出発点
西日本新聞社説2010年10月31日
10:57
地球の豊かな生態系と人類の未来を守るため、国際社会が協調して前向きな一歩を踏み出した。そう受け止めたい。
名古屋市で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、遺伝資源の利益配分の国際ルールを定めた「名古屋議定書」と、生態系保全の新しい国際目標である「愛知ターゲット」の二つを採択し、30日未明に閉幕した。
多様性条約の根幹をなす二大議題で合意に達したことは、1993年の条約発効以来の大きな成果である。先進国と途上国が長年の激しい対立を乗り越え、歩み寄ったことを歓迎したい。議長国・日本も困難な会議で重責を果たした。
しかし、世界的な森林開発や魚類などの乱獲、環境破壊で生物の多様性は急速に失われており、時間的な余裕はない。加盟国は合意を出発点に、早く積極
な行動を起こさねばならない。
今交渉は、二大テーマに加え、途上国への資金援助の問題が絡み合い、複雑化した。中でも、医薬品開発などに役立つ植物や微生物の遺伝資源の利用に伴う利益を、原産国にも公平に配分する仕組みの議定書の協議は難航を極めた。
バイオ技術の発達で巨大な利益を生み出す生物を間に、新たな南北対立の様相を呈した。多くの利益還元を求める原産国の途上国と、企業活動の制約を懸念して柔軟なルールを求める利用国の先進国が鋭く対立する構図が続いた。
事態を打開したのは、松本龍環境相が提示した議定書の議長案だった。途上国が主張した、利益配分の適用時期を植民地時代や議定書発効前にさかのぼることは盛り込まれなかった。代わりに、先進国が途上国を支援する多国間の資金援助の仕組みを設けることにした。
遺伝資源の不正利用を監視する仕組みでは、先進国の裁量を広くした。ウイルスなどの病原体は、ワクチン開発のため先進国の早急な利用を認める一方、途上国への適切な利益配分を求めた。
こうした妥協案を各国が受け入れた。ただ、遺伝資源をもとに医薬品などを化学合成した「派生物」は、利用の契約時に個別に判断するなど、あいまいな点もあり、今後に火種を残した。
2020年までの国際目標は「生物多様性の損失を食い止めるため、効果的で緊急な行動を取る」とし、世界の陸域の17%、公海を含む海域の10%を自然保護区とする個別の数値目標も決めた。
交渉では、日本が50億円の基金創設や20億ドル(約1600億円)の途上国支援策を表明した点も合意を後押しした。多様性という根本資源を損なえば、誰も利益を得られないという実利が、各国に現実的な選択をさせたともいえる。
それでも重要な第一歩である。今後は資金援助の仕組みづくりや、先進国による不正監視機関の設置など、具体化を急がねばならない。今合意を歴史的な成果とするためにも、国際社会は着実に実効性ある取り組みを進めてもらいたい。
[名古屋議定書]ここから新たな出発を
沖縄タイムズ社説2010年10月31日
09時47分
名古屋市で開かれていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、遺伝資源の利益配分ルールを定めた「名古屋議定書」を採択して閉幕した。
激しく利害が対立する先進国と発展途上国の言い分を調整しながら、条約の目的に沿った前向きの国際ルールを定めるのは、容易なことではない。争点を先送りした部分がないわけではないが、新たな国際ルールを決めたという意味では、歴史的な成果と言っていいのではないか。
今回のCOP10の主要議題は二つあった。
「生物多様性の損失速度を2010年までに著しく減少させる」という02年の「COP6」で採択された目標の達成状況を検証し、新たな目標を打ち出すこと。遺伝資源の利益配分に関する国際ルールを策定すること、の2点である。
交渉は先進国と発展途上国が激しく対立し、難航を極めた。
帝国主義の時代から、あるいはそれ以前から、先進国は途上国の植物や微生物などの遺伝資源を勝手に持ち出し、それを利活用し、巨大な利益を上げてきた。途上国には今でも「利益横取り」に対する不満がくすぶっている。
一方、先進国の製薬会社などは、医薬品開発に投入された資金と労力と時間を重視し、新たな価値を生み出したのは自分たちだと強調する。
COP10で鋭く問われたのは、生物多様性の恩恵を受けていない途上国への利益還元をどのように進めるか、という点であった。
名古屋議定書は、「遺伝資源の利用で生じた利益を公平に配分する」ことをうたう一方、先住民の伝統的な知識も配分の対象になること、遺伝資源の入手には提供国から事前の同意が必要なこと、などを盛り込んだ。
「生物多様性と言いながら、おカネの話ばかりではないか」と、COP10そのものに疑問を持つ人がいるかもしれない。
実は、生物多様性条約は、生物多様性の「保全」と、生物資源の持続可能な「利用」、遺伝資源の利益から生ずる公正な「配分」の三つを目的にしており、COP10もこれらの目的に合わせて議題が設定されたのである。
途上国の最大の関心事は「利益配分」であった。
条約に加盟している193カ国・地域の約8割を占める途上国。これらの国々が発言力を高め、主導権を握った国際会議でもあった。
生態系の新たな保全目標については、「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的で早急な行動を取る」として、具体的な数値目標などを20項目にわたって掲げている。
ただ、目標を達成するための道筋や、国・地方自治体・企業・個人の役割分担が、まだ明確ではない。例えば、保護区を設定し維持するためには、予算や人員が必要だ。
企業は環境保全のためのコストを前提にしなければならなくなるだろう。生活習慣を改めるには、個人の意識改革が欠かせない。
名古屋議定書 暮らし変える契機に
琉球新報社説2010年11月1日
議長国日本の土壇場での提案が手詰まり状態を打開した。遺伝資源の利益配分ルールを定めた国際協定「名古屋議定書」の採択にこぎ着けたことは、大きな成果だ。
交渉では、遺伝資源を豊富に抱えて利益還元を訴える発展途上国と、利用企業への制約を小さくしたい先進国が対立した。日本は基金創設や支援策を打ち出し、先進国の意見も反映させて議長案を提示、各国から合意を引き出した。
もう一つの重要議題である2010年以降の多様性保全目標「愛知ターゲット」に合意できたことも重要だ。先送りした課題もあるとはいえ、日本は議長国として一定の役割を果たした。
議定書や保全目標の合意を絵に描いたもちにすることなく、実効性のあるものにしなければならない。そのためには、加盟国と地域がそれぞれの立場で行動を起こし、企業活動をはじめ私たちの暮らしも変える必要がある。
12日間の会議で浮き彫りになったのは、人間の行動が、生態系に及ぼす大きな影響だ。動植物の絶滅や森林破壊、漁業資源の枯渇など、人間の活動が背景にある。私たちは地球史上6回目の「絶滅」の危機にあるといわれる。
生物多様性保全のために、一人一人に何ができるか、考えてみるのは無駄ではない。例えば、沖縄の宝であるサンゴ礁。直接的にはダイビングなど観光資源や魚介類など海の幸を提供してくれる。地球規模で見れば、大量の二酸化炭素を吸収し、世界の気候安定にも貢献しているのである。沖縄のサンゴは私たちのものではあるが、世界共通の財産でもある。
裏を返せば、南米の熱帯林、アマゾン流域の生態系、東南アジアのマングローブ、アフリカの大自然もすべて私たちの財産でもある。その財産を次世代に残す義務がある。
私たちは日常生活で消費する商品が、どうやって生産され、生物多様性にどの程度影響があるのか、知る努力が必要だ。商品を提供する企業にも責任がある。原料調達から廃棄までの過程で、生態系への負荷を可能な限り小さくする必要がある。環境に優しい商品は高いという発想から、環境に優しく安い商品作りを目指さねばならない。生物多様性の恩恵がなければ、人類は一日たりとも生きられない。そのことを肝に銘じたい。 |
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論点先送りで支持取り付け=議定書で日本、COP10 |
| 20101030 |
論点先送りで支持取り付け=議定書で日本、COP10
時事通信
生物遺伝資源の製品化による利益の配分をめぐり、先進国と途上国が激しく対立していた名古屋議定書が30日未明、一転採択された。ホスト国日本が出した議長案で、主要な論点が先送りされたことや、途上国が求めた資金協力への配慮が盛り込まれたことが背景にある。29日までの協議で、途上国側は豊富な生態系から多くの利益獲得を狙い、資源を勝手に持ち出されないよう厳しい規制を主張。先進国側は開発利益の際限のない流出を恐れ、できるだけ自由に資源を利用できる枠組みを求めた。一字一句で、莫大(ばくだい)な経済的影響があるため、名古屋での協議は連日深夜に及んだ。
例えば議定書には、製薬会社が外国の遺伝資源を新薬開発に利用する際に、原産国の法令を順守しているか監視する機関を各国に設けることを規定。ところが、延々と議論した機関の詳細は、結局、議定書には盛り込まれなかった。
議長案は各国の主張の「中間点」(外務省幹部)を狙い、具体的な表現を次々に削除したためだ。
一方で、「貧困のため動植物を乱獲、乱伐し、自然破壊を招いた」(ガボン代表)と訴える途上国にとって、議定書のもたらす利益還元と、先進国の資金援助は切実。会合終盤で日本や欧州連合(EU)などの先進各国が資金援助を表明したことで、「利益配分の条項などはあいまいだが、いったん議定書は受け入れる」(マラウイ代表)との姿勢に転じた。枠組み自体をまずつくり、「今後の話し合いでの改善を信じる」(同)というわけだ。
他方、先進国側はどうか。会議の行方を見守ってきた日本の産業界は、「厳しい議定書ができるくらいなら、ルールなどない方がまし」(製薬会社)との声もあっただけに、条約以前にさかのぼって利益を要求できる「遡及(そきゅう)条項」が外れたことを評価。また安定したルールができたことで「生物資源の利用が進む可能性がある」(製薬業界関係者)と議定書採択を歓迎する声も上がった。(2010/10/30-02:04)
議定書の実効性確保が課題=米国の条約未加盟も障害に−COP10
時事通信
生物遺伝資源の利用や利益配分に関する初の国際ルールとして「名古屋議定書」がCOP10で採択された。ただ、議定書の主要な項目には激しく対立した先進国と途上国双方の顔を立てるため、明文化を見送り玉虫色の表現となったものも少なくない。日本をはじめとする参加国は議定書の実効性を確保するため、さらに努力を積み重ねることが必要だ。
地球規模で環境破壊が進む中、先進国が途上国の遺伝資源を利用して獲得した利益の一部を還元することで、途上国の豊かな生態系を維持しようというのが議定書の主な目的だ。遺伝資源の利用で生じた利益の公正な分配や、遺伝資源の不正な持ち出しを監視する機関の設置などを盛り込んだが、具体的なルールづくりが今後の課題として残る。また、遺伝資源を加工して得られる「派生物」の定義なども明確でなく、先進国と途上国の対立再燃の可能性は否定できない。
さらに、世界最大の生物資源利用国である米国が条約に加盟していないことも、議定書に基づく国際ルールの確立には大きな障害となっている。日本など条約加盟国は、協力して米国をはじめ未加盟国への働き掛けを強めることが求められる。(2010/10/30-02:07)
大きな成果得た=名古屋議定書採択で−松本環境相
時事通信
名古屋市で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、生物遺伝資源の利用と利益配分に関する新ルール「名古屋議定書」を採択して閉幕した。会議の議長を務めた松本龍環境相は閉幕後、会場内で記者会見し「多くの人たちの思いが乗り移り大きな成果を得た。心からうれしく思う」と感想を述べた。
環境相はまた、議定書の早期批准に向けて、関連する国内法の整備などの手続きを進める方針を示した。議定書と並ぶ主要議題で、2020年までの生態系保全の国際目標「愛知ターゲット」についても「魂を入れていく」と述べ、目標達成のため具体的な取り組みを急ぐ考えを示した。
このほか、生態系保全を目的として菅直人首相が表明した今年から3年間で20億ドル(約1600億円)の途上国向け資金拠出については「中身についてしっかり精査したい」と述べた。(2010/10/30-11:57)
名古屋議定書の要旨
2010/10/30
01:32
【共同通信】
生物多様性会議の「名古屋議定書」の要旨は次の通り。
一、遺伝資源の利用で生じた利益を公平に配分するのが目的。
一、遺伝資源と並び、遺伝資源に関連した先住民の伝統的知識も利益配分の対象とする。
一、利益には金銭的利益と非金銭的利益を含み、配分は互いに合意した条件に沿って行う。
一、遺伝資源の入手には、資源の提供国から事前の同意を得ることが必要。
一、多国間の利益配分の仕組みの創設を検討する。
一、人の健康上の緊急事態に備えた病原体の入手に際しては、早急なアクセスと利益配分の実施に配慮する。
一、各国は必要な法的な措置を取り、企業や研究機関が入手した遺伝資源を不正利用していないか、各国がチェックする。
COP10 議定書採択し閉幕
10月30日 4時11分
NHK
生物の多様性をどう守っていくかをテーマに名古屋で開かれていた国連の会議、COP10は、30日未明まで開かれた全体会合で、最大の焦点だった、生物から得られる利益の配分のしかたを定めた国際ルール「名古屋議定書」を採択して閉幕しました。
COP10は、生物から開発される医薬品などの利益を途上国と先進国でどう分け合うかの国際ルールなどを主要なテーマに、今月18日から議論が行われてきました。最終日の29日深夜、最後の全体会合が開かれ、30日未明にかけて、それぞれのテーマごとに合意文書の採決を行いました。最大の焦点だった利益配分の国際ルールについては、事前の協議で各国の対立が解消されなかったため、各国の意見をもとに日本政府がまとめた議長案が全体会合に提出されました。これに対し、南米などの一部の国が議長案の内容には賛成できないと表明したものの、採択することには異議がなかったことから、「名古屋議定書」として採択されました。また、生態系を保全するために各国が取り組む新しい国際目標「愛知ターゲット」や、そのために調達する資金の目標も採択され、COP10は大きな拍手とともに午前3時に閉幕しました。採択された「名古屋議定書」は、自然の恵みから得られる利益を生物多様性を守る費用に充てようと、途上国と先進国が利益を公平に分け合う仕組みを定めています。
利益配分の国際ルール作りは2002年から作業が行われてきましたが、8年を経て法的拘束力を持つ「議定書」が採択されたことで、生物の多様性を保全しつつ持続的に利用していく枠組みが動き出すことになります。議長を務めた松本環境大臣は、閉幕後、記者会見を開き、「各国の妥協と譲歩の結果、子どもたちに残すものが出来た。大きな成果を得ることができたのはたいへんうれしく思います」と述べました。そのうえで、日本政府として、今後、名古屋議書の批准手続きを行うとともに、生物から得られる利益の具体的な取り扱いなどを定める国内法の整備を進める考えを明らかにしました。
生態系保全目標に「愛知ターゲット」 生きもの会議閉幕
朝日新聞 2010年10月30日11時26分
名古屋市で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)は30日未明、医薬品や食品のもとになる動植物など遺伝資源の利用を定める「名古屋議定書」と、生態系保全の世界目標「愛知ターゲット」を採択し、閉幕した。次回の締約国会議は2012年、インド・ニューデリーで開催される。日本政府は議定書の批准に向けて国会の承認を求める方針で、議定書に基づく国内法を制定するための議論を始める。
名古屋議定書は今後、批准の意思を示す各国の署名を11年2月から1年間、ニューヨークの国連本部で受け付け、50カ国目の批准が完了した90日後に発効する。批准すれば国内法の制定が必要になり、遺伝資源を商品化する途中段階で、適正な手続きを経て利用されているかをチェックする機関の設置などが定められる。
議定書は、松本龍環境相が提示した議長案をわずかに修正した文書を、各国が受け入れる形で合意した。企業が遺伝資源を利用する場合に、得られる利益を金銭の支払いや共同研究などを通じて原産国と分け合う国際ルールで、法的拘束力がある。
もう一つの主要議題となった2020年までの世界目標は、採択の直前に「愛知ターゲット」と名付けられた。
世界の陸に占める保護区の割合を17%、海の保護区の割合を10%に拡大することや、生物の生息地が失われる速度を少なくとも半減させること、生物多様性の観点を国家会計の価値判断に組み入れることなど20項目が盛り込まれた。各国はこの目標に沿った国家戦略をつくり、生態系を保全するための取り組みを進めていく。
◇
先進国、途上国の主張の違いが大きかった主要議題の議論は、閉幕予定の29日を過ぎ、未明まで続いた。
午前1時半ごろ、議長の松本環境相がすべての主要議題の採択を告げる木づちを打った。会場を埋めた各国の閣僚や交渉官、NGO、企業関係者らは大き
拍手を響かせ互いに抱き合って、8年以上に及んだ交渉が妥結した喜びを分かち合った。
閉幕後の午前3時半ごろ記者会見した松本環境相は、合意への道筋について「積み木を重ね、重ねては崩れという過程を繰り返すような歩みで、最後は崩れそうなぎりぎりのタイミングでの採択だった。多くの人が苦渋の妥協を何度も受け入れた。合意が確信できた時は、泣いてしまった」と振り返った。(平井良和)
◇
■「名古屋議定書」の骨子
▽遺伝資源を利用する場合は、事前に原産国の許可を得る
▽資源を利用する側は、原産国側と利益配分について個別契約を結ぶ
▽資源に改良を加えた製品(派生品)の一部は、利益配分の対象に含むことができる。対象にするかどうかは、契約時に個別に判断
▽不正に持ち出された資源ではないかをチェックする機関を、各国が一つ以上設ける。機関の性格は各国で判断
生きもの名古屋議定書「始まりに過ぎぬ」 NGO不満も
2010年10月31日6時55分朝日新聞
「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」を採択し、30日未明に閉幕した国連地球生きもの会議(生物多様性条約第10回締約国会議=COP10)。最重要議題の採択という成果を上げた名古屋での生きもの会議だが、議定書とターゲットは、自然保護の現場を知るNGOが求めていた内容とは、隔たりもある。世界から集まったNGOからは、採択を喜びつつも内容には不満の声が出た。
遺伝資源の利用から得られる利益の公平な配分(ABS)についての国際ルール「名古屋議定書」。「同意できないが採択はじゃましない」。最後の最後まで議論がもつれた全体会合の場で、ベネズエラやキューバ、ナミビア、ボリビアが次々に発言。妥協の末に採択された。
途上国の立場から、会見などで厳格な議定書を求め続けたマレーシア「第三世界ネットワーク」のチー・ヨクリンさんは「法令を守っているかのチェック機関をどこに置くかが各国の判断任せになった。伝統的知識の利用に対する先住民族の権利も弱い。議定書がないよりは良いが……」と複雑な表情。
欧州のNGO「エコロパ」のクリスティーネ・ワイツゼッカーさんも、内容には満足しない。「いまはハッピーな瞬間ではない。次の段階へ進む始まりにすぎない」。議定書が発効後4年以内に見直されることが決まっているため、「厳しい内容になるよう働きかける」と語った。
日本の学生などでつくる「国際青年環境NGO A SEED JAPAN」も、チェック機関が厳格に定まらなかったことなどを問題視する。各国代表団へも主張を伝え続けた小林邦彦さん(22)は「発効後4年までの見直しで修正されるようにしたい」と話した。
2020年までの世界目標「愛知ターゲット」で注目されたのは、保護区の目標値。
陸域17%、海域10%という折衷的な結論に、米国の「コンサベーション・インターナショナル(CI)」のラッセル・ミッターマイヤー会長は肩をすくめつつ、「(この目標値でも)いいよ」。
CIは、陸域25%、海域15%を求めてきた。採択のための全体会合が中断しているときには中南米などの政府代表団の間を回り、高い目標値になるよう説得した。「陸域の現状(約14%)から17%までは、まず重点的な地域
を優先して保護区にしたい。でも、我々はそれ以上に拡大するよう取り組む」 海域20%を訴えていた「グリーンピース」。海洋問題担当の花岡和佳男さん(33)は「一つの目標を決めたことには意味がある」としつつ、10%にとどまったことは残念という。「この目標にとどまることはなく、20%、さらに40%になるように力を尽くす。海域の保護区が広がれば魚が増え漁業も持続可能にできる」と話した。(神田明美)
COP10:生物多様性で新ルール設定 歴史的な会合に
毎日新聞 2010年10月30日 2時00分(最終更新 10月30日 2時11分)
国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)は最終日の29日、難航を極めた遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」について各国の意見を取り入れた議長案が提示され、30日採択した。11日からの期間中、遺伝子組み換え生物が生態系に被害を与えた場合の補償ルール「名古屋・クアラルンプール補足議定書」を既に採択している。生物多様性を守るために二つの国際ルールと新たな国際目標を設定する歴史的な会合となった。
採択される議定書は、先住民の伝統的知識も含め遺伝資源の利用による利益を衡平(こうへい)に配分すると規定した。締約国は、遺伝資源を不正に入手していないか監視機関を設けて確認する義務が生じる。遺伝資源の入手には、提供国から事前の同意を得る必要がある。
途上国が主張していた、利益配分の対象を議定書発効以前や植民地時代にさかのぼることは盛り込まれなかったが、代替措置として途上国に多国間で資金支援する枠組みを設ける。遺伝資源を加工した「派生物」は事実上、議定書の利益配分の対象から除外された。ウイルスなどの病原体についてはワクチン開発のための先進国の早急な利用を認め、適切な利益配分を求めた。
各国が議定書の議長案に同意したのを受け、難航していた新国際目標の議論も進んだ。新しい生態系保全の国際目標(愛知ターゲット)は「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的で早急な行動を取る」とし、焦点の保護地域については、陸域は少なくとも17%、海域は公海を含む少なくとも10%を保全するとの目標で合意した。
名古屋議定書の交渉をめぐっては、交渉官による協議不調を受け、議長の松本龍環境相が自ら議定書案を各国に提示、各国がこれに同意する過去に例のない事例となった。
交渉過程では、遺伝資源の利用国の先進国と、提供国のアフリカ諸国など途上国が激しく対立。議長案にもアフリカ勢が当初、反発したが、資金支援が盛り込まれたことなどを評価して受け入れに転じた。29日午後の全体会合で、松本議長は「議定書の採択はすべての国の悲願だ。各国の意見の相違に十分配慮して議長案を策定した」と呼びかけて締約国に受け入れを迫る場面もあった。【江口一、関東晋慈】
COP10:閉幕 数値目標、義務なく 愛知ターゲット、実効性に課題
毎日新聞 2010年10月31日 東京朝刊
「歴史的な成果だ」「企業活動への影響は小さそうだ」−−。微生物など遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」や2010年以降の生態系保全の国際目標「愛知ターゲット」を採択した国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)。通常は相対立する見解になる環境保護
体や産業界が、いずれも評価するという、まれな国際交渉となった。しかし、玉虫色のあいまいな内容も多く、実効性をどう高めていくのか課題も多い。
世界自然保護基金(WWF)のジム・リープさんは30日、愛知ターゲットについて、「自然を守ることが経済や社会の基礎となることが確認された。この精神を地球温暖化交渉に反映してほしい」との声明を発表した。
02年に採択された現行目標は「10年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させる」だった。しかし、生物多様性条約事務局は今年5月、「目標達成は失敗に終わった」と分析。具体性や実効性に欠けていたためで、名古屋会議はその課題を解決する目標が設定できるかが問われた。
愛知ターゲットは20の個別目標で構成されている。このうち、最大の焦点だった保護区域の面積の割合では、陸域が少なくとも17%、海域が10%を保全することが決まった。
国際自然保護連合(IUCN)の分析では、現在の海域の保護区は1%にとどまり、乱獲や開発が問題になっている。交渉では、先進国の日本や欧州が15%の目標を掲げたが、途上国は中国の6%など開発の妨げにならない数値を提示。玉虫色の中間値で決着した。
個別目標では「劣化した生態系の15%以上を回復する」「外来種の侵入を防ぐ」なども採択された。しかし、20項目のいずれも国際目標で、京都議定書のように各国に義務づけた数値目標ではなく、市民が取るべき具体的な行動もよく分からない。さらに国土交通省によると、身近な自然を守る担い手が暮らす農山村の集落は99年には4万8689件あったが、06年には151集落が消滅していた。
日本自然保護協会の大野正人部長は「ターゲットは第一歩だ。日本を含めて各国が具体的にどのような対策を進めるかを考えなければならない」と話す。
【足立旬子】
◇「派生物」の扱い、不透明 成分改良した原料、医薬メーカー警戒
「名古屋議定書」が、途上国が求めた過去の遺伝資源を対象外としたことについて、遺伝資源を使った医薬品や健康食品の製造・研究を進める企業の間には「過剰な負担は回避できた」と安堵(あんど)の声が広がった。ただ、生物の成分を化学合成などで改良した医薬品などの原料となる「派生物」を、利益配分が発生する遺伝資源の対象とするかどうかは玉虫色で、「今後、新興国との摩擦につながりかねない」との懸念も出ている。
00年からマレーシアの研究機関と契約し、熱帯雨林の微生物を採取し医薬品の研究開発に活用するアステラス製薬。09年度の売上高全体に占める、免疫抑制剤など微生物による製品は、23%にも上るだけに「過去の利益は配分対象とならないことになり良かった」と胸をなでおろす。
遺伝資源確保に力を入れる企業が最近、目立っている。メルシャンは04年からインドネシアの政府系機関と組み、微生物から新薬の候補物質を見つけ、製薬会社に提供する創薬事業を展開。出光興産は今年、ベトナムで藻を採取し、バイオ燃料の材料に向けた研究を進める。カルピスも07年、モンゴルで乳酸菌や酵母の採取を実施した。
日本企業は従来も、遺伝資源利用や利益を原産国に還元する契約を結んできた。アステラスはマレーシアの研究機関に微生物採取の対価として利用料を支払い、現地から研究員を招き技術指導も行ってきた。今後は遺伝資源利用が国際ルールとして共通化されるとみられるため、相手国と交渉しやすくなりそうだ。ただ、遺伝資源を改良した「派生物」の扱いは不透明。ある製薬会社幹部は「解釈次第で企業が巨額を負担することになりかねず不安だ」と強調する。
【浜中慎哉】
COP10:交渉は経済戦争の様相 主導権握る途上国
毎日新聞 2010年10月30日 1時54分
11日から名古屋市で開催された国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)では、医薬品などのもとになる「遺伝資源」の利用と利益配分の国際ルール「名古屋議定書」を中心に、協議は難航を極めた。
バイオ産業の進展で生物という存在が莫大(ばくだい)なマネーを生み出し、交渉は経済戦争の様相を呈し、先進国と途上国の対立が深刻化した。議定書は両者の歩み寄りの一歩となるが、残された課題も多い。【足立旬子、福島祥、石山絵歩】
◇途上国の強気の展開に日本政府関係者はため息
「非常に長い時間努力して作成したことを認識してほしい。結論の蒸し返しや微妙なバランスの上に妥協点を見いだしたのを破綻(はたん)させることはやめてほしい」。29日の全体会合で議長の松本龍環境相は、議事進行への協力を呼びかけた。
国連での採択は全会一致が条件で、一カ国でも反対すると成立しない。その中でも、今回の交渉は特に難航を極めた。生物多様性条約に加盟しているのは193カ国・地域で、他の環境関連条約と比べて加盟国が多い上に、その8割を途上国が占めるからだ。
また、熱帯林など豊かな自然という「武器」を抱えているのも途上国だ。先進国がこれまで高い技術力などを背景に、主導権を握ってきた世界知的所有権機関(WIPO)などでの協議と異なる様相を呈してきた。
途上国は先進国に遺伝資源を持ち出され、利益を奪われたという根強い不満がある。生物多様性条約の交渉の場を利用して奪い返そうと考え、遺伝資源を加工した「派生物」やどこの国にも所属しない南極で採取された場合も利益要求する「我々の常識を逸脱した主張」(バイオ業界関係者)を繰り返した。
アフリカの一部からは「大航海時代(15〜17世紀)に取得された動植物を利用した場合も利益を還元すべきだ」との声も上がった。途上国の姿勢について、日本政府関係者は「先進国が譲歩すると、新たな要求を突きつけた」とため息をついた。欧州連合(EU)の交渉官は「重要な課題を留保し、少しでも先進国に譲歩させようとした」と話した。
生態系保全に詳しい吉田正人・筑波大准教授は「生物多様性条約が作られるとき、先進国は保全を目指したが、途上国の目的は利益還元だった」と解説する。
一方、条約は自然と共生する先住民の暮らしを尊重するよう求めているため、名古屋議定書は、遺伝資源に関連する薬効などの伝統的知識の扱いも大きな争点となった。国連の先住民の権利宣言を入れるよう求め、カナダが反対するなど、さまざまな論点で衝突した。
13年以降の地球温暖化対策を議論した昨年の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議では、世界最大の二酸化炭素排出国となった中国など新興国の発言力が増し、終始交渉を主導した。温暖化の影響を受けやすい島しょ国が途上国を含めた世界全体の厳しい排出削減を求め、途上国間の主張の違いも顕在化した。今回も、各国が意見や方針を統一できない状態が続いた。
高村ゆかり龍谷大教授(国際環境法)は「新興国が合意の決定権を握るようになり、国際秩序とルールの変動期を迎えている。新興国の台頭で途上国間の意見の違いが際だってきたことも合意を難しくしている。生物多様性、温暖化とも当面厳しい交渉が続くのではないか」と話す。
医薬品や食品などは、微生物や動植物といった遺伝資源を利用して作られている。自然が豊かな途上国に多くあるが、利用するのは先進国の企業が多い。
途上国には先進国の企業が事前許可や契約を結ばずに遺伝資源を持ち出したと主張。不正取得の監視と利益が確実に還元される仕組みを求めた。一方、先進国は企業活動に影響が出ないように柔軟な制度を求めていた。
◇先進国、利用しやすくなる利点も
名古屋議定書では、使っている遺伝資源が、提供国の政府の事前同意を得ていることや、契約を結んでいることを監視する機関の設置を義務づけた。ただし、監視するのは、途上国が求めていた特許出願時開示段階ではなく、利用国の判断に任された。数も1カ所以上と規定しており、途上国が求めた監視強化が本当に実現するかは利用国の取り組み次第だ。
一方、先進国にとっては、遺伝資源が利用しやすくなる利点がある。国内法で遺伝資源持ち出しを厳しく制限している途上国があるためだ。議定書は各国に担当窓口を置くことを求めており、利用手続きの透明化や時間の短縮が進む
ことが期待されるという。ただし、途上国には担当する人材の育成が必要だ。
02年に利益配分のルールが始まって8年。「この機会を逃すと将来も議定書はできない」という各国のあせりが合意に導いた。
次回COP11が開催されるインドのデジカル・サミール国立研究所教授(都市計画)は「インドのように都市化が進む国が生物多様性をどのように保っていくのかは今後の世界共通の課題」と語った。
COP10:国内法整備着手へ 環境相、議定書早期批准で
毎日新聞 2010年10月30日 13時40分(最終更新 10月30日 13時46分)国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)は30日未明、微生物など遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」と、2010年以降の生態系保全の国際目標「愛知ターゲット」を採択して閉幕した。閉幕後、記者会見した議長の松本龍環境相は、名古屋議定書の早期批准を目指すとともに、その実行を担保するための国内法を制定する方針を明らかにした。次回の締約国会議(COP11)は12年10月、インドで開かれる。
【足立旬子】
議定書は、遺伝資源を利用する企業は提供国から事前の同意を得て、医薬品開発などで得られた利益をバランスよく配分すると規定。利用国に対し、遺伝資源を不正に入手していないか監視機関を設けてチェックするよう求めた。その際、提供国政府が発行する証明書を確認する。どういった体制で監視するかは利用国に判断をゆだねているが、監視機関を1カ所以上設ける。さらに、各国が情報を共有できるよう、条約事務局に情報とりまとめ機関(クリアリングハウス)が設置される。
議定書は50カ国が批准して90日後に発効する。松本環境相は「さまざまな問題を整理し、すみやかに対応しなければならない」と述べ、議定書の早期批准と国内法の制定を急ぐ考えを示した。
一方、愛知ターゲットでは、「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的で早急な行動を取る」とした。さらに陸域は少なくとも17%、海域は公海を含む少なくとも10%を保全するほか、外来種の侵入防止などの目標が決まった。
会見に同席した近藤昭一・副環境相は「この目標に魂を入れていく。一つ一つ実施していく」と述べた。日本の提案で里山のような身近な自然の保護に各国が連携して取り組んでいくことになったのをふまえ、「里地里山法案(生物多様性保全のための活動促進法)の成立も目指す」と語った。
COP10「名古屋議定書」に合意
(2010年10月30日02時01分
読売新聞)
名古屋市で開かれている生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は最終日の29日夜から、翌30日未明にかけて全体会合を開き、最大の焦点となっている生物遺伝資源の利用に伴う利益配分の国際ルール「名古屋議定書」と、もう一つの重要課題である生態系保全のための世界共通目標に合意した。
この後、この二つに合意する条件として途上国が求めている資金援助にも合意した。これにより、正式に採択される。
合意された議定書は、その目的として、遺伝資源による利益の公平な配分と、適切な資金支援や技術協力を通じた生物多様性の保全と持続的利用を掲げた。
その上で、途上国が求める遺伝資源の不正取得の防止や監視については、遺伝資源の利用国が監視部署を1か所以上設置すべきだとする条項を盛り込んだ。
生態系保全に世界共通目標、COP10閉幕
(2010年10月30日14時42分
読売新聞)
名古屋市で開かれていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、全体会合で合意した生物遺伝資源の利益配分ルール「名古屋議定書」と、生態系保全のための世界共通目標「愛知ターゲット」などを正式に採択して閉幕した。
COP10議長の松本環境相は閉幕後の記者会見で、政府として議定書批准を目指す方針を明らかにした。名古屋議定書は、来年2月以降に各国の署名手続きが行われ、50番目の国・地域が批准した後、90日たつと発効する。
採択後の記者会見で松本環境相は「各国代表が歯がゆい思いで譲歩し、妥協した結果。議長国として議定書とターゲットにしっかり魂を入れていく」と述べた。
利益配分の対象となる遺伝資源について、議定書は途上国が求めていた植民地時代までさかのぼって利益配分することは認めず、議定書の発効以降に対象を限定した。感染症流行時の「病原体」の扱いでは、ワクチン製造のため、途上国側に迅速な利用への配慮を、先進国側には途上国側への迅速な利益配分を求めた。
生物の産業利用に国際ルール 名古屋議定書を採択
企業活動に影響大きく
2010/10/30 1:11 (2010/10/30
1:44更新)日本経済新聞
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、生物の利用や利益配分の枠組みを定める「名古屋議定書」を採択した。地球温暖化防止に関する「京都議定書」に続き、日本が主導的な役割を果たして新たな議定書が策定された。今後、生物多様性の保全が温暖化防止とともに企業活動に大きな影響を及ぼすことになる。
COP10は13日からの事前会合も含め2週間以上にわたり協議。名古屋議定書などについては最終日の29日朝、議長を務める松本龍環境相が各国に議長案を提示、30日未明になって採択された。
名古屋議定書では、生物の産業利用に伴う利益の配分について定めている。
先進国の主張を認め、議定書発効後に利用した生物に限定した。一方で、途上国などが求めていた、生物が持つ成分を化学合成などで改良した「派生物」についても原産国に利益を配分する余地を残した。
各締約国は2011〜20年を約束期間とする生態系保全目標でも合意。焦点だった保護区は陸の17%、海の10%で決着した。
このほか、保全に必要な官民の資金を10倍にする目標案もあったが、数字は削除された。絶滅危惧種の保護強化なども目標に盛り込まれている。
COP10は当初、29日夕までにすべての案件を採択し閉幕する予定だったが、各国は会期を延長して合意を目指した。資源を多く保有する途上国と利用者側の先進国との利害対立が改めて浮き彫りになった。
「過去の利益」配分は対象外 COP10、議定書後に限定
2010/10/30 7:00日本経済新聞
生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)は30日未明、最大の焦点だった「名古屋議定書」で合意した。議定書は生物資源の利用と原産国への利益配分を定めた初のルールだ。ただ、資源を保有する途上国と利用企業が多い先進国との利害対立は解消していない。今後、微生物の優れた働きを生かした医
薬品など動植物を使った製品の開発費を押し上げる要因になる可能性もある。
名古屋議定書では先進国が過去に原産国で採取し、植物園や微生物バンクで保管しているなど、議定書発効前に入手した生物については利益配分の対象外とした。アフリカ諸国には植民地時代に多くの有用な動植物を取られたという意識が強く、過去にさかのぼって利益を得る権利を認めるよう求めていた。
欧州連合(EU)などは、こうした主張が通れば生物資源を使う例が多い医薬品や化粧品、食品などで、過去の製品に対しても利益還元の義務が生じると懸念していた。多くの製品は世界に出回っており、影響は広がる可能性があった。
生物が持つ成分を化学合成などで改良した「派生物」を対象に含めるかどうかは、玉虫色の内容となった。条文には直接的には派生物という言葉を使っていないが、実際には派生物を含むと解釈できる内容だ。
多くの製品は近年、動植物を直接使うのではなくそこから得られる化学物質を人工合成するなどの手法で改良している。議定書では合意を優先するあまり派生物の扱いがあいまいになり、企業には不安も残した。
途上国の声を受けて、企業による不正取得を監視する仕組みも設けるとした。動植物の利用国が1つ以上の監視機関で実施する。特許当局や学術論文の審査機関に監視を担わせる案もあったが、議定書では具体的に決めず各国の裁量の余地を残すとした。
COP10では、多様な生物やその生息環境を保全するための目標も決めた。
2011〜20年を約束期間として、海や陸のどの程度の部分を保護区にするかを決めた。絶滅種が増えないよう、生息地の減少速度も抑える。
より高い目標を求める声もあったが、今後の開発が制約を受けるとして途上国がブレーキをかけた。それでも、各国で工場の立地や大規模開発などの際に、従来以上に生態系への配慮が求められることになる。
今回の合意について先進国、途上国の双方に不満は残っている。インドを議長国として12年に開く予定の次回会合へ向け、ルールの内容や保全目標について再び意見調整が必要になる可能性もある。
国内法を整備へ COP10閉幕、不正取得に監視機関
2010/10/30
13:36日本経済新聞
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、動植物がもたらす利益配分の枠組みを定めた「名古屋議定書」と世界の生態系保全目標(愛知ターゲット)を採択し閉幕した。これを受け、政府は国内法の整備に乗り出す。生物の製品化に、地球温暖化防止と並ぶ国際ルールが適用され、法的な枠組みを早期に整えて適切な企業活動を促す方針だ。
松本龍環境相は閉幕後の記者会見で、名古屋議定書の約束を守るうえで「国内法の整備を速やかに検討する」と表明した。最大の争点となった議定書は、途上国から持ち出される動植物を厳しく監視するよう規定。天然成分を人工合成した利益の還元も、途上国の主張を事実上容認した。先進国は利用の見返りに、原産国への資金拠出や技術供与が課せられる。各国・地域の政府は対応を迫られる。
政府は2011年秋以降に議定書を批准し、関連法案を国会に提出する。法案は、企業や大学などが海外の生物を不正取得していないかを監視する機関の創設などを盛り込む見通し。
監視機関は、外国産の動植物を製品化する企業などに対し、原産国の同意書を提出するよう義務付ける。企業側は、国内に持ち込む原材料を厳密に管理する体制づくりが求められる。
一方、国内の動植物を海外企業が利用することも想定。受け付け窓口や手続きを定める方針だ。
各締約国は11〜20年を約束期間とする生態系保全目標でも合意。世界で陸地の17%(現在は約13%)、海の10%(同1.2%)に保護区を設ける。漁業制限や保護区の指定を明確に打ち出すことも必要になりそうだ。
環境相は会見で「議長国として議長として大きな成果を得た」とも語り、COP10は成功したとの認識を示した。次回のCOP11は12年にインドで開かれ
。
COP10は当初、29日夕までにすべての案件を採択し閉幕する予定だったが、各国は会期を延長して合意を目指した。地球温暖化防止に努める「京都議定書に続き、日本が主導して新たな議定書が策定された。
名古屋議定書と生態系保全目標のポイント
■名古屋議定書
*
議定書発効前の生物取得への利益配分は認めない
* 先住民の薬効成分の知識にも利益配分をする
*
学術研究は簡素な手続きで生物を取得できるようにする
*
不正取得の審査機関の設置を義務化
■生態系保全目標(愛知ターゲット)
*
2020年までに少なくとも陸の17%(現在は約13%)、海の10%(同1.2%)に保護区
* 生息地の損失速度を半減
*
農業や水産業を持続的に管理
*
絶滅危惧種を保護し、状態を改善
名古屋議定書、運用で混乱も 契約内容は個別判断
2010/10/31
7:00日本経済新聞
生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)で生物利用によって得られた利益の配分を定めた「名古屋議定書」と、生物保全を目的とした「愛知ターゲット」が採択され、各国は国内の関連法などの整備を進める。ただ、議定書の内容はあいまいな部分も多く、実際の運用では混乱も生じそうだ。生物資源を使う企業は議定書に基づいて原産国の関係機関などと動植物などの利用契約を結ぶが、厳しい条件を突きつけられる可能性もある。
利益配分の決め方
名古屋議定書は50カ国が批准すれば90日後に発効する。日本は2011年秋以降に批准する見通し。資源を使う企業は議定書に沿った手続きが必要になる。原産国の事前同意を得たうえで、どの生物や物質について利益のどの程度を配分するか契約を結ぶ。利益配分には金銭だけでなく技術供与や人材育成も含む。
生物の希少性や製品に応じて、契約内容を詰める必要がある。原産国の政治・財政状況などが影響する可能性もあり、最終的にどんな条件を要求されるかは不透明だ。
議定書には利益配分の例外規定もある。例えば学術研究なら簡素な手続きで利用が認められる。新型感染症の拡大などの緊急時に、発生国から病原体を取り寄せる際も特例措置の余地を残した。ただ、利用国と原産国の認識が異なれば手続きが滞る懸念もある。
生物そのものではなく成分を化学合成して改良したものなど「派生物」の扱いは、議定書では玉虫色の表現だ。多くの企業は製品開発に派生物を使っており、これが利益配分の対象に含まれればコスト増につながる。
不正利用に罰則?
議定書は資源の利用国に、海外の生物を不正に採取していないか監視する機関の設置も求めた。契約条件をはずれているなど不正な利用とみなされれば、罰則などが科される可能性もある。
COP10の議長を務めた松本龍環境相は議定書は「完ぺきではない」と認める。閉幕後、ナミビアの交渉官は「とても満足がいくものではない」と不満を述べた。条約には米国が加盟していないため、議定書の実効性に疑問が出ているほか、日本や欧州諸国が製品開発などで不利になるのを心配する声もある。
生態系どう保全
愛知ターゲットは陸の少なくとも17%、海の同10%を保護区とする目標を決めた。現在は陸が約13%、海は約1%。世界自然保護基金(WWF)は「目標は科学者が勧告する数値の半分にすぎない」との見方を示す。
環境省は陸の保護区を拡大するため、国立公園の新規指定を進める。希少な生物がすむ海域も保護区にする方針だ。動植物の生息地を守るため、企業などの民間資金も必要になる。
名古屋議定書を採択 生物資源の利益配分、COP10閉幕
2010年10月30日中日新聞
名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は29日の最終日、30日未明まで続いた協議の結果、焦点となっている発展途上国の貴重な生物資源(遺伝資源)の利用と利益配分を決める「名古屋議定書」と、今後の生態系保護の取り組みとなる新戦略目標(愛知ターゲット)を全会一致で採択し、閉幕した。
議定書をめぐっては、植民地時代まで議定書の効力をさかのぼるよう求めるアフリカ諸国と先進国が激しく対立。議長を務める松本龍環境相が議長案を提示し採決に持ち込んだ。10年越しの交渉を経て名古屋で、温室効果ガスの削減を義務づける京都議定書(1997年採択)と並ぶ法的強制力のある国際環境ルールが誕生した。
議定書は、先進国が途上国の生物資源を利用する代わりに、途上国に薬品や食品の商品開発による利益を還元。この資金で地球上で最も生態系が多様な熱帯雨林やサンゴ礁などの減少を食い止め、回復させ豊かにするという条約の根幹をなす仕組み。
アフリカ諸国など途上国が主張していた議定書の効力を過去のどの時点までさかのぼるかの問題は、最も対立が深く、膠着(こうちゃく)していたが、先進国が途上国を支援する多国間資金援助メカニズムを盛り込み決着した。
愛知ターゲットについては、2050年の長期目標に「自然との共生」の実現を掲げ、20年までの短期目標は「生物多様性の損失を食い止めるため、効果的で緊急な行動を行う」とした。
地球上の陸域の17%、海域の10%を20年までに自然保護区とする目標も決定した。
議長国日本が独自に提案した中山間地区の自然を守る「SATOYAMA 里山)イニシアティブ」も世界に向け発信され、生物多様性の損失を科学的に検証する学識者のグループ「IPBES」の設立勧告を、12月にニューヨークで開かれる国連総会で行うことになった。
次回のCOP11は2012年10月、インドで開かれることが決まった。
(中日新聞)
<名古屋議定書の要旨>
生物多様性会議の「名古屋議定書」の要旨は次の通り。
一、遺伝資源の利用で生じた利益を公平に配分するのが目的。
一、遺伝資源と並び、遺伝資源に関連した先住民の伝統的知識も利益配分の対象とする。
一、利益には金銭的利益と非金銭的利益を含み、配分は互いに合意した条件に沿って行う。
一、遺伝資源の入手には、資源の提供国から事前の同意を得ることが必要。
一、多国間の利益配分の仕組みの創設を検討する。
一、人の健康上の緊急事態に備えた病原体の入手に際しては、早急なアクセスと利益配分の実施に配慮する。
一、各国は必要な法的な措置を取り、企業や研究機関が入手した遺伝資源を不正利用していないか、各国がチェックする。(共同)
COP10での主な成果
新戦略目標
長期目標(2050年まで)
生物多様性が評価され、賢明に利用されることで地球が健全に維持され、すべての人々に恩恵が与えられる「人が自然と共生する世界」の実現
短期目標(2020年まで)
主目標 生物多様性の損失を食い止めるため効果的、緊急な行動を実施する
個別目標
・すべての人が生物多様性の価値を認識する
・15年までに各国が、生物多様性国家戦略と行動計画をつくる
・絶滅危ぐ種の保全状況を維持・改善する
里山イニシアチブ
日本の里山をモデルに暮らしと自然が共生する地域の保全を推進
国連生物多様性の10年
11〜20年を国連の生態系保護強化期間に。国連総会での採択目指す
生物多様性を分析・評価する国際組織(IPBES)
国連総会で早期に設立を図るよう勧告
世界植物保全戦略
20年までに各国の絶滅危ぐ植物の少なくとも75%を保全
未来へ共生の種 「議定書実行が大切」
2010年10月30日 中日新聞
約3週間の長丁場となったCOP10は30日未明、難産の末、開催地の名を冠した「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」を採択。地球の生物多様性の未来に向けた新たな一歩を踏み出した。歴史的な瞬間に立ち会った各国の参加者は喜びを分かち合い、難交渉をまとめた議長国・日本の手腕を評価する声も。今後の実効性に努力する決意も会場にあふれた。
これが生みの苦しみなのか。日付は、すでに変わっていた。30日午前1時29分。「採択いたします」。異を唱える国がないことを確認し、松本龍環境相が木づちを鳴らす。名古屋議定書が生まれた瞬間だった。
右手で握りこぶしをつくる環境相。会場から割れんばかりの拍手が起き、歓声や口笛が鳴る。皆が立ち上がり、キスをしたり抱き合う姿も。続けて「愛知ターゲット」なども次々採択された。
「緊張、怒り、ストレス…。そのすべてを感じる難交渉だった。生物多様性にとっての新しい幕開けに立ち会え、誇りに思う」。その瞬間、ブラジル政府のニコル・デ・パウラドミンゴスさん(27)は、ほおを紅潮させた。
生物資源の効力を植民地時代にまでさかのぼるブラジルら途上国の主張は通らなかった。だが「スケールの大きい交渉は思い通りにはいかない。名古屋議定書が今後、しっかり実行に移されることが大切」と前向きに述べた。
ドイツの非政府組織(NGO)メンバー、クリスチャン・シュボルザーさんは「70〜80点の合格点。歓迎できる結末だった」と笑顔。「議定書の中身の分析が必要」としつつも「日本は非常に良いリーダーシップを見せた」と評価した。
リベリア政府のヨハンセン・ボーガさん(52)は「各国の妥協の産物には違いないが、何年もかけて作り上げた歴史的な収穫。2週間の議論が無駄にならず、未来につながるよう、中身がもっと現実的になるよう努力したい」と先を見据えた。
COP10支援実行委員会アドバイザーの香坂玲名古屋市立大准教授は「100点満点の90点を付けても良いのでは」と全体を振り返り、高く評価した。
暗礁に乗り上げた名古屋議定書の交渉を打ち切らせ、松本環境相が29日朝、提示した議長案。香坂准教授は「日本の大胆な手法が功を奏し、最後に日本が示した10億円の途上国支援策も、議定書採択への誘い水となった」と分析した。
◆松本環境相「たくさんの思い乗り移った」
「私の力はごくわずかだが、これまでのたくさんの人たちの思いが私に乗り移り、成功に導いてくれた」 COP10が閉幕して30分後の30日午前3時半に、記者会見した松本龍環境相。議長の大役を終えた疲労感をにじませながらも、「名古屋議定書」の採択にこぎ着けた達成感が満ちあふれた。
内閣改造で環境相に就いたのは、COP10目前の9月17日。「ものすごくきつい1カ月半だった。なかでも(閣僚級会合が始まった)27日からは本当にきつい3日間だった」と打ち明けた。
29日朝、議長案を各国に示した席では「私は物言わぬ生きものたちや言葉をしゃべれない子ども、まだ生まれてきていない人たちの代表でもある」とそれぞれに歩み寄りを求めたという。
「正直言うと、採択の確信はなかった」とも。「生物多様性を保全するんだという思いを持つ人たちが、あきらめなかった」と関係者への感謝を述べた。
議定書が採択された瞬間、会場に拍手と口笛が鳴り響いた。「あの時は泣いた。一生忘れることはないだろう」
「国内法の整備急ぐ」 名古屋議定書、愛知ターゲット
2010年10月30日 中日新聞
発展途上国の貴重な生物資源(遺伝資源)の利用と利益配分を決める「名古屋議定書」などを採択した生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の閉幕を受け、議長を務めた松本龍環境相が30日未明、名古屋市熱田区の名
古屋国際会議場で会見した。松本氏は議定書の早期批准を目指すとともに、実効性を担保するため「国内法の整備を急ぎたい」と強調した。
同日未明までもつれ込んだ会議では、名古屋議定書や今後の生態系保護の取り組みとなる新戦略目標「愛知ターゲット」を採択。閉幕後の会見で松本氏は「すべての締約国の妥協と決着が重なった結果だ。人類の一員として、子どもたちに残すものができた。しっかり伝えていきたい」と今後の取り組みへ意欲を示した。
日本は独自提案として「国連生物多様性の10年」を提唱し、12月の国連総会で決議される予定。河村たかし名古屋市長は、この取り組みに向けた市民活動の拠点として「ネットワークセンター」を招致している。近藤昭一環境副大臣は「愛知県、名古屋市とも何かを残していきたい気持ちがある。今後につながるものを残していくことが大事で必ず実現したい」と語った。
COP10は最終日の29日午後3時から全体会合で決議案の採択を始めたが、議定書と新戦略目標、条約の実施に向けた資金計画の3つを同時に採択することを欧州連合(EU)が要求。キューバなど中米の国からも異論があり、協議が紛糾した。
しかし、異論がある国の意見を議事録に残すことで決着が図られ、30日未明、名古屋議定書など主要課題が採択された。
COP10、名古屋議定書と戦略プランを採択し閉幕
2010.10.30 Sat
12:04
ロンドン(CNN) 名古屋で開催されていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10:国連地球生きもの会議)で30日、今後10年間の世界の生態系保護に関する協定が採択された。
世界190カ国以上の代表者が30日未明まで議論を重ね、近年加速する生物多様性の喪失の阻止を目的とした20項目からなる戦略プランを採択した。この協定の下で各国政府は、地球上の陸域の17%と海域の10%を2020年までに法律などで保護することを目標とする。
また、長年にわたり先進国と発展途上国の間で対立が続いていた医薬品などのもとになる動植物などの遺伝資源の公平な利用と利益配分に関する問題も、30日未明にABS議定書(名古屋議定書)という形で合意が成立した。
しかし、ブラジル、キューバ、ベネズエラ、エクアドルなど発展途上国側は、2週間の議論の間に議定書案に多くの変更がなされ、内容が「大きく損なわれた」との懸念を表明、発展途上国の天然資源から得た利益の適切な分配とは言えないと主張した。
しかし、国際自然保護連合(ICUN)の生物多様性保全グループ担当ディレクター、ジェーン・スマート氏は、「大変すばらしい結果だと思う。もし締結に至らなければ何1つ合意できなかっただろう」とし、ABS議定書の締結を評価した。 |
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中日新聞社説 海洋保護区 広げたい里海のこころ |
| 20101027 |
海は広いが、不死身でも無限大でもない。身近な里海にも保護が必要な時代。保護区をどう設定するか。その数値目標は、南北が隔たる生物多様性条約名古屋会議(COP10)終盤の大きな論点だ。
COP10で公表された国際自然保護連合(IUCN)の報告書によると、広い世界の海のうち、現在、開発や漁業の規制が敷かれ、保護されているといえる面積は、全体の1・17%しかない。陸域の保全面積の12%に比べても、海の保護区は少なすぎるといっていい。
生物の消失に歯止めをかける、COP10の二〇二〇年までの世界共通目標作りの議論では、欧州や日本など先進国は「15%保護」の条約事務局案を支持しているが、中国が6%を主張するなど、途上国側は、漁業への影響を懸念して、より低く抑えたい考えだ。
国連環境計画(UNEP)がCOP10で公表した「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)の最終報告では、乱獲による漁業資源の損失だけで年四兆円余に上る。UNEPは日本を含む北西太平洋海域で乱獲が進みすぎ、五〇
年までに大型魚がほぼ消滅するとの警告も発している。今海を守らねば、南北を問わず地球全体が、先々大きな損をする。
日本は、領海・排他的経済水域(EEZ)の広さが世界第六位の海洋国。ところが、保護区の定義すら定かでないのが現実だ。世界自然保護基金(WWF)ジャパンの調べでは、保護される日本の海の割合は、鳥獣保護法や海中公園地区による規制区域など、4%足らずしかない計算だ。
だが日本には、身近にあって、さまざまな恵みを与えてくれる地域資源の「里海」を、漁民と住民が協力して荒廃から再生させた例も数多い。大分県の中津干潟などだ。住民は浜辺に遊んで、海に親しみ、地元で捕れる魚を食べて、地域ぐるみで漁民の暮らしを支援する。漁民は魚の産卵場になる藻場の再生や干潟の保全などに取り組み、両者が協力して海辺の清掃活動に精を出す。
このような成功例を示しつつ、海の生きものを管轄する農林水産省と環境省が縦割り行政を改めて、協力し合い、「里海」保護への強い姿勢を打ち出すべきだ。海を守るということは、そこから上がるさまざまな利益を守ること。世界一の魚食国日本が、保護区のメリットを自信を持ってアピールすれば、南北が歩み寄る機運もきっと高まるはずだ。 |
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途上国の森林保護 温暖化防止へ新しい仕組み協議 |
| 20101027 |
60カ国以上が参加して、途上国の森林破壊を食い止める方策を話し合う閣僚級会合が26日、名古屋市の生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)の会場で開かれた。温室効果ガスの排出量を抑えるために、途上国で森林保護に向けた取り組みを進めることを確認。2012年までに資金源の拡大や、実際の保全プロジェクトを進めていくことをうたった共同議長サマリーをまとめた。
「REDD+(レッド・プラス)パートナーシップ」という69カ国でつくるグループの閣僚級の会合。ポスト京都議定書の国連交渉でREDD+(途上国における森林減少の防止)と呼ばれる新制度づくりが進められており、これを後押しするために今年5月、同グループが設立された。
会合終了後の会見で、共同議長を務めた前原誠司外相は「温暖化対策の重要な柱として、活動を加速させる方向を打ち出したことが大きな成果だ」と話した。
英国やドイツなど出席者の多くは、生物多様性を守る「一石二鳥」の取り組みとして、森林保護を進める重要性を強調した。森林破壊が激しい熱帯雨林などは、生物の多様性が豊かな場所として知られ、多くの動植物が絶滅の危機にさらされているからだ。
また、難航する温暖化交渉を後押しする効果にも期待が寄せられた。削減目標をめぐって先進国と途上国が鋭く対立するなか、途上国の森林保護については異論が少なく、11月末からメキシコで開かれる気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)でも議論される。この日の会合に出席した同条約のフィゲレス事務局長は「本会合はCOP16で野心的な成果をもたらすために貢献するだろう」と述べた。 |
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脊椎動物:約2割絶滅の恐れ 国際自然保護連合まとめ |
| 20101027 |
約2万5000種の脊椎(せきつい)動物のうち5分の1に絶滅の危険があるとした最新の分析を、世界の科学者で作る「国際自然保護連合(IUCN)」がまとめ、27日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。このうち哺乳(ほにゅう)類、鳥類、両生類は毎年平均52種の絶滅危険性が高まっている。一方、保護活動で種の減少速度が抑えられたことも初めて科学的に示され、IUCNは、名古屋市で開催中の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)で、各国に対策強化を呼びかけた。
IUCNは数年ごとに種ごとに絶滅の危険度を8段階で示した「レッドリスト」を公表している。今回は38カ国174人の研究者が哺乳類、鳥類、両生類と一部の魚類など脊椎動物計2万5780種を対象に80年以降の危険度の変化を調べた。
それによると、約250種が絶滅し、約5000種に絶滅の恐れがあった。
絶滅危険度の変化を計算すると、両生類は80〜04年に662種で悪化。哺乳類も156種(96〜08年)、鳥類は223種(88〜08年)が高まり、平均すると80年以降で毎年52種が絶滅に近づいたという。
一方、保護区設定や狩猟禁止などの対策で、哺乳類で29種(96〜07年)、鳥類で39種(88〜08年)の絶滅危険度の悪化を防いだと推測した。
条約事務局は5月、「10年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」との目標が達成できなかったと発表。各国は名古屋会議で10年以降の生態系保全の国際目標を交渉している。IUCNは「野生生物保護の取り組みが失敗したわけではない。必要なのは対策強化だ」としている。 |
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対立越え政治決着探る COP10閣僚級会合スタート |
| 20101027 |
生態系を保全し、自然と共生した暮らしの在り方を議論する名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は27日、120カ国の首脳や環境相らが参加して閣僚級会合が開かれた。
主要議題は、多様性保全に向けた2010年以降の国際目標づくりと、医薬品開発に役立つ遺伝資源の利益配分ルールに関する議定書の策定。激しく対立する先進国と発展途上国がどれだけ歩み寄ることができるかが鍵で、最終日の29日に向けて政治決着を探る展開が続く。
閣僚級会合では、菅直人首相があいさつ。各国の環境相や国際機関の代表らが発言して意見を表明。午後には閣僚レベルの非公式協議が並行して開かれ、意見の隔たりが大きい議題について本格的な交渉を行う。
動植物や微生物など遺伝資源の利益配分に関する議定書については採択の見通しが立たない状況。遺伝資源を多く抱えて利益配分の対象範囲を広くしたい途上国と、利用企業への制約を少なくしたい先進国の意見が大きく隔たっている。
各国の今後の取り組みを導く新たな保全目標についても、多くの点で議論は平行線。開発や農漁業を制約する保護区の設定割合や、途上国への資金援助の規模などをめぐり対立が根深く、合意が危ぶまれる状況だ。 |
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EU、海洋保護に100万ユーロ拠出 |
| 20101027 |
名古屋市熱田区で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に参加している欧州連合(EU)は26日、ツバルやパラオなど気候変動の影響を受けて海面上昇やサンゴの白化現象に見舞われている島しょ国の海洋保護区の支援に、100万ユーロ(約1億1300万円)を拠出することを決めた。2020年までの短期目標をめぐって難航する新戦略目標(愛知ターゲット)の交渉打開を目指す動きで、27日からの閣僚級会合を意識した先進国と途上国の綱引きが一段と激しくなってきたCOP10では、20年までに地球上の海洋の何割を海洋保護区に設定するかが課題の1つ。しかし、フィリピンやインドネシアなど東南アジアでは、ダイナマイトでサンゴ礁を破壊して魚を捕る漁法が横行しており、海洋保護の実効を上げるためにも、住民への教育活動の必要性が指摘されている。
そこでEUは今回、国連環境計画(UNEP)や世界銀行などでつくる地球環境ファシリティー(GEF)に100万ユーロを拠出。GEFを通じ、途上国の島国での海洋保護区の生物多様性保全に向けた人材育成を図る考え。
愛知ターゲットでは、11〜50年の長期目標について、26日の協議で「自然との共生」を盛り込み大筋で合意。閣僚級会合を経て29日の最終日に採択される。
26日は、生物多様性条約と気候変動枠組み条約と合同の閣僚級会合も開催。途上国の熱帯雨林に投資し、二酸化炭素(CO2)排出抑制と、生態系の復活を目指す共同議長声明を発表した。「名古屋議定書」をめぐっては、COP10議長の松本龍環境相が最終日での採択に向け、審議を28日夕までに終えるよう要請した。 |
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菅首相「途上国支援1600億円」…COP10 |
| 20101027 |
名古屋市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は27日、閣僚級会合がスタートした。
生物遺伝資源を利用した際の利益配分ルール「名古屋議定書」を巡る交渉は難航を極めており、議長国・日本は資金支援などを掲げて打開を目指す。最終日の29日までに、同議定書の採択と生態系保全の世界共通目標の設定ができるかどうかは予断を許さない状況だ。
会合には115を超える国・地域の閣僚が参加。開会式に駆けつけた菅首相は「途上国が国家戦略を策定し、実践していく取り組みを支援する『いのちの共生イニシアティブ』を立ち上げ、2010年から3年間で20億ドル(約1630億円)の支援を行う」と表明した。議長の松本環境相は「種の絶滅は続き、絶滅した種は戻らない。私たちは地球以外で生きることができない。議定書について合意を成立させよう」と呼びかけた。 |
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生態系保全へ企業も努力…国内400社の自主組織発足へ |
| 20101026 |
日本経団連と国際自然保護連合(本部・スイス)などが主催する「ビジネスと生態系に関する国際対話会合」が26日午前、名古屋市の名古屋国際会議場で始まった。世界の経営トップら約130人が参加。会合での討議を経て、生態系保全に賛同する日本企業約400社でつくる「生物多様性民間参画パートナーシップ」を発足させる予定だ。
生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)の関連会合の一つ。生きもの会議では2020年に向けた生態系保全の目標(名古屋ターゲット)を話し合っているが、この会合では目標達成のために企業がどう取り組むかを議論する。
経団連は昨年3月、「生物多様性に資する行動に自発的かつ着実に取り組む」「資源循環型経営を推進する」など、経営で実践すべき7原則を掲げた「生物多様性宣言」を採択。この7原則を一つでも実行できる企業を組織化。
共通のロゴマークをつくるなどして、生態系保全に取り組む姿勢をPRする。 |
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アマゾン、3日に1度新種発見 生物の宝庫 |
| 20101026 |
3日に1度のペースで新種を発見―。世界最大の熱帯雨林の南米アマゾンは、過去10年間にカエルやオウムなど1220の新種の動植物が見つかるなど生物多様性の宝庫だとする報告書を、世界自然保護基金(WWF)が26日、名古屋市の生物多様性条約締約国会議の場で発表した。
燃える炎のような赤い頭部に、青と黒のしま模様の脚を持つ色鮮やかなヤドクガエルや、頭部に毛がなく、胴体が緑色や黄色、赤色の羽毛に覆われたインコの仲間など、ユニークな生物が多く、WWFは「アマゾンの乱開発を食い止めることは各国政府や企業、市民の責務だ」としている。
WWFによると、アマゾンには世界で確認されている動植物の約10%が生息。2009年までの10年間に植物637種、魚類257種、両生類216種、爬虫類55種、鳥類16種が新たに発見された。哺乳類は39種で、00年には小型霊長類、マーモセットの一種が発見されている。 |
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自治体も生物多様性で積極行動 国際会議が開幕 |
| 20101025 |
国内外の約190自治体が参加する国際自治体会議が25日、名古屋市で開幕した。生物多様性の損失を食い止めるため自治体が積極的に行動することなどを盛り込んだ「愛知・名古屋宣言」を26日に採択、同市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に報告する。
自治体会議には39都道府県と92市町村のほか、海外から28カ国の59自治体が参加を予定(25日現在)。生態系に配慮した都市開発や、地域の経済的資産としての自然保護の在り方など8テーマを2日間、分科会で議論する。
国連生物多様性条約事務局のジョグラフ事務局長は25日の開会式で「都市化が進み、生物多様性は失われ続けている。地球の将来は、都市の自治体が積極的に対策に参加するかどうかにかかっている」と訴えた。 |
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COP10 利益配分論議延長 |
| 20101025 |
名古屋で開かれている国連の会議、COP10は、最大の焦点になっている生物から得られる利益をどう分け合うかを定める議定書の原案を25日までに取りまとめる予定でしたが、週末の議論でも発展途上国と先進国の対立が解消されず、期限を閣僚級会合前日の26日まで延長し、さらに議論を続けることになりました。
国連の会議、COP10は、生物をもとに作られる医薬品などの利益を、生物の原産国である発展途上国と利用する側の先進国とでどう分け合うかの国際ルールを作り、議定書として採択することを目指しています。当初は議定書の原案を先週、金曜日に提出する予定でしたが、取りまとめることができず、あらためて25日に提出することになっていました。しかし、週末の議論でも生物から得られる利益をどれだけ過去にさかのぼって配分するかをめぐり、途上国と先進国の対立が解けなかったため、この問題を議論している会合のホッジス議長から25日の全体会合で取りまとめの期限を再び延長する要望が出され、26日までの延長が了承されました。この中でホッジス議長は「われわれにはもう少し時間が必要だ。各国の代表には、あらためて妥協の精神で臨んでもらいたい」と述べました。27日からは閣僚級会合が開かれますが、議定書案がまとまり最終日の29日に採択できるかは不透明な情勢です。
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「生物多様性の10年」で合意 国連決議求め締約国会議 |
| 20101025 |
名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は25日、12月の国連総会で2011〜20年を「生物多様性の10年」と定めるよう求める決議内容に作業部会で合意した。
主要議題となっている遺伝資源の利益配分ルールの交渉について、非公式協議グループが全体会合で報告したが、大きな進展はなかった。もう一つの主要議題の2010年以降の保全目標でも、多くの項目で意見の隔たりが残っている。
今年は国連の生物多様性年。「多様性の10年」の決議は日本が提案したもので、各国が引き続き生態系保全に努めることを求める。作業部会では、湖や河川の生態系保護に関する決議内容も固まった。
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バイオ燃料推進国 森林保護国 環境でも対立 |
| 20101025 |
名古屋市で開かれている生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、気候変動対策に有効として世界各国で推進されるバイオ燃料に関する決議について、バイオ燃料の輸出大国であるブラジルと、「森林がバイオ燃料を作るために切り倒されている」と主張するアフリカ諸国などが対立している。かつてバイオ燃料の推進が食糧価格上昇の要因になったと批判されたが、生物多様性にも影響を及ぼすことが、問題点として浮かび上がっている。
25日、ブラジルはセミナーを会場近くで開催、同国環境相も出席して、バイオ燃料が生物多様性に悪影響を与えることがないことを訴えた。
バイオ燃料はトウモロコシやサトウキビ、アブラヤシなど植物を発酵させて生産するため二酸化炭素の排出量がゼロと計算される。このため、米国や欧州はバイオ燃料をガソリンなど化石燃料の代替燃料として推進。日本もガソリンにバイオエタノールを混ぜることを検討中だ。
しかし、アフリカやアジアの途上国では外貨を稼ぐことができるため畑がバイオ燃料用に転作され、森林の恵みで生活する先住民が畑により居住地を脅かされる事態も起きている。25日の会議でも、ノルウェーの先住民、グンブリット・レッターさんは「伝統的に住んできた土地が奪われ生活が乱される。そこに単一作物が植えられて生物多様性にも悪影響を及ぼす」と訴える。
一方、バイオ燃料の必要性は認めつつも、何らかの規制を求める声もある。
スイス政府のフランツ大使は「バイオ燃料の推進は温暖化対策として重要だが、食糧や生物多様性に影響がないようにCOP10でガイドライン作るべきだ」と主張している。 |
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EU・カナダに「生きもの会議の足を引っ張ってるで賞」 |
| 20101025 |
議論の足を引っ張るのは、どの国? 名古屋市で開かれている国連地球生きもの会議(COP10)をめぐり、NGOの世界的なネットワーク「CBD(生物多様性条約)アライアンス」は25日、欧州連合(EU)とカナダに不名誉な「ドードー賞」を授与した。ドードーは絶滅した鳥の名前で、生物多様性の象徴とされる。
授与の理由は、COP10の主要議題の一つ「遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)」の議論で、両者が開幕後も非協力的な交渉態度を続けていること。NGO側は「27日からの閣僚級会合に向けて奮起を促したい」。
また、国際環境保護団体「グリーンピース」は、森林破壊に手を貸した国や企業に贈る「ゴールデン・チェーンソー賞」に、パプアニューギニアを選んだと発表した。
一方、ドイツに拠点を置くNGO「ワールド・フューチャー・カウンシル」は、コスタリカの生物多様性法を政策大賞の最優秀賞に選んだと発表した。国土全体の26%を保護地域に指定し、森林伐採の停止や土地の修復などで成功した点を高く評価した。(志村英司)
一方、交渉に積極的と高い評価を受けたのはノルウェーやボリビア、フィリピン。日本は「存在感を発揮して交渉をまとめるところまでいっていない」との評価だった。
また、各国の政策を比較したドイツの財団は、生物多様性の模範となる政策を実施した国として、国土の26%を保護区とする中米コスタリカを大賞に選んだ。 |
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生物多様性を科学で計測 政府間パネルの多難な使命 |
| 20101023 |
名古屋市で開催中の第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)で、新組織「生物多様性と生態系サービスに関する政府間パネル(IPBES)」の設立が発表され、年内にも正式発足する運びとなった。生物多様性について、科学的な裏付けと具体的な政策との橋渡しをするのが目的だが、実現に向けて課題は山積している。
21日開かれたIPBESに関する会合で、国際的な生物多様性研究計画「DIVERSITAS」のアン・ラリゴードリー事務局長は「IPBESには独立・透明・信頼性と、質の高い科学的情報の提供が求められる」と述べ、観測データベースの改善、生物多様性変化モデルの構築、広範な社会経済学的シナリオの作成などの目標を掲げた。
生物多様性保全では「1年間で4万もの生物種が絶滅している」「絶滅のスピードが加速している」といった警告が頻繁に見られるが、実際に計量することは不可能だ。あくまでも推定に基づくものにすぎず、確からしさは低い。説得力ある政策に結びつけるには無理がある。
そこで、IPBESでは「質の高い科学的情報」とは何かという議論から始まり、科学的な計量手法の確立やそれに基づく地球規模での観測を手掛ける必要がある。これには気の遠くなるほどの長い時間がかかるうえ、資金面のメドも立っていない。
科学的な文献・議論少なく
IPBESが目指す組織は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)だ。生物多様性とは「双子の条約」の関係にある気候変動枠組み条約に、科学的な根拠を与えている。1988年に設立されたIPCCは、地球温暖化の予測などをまとめた4度の報告書の公表で国際的な注目を集め、2007年にはノーベル平和賞を受賞した。
しかし、今年1月にはヒマラヤ氷河の消滅時期を誤記するなど、報告書にミスがあることが分かった。8月末には国連の委託を受けた調査委員会がIPCCの運営方法の抜本的な見直しを提言するにいたった。とくに、科学的な検証を受けていない「グレイ・リタラチャー」という文献の採用にクギを刺している。
生物多様性の場合、さまざまな報告の中で「グレイ・リタラチャー」の占める割合が地球温暖化より高いとされており、前途は多難だ。COP10の裏方を務める名古屋市立大学の香坂玲准教授は「生物多様性では危機をアピールする声が強く、科学的な議論はあまり行われていなかった」と指摘する。
日本の貢献度は?
新しく設立されるIPBESはこうしたハードルを越え、健全に運営されるだろうか。21日の会合で、近藤昭一環境副大臣は「日本はIPBESに関する基本的な合意を歓迎するが、地域的活動に対する支持も必要だ」と各国の積極参加を促した。COP10の議長国である日本の貢献度も問われる。 |
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遺伝子組み換え(GM)作物が他国の環境に被害を与えたときのルール |
| 20101023 |
遺伝子組み換え(GM)作物が他国の環境に被害を与えたとき、誰が原状回復するか。名古屋のカルタヘナ議定書締約国会議(MOP5)でルールが定まった。次は安全性にも踏み込んだ議論が必要だ。
カルタヘナ議定書で輸出入の規制を受ける、人工的に改造された生物(LMO)とは、一般にGM作物と、異なった生物同士の細胞を合わせて作る細胞融合生物のことをいう。
GM作物は、遺伝子操作で新たな性質を与えられた農作物だ。品目は主に大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ。特定の農薬をかけても枯れない、作物自体が殺虫作用を持つなどの特性を与えられ、大量生産がしやすくなるため、米国から世界二十五カ国に広がった。
生物多様性条約は、バイオテクノロジーで改変された生物が環境に与える悪影響を、人の健康への危険も配慮して規制、管理、制御の手段を講じるよう求めている。議定書はこの条約に基づいて、その輸出入を規制する国際ルール、GM作物の潜在的な危険をも考慮して、予防原則を当てはめた。
日本ではGM食品への不安が強く、食品は流通していない。とはいえ、飼料用トウモロコシを大量に輸入するなど、世界最大のGM作物輸入国ともいわれている。輸送中にこぼれ落ちたナタネが道端の植物と自然交雑する例も、国内でしばしば報告されている。
世界的な食料不足の時代はすでに始まっていて、穀物増産の切り札としてGM作物への期待は強い。これまで批判的だった欧州でも、規制緩和の動きがある。
GM被害の責任を明らかにした「名古屋・クアラルンプール補足議定書」は、南北歩み寄りの実績を示す歴史的な成果に違いない。
生物資源から得られる利益配分をめぐって議論が進行中の生物多様性条約締約国会議(COP10)にも、良い影響を及ぼすだろう。
だが補足議定書の適用も生態系被害に限られ、農作物や人体への影響、LMOを原料にした食品被害は対象外だ。所管が違うといわれても、一般には分かりにくい。
GM食品の安全評価は、ますます重要になるはずだ。多くの人の命をつなぐ主要穀物の特許を、一部の企業が独占する危うさも含め、今後は食物としての安全評価や監視体制へさらに踏み込んだ国際的な議論が必要になるだろう。名古屋の成果を足がかりに、二年後のMOP6にも向けて、さらに議論を深めるべきだ。 |
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青森のホタテ、猛暑で大量死 9割以上被害の業者も |
| 20101023 |
記録的な猛暑となった今夏、海水の高温状態が続いた影響で、各地の養殖貝に被害が出ている。特に全国2位のホタテ産地、青森県の陸奥湾ではホタテが大量死した。「9割以上が死んだ」という養殖業者もおり、地元の海産物販売店ではホタテが品薄になり、全国への宅配も中止されている。
青森県野辺地町沖の陸奥湾。13日、地元の漁業、吉田国彦さん(52)が貝の洗浄のため養殖ホタテをくくりつけたロープを船に引き揚げると、口を開け、中身が空っぽになって死んでいるホタテ
次々と見つかった。ホタテは死ぬと貝柱などの中身が貝殻からはがれ落ちてしまう。ロープ1本に付く130枚のうち、120枚が死んでいた。
「他のロープも9割以上死んでいる」と吉田さんはがっくりと肩を落とす。問題はそれだけではない。1〜3年後の出荷をめざす稚貝も9割近く死んだ。「来年も再来年も大変なことになる」 青森県は昨年度のホタテ漁獲量が約8万トン、売上額約85億円で、全国2位のホタテ産地。ところが、今年8月の出荷量は昨年の
6953トンから4分の1以下の1539トンへと激減(県調べ)。値段の方は、県漁業協同組合連合会によると、養殖業者から市場に出す価格が、9月時点で昨年の1キロ平均108円から120円へと上がっている。
県などは今年9月に「陸奥湾ホタテガイ高水温対策本部」を設置し、被害状況の把握中だが、「経験したことのないホタテ大量死になるのは間違いない」という。
県によると、ホタテは成長した貝で水温23度、稚貝で同26度を超えると、エサの植物プランクトンを食べなくなり、この状態が続くと体力がなくなって死ぬ。過去25年間、陸奥湾の水温が26度を超えた日は一日もなかったが、今年は7〜9月の3カ月で12日間も26度を超えた。8月の陸奥湾の平均水温は例年より2.6度高い24.1度だった。県産業技術センター水産総合研究所は「陸奥湾は水深が湾口部でも平均60メートルと比較的浅く、水温が上がりやすい」と説明する。
地元の販売店ではホタテが品薄状態に。通常、毎朝200〜300キロほど入荷するが、今年の8月中旬以降、1週間〜10日に1回しか入荷できない状況だという。全国への配送も中止し、販売も1人2キロまでの制限をつけている。
一方、全国1位のホタテ産地の北海道では、道によると一部で稚貝の成長が遅れる影響が出ているが、大きな被害は確認されていない。
今夏の猛暑は、この他にも各地で貝の養殖に影響を与えている。 カキの産地として全国的に知られる北海道の厚岸湖でも、8月ごろから比較的浅い場所で養殖しているカキの大量死が見つかった。
道庁や厚岸漁業協同組合などによると、被害は場所により大きく差があるというが、養殖業者全122戸のうち1割ほどの業者で約5〜8割のカキが死ぬなどの影響が出ているという。
宮城県の松島湾でも、被害量は調査中だが、同様の被害が出ているという。県水産技術総合センターによると「松島湾は平均水深2メートルと浅く、夏の暑さの影響を受けやすかった」という。東北地方では他にも、海に放つために育てているアワビの稚貝が4割ほど死ぬ被害も出ている。
水産庁栽培養殖課は「陸奥湾や松島湾のように水深が浅い所や、寒流が入らない海域などを中心に、暑さの影響と思われる貝の被害が出ている。今後は、ワカメや昆布など海藻類への影響も懸念される」と話す。
築地市場にある大手水産卸会社の担当者は「夏の海水の高温の影響で、多くの貝類の生育状況は悪く、入荷が減っている。十数年来の高値のものもある。ホタテなども、値上がり傾向が続くのではないか」と話している。 |
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非公式会合の延長決定=生物資源の利益配分で−COP10 |
| 20101023 |
名古屋市で開催中の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は22日、全体会議を開き、非公式会合の議長らが協議の進ちょく状況を報告した。生物遺伝資源からの開発利益の一部を原産国に還元する国際ルール「名古屋議定書」をめぐっては、会合内の意見が対立して合意に達せず、協議の23日以降への延長が認められた。
同議定書は、豊かな生態系を有して多くの利益獲得を目指す途上国と、利用側の先進国が、議定書の適用期限や利益還元の対象物などさまざまな点で対立。23日午後に協議を再開して妥協点を模索するが、29日の最終日に議定書を採択できるか極めて微妙な情勢だ。
非公式会合のホッジス共同議長(カナダ)は、この日の全体会議で、「もう少し時間が欲しい。速やかに議定書案をまとめたい」と要請。全体会議議長の松本龍環境相は「週末の時間を有効に活用してほしい」と協議延長を認めた。週明けに再度、全体会議で進ちょく状況を確認する。
もう一つの主要議題である、今年以降の地球上の生態系保全計画となる「ポスト2010年目標」の数値目標や手法などの各論も、具体的な成果は報告されなかった。 |
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海の絶滅危惧種で初のリスト 環境省、保全策に活用 |
| 20101023 |
乱獲や開発で海の生態系が脅かされているのを受け、環境省は23日までに、クジラなどの哺乳類や魚類、海藻といった海の動植物に関する初の総合的な絶滅危惧種リスト(レッドリスト)づくりに乗り出すことを決めた。生物多様性保全のための基礎資料として今後の保護対策に活用する。
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の会場で23日に開く海に関する関連イベントで明らかにする。
環境省は動植物のレッドリストをまとめているが、海洋生物の多くが水産庁の担当とされているため、海の生物の評価対象はジュゴンや汽水域の魚などごく一部。多数の魚が生息する日本周辺のサンゴ礁には、個体数が極度に減っているコククジラが回遊して来ることもあるが、絶滅危惧種に関する基本的なデータがないため、保護対策の遅れを招いていると指摘されていた。
環境省は近く専門家による研究会を設置して調査方法などを検討する。 |
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「白身魚」乱獲危機 生きもの会議報告 |
| 20101023 |
名古屋市で開会中の国連地球生きもの会議で、大西洋ではクロマグロ、南極海ではマゼランアイナメなど、遠洋域でも乱獲で生態系が脅かされている現状が、NGOなどから相次いで報告されている。NGOや研究者らは23日を「オーシャンズデー」と位置づけ、海の生物多様性を守るため、海洋保護区の充実を求める「ナゴヤ海洋声明」をまとめ、発表する予定だ。
ファストフードで出回る白身魚。正体は、体長が2メートル近くになるタイセイヨウカラスガレイなど。南極大陸周辺の海にすむマゼランアイナメや、南半球が主産地のホキは、乱獲が続き資源が危ぶまれているという。
岩見哲夫・東京家政学院大教授は「マゼランアイナメは成長が遅く、卵を産めるようになるのに10年かかる。無届けの違法漁業による資源の減少が心配される」と話す。
国内の環境団体などが連携する「生物多様性条約市民ネットワーク」はこうした内容を伝える冊子を会場周辺で配布、深海魚オレンジラフィーが白身魚として欧米で人気を集め、すっかり減ったことも紹介している。冊子は「知らずにいると食べ尽くしの責任を負うことになるかもしれません」と結んでいる。
高級なすしや刺し身になるクロマグロも、東大西洋では親魚の資源量が30年前の3分の1に激減した。グリーンピースのリチャード・ペイジ海洋生態系問題担当は21日に会見で「世界のクロマグロの8割を消費する日本の責任は大きい。過剰な漁業から海の生態系を守るには、世界の海の1%未満しかない海洋保護区を、2020年までに20%にするべきだ」と訴えた。
保護区の数値目標について会議では議論がまだ続いているが、欧州が支持する15%、スイスの10%、中国の6%と意見が割れたままだ。
「海の熱帯雨林」と呼ばれるサンゴ礁を守るため、沖縄県・久米島では会議の期間中、畑の脇に緑地「グリーンベルト」を設置する。農地から流れ出す赤土をグリーンベルトで食い止めようという試みだ。協力する世界自然保護基金(WWF)ジャパンは石垣島で8年間で約20カ所に設置した。久米島では小中学生を含む島民約60人が29日、畑に沿って幅50センチ、長さ250メートルにイネ科の草を植える。
サンゴ礁の面積は世界の海の0.2%ほどだが、海にすむ魚種の3割がすむ。過去約50年間で世界のサンゴ礁の約3割が消失したとされる。
沖縄の海に生息し、人魚のモデルとされる国の天然記念物ジュゴンの保護を呼びかけるフォーラムも23日午後、会場近くの名古屋学院大学で開かれる。蜷川(にながわ)義章・ジュゴン保護キャンペーンセンター事務局長(61)は「海草の茂みには魚や貝からウミガメまで、様々な生物が暮らす。ジュゴンは、海草の藻場がはぐくむ生物多様性の象徴だ」と話す。
海の生態系を守るには、沿岸域のサンゴ礁や藻場、干潟のほか、遠洋域でも資源が豊富な場所を保護する必要がある。市民ネットワークは、インターネットを使って海洋保護区にふさわしい海域を写真付きで推薦してもらうプロジェクトを始めた。全国から寄せられたデータをネット上で公開するほか、環境省にデータを提供し、国による海洋保護区の設定に生かしてもらう方針だ。
海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事は「海洋の議論はすみに追いやられがち。声明を出すことで、ハイレベル協議に向けて海の問題の重要性を訴えたい」と話す。 |
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水鳥の個体群、44%減少 アジア地域は深刻な状況に |
| 20101023 |
国際的な非政府組織(NGO)である国際湿地保全連合は23日までに、水鳥の生息状況に関する報告書をまとめた。確認されている個体群の44%で個体数の減少がみられたほか、逆に個体数が増加しているのは17%にとどまった。干潟の埋め立てや、海洋汚染が影響していると分析している。
名古屋市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP
10)で公表した。
世界には2309の水鳥の群れが確認されている。生息域が脅かされている地域としてはアフリカ、南米などを指摘。とりわけアジアが深刻な状況にあると判定した。これらの地域では水鳥の群れの62%は個体数を減らしているか、すでに絶滅している可能性もあると推定している。
分類別でみると、コウノトリは6割強の群れで個体数を減らしている。千鳥の約5割は危険にさらされ、ペリカンは約3割で減少しているという。 |
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温暖化・海洋汚染などで魚体縮小 国連報告、漁獲も減少 |
| 20101021 |
40年後に日本周辺で捕れる魚の平均体長はわずか23センチになる―。海洋汚染や気候変動、乱獲などの影響で2050年ごろには海の生態系の変化が顕著になり、世界のほぼすべての海域で漁獲高が減少、小さい魚しかいなくなるなどとした報告書を、国連環境計画(UNEP)が21日までにまとめた。
報告書は世界を18海域に分けて分析。地球温暖化が進むと、サンゴ礁などの海洋生物に重大な影響が出ることも指摘。「漁業や観光業などに数兆円規模の悪影響が出る」とも警告した。
UNEPによると、乱獲などによって、食物連鎖の上位にある大型の魚が減少する傾向が各地で進んでいる。50年には「日本を含む北西太平洋地域では、捕れる魚は平均体長23センチのマルアジ程度の種類が大半を占めることになる」と予測した。
また、船が重しとして積み込む「バラスト水」を、寄港先の海で排出する際に、多数の生物が海に放出される問題を指摘。世界で年約10%ずつ増加している海上交通によって外来種が増加、在来種の絶滅を加速させる危険性も強調した。 |
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サンゴ礁、過去最悪のペースで死滅へ インド洋と東南アジア |
| 20101021 |
インド洋と東南アジアのサンゴ礁が過去最悪のペースで死滅している可能性があることが、オーストラリア研究会議(ARC)と豪ジェームズクック大学の調査で明らかになった。
死滅率は一部の種で80%にも達するとされ、同大学の研究員アンドリュー・ベアード氏は、98年以来最悪の状況だと語る。
調査によると、インド洋のセーシェル諸島から東南アジアのフィリピンに至る海域でサンゴの白化現象が広がっており、地球上で最も多様な海洋生態系を持ち、「海のアマゾン熱帯雨林」とも呼ばれる「コーラル・トライアングル(サンゴ三角地帯)」海域でもこの現象が多くみられるという。
研究者らは、数カ月前に高温の海水がインド洋に流れ込んだことが白化の要因と指摘。水温の上昇により、サンゴの栄養源でありサンゴの色のもとでもある藻が減少したため、白化現象が起きているという。水温は平均よりセ氏4度高いと報告されている。
影響を受けた海域では、サンゴが海底を覆っている割合(サンゴ被度)が50%から10%に減少する可能性があるとされ、長期的に漁業や観光業に影響を及ぼすことが懸念される。
ベアード氏は、「人為的な地球温暖化」がサンゴ減少の原因であるとし、炭素排出量を削減して大気の温度を保つ取り組みが必要だと訴える。
同氏は報告で、「気温上昇だけの問題ではない。何千万人という人々の生活や、この地域の安定にも脅威を及ぼしている」と述べている。 |
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生態系損失 森林保護で年3.7兆ドル回避
国連環境計画公表「政府と企業が対応を」
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| 20101021 |
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-21/2010102101_01_1.html
「森林保護で、年3・7兆ドルの損害を回避できる」―。国連環境計画(UNEP)が主導して生物多様性損失の経済的影響をまとめた「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)の最終報告書が20日、名古屋市で開かれている国連の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で公表されました。
TEEB研究リーダーのパバン・スクデフUNEPグリーン・エコノミー・イ ニシアチブ代表は「生物多様性損失で被害をうけるのは貧困層」と指摘し、「TEEBは、自然資産が世界経済で何兆ドルもの価値を持つだけでなく、山積する
課題に直面する世界の政策転換にも役立つ」と、その意義を強調。「自然が有する価値が経済的に目に見えるようになり、政府と企業が対応する必要がある」と訴えました。
最終報告書は「自然に関する経済学の主流化」と題され、生物多様性の経済的効果を試算。とくに▽サンゴ礁は世界の大陸棚の1・2%にすぎないが、海水魚の4分の1以上の種や3000万人が依拠し、年間300億〜1720億ドルの利得を人類にもたらしていること▽2030年までの森林破壊率を半減すれば温室効果ガス排出量を削減でき、温暖化による年間3・7兆ドルの損害を回避できること――などを明らかにしました。
逆に、貴重な魚資源が乱獲され、持続可能な漁業と比較すれば、世界の漁業は年間500億ドルの減収を被っていることなどの否定的影響も分析しています。
生物多様性保全のためには、生物多様性損失など、経済活動による環境破壊を経済指標に組み込む必要性があると強調。一例として農業・林業・漁業の国内総生産(GDP)をあげ、「それらを考慮しない従来型のGDP比は、インドネシアが11%、インドが17%、ブラジルが6%にすぎないが、環境システムの貢献を考慮した場合のGDP比は、それぞれ75%、47%、89%にも達すると試算しています。
TEEB 2007年に開かれたG8プラス5カ国環境相会議で着手を確認、08年5月の生物多様性条約COP9で中間報告を発表。英経済学者スターン氏らが地球温暖化による経済的影響を試算した「スターン・レビュー」(06年に発表)の生物多様性版に当たります。ブラジルやインドなど各国で国別の研究を進め、生物多様性保全に役立てられます。
世界で森林消失による経済的損失は、年最大4兆5000億ドル(約370兆円)になることが、国連環境計画(UNEP)などの分析で分かった。20日、名古屋市で開催中の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)で発表した。他にサンゴ礁や昆虫の授粉などがもたらす効果も試算した。名古屋会議では生態系保全の国際目標の合意が焦点になっており、試算は今後の交渉に影響を与えそうだ。
現在、日本の面積を上回る40万平方キロの原生林が毎年減っている。森林は木材を供給したり災害を緩和する。そこにすむ動植物は医薬品のもとになる。このため、森林消失で年2兆〜4兆5000億ドルの損害をもたらすと試算。保全に年450億ドルを投じれば、年5兆ドルの利益が返ってくると推計した。
地域ごとの事例分析によると、スイスのミツバチは授粉などを通して年間2億ドルの価値を生み出している。オーストラリアのキャンベラで実施した40万本の植林は、大気浄化や気温押し下げによるエアコン利用の減少で2008〜12年に2千万〜6700万ドルの価値を生み出す計算になる。
報告書では環境保全で得られる経済的価値と、開発に伴う損失を複数の資料をもとに比較。例えばベトナムでは堤防の維持に730万ドルを投じたが、津波被害の軽減効果が期待できるマングローブを保全する方法を選べば、約1万2千ヘクタールに対し110万ドルで済む。費用対効果は堤防を造るより、マングローブの保全が上回るとしている。
サンゴ礁は、100万〜300万種の魚の生息地で、沿岸や島にすむ3000万人が食料や収入源として頼っている。地域に最大で年1720億ドルの利益をもたらすと見積もった。昆虫による授粉効果では、代わりに人が作業した場合の人件費などを考慮すると、年1530億ユーロに達した。また、生態系悪化は、農林水産業に依存している途上国の貧困層を直撃すると警告した。さらに、環境に配慮して生産された農産物の市場規模は20年までに2100億ドルになると見込んだ。
会見した分析責任者のパバン・スクデフ氏は「政府や企業は自然の価値を知り、従来の政策や方針を見直してほしい」と語った。
生態系を上手に生かすことで新市場を開拓できるとの分析も示した。有機栽培で得られる農産物の市場規模は08年の400億ドルから20年には2100億ドルに拡大が見込める。森林管理の国際基準を満たし、ブランド価値が出ている木材は08年の50億ドルから20年に150億ドルに増やせるという。
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生物多様性保全、今後10年に重点=国連で採択目指す−COP10 |
| 20101021 |
名古屋市で開会中の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は21日までに、国際社会が生物種の保全に重点的に取り組む期間として、2020年までを「国連生物多様性の10年」と位置付けるよう、国連総会での採択を目指すことで合意した。最終日の29日に決議する見通し。
国連関係機関などの調査では、「520万ヘクタール(九州と四国の合計面積に相当)の森林が毎年世界で消失している」「今後10〜20年で世界のサンゴ礁の15%が失われる可能性がある」など、生物多様性の危機を示す結果が相次いで報告されている。国連の「地球規模生物多様性概況」は、今後10〜20年の取り組みが、生物種保全のカギを握っていると指摘している。 |
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生物資源持ち帰りに届け出機関 議定書の一部合意 |
| 20101020 |
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は19日から20日朝まで、発展途上国の生物資源を先進国が利用した際の利益配分を定める「名古屋議定書」の非公式会合を徹夜で続行し、先進国が途上国から動植物を持ち帰った際の届け出機関を先進国に設けることで合意した。同議定書の一部で歩み寄りが見られたことで、依然激しく対立する利益配分問題での進展も期待される。
届け出機関は、資源を持ち帰った企業が、途上国で適正な手続きに基づいて契約を行ったかどうかを点検する。先進国側はこれまでの交渉で負担増につながるとして反対してきたが、途上国側が譲歩し、既存の行政機関で対応する形で届け出拠点を設けることにした。日本の場合特許庁などを想定している。
ただ、先進国側は、特許などでの知的財産の全面開示は企業利益を損なうとして、開示の範囲については引き続き交渉を継続する。
また、製薬企業が開発途上国で病原体を採取してワクチンを製造する場合、「公衆衛生に関する緊急事態」として、利益配分を前提とした迅速な資源採取を認める方向でほぼ一致した。
また先住民族の薬効のある植物への知識を「伝統的知識」として生物資源に適用する問題については先進国側が「広範囲に既に知られている知識にはどう利益配分してよいか分からない」と否定的見解を示し「何らかの形で必ず配分すべきだ」という途上国側と依然対立を続けている。 |
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COP10:辺野古、泡瀬の海紹介 沖縄ブース |
20101019
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愛知県名古屋市で18日開幕した生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の関連イベントに出展している沖縄の展示ブースが好評だ。沖縄の自然保護団体などで構成する沖縄生物多様性ネットワーク(沖縄BDネット)が開設した。やんばるの森や辺野古の海、泡瀬干潟の写真や貝の標本などを展示し、生物多様性の宝庫と言われる沖縄の自然の魅力をPRしている。
展示を担当する有光智彦さん(46)によると、初日の18日午後から欧米諸国の会議出席者らが多く立ち寄り、海についての質問が相次ぐなど、多くの人が関心を示したという。有光さんは「小さなブースに沖縄の問題を集約している。期間中多くの人に見てもらいたい」と語った。
沖縄BDネットは、22〜24日に名古屋市内でシンポジウムも開催し、名護市辺野古や東村高江の米軍基地建設に伴う環境破壊や、沖縄市の泡瀬干潟をはじめとする開発に脅かされる海の生き物など、沖縄の生物多様性保全について問題提起する。 |
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ミツバチ激減問題提起 県内研究者ら「農薬影響か」 |
20101019
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昨年、全国的にミツバチが大量失踪(しっそう)、大量死した問題で、県内でも在来種の「ニホンミツバチ」が激減している実態が、研究者らでつくる「ミツバチたすけ隊」の調査で明らかになった。農薬の散布時期と合致していることから、同隊は「農薬が影響した可能性が高い」として、名古屋市で開催中の「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)の関連イベントで問題提起している。
同隊によると、リーダーの久志冨士男さん(75)が佐世保市や平戸市などで飼っていたニホンミツバチが、昨夏頃を境に激減。巣箱に蜜を残したまま失踪したり、死んだりした。110群いたニホンミツバチは、この1年間で3群になったという。また、県養蜂協会が昨年9月、セイヨウミツバチ約900群の大量死を県に報告した。
久志さんらは昨年11月、原因を突き止めようと、研究仲間らと共に「たすけ隊」を結成した。
県によると、イネの害虫である外来種のカメムシが昨年、大量発生。県内のJA7団体のうち離島地域を除く3団体が夏頃、ネオニコチノイド系の農薬「ダントツ」を散布した。同隊が養蜂家ら約50人に聞き取り調査を行った結果、農薬が散布された本土地域のほとんどが壊滅状態だった一方、散布されなかった離島地域では繁殖数を伸ばしていたことがわかった。
だが、農薬と大量失踪・死の科学的な因果関係は解明されていない。同隊は29日までのイベント期間中、写真や映像資料などを使って壱岐や五島など離島地域でのニホンミツバチの繁殖事例を紹介するなどし、科学者らに本格的な調査の実施を求める予定だ。
久志さんは「ミツバチは自然環境の現状を示すバロメーター。虫がいなくなれば、農業や森林もダメになり、人間の生活にも影響が及ぶ。多くの人に身近な問題として考えてほしい」と話している。 |
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名古屋でCOP10開幕 水俣病など写真パネル展示(2010年10月19日 読売新聞) |
20101019
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生物多様性の保全を話し合う生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が18日開幕した。会議が行われている名古屋市の名古屋国際会議場に隣接する白鳥公園などでは、29日の会期末まで、NGO、自治体、企業など約200団体が展示ブースやイベントで、それぞれの立場から環境問題の大切さを訴える。
「前日に立ち寄った方が『自分だけではもったいない』と、お子さんを連れ、また来てくれました」
公害問題などに取り組む全国の市民団体や大学教授、弁護士などが1990年に結成した「公害・地球環境問題懇談会」(東京)のブース。水俣病をテーマにした作品で知られる写真家田中史子さん(69)が受付を手伝いながら、うれしそうに話した。
親子連れや学生でにぎわう約10平方メートルのブースには、「公害の原点」といわれる水俣病、東京・高尾山トンネルの建設問題など、加盟団体が作成した写真付きパネルが展示されている。
「政府が水俣病を公式に認めてから何年」「日本で初めて住民運動によって撤去された大型ダムは」――。パネルを見て、関連するクイズに答えると、高尾山の動植物のポストカードがもらえるなど趣向を凝らす。
「今も公害などの被害に苦しむ人たちがいる。この機会に、一人でも多くの人に現状を知ってほしい」。田中さんは、COP10に寄せる思いを語った。 |
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日本は希少動植物の輸入大国 |
20101019
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ワシントン条約で規制された希少動植物の国際取引をめぐり、日本の輸入大国ぶりを示す報告書を野生生物取引監視団体「トラフィック」がまとめ、名古屋市で開会中の生物多様性会議に合わせて19日までに発表した。
2007年の生きた個体の輸入数で、リクガメや鳥類は世界第2位、ランは3位―など。トラフィックは「日本人の生活はほかにも象牙やクロマグロなど希少な資源に支えられている。多様性保全に大きな責任があることを知ってほしい」としている。 |
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生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)始まる |
20101018
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名古屋市で開幕した国連の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は18日、生態系保全などに向けた初日の議論を行った。生物遺伝資源から新薬などを開発した際、生物の原産国にも利益の一部を配分し、環境保護に役立てるための国際ルール「名古屋議定書」をめぐり紛糾しているため、この問題を専門的に協議する作業部会が設置された。
遺伝資源を豊富に持つ途上国は、多くの利益還元を狙って議定書の適用時期や範囲を拡大するよう求め、利用側の先進国と対立。開幕直前まで開かれた準備会合でも大きな進展はなく、協議は難航が予想されている。作業部会冒頭、同部会のカサス共同議長(コロンビア)は「多くの主要課題が残っており、最大限努力する必要がある」と指摘した。
年間4万種の生物が絶滅していくという生態系の危機が、人間の活動によって起きている現状を認識し、自然と人がどう共生するかを話し合う。発展途上国と先進国間の貴重な動植物の利用の在り方を決める「名古屋議定書」や、今後の生態系保全の取り組み指針となる「新戦略目標」の採択を目指す。会期は29日まで。
ジョグラフ事務局長は「人類史上最も大事な瞬間だ。これまでの失敗を認め、自然との絆(きずな)を結ぶ新しいアプローチをつくらなければならない」と強調。松本龍環境相は「生物多様性の将来を真剣に議論し、解決策を模索しようと考えている。地球の未来のために、あらん限りの力を尽くしたい」と議長国としての決意を表明した。 |
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COP10:ウイルス提供で先進国と途上国対立 準備会合 |
20101013
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生物多様性条約に関する名古屋会議は13日、優れた働きを持つ微生物を使って開発した医薬品などで得られる利益を、原産国に配分するルールに関する会合を開いた。
18日開幕の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で「名古屋議定書」として採択を目指す。多くの資源を持つ途上国は新薬開発に欠かせない病原体も対象に含めるよう要求している。
会合は16日までの予定。病原体に関する利益配分問題は鳥インフルエンザ対策を進める際に、感染者が多かったインドネシアがワクチンの開発に不可欠なウイルス検体の提供を拒否したことから表面化した。
先進国はこれまで無償で新興・途上国で発生した感染症の病原体の提供を受け、最先端の培養技術などを使ってワクチンを生産するのが一般的だった。名古屋の会合ではマレーシアなどがワクチンの売上高の一部を還元するよう主張。先進国は感染症拡大の緊急時には、利益配分の交渉なしに検体の提供を受けられる特別ルールを求めた。今後の交渉次第ではワクチン開発の遅れや価格の上昇につな
る懸念もある。 |
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生物多様性会議、市民の関心高まる イベント続々 |
20101011
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生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が11日に開幕するのに合わせ、行政や非営利組織(NPO)による関連イベントが名古屋市内で相次いでいる。10日には久屋大通公園で自然農法で栽培した作物を集めた「グリーンマーケット」が開かれ23団体が出展。野菜や様々な加工食品を販売し、食べ物から生物多様性について考える展示を用意した。
グリーンマーケットにはCOP10の議論内容について詳しく解説するブースを設けるなど、市民の理解を深める工夫も凝らした。来場した男性会社員(38)は「日本の立場や議論の図式を初めて知った。身近な問題と考え、会議の推移を見守りたい」と話した。
主催したNPO、生物多様性条約市民ネットワークの原野好正氏は「遺伝資源の議論などは複雑なテーマだが、思ったより市民の関心が高まっている」と手応えを感じていた。
9日にはCOP10支援実行委員会が名古屋市東区の商業施設「オアシス21」内にCOP10の情報コーナーを開設。特設ステージも用意し、10日には生物多様性に関するトークイベントを実施した。会議の模様を中継する大画面も設置して市民の関心を誘う。
会期中は、COP10の主会場となる名古屋国際会議場(熱田区)そばの白鳥公園と熱田神宮公園が非政府組織(NGO)やNPOなど208団体の発信スペースとなる。展示会場は11日にオープン、一般市民向けに生物多様性について学べる展示やイベントを用意する。 |
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生きもの会議、名古屋で開幕 192カ国、最多8千人参加 |
20101011
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微生物から絶滅寸前の動植物まであらゆる生物の保全を協議する「国連地球生きもの会議」が11日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開幕した。15日までは、遺伝子組み換え生物が生態系や人の健康に影響を与えた場合の補償措置などを協議するカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)。会議の中心となる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は18〜29日に開かれ、熱帯地方の貴重な生物資源の利用の在り方などを探る。
MOP5では、ナタネや大豆などの遺伝子組み換え生物・作物が輸出先で戸外に漏れ、在来種と交雑するなど生態系に甚大な影響が出た際、企業がどう賠償し原状復帰するかを定める国際ルール(補足議定書)づくりを目指す。鹿野道彦農相が議長を務め、補足議定書が採択されれば、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」と名付けられる。
最高議決機関となるCOP10では、途上国の熱帯雨林に生息・分布する貴重な動植物を先進国が利用する際、商品化による利益を途上国にどう還元し、生態系の復活に役立てるかを決める別の国際ルール「名古屋議定書」案の採択を目指す。議長は松本龍環境相。
期間中、200超の団体が生物多様性保全の取り組みなどを訴える出展や催しを、会議場周辺の白鳥公園や愛・地球博記念公園(モリコロパーク)などで繰り広げる。 |
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生物多様性保全へ国連会議開幕=名古屋市でMOP5 |
20101011
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国連の生物多様性条約をめぐる一連の会議が11日、名古屋市の名古屋国際会議場で始まった。遺伝子組み換え生物の貿易ルールを話し合う同日からのカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)は160の締約国・地域が参加し、会期は15日まで。さらに18〜29日は、同条約締約国会議(COP10)が開かれる。
生物多様性条約は、生態系の破壊や種の絶滅が進めば、自然の恩恵なしでは生きられない人類が滅ぶとの危機感から1992年、気候変動枠組み条約と同時に「双子の条約」として採択された。現在193の国・地域が締約している。
MOP5では、農薬や害虫への耐性を持たせた遺伝子組み換え作物が輸入国で繁殖して本来の生態系を壊した場合、原因者に原状回復や賠償をさせる補足議定書案が最大の議題。11日未明までの準備会合では、輸入国が輸出企業などに求める補償内容を国内法で定められることなどで合意しており、議定書案は「名古屋・クアラルンプール補足議定書」として最終日に採択される見込みだ。議長を務めた鹿野道彦農林水産相は、開会式で「さまざまな遺伝子組み換え生物が作り出されているが、各国は協力してその安全性確保に努める必要がある」とあいさつした。
一方、COP10では、「2010年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させる」との共通目標を達成できなかったため、20年までと50年までの中長期目標と、具体策を話し合う。
ジョグラフ事務局長「日本が積極的に動き、落としどころを探っている。まだまだ交渉の時間はある。27日には世界の150人以上の大臣が集まり、世界の英知が結集される。29日のCOP10閉幕日には、2つ目の議定書ができることを期待している」 |
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欧州連合の戦略的目標に関する提言をまとめた決議文を採択 |
20101007
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EICネットに以下が掲載されました。
欧州議会、生物多様性2020年目標を含めた決議文を採択
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=24049
10月7日、欧州議会は、名古屋で開催される生物多様性条約会議を前に、欧州連合の戦略的目標に関する提言をまとめた決議文を採択した。決議文では、2020年までに、生物多様性に有害な補助金の撤廃、森林乱伐の廃止、環境に破壊的な漁業の撤廃、陸上・淡水・海洋の少なくとも20%に保護地区を設置、絶滅危機種の保護を実現することが記載されている。また、生物多様性の喪失を阻止する2010年目標が遵守されなかったことを受け、欧州委員会及び欧州連合加盟国に対し、指導力を強化するよう要望している。さらに、生物多様性維持のための資金を世界的に大幅に増やす必要性を提言している。また、生物多様性と気候変動は、共通の課題であることを確認し、両分野が特に、途上国において危機的状況にあることを指摘している。【欧州連合欧州議会】 |
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エクアドル/地球環境の危機に立ち向かう画期的な試み=「ヤスニ計画」
──ジュビリー関西ネットワーク 内富 一
エクアドル・コレア大統領初来日 |
20101003
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http://www.jimmin.com/doc/1466.htm
9月5〜7日の3日間、エクアドルのコレア大統領が日本を初訪問する。
コレア政権は、2007年1月、先住民運動やNGO、社会運動を基盤として誕生した。同政権は、08年9月、国内への外国軍基地設置を禁止した新憲法を国民投票で採択。その1年後には、実際に同国内のマンタ米軍基地撤去を実現した。
また、経済的自立を目指し、世界銀行・IMF(国際通貨基金)の代表を国外に追放し、途上国自身の「債務監査」による世界初の「不当な債務帳消し」宣言を行い、気候変動交渉における北から南への「環境債務」「気候債務」の返済要求等、グローバリゼーションに対抗する社会実験を次々に行ってきた。
そのコレア大統領が、今回日本を初訪問する目的の1つは、同国が現在、国際社会に対して協力を求めている「ヤスニ計画」への日本政府の参加を要請することである。
ヤスニ計画」とは何か
エクアドル東部アマゾン熱帯林地方のヤスニ国立公園には、1ヘクタール当たり北米全体を合計したよりも多い655種の樹木や150種の両生類、10 万種の昆虫など、世界的にも貴重な多様な生物が生息し、「生物多様性の宝庫」として、ユネスコによって「世界生態系保護区」に指定されている。また、非接触先住民族の居住地域としても知られている。同時にこのヤスニ国立公園内のイシュピンゴ、タンボコチャ、ティプティニ(ITT)地区には、エクアドル国内の石油埋蔵量の20%に当たる8億5千万バレルの原油が埋蔵されており、エクアドル政府が石油採掘から得られる予想収益は70億ドルと見積もられている。
2007年にコレア政権が誕生すると、コレア大統領は、ヤスニITTの地下に埋蔵されている石油の採掘を永久に断念し、その代償として国際社会が、エクアドルが失う収入の半分35億ドル分を補償することを呼びかけた。これが「ヤスニ計画」(正式名称「ヤスニITTイニシアティブ」)である。
「ヤスニ計画」とは、ヤスニITT地区の石油開発を中止し、アマゾン熱帯林(「生物多様性の宝庫」と先住民の生活と文化)を守り(それ自身が地球温暖化を防ぐ)、同時に、8億5千万バレルの石油を地下に永久に眠らせることで、
4億7000万トンの二酸化炭素排出を削減しようという、地球環境の危機に立ち向かうための画期的な試みなのである。
この提案は国際的にも大きな反響を呼び、具体化に向けた交渉が重ねられた。
さまざまな紆余曲折を経て、ついに去る8月3日、エクアドル政府と国連開発計画(UNDP)の間で、総額36億ドル(10年間)のヤスニITT信託基金設立に関する協定が締結された。
具体的には、各国政府や企業、市民団体、個人からの資金提供を募り、エクアドル政府、国連開発計画、市民代表によって理事会を構成する。その管理の下で、アマゾンの森林の保護と修復、エクアドルにおける自然エネルギーの利用、先住民の生活環境の保護などのために使う、という内容だ。
すでにドイツ政府が8億3800万ドルの拠出を約束しており、スペイン、フランス、スイス、スウェーデンも拠出を検討している。 |
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生物多様性:遺伝子組み換え巡り、輸出国と輸入国が対立 |
20101006
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名古屋市で6日始まった国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)の事前会合は、遺伝子組み換え作物などが輸入国で生態系に影響を与えた場合の対策を協議したが、被害が生じた場合の救済制度をめぐり、輸出国と輸入国との意見対立が鮮明になった。
事前会合には、遺伝子組み換え生物の国際取引を規制する「カルタヘナ議定書」締約国のうち、主要約30カ国150人が出席した。
遺伝子組み換え生物の輸入国であるアフリカ諸国は被害を想定し、国の求めに応じて事業者が財政的補償をする「保険」のような体制を整える制度を要求。
これに対し、輸出国の南米諸国は、「遺伝子組み換え生物が生態系に被害を及ぼした例は無く、制度は必要ない」などと反対した。共同議長は各国から個別に意見を聞き、妥協点を探った。
事前会合は8日まで。11日開幕する名古屋会議で、遺伝子組み換え生物についての対策を補足議定書案としてまとめ、採択を目指す。
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生物多様性:主要論点、名古屋会議に先送り 国連作業部会 |
20101006
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国連生物多様性条約の特別作業部会は21日、遺伝資源の利用と公平な利益配分のルールを定めた「名古屋議定書」の原案を協議した。先進国と途上国の対立は続き、10月に名古屋市で開かれる同条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)に主要論点を先送りした形で、事実上閉幕した。
交渉では、微生物や動植物といった遺伝資源をもとに開発された医薬品などの利益配分について、途上国はその利益を原産国に最大限還元するよう主張したのに対し、先進国は企業活動に影響が出ないよう柔軟な制度を定めるよう提案した。
その結果、利益配分をめぐっては、原産国側と利用国側の当事者同士が契約を交わし、利益配分の適用範囲を決めることでほぼ一致した。しかし、一部の先進国は適用範囲の拡大を懸念し、明確に定義するよう求め、交渉は紛糾。また、先進国が途上国に遺伝資源を利用しやすくなる手続きの確立を求めたが、途上国は違法持ち出しを先進国側で監視するよう要求した。事態打開を目指し未明まで論議したが、多くの課題が積み残された。 |
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未発見は75万種、10年越しの「海洋生物センサス」発表 |
20101005
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国連などが出資、日本を含む80を超える国や地域から約2700人の科学者が参加して総額6億5000万ドル(約543億円)の資金を投じて10年がかりで行った国際プロジェクト「海洋生物センサス(CoML)」の最終結果。
それによると、これまでに見つかった海の生物は従来の23万種から約25万種に増え、さらに75万種に上る未発見の生物も存在するとみられるという。
調査の結果、はさみが毛で覆われた「イエティ・クラブ」と呼ばれるカニのほか、ジュラ紀に絶滅したと考えられていたエビなど、6000種以上を新たに発見。一方、報告書では、タラやマグロの乱獲や地球温暖化の影響などにも
触れている。
ただ今回のプロジェクトでは、北極や南極、東太平洋のほか、深海での調査がほとんど行われておらず、専門家はこうした地域に「(新種発見の)大きな可能性がある」と話している。
一方で、サメやマグロなどの大型の魚類やウミガメの中には、漁業などの人間活動が始まる前に比べ、個体数が90〜95%減った種が少なくないことも判明。チームは、海の生物多様性保全対策の強化を呼び掛けた。
詳しい結果は、名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)でも発表される。
CoMLで発見され2000年以降に新種と確認された、微生物を除く海の生物は約1200種。このほか5000種近くの新種とみられる生物が、日本近海を含めた海で見つかっている。
海の魚は今年2月現在で1万6764種。種がはっきりしないものまで含めると、世界の海には約2万1800種の魚がいるとみられるという。
【ことば】海洋生物センサス 国連などの出資で2000年に始まった過去最大の海洋生物調査で、各国の研究者がさまざまな手法で海の生物種の数や生態、生物の分布や変化などを調べた。総資金額は6億5000万ドル。中心となる研究プロジェクトが17件あり、白山義久京都大教授らが中心となった沿岸の浅い海の生物調査もその一つ。日本近海には未確認の種を含めると約15万6000種が生息、世界有数の生物多様性が存在する海であることも明らかになった。 |
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オオタカをはぐくむ東大農場・演習林 |
20100918
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COP10控え世界に発信。環境省、里山保全行動計画策定へ |
20100628
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環境省は、農地や人工林、ため池など人の手が入った二次的自然 環境である里地里山を保全・活用するための行動計画を策定する。
多様な動植物の生息・生育環境を維持するほか、間伐材などのバイオマス資源を採取したり、二酸化炭素(CO2)吸収源として活用 したりすることで、地球温暖化対策にも役立てる狙いだ。
今年10月に名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)までに策定し、日本の取り組みを世界に発信 する。
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