03/12/29 更新

家電とクルマのリサイクル

 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)とクルマのリサイクル法の問題です。
公害・地球懇(JNEP)は消費者団体とともに、これらを重視し、法律が製造者責任に基づくリサイクルと環境汚染防止に役立つ法律となるよう、消費者団体らとともに通産省、厚生省に申し入れを行いました。
 製造業者の排出者責任、とりわけ有害物質やフロンなどの回収責任の明記、情報公開、回収費用の透明化と廃棄時の徴収の中止、市民参加の審査機関を設置し、回収・再利用・処理について審査することなどを徹底することが重要だからです。しかし法律はこうした国民の要求に一定程度応えたものの、いくつかの点で問題点を今後に残すものとなっています。



不公正貿易報告書掲載リスト案(経済産業省)へのJNEPのパブコメ(03/12/29)
JNEP、自動車リサイクルで環境省へパブコメ(01/09/13)
自動車リサイクルに関する意見/JNEP(01/08/28)
家電リサイクル法施行、不法投棄相次ぐ(01/05/24)
JNEPの自動車リサイクルに関する意見(01/03/22)
メーカー主導の家電リサイクル(01/03/08)
家電廃棄物のリサイクル基本方針骨子案へのJNEPの意見(99/4/29)
家電リサイクル率などで政府要請(JNEP)(99/4/7)
家電リサイクル法の概要(99/7/7更新)
家電リサイクル法の問題点
今後の必要な改正点
家電リサイクル法案で政府申入れ(98/3/13)

不公正貿易報告書掲載リスト案(経済産業省)へのJNEPのパブコメ

  公害・地球懇(JNEP)は12月26日、経済産業省の「2004年版不公正貿易報告書掲載検討案件リスト(案)」にたいし、次のパブコメを行った。


経済産業省通商政策局通商機構部
     国際紛争対策室 御中

2003年12月26日
公害・地球懇(JNEP)

「2004年版不公正貿易報告書掲載検討案件リスト(案)」への意見


1 .新規掲載案件

【EU (及びその加盟国)】
○EUP 指令案(エネルギー使用製品に対するエコデザイン要求設定枠組み指令案)
 リストに掲載しないことを求めます。
 これは、案に「エネルギーを使うあらゆる製品(輸送機器を除く)に関し、
・ライフサイクル全体にわたる環境影響評価を行う包括的なエコデザイン及び
・エネルギー効率規制値の実施を要求するもの」とあり、環境政策上画期的な
もので、日本も見習うべきものです。
 案は「TBT協定上の問題となる可能性あり」としていますが、そのように 意図はともあれ、結果的に他国の環境政策を妨げることなく、これを見習って日本でも導入すべきです。
 環境規制の導入が不公正なのではなく、他国の環境政策を妨害したり、そうした規制が入れば売れなくなるような公害輸出とでも言うべき製品輸出をする方が環境ダンピングであり、問題です。

○化学品規制(REACH )
 リストに掲載しないことを求めます。
 これは案では「化学物質の安全規制強化のため、新規・既存を問わず化学物質(一定条件の下、成形品中の含有化学物質も対象)の登録義務づけ等を内容とする案を欧州委員会で検討中」とあり、環境政策上画期的なもので、日本も見習うべきものです。
 案は「内容次第では、GATT3 条及びTBT 協定上の問題となる可能性あり」としていますが、そのように意図はともあれ、結果的に他国の環境政策を妨げることなく、これを見習って日本でも導入すべきです。
 環境規制の導入が不公正なのではなく、他国の環境政策を妨害したり、そうした規制が入れば売れなくなるような公害輸出とでも言うべき製品輸出をする方が環境ダンピングであり、問題です。


2 .継続掲載案件

【EU 】

○廃電気電子機器指令(WEEE )、電気電子機器中の特定有害物資の使用制限に関する指令 (RoHS )及び廃電池指令改定案リストに掲載しないことを求めます。
 これは案では「WEEE 及びRoHS 両指令に基づき整備される予定の各国国内法が、必要以上に貿易制限的になる可能性あり。欧州委員会にて未だ検討中の廃電池指令改定案についても、同様の可能性あり」など、意図はともあれ、結果的には他国の環境政策を妨げる内容です。むしろ、これを見習って日本でも同様の政策を導入すべきです。
 環境規制の導入が不公正なのではなく、他国の環境政策を妨害したり、そうした規制が入れば売れなくなるような公害輸出とでも言うべき製品輸出をする方が環境ダンピングであり、問題です。




JNEP、自動車リサイクルで環境省へパブコメ

 JNEPは自動車リサイクルシステムのあり方について、環境省部内で検討している専門委員会中間報告について次のパブコメを送付した(2001/09/13)。

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
 企画課自動車リサイクル対策室御中
 

2001年9月13日
 公害・地球懇(JNEP)
自動車リサイクル専門委員会中間報告への意見


1.はじめに

 私たちは、販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担すること、環境規制値や再利用率・リサイクル率などを細かに制度化しなければ、製造時の配慮も、廃棄後の適正処理も、放棄車の削減もできないと考えます。大原則として、一切の費用、処理責任は製造業者にあることを明確にし、それがあらゆる場面で担保される制度とすべきです。役割分担を明らかにするのはいいのですが、豊島等に代表されるシュレッターダストの不法投棄、フロンの不正放出、バッテリーの不法投棄や放置、廃車の路上放棄などに代表されるように、必ず役割通りの行動をしない者が出てきます。そうした際に、不法投棄はユーザーが、あるいは処理業者が悪いのだから製造業者が責任を持たない、という言い逃れを許さないよう、ユーザーや販売事業者、整備事業者、解体事業者等が必ずしもその分担責任を完全に果たさなくても、製造業者が最終的に責任をもって対処する制度とすべきです。

2.検討に当たっての基本的考え方について

 処分全体に当たっての原則として
(1)有害物質対策の徹底
(2)再利用・リサイクルを前提にした設計及びその実施
の2点が求められます。この両者について製造業者が全ての責任を持つべきです。
 前者についてはフロン、重金属、などの有害物質ごとに規制法を制定し、期限を定めて自動車のような一般市民や中小企業で使うものには、有害物質は一切使用しないこととすべきです。これらはリサイクル制度の中で自動車は自動車の制度、家電は家電の制度、などと縦割で実施すべき事柄ではありません。
 後者については、出てしまった廃棄物をできるだけ使う、のではなく、製品を製造する際に再利用品やリサイクル材料を使うことを原則とし、廃棄物の何%をリサイクルするかの規制値だけではなく、製品の製造材料の何%を再利用品やリサイクルで行うかの規制値を定めるべきです。
 
 廃車後に既存のリサイクルルートを使うことは現実的ですしとくに異議はありませんが、その際には当然のことですが、ユーザーが廃車を自動車製造業者の工場に運ぶことと、自動車製造業者に法的に引き渡したとみなすこととは区別すべきです。
 ユーザーが廃車を近所の自動車整備業者に引き渡すことは現実的です。同時に、法的管理主体は自動車製造業者とみなすことで、責任は製造業者とし、実際のものは既存のリサイクルルートを使う、ということが可能です。この場合に引渡後の費用を全て製造業者が負担するのはもちろんですし、何らかの問題が生じて環境汚染が生じた場合には一義的に製造業者が全て責任を取ることを再確認すべきです。原因者が特定されれば製造業者が訴訟等で解決すると考えられますので、制度としては、自動車材料の再利用・リサイクル、自動車材料の処理、自動車に起因する環境負荷の原状回復について製造業者が全て責任を取ることさえ決めておけば十分です。

3.排出抑制・減量化・リサイクルの推進方法について

(1)排出抑制・減量化・リサイクルに配慮した自動車の製造・使用
 廃棄時にその使途をあわてて考えるのではなく、製造時にこれらを配慮するのは不可欠です。これまで多くの製品で義務規定を伴わずに製造事業者に対して様々な要請を行ってきましたが、事実上無視されてきたと言えます。
 製造自体を減量化・リサイクルを前提にしたものに変えるよう求めるには、製造事業者に対し、廃棄の何割を再利用・リサイクルにまわすと義務化するだけでなく、新しい製品に使われる材料や部品のうち再利用品やリサイクル材料が何%という規制を課するべきです。

(2)部品の再利用の推進
 部品の再利用は新車においても積極的に行われるべきです。製造業者にいくら要請してもこれが飛躍的に増加する見込みはありません。法的に部品の一定割合を再利用にすることを規制すべきです。

(3)製造業者等が引き取る廃棄物等
 この部分には、ユーザーが廃車を自動車製造業者の工場に運ぶことと、自動車製造業者に法的に引き渡したとみなすこととの混同が見られます。両者を区別し、自動車製造業者が全ての廃棄物を引き取ることとすべきです。
 引き取り方法は様々ですし、静脈産業の既存のルートを使いながら、責任を自動車製造業者に負わせることで有害物質対策を完璧に行い、また再利用・リサイクル率を高めていくことが可能です。
 逆に責任を自動車製造業者に負わせなければこうした管理は不可能で、役割分担を定めたところで不心得者は必ず出ますし、また境界領域で不正が生じて国や自治体が責任を取らされる自体も発生すると見られます。
 なお、有害廃棄物は、安全が確認されていない全ての物質とすべきです。特に有害性の高いPRTR法の対象物質に限定しても電子部品、あるいは電子部品に限らず鉛はんだを用いた電線接合部分、バッテリー、添加物を含むガラス、など様々なものが検討にあがっていないと思われます。また、フロンにはオゾン層を破壊しない代替フロンを含むことも確認すべきです。
 重要なことですが、こうした有害物質対策を自動車リサイクル制度の枠内で行うのは問題です。このことは6の今後の課題で述べます。私たちは「今後の課題」などではなく、別の制度で同時に取り組むべきと考えます。
 既存のリサイクルルート、即ち街の解体業者を使いながら廃車の適正処理を行うには、製造業者の責任を弱めるような報告書の検討ではなく、2点について検討を行うことが必要です。一つは汚染物質の排出基準を定め、ものによっては回収基準を定めることです。これについては処理業者が違反した場合には、処理業者以外に製造業者も罰せられるべきです。もう一つは基準を上回る適正な処理や回収を行った事業者に対し、製造業者から適正な処理費用を支払わせるために最低価格基準を定めることです。また、必要に応じて国や自治体は中小企業が環境対策の向上や、基準以上の負荷低減対策を実施できるよう支援を行うべきです。
 
 管理票などの廃棄物の行方を監視するしくみとしては、管理票を処理に関与した全ての事業者に回して行政及び排出者に返すこと、不正がないよう行政に立ち入り検査などの権限を認めること、不正の可能性が推定される場合の通報・立ち入り検査請求制度などが必要です。
 また、管理票だけでなく、どの製造事業者が過去に製造した車がどれだけ廃車になっていて、何処の処理業者・施設、処分場が使われていてそれぞれの処理量は幾らか、再利用部品や材料のリサイクル率は幾らか、を環境省がデータを取得して常時公開するしくみをつくるべきです。また、不法投棄などがあった場合にはどこで、どの製造業者の廃車がどういう被害をもたらしたか、その後に製造業者が誠実に原状回復したかそのまま不誠実に放置しているのかも公開し、監視を強めるべきです。
 製造業者に厳しすぎるとの意見があるかもしれませんが、そうならないように不法投棄を防ぐしくみや、いい加減な整備業者に廃車がわたらないしくみなどは製造業者が考えればよいことです。また整備業者やユーザーが不正を働いた場合にはメーカーから損害賠償請求などが行われると考えられますので、この制度で製造業者に配慮する必要はないと考えます。
 
 費用負担に関し、報告は前払いを強調しています。確かに製造業者の責任を曖昧にしたままの「後払い」方式でスタートした家電リサイクル制度は不法投棄やかけこみ買い換えなどの大失敗に終わりました。こうした反省のもとに、自動車リサイクル制度では製造業者の責任を徹底し、全ての費用は製造業者が支払うこととすべきで、これがまず決められるべきことだと考えます。また、製造業者が新車販売時以外に費用徴収する場合には、排出時に徴収するのを禁止することだけを定めればよいと思います。製造業者の責任を曖昧にして単に前払いにしただけでは、効果は薄いと思われます。
 このことが制度化されれば製造業者は確実な費用徴収方法を考えると思われます。その方法が排出時であることだけは禁止しなければなりませんが、どの時点で取るべきか、方法はどうしたらいいかを製造業者が判断し、確実な方法を工夫すればよいことです。製造業者が自己負担するという制度を決めてしまえば、製造業者自体が真剣にしくみを検討すると考えられます。
 新車に比較して既販車は徴収方法が難しいと思われますが、これも製造業者が全ての費用を負担することを決めれば、既に売った顧客に対し排出時以外のいかなる時期にいかなる方法で取るのが効果的で確実かを製造業者自身が判断するでしょう。取り損なえば製造業者が損をするだけですから、制度で心配すべきことではありません。倒産した会社の分についてはこれまでの製造・輸入台数に応じて他社に割り振ればよいと考えます。
 放置車は製造業者が責任を持つべきと考えます。不公正だと考えれば製造業者が原因者を捜し個別に裁判等の解決手段を探すと思われますが、制度で心配すべきことではありません。なお、デポジット制について、報告書は制度化を退けています。確かに製造者の責任を曖昧にしたままでデポジット制度を導入しても効果は薄いかもしれません。これも、製造業者に不法投棄を含めて全ての責任を負わせることにすれば、製造業者自身が対策としてデポジット制度を考えるかもしれません。
 事前徴収が製造業者の利益とみなされて課税されることへの懸念が示されていますが、販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担することを前提に、課税を前提にどのような徴収が最良かを製造業者の判断に任せればよいことかと思います。
 費用負担については具体的選択肢があるので以下に考えを述べます。

(視点1)費用を確保する方法
 販売時とそれ以外の2点が示されています。私たちは、販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担することを前提にすれば、廃棄時でなければいつでも構わないと考えます。費用を公的に確保すると行政コストがかかりますし、また公平性や徴収漏れの心配をしなければなりません。製造業者が全て負担することを定めれば、製造業者が徴収漏れがなくしかも徴収コストも安い方法を自主的に考えて実行すると思われます。その場合も廃棄時負担だけは禁止すべきです。

(視点2)費用を管理する方法
 公的管理と、製造業者の管理の2案が示されています。私たちは、販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担することを前提にすれば、製造業者に管理させて構わないと考えます。支払い時期より前に徴収すれば税もかかると考えられますし、また徴収方法を間違えれば回収できないものもでてくると考えられますが、その設計も含めて製造業者の責任であり、制度としては特に問題はないと考えられます。

(2案採択)
 A案として費用を販売時以外に公的に徴収し公的に管理する方法と、B案として販売時に製造業者が徴収して管理する方法とが示されています。私たちは、販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担することを前提にすれば、後者で構わないと考えます。
 ユーザーからの綿密な費用徴収の議論がありますが、これも含めて製造業者に判断させればよいと考えます。

4.廃棄物処理法の適用のあり方

 処理を円滑にするための幾つかの苦心の提案がありますが、基準をいたずらに緩める必要はないと考えます。こうした提案が出てくるのは、製造業者にこれから課そうとする義務が弱いからです。販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担することさえ定めれば、製造業者が現行制度を前提に、最も効果的な方法を考えるはずです。よほどの障害となる規制があればもっと切実に製造業者からの訴えがあるはずですからそれを待って検討すれば十分と考えます。

5.その他必要な対策

(1)最終処分場の確保について
 処分場建設に公的資金を投入したり、公的施設での受け入れを行うのは本末転倒です。処分場が本当にないのなら、厳しい規制になりますが現在の処分場の空き容量を前提に処分量の上限値を規制として定めるとともに、天然資源の投入や廃棄物の排出には、再利用あるいはリサイクル材料の繰り返し使用・長寿命化を図る場合に比較して著しく高額の税金を課さなければなりません。
 処分場を増やして対策を遅らせることを国民の税金で行うなどもってのほかです。安易なこうした提案をせず、徹底した削減対策を取った場合と処分場建設とどちらが環境負荷が少なくコストもかからないかを試算すべきです。

(2)放棄対策について
 放棄車を含め、販売後に発生する自動車に起因する材料処理費用や環境負荷の原状回復費用の全てを製造業者が負担することが必要です。放棄車が見つかればただちに製造業者に回収及び環境汚染の原状回復を命じ、従わない場合には罰則を課すべきです。また、放棄車があった場合にはどこで、どの製造業者の廃車がどういう被害をもたらしたか、その後に製造業者が誠実に原状回復したかそのまま不誠実に放置しているのかも環境省が整理して公開し、監視を強めるべきです。
 こうした制度が規定されれば製造業者は、放棄車が出ないような売り方、あるいは放棄車が出ないような監視体制を自主的に考え、実行すると考えられます。行政が原因者を捜さなければならないような制度は必ず行政負担を生みます。それを事前に防止するためには放棄車は製造業者の責任という点を法制化するしかありません。

6.今後の課題

 有害物質対策を自動車リサイクル制度の枠内で行うのは問題です。有害物質対策は分野横断的に行い、規制を強化して全廃を目指すべきで、特定分野だけ限定して対策を行いあとは野放しという制度は問題です。フロンや有害物質は物質毎の規制法で規制すべきです。フロン法のような法制度を物質に着目し、分野横断的に整備すべきです。その際、今後は排出規制だけでなく、使用規制を行い、廃棄時に絶対に有害廃棄物の出ない体制にすべきです。
 また、私たちは有害廃棄物対策は今後の課題でなく、別の制度ながら同時に整備すべきと考えます。


自動車リサイクルに関する意見/JNEP

 JNEPは産業構造審議会で検討中の自動車リサイクルシステムのあり方について、3月にも基本問題に関して意見を提起したが、同審議会が求めたパブコメでも次の意見を送付した(2001/08/27)。自動車リサイクルシステムを実効性のある制度して確立するには、すでに施行されている家電リサイクル法の教訓を生かすとともに、メーカー責任などの原則を明示することが何より重要と考えるからである。

 産業構造審議会
 (自動車リサイクルワーキンググループ事務局)御中
 2001年8月27日
 公害・地球懇(JNEP)
自動車リサイクルに関する意見

 
 (1)新たな自動車リサイクルシステムの在り方について

 全ての場合について自動車製造事業者・輸入事業者(以下簡単のため単に「メーカー」とします)が責任を取る原則を明示し、またそれを担保する制度とすることが必要です。このことが曖昧であると、ここに示された
・不法投棄の防止
・使用済自動車のリサイクル及び適正処理の取組が持続的に行われること
・最終埋立処分量が極小化されること
などがいずれも守れないと考えられます。
 また、「適正な競争原理」が原則にあるのは大変問題で、リサイクル費用を最初から安くすることを狙っている表現なら反対です。ましてや有害物処理の費用をも最初から安くすることを狙っているのならそもそも最初から制度設計の考え方に根本的な誤りがあると言わざるをえません。まず、確実なリサイクル、確実な有害物処理がなされることを前提に、その処理が確立してからどのようなコスト低減の方策があるかを考えるべきです。
 リサイクル基準や有害物処理基準がないところでコスト削減を容認すれば、事業者はリサイクルの水準自体を下げたり、有害物処理の水準自体を下げたりするのは目に見えていますし歴史が証明していると言えましょう。自動車の廃棄物のもたらした惨劇は香川県の豊島に限らず、全国各地にあります。こうした愚かなことを自動車リサイクル制度の設計を間違えることで拡大してはなりません。
 適正な競争は、むしろリサイクル基準を各メーカーがどの程度過剰達成しているかを売場に貼らせて努力の度合いを比較させる、あるいは不法投棄車のメーカー別の台数を売場に貼らせて比較させ、どのメーカーが管理が甘いかを比較させる、などによるべきで、それでこそ対策を進める健全な競争がなされ、対策をさぼってコストを浮かせる後ろ向きの競争を防止できると考えます。
 
 (2)自動車リサイクルに関する制度化に向けた考え方

 1.関係者の役割分担の在り方
 大変詳細な役割分担が決められていますが、「役割分担」というまとめかた自体に疑問を感じます。というのは環境保全やリサイクルのように事業者の利益につながらないことは制度で強制しない限りなかなか取り組まれないことは歴史の示すところだからです。各自が負荷低減のためにできることをするのは当然ですが、制度設計の上で重要なことではないと考えます。
 役割分担として各主体の役割を定めることよりも、問題が生じた時に誰が責任を持って処理に当たり、また費用を負担するかを制度化し、効果的な罰則や行政処分を定めることがよほど重要です。残念ながら通産省・経産省のこれまでの政策では不法投棄など「すきま領域」に問題が生じた場合に誰が責任をとるのかが曖昧で、自治体や国民が責任を結果的に押しつけられていたと思います。
 自動車リサイクル制度については、全ての場合についてメーカーが責任を取る原則を明示し、また実際にそれを担保する制度とすることが必要です。
 なお、役割の中に有害物の処理などの項目がありますが、これらは単に役割として述べても何の意味もなく、基準と罰則を定めて規制すべき問題です。これらは自動車リサイクル制度で一括して法制化するのは無理があるので具体的基準づくりなどは他の法令に委ね、当該制度では、当該車種に関して他の法令に違反する行為があった場合、メーカーに厳しい措置を含む罰則を整備し、メーカーの責任で環境保全を目的とする他の制度に協力できるようにすべきです。
 
 2.費用徴収方法
 メーカー責任を曖昧にしたままの「後払い」方式でスタートした家電リサイクル制度は不法投棄やかけこみ買い換えなどの大失敗に終わりました。こうした反省のもとに、自動車リサイクル制度ではメーカー責任を徹底し、全ての費用はメーカーが支払うこととすべきで、これがまず決められるべきことだと考えます。また、メーカーが新車販売時以外に費用徴収する場合には、排出時に徴収するのを禁止することだけを定めればよいと思います。
 このことが制度化されればメーカーは確実な費用徴収方法を考えると思われます。その方法が排出時であることだけは禁止しなければなりませんが、排出時でないどの時点で取るべきか、方法はどうしたらいいかをメーカーが勝手に判断し、確実な方法を工夫すればよいことです。メーカーが自己負担するという制度を決めてしまえば、メーカー自体が真剣にしくみを検討すると考えられます。
 新車に比較して既存車は徴収方法が難しいと思われますが、これも、メーカーが全ての費用を負担することを決めれば、メーカーが既に売った顧客に対し、排出時以外のいかなる時期にいかなる方法で取るのが効果的で確実かをメーカー自身が判断するでしょう。取り損なえばメーカーが損をするだけで、この制度で心配すべきことではありません
 倒産した会社の分についてはこれまでの製造・輸入台数に応じて他社に割り振ればよいと考えます。
 不法投棄車はメーカーが責任を持つべきと考えます。不公正だと考えればメーカーが原因者を捜し個別に裁判等の解決手段を探すと思われますが、この制度で心配すべきことではありません。
 事業者間の費用授受としてフロンの処理費用について記述がありますが、フロン処理はフロン法で行われますので、この制度検討とは関係ないと考えます。
 
 3.制度化の対象とすべき自動車
 二輪車(自転車を除く)、特殊用途自動車(建設機械、港湾や空港などでもっぱら使用されて公道を走らないものを含む)を含む、全ての車を対象とすべきです。
 
 4.中古自動車の輸出について
 明らかな廃棄物輸出を防止し、それが発覚した場合、あるいは海外で汚染をもたらした場合に何らかの形でメーカーが責任をとる制度とすることが必要です。
 
 5.新たな自動車リサイクルシステムに関する総括
 不法投棄の防止には、原因のいかんに関わらずメーカー責任で原状回復とリサイクルの両方を行わせることが最も効果的です。メーカーが直ちに従わない場合には国または自治体が仮に廃棄物の回収と汚染の回復措置を行い、費用をメーカーに負担させるとともに、従わない場合の厳しい罰則(操業の一時停止など)を定めるのが効果的です。原因者が特定でき悪質な場合にはメーカーと原因者の間で個別に裁判等の手段で解決を見ればよいことであり、この制度ではメーカーに責任を負わせることだけを定めればよいと考えます。
 フロン回収破壊や有害物処理は大変重要ですが、自動車リサイクル制度の目的は単なるリサイクルのようであり、リサイクルの法令で「自主的」「役割」を定めたから有害物対策の制度(とくに強制規定)は必要ないという考え方をとるべきではありません。家電リサイクル制度でもフロンや有害物の回収規制基準や処理基準も何もなしに制度がスタートし、メーカーがまともな処理を行っているのか大変心配されていますし、そもそもフロン対策や有害物処理を家電と自動車とその他と別々に定めるのは無意味なことです。フロン回収法のように既に法律のあるものはそれに委ね、バッテリーのように法令のない有害物対策は仮に規制基準をつくるに止め、後から専門の法律が制定されればそれに委ねるべきです。
 
以上


家電リサイクル法施行、不法投棄相次ぐ
 2001年4月から家電リサイクル法が施行された。
 この制度では「排出時負担」が決められたため、施行後早くも各地で不法投棄が相次いでいる。自治体は膨大なコストを払って監視体制を強化、民間にも協力を呼びかけた。群馬県桐生市のように不法投棄の発見者に報奨金を出すことを決めたところもある。不法投棄された廃家電の運搬やリサイクル費用はこの法律では自治体負担のため、東京都などは国に「前払い」にする制度改正を求めるとともに、メーカーには不法投棄分はメーカー負担で処理するよう求めているが、国もメーカーも拒否している。
 フロンについてはメーカーに対し回収が政令で定められているだけで、どの程度回収するか、回収したものを破壊するか、その結果を公表するか、などが一切ないため、メーカーが本当に真面目に回収・破壊しているか全く分からない状態である。
 家電リサイクルで「排出時負担」の問題点が改めて明らかになったが、政府は「自動車リサイクル」でも同じ方法を導入する構えだと報道されている。


JNEPの自動車リサイクルに関する意見

産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会
 (自動車リサイクルワーキンググループ)御中
 2001年3月22日
公害・地球懇(JNEP)
自動車リサイクルに関する意見

 1.基本的な考え方について
 案に示された不法投棄の防止、リサイクル・適正処理の確保、最終埋立処分量の極小化、などは当然のことですが、いずれも曖昧です。
 曖昧な理由は、第一にこの制度が材料資源の有効利用をメインにしながら有害物質の処理にも手を出していること、第二に天然資源の消費を最小にする原則がなく、またそれをいつまでにどの程度まで達成するかを示していないためです。
 リサイクルについては、「最終埋立処分量の極小化」だけでは不十分です。天然資源の消費を最小化し、材料はリサイクルを重ねてできるだけ長持ちさせ、最後に材料として、燃料として絶対に使えない最小限のものを捨てる、という原則と、それを担保する政策が必要です。廃材を用途を問わず使えばいいというのではなく、自動車を長持ちさせて不要な買い換えを抑制する政策、新車の材料の中で再生資源の割合を飛躍的に高める政策、などが必要です。
 有害物質処理は特別法で実施すべきです。有害物質対策が自動車リサイクル制度でできないことは、その達成目標や手段が示されていないことから明らかです。先行する家電リサイクル制度でも、法律にはフロンも鉛も定められず、政省令で処理をすることだけが定められたとはいえ、回収率も規定されず、実効性ある規定とは到底いえません。
 有害物質の処理対策は別の制度で厳しく規制を定め、自動車リサイクルをもって処理されるとの幻想は捨てるべきです。幸い、フロンについてはフロンを回収・破壊する制度が別に提案されていますので、フロン対策はそうした特別の制度に任せるべきです。

 2.関係者の役割分担
 案は、それぞれの持ち場でどのような役割を果たすのかを示すのみで、全体のシステムからはみ出る不法行為が起きたときに誰が統一的に責任を持つのかを示していません。これでは役割分担を示したことにならないと思います。
 循環型社会形成基本法においても、拡大生産者責任の考え方が取り入れられています。私たちは、個々の分野でそれぞれの主体が役割を果たすのは当然としても、全体はメーカーが責任をもつことにしないと制度は機能しないと考えます。例えば不法投棄が生じた場合、不法投棄をするユーザーのモラル云々と言っても制度は機能しません。不法投棄があった時にメーカーが回収とその費用負担、環境保全、原状回復などの責任を持たせれば、事業者側で不法投棄を防止するシステムを自ら構築するはずです。

 3.費用負担及び費用徴収方法
 費用負担はユーザーですし、メーカー負担と言っても最終的に価格に転嫁されます。そのことと費用を誰からどの段階で徴収するかは全く別の問題です。
 費用徴収方法でわざわざ6案を示していますが、基本的な考え方で「不法投棄の防止」をあげながら、「排出時負担」の案があるのは理解に苦しみますし、家電リサイクル法に対する国民や自治体、メーカーの懸念を何ら活かしていないといえます。私たちはメーカーから費用徴収をしない限り、大量生産の解決、使い捨てを前提にしたような製造の改善はありえないと考えます。


メーカー主導の家電リサイクル
 家電リサイクル法が2001年4月から施行される。同法でエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の回収・再利用をメーカーが義務付けられたことによる。これら4品目の家電は年間1800万台(約60万トン)も廃棄されていたことから、この90%程度が回収・再利用のルートに乗ると期待されている。
 メーカーが回収した廃家電は、それを資源に再商品化されるが、消費者はリサイクル料金に加え、回収費用を自治体や小売店に支払う。
 各メーカーは全国に約190カ所の「指定引き取り場所」を設置、自治体や小売店が回収した廃家電を受け取る。そこからリサイクル施設に搬入し、金属やプラスチックを取り出して再び商品とする仕組み。
 同法で販売店に引取り義務があるのは、買い替え時の下取り品と過去に売った製品だけで、それ以外は市町村が引き取る。この点について兵庫県は県電機商業組合と協定して、市町村が引取る家電についても販売店が引取る方式を確立した。
 リサイクル料金は各メーカーともテレビが2700円、洗濯機2400円、エアコン3500円、冷蔵庫4600円…と横並びとなった。これに加え、自治体や小売店が設定する収集運搬料金…回収費が必要となる。
 設定されたリサイクル料金は、今まで自治体が粗大ゴミとして設定していた料金よりおおむね高く、さらに回収費を別途負担することになるので、不法投棄や法律施行前の駆け込み投棄が懸念されている。また、リユース(中古市場)の道を閉ざしてしまうとの指摘もある。
 このため不法投棄が増えて、回収率が計画通りに上がらず、リサイクル施設の稼働率が低くなるような事態になれば、リサイクル料金の再引き上げにもつながる。
 費用負担が当初より上がれば、中古品としての輸出や不法投棄が増える悪循環になる。仮に不法投棄されれば、市区町村が運搬料やリサイクル料金を負担せざるを得なくなる。
 こうした問題は、廃棄時に多額の負担を強いられる「後払い方式」制度にある。
 自治体側は、リサイクル料金の「後払い方式」制度を変更して、家電の購入時に「リサイクル料金+回収費」を前払いで行うデポジット制に変更するよう国に求めている。この方式によって、家電メーカーは前払い分の価格上昇を抑制したり、よりリサイクルしやすい製品開発を行なおうと努力することに結びつくメリットが指摘され、海外でも実践されている。
 JNEPは家電リサイクル法の制定に関して、リサイクル対象品目の問題、メーカー責任の強化や、デポジット(購入時の料金徴収)制などを提唱してきたが、早くも4月実施にむけてさまざまな懸念や問題がでていることから、家電リサイクル法の早期改正が必要であることを指摘しておきたい。


家電廃棄物のリサイクル基本方針骨子案へのJNEPの意見

厚生省水道環境部リサイクル推進室
環境庁水質保全局海洋環境・廃棄物対策室
通商産業省機械情報産業局電気機器課宛て

1999年4月27日
公害・地球懇 JNEP

特定家庭用機器廃棄物の再商品化に関する基本方針の骨子案に対する意見

 前回の政令等の案は、再商品化の適用除外を増やし、また適用品目についても再商品化(リサイクル)率を甘く見積もるなど問題の多い案でした。これでは廃棄物問題の解決につながらないし、リサイクルを前提にした商品の開発を促すことも期待できないと考え、私たちは意見を提出しました。また、再商品化とともに、鉛やフロンなど環境負荷の特に大きな物質については回収義務を付することが予定されていたはずですが、鉛など重金属については言及はあっても基準がありません。フロンと代替フロンを入れたことは多とするものの、これでは有害廃棄物問題の解決につながらないし、有害物質を使わないこと、使う場合も環境中に出さないことを前提にした商品の開発を促すことも期待できないと考え、私たちは意見を提出しました。
 今回の基本方針の骨子についても、こうした甘い基準を前提にした、消費者には色々注文があるのに製造業者や販売業者の責任はあまり問わない内容になっていると考えます。以下に意見を述べることとします。

1.特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の基本的方向について

 「廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るためには、特定家庭用機器について、廃棄された物をどのように処理するかという観点を転換し、製品の開発、製造から消費、廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、原材料又は部品として利用するリサイクルの促進という観点を持った、環境への負荷の少ない資源循環型経済社会システムを構築することが必要」という趣旨はいいと思います。ただ、大量生産、大量消費、大量廃棄社会と生産の抜本転換という言葉を入れることを求めます。

 「特定家庭用機器廃棄物の収集運搬及び再商品化等の実施等に当たっては、消費者は適正な排出、小売業者は引取り及び製造業者等への引渡し、製造業者等は再商品化等という適切な役割分担の下でそれぞれが積極的に参加することが必要」というのは、製造者責任をあまり問わないこの法律の不十分な枠組みの中での妥協でしょうが、製造業者の回収責任、販売業者の回収・引渡責任をもっと強く述べる必要があると考えます。

2.特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項について

(1)排出者(消費者・事業者)
 「製品をなるべく長期間使用することにより特定家庭用機器廃棄物の排出をできる限り抑制するよう努めること」はいいのですが、そのための情報がないのが実情で、情報提供についての国の政策、小売業者や製造業者の義務を示すことが必要です。

(3)製造業者
 「機器の耐久性の向上、修理体制の充実により廃棄される特定家庭用機器の減量に努めること」、および究極的にはリサイクル材料だけで製品を製造し、長持ちさせることが必要です。そのための政策のバックアップがないのが実情で、資源を浪費する業者が不利になるような国の政策を示すことが必要です。事業者の自主的努力に委ねていては再商品化も鉛・フロン回収も進まないと考えます。

(5)国
 国も一消費者として「製品を可能な限り長期間使用するよう努めることにより特定家庭用機器廃棄物の排出をできる限り抑制すること」は当然のことです。
 国が「特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制に資する施策」をどれだけ導入できるかが、この法律を機能させるかの鍵になります。この項目で研究や普及啓発しかないのはどういうことでしょうか。

3.特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の促進のための方策に関する事項

3―1.特定家庭用機器廃棄物の収集運搬に関する事項

 製造者責任をあまり問わないこの法律の不十分な枠組みの中での妥協でしょうが、消費者の役割をあまり強調しても仕方がないと考えます。逆に製造業者の回収責任、販売業者の回収・引渡責任をもっと強く述べる必要があると考えます。回収率、再商品化率の低い業者が不利になるような国の政策を示すことが必要です。

3―2 特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関する事項

 「部品又は原材料として利用する再商品化を進め、これが技術的困難性や環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合、生活環境保全上支障が生じないよう万全を期しつつ熱回収を行い、最終処分の対象となる廃棄物の減量に努めることが必要」という順序はいいと考えます。ただ、「技術的困難性や環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合」を国民参加で議論して決めないと、再商品化といいつつ、結局大量生産

 「鉄、銅、アルミの他、プリント基板等に含有される鉛等の金属類、ガラス類、プラスチック類の再商品化を促進するとともに、再商品化されたものの利用拡大を図ること」とありますが、前半の「再商品化を促進」はいいとして、後半の「再商品化されたものの利用拡大を図ること」はどういう意味でしょうか。大量生産、大量消費をやめるために、究極的にはリサイクル材料だけで製品を製造するという原則がないと、また無駄な用途をみつけて大量生産、大量消費を維持拡大してしまうことが懸念されます。
 プラスティックも再商品化を義務付けるべきです。容器包装リサイクル法では対象にするのに、どうして家電のプラスティックはだめなのでしょうか。

 「冷媒用フロン類の回収・処理を促進すること」は重要ですが、現在冷蔵庫のフロンの回収率は非常に低いと聞いています。回収の質を飛躍的に上げさせるには「回収効率の向上」を漠然と書いてもだめで、業者毎に回収率を報告させて国が検証し、全部数字を公表させるような措置をしないと集めたふり、あるいはそれに近いような低回収率が続いてしまうことを危惧します。
 「断熱材に使用されているフロン類」は、前回の政令案では義務としませんでした。今回の基本方針骨子案でも「できるだけ回収・処理に努めること」などと書かれていて、これではできるだけ集めようとしたができなかった、と業者に言い訳されそうな内容です。業者毎に回収率を報告させて国が検証し、全部数字を公表させるような措置をしないと回収ゼロが続いてしまうことを危惧します。

(1)製造業者
「特定家庭用機器の製造を行う者」として「材料・構造面での工夫により再商品化等の効率的かつ適正な実施に資する製品の設計・製造」や「部品の共通化による再利用の促進」、「再生資源の積極的利用」、それに「再商品化等を向上させるための部品・素材の種類等の表示」などの例が挙げられています。これらはいいと思いますが、これを後押しし、逆に協力しない事業者は損をするような国の政策が必要です。

(3)国
 国も一消費者として「再商品化等をして得られた物やこれを使用した物の使用を優先するよう配慮すること」は当然のことです。
 国が「特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進に資する施策」をどれだけ導入できるかが、この法律を機能させるかの鍵になります。この項目で研究や普及啓発しかないのはどういうことでしょうか。

(4)事業者、消費者
「再商品化等をして得られたものの製品の原材料としての利用の促進、再商品化等をして得られたものやこれを使用した物の積極的な購入・使用に努めること。」、「製品の製造に当たっての材質の表示、再商品化等を念頭に置いた原材料の統一化等に努めること」は、消費者に求めるのはむつかしいのではないでしょうか。

4.環境の保全に資するものとしての特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の意義に関する知識の普及に係る事項について

 素案にあるように「特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進は、特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制、再商品化等によって得られた物、熱としての利用の促進等と相まって、資源エネルギー投入量の削減、廃棄物の減量、環境に影響を及ぼすおそれのある物質の環境への放出の抑制等を通じて、環境への負荷の少ない資源循環型経済社会システムを構築していくという意義を有する」のですが、具体的に家電がどのくらいの材料を消費し、またリサイクル率がどのくらいで、廃棄物処分場に毎年どのくらい捨てられていて、それは企業別、製品別にどれくらい、という風に示されると普及啓発効果もかなり違うと思います。
 知識の普及としてまるで消費者が諸悪の根源のような書き方ですが、消費者にできることで一番大きなものは、よい製品を選び、悪い製品を買わないことです。どれがその「悪い」商品なのかがわかると消費者の行動も変わりますし、国の規制とともに、企業を動かすことにもなります。このような広報が必要だと考えます。

5.その他特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する重要事項について

 事業者が各段階における環境負荷を視野に入れた製品・素材の開発をすることを製造段階から行うこと、国が行わせることが重要です。
 プラスティックについては塩ビなど有害廃棄物の原因になるような材料は使わない原則が重要です。
 国民の周知を図り、その理解及び協力を得ること等に努めるよりも、製品が不法投棄されたら製造業者が困るような広報を国が行ったらどうでしょうか。


家電リサイクル率などで政府要請(JNEP)

 JNEPは4月10日までに、通産省と厚生省が検討している家電リサイクル基準に関して、ダイオキシン排出の原因のひとつであるプラスチックが対象外とされていること、処理技術が確立されているにもかかわらずリサイクル率を冷蔵庫50%やエアコン60%と低く設定されようとしていること、さらにフロンなどの完全回収について、次の申し入れを行った。



通商産業省(機械情報産業局電気機器課)御中
厚生省(水道環境部リサイクル推進室)御中

1999年4月7日
公害・地球懇(JNEP)

特定家庭用機器再商品化法の再商品化等率等を定める政令等に関する意見

 今回の政令等の案は、再商品化の適用除外を増やし、また適用品目についても再商品化(リサイクル)率を甘く見積もるなど問題の多い案である。これでは廃棄物問題の解決につながらないし、リサイクルを前提にした商品の開発を促すことも期待できないと考える。
 また、再商品化とともに、鉛やフロンなど環境負荷の特に大きな物質については回収義務を付することが予定されていたはずだが、鉛など重金属については言及はあっても基準がない。フロンと代替フロンを入れたことは多とするものの、これでは有害廃棄物問題の解決につながらないし、有害物質を使わないこと、使う場合も環境中に出さないことを前提にした商品の開発を促すことも期待できないと考える。
 以下に意見を述べる。

(1)再商品化等の基準(法第22条)について
 プラスチック製品は、ダイオキシンの原因となる塩ビ関係は論外として、他についても、かさばり、処分場をいっぱいにしたり、処理費用がかさみ自治体財政を圧迫するなど社会的費用が大きく、使い捨ては許されない、使用規制を受けてしかるべきものである。プラスチックの原材料として再商品化は当然の義務であると言える。
 しかし、案では「プラスチック類については、製品材料としての種類の統合への取組が進められているとはいえ、未だ多種多様のものが使用されており、また、難燃剤(アンチモン、臭素系難燃剤等)を含有するものが存在しています。新法は既に製造・販売され使用されている家庭用機器も対象とするものですが、これらを含む特定家庭用機器廃棄物におけるプラスチック類のマテリアルリサイクルは、金属類・ガラス類に比して困難な状況にあります。現段階では、対象機器に含まれるプラスチック類全てについてリサイクルを義務付けることは困難」などとして再商品化対象から除外し、使い捨てを容認しようとしている。目先のコストで再利用を回避する産業界の態度を容認するのではなく、厳しい義務を課して、高いコストと技術開発を行って従来型商品を作り続けるか、再利用にあった商品開発を新たに行うかの選択を迫るべきである。

 金属のリサイクルは技術的にも確立し、またテレビのブラウン管のリサイクルは有害重金属を含むことから、高率のリサイクルが当然必要とされ、また可能な分野である。
 しかし、案では「再商品化の実施に当たっての素材回収・再資源化の効率(歩留まり)については、現在の処理の状況を勘案し原則80%程度を見込むことが適当と考えます」として低い商品化率を定めている。目先のコストで再利用を回避する産業界の態度を容認するのではなく、厳しい義務を課して、高いコストと技術開発を行って従来型商品を作り続けるか、再利用にあった商品開発を新たに行うかの選択を迫るべきである。

 上記の適用除外もしくは甘い基準を反映した総合再商品化率は、案では
○ユニット形エアコンディショナー 60%以上
○ブラウン管式テレビジョン受信機 55%以上
○電気冷蔵庫           50%以上
○電気洗濯機           50%以上
と大変低く、ごみ問題の解決に役立たないものである。案にもあるように現状の再商品化が10%程度と見られることからそれよりも前進という判断かもしれないが、今後数年の間、こうした大量廃棄を追認するような基準を運用するのは問題である。ブラウン管のガラスは100%、 金属は90%、プラスティックは80%とし、それにみあった高い基準を設定すべきである。そのうえで、メーカーに対し、高いコストと技術開発を行って従来型商品を作り続けるか、再利用にあった商品開発を新たに行うかの選択を迫るべきである。

(2)再商品化等と一体的に行う事項(法第18条第2項)について
 重金属については100%回収を義務づけるべきである。今回の案ではブラウン管の鉛、プリント基板の金属以外は基準があいまいであり、問題である。

 フロンについてはオゾン層を破壊することから、その確実な回収が義務づけられるべきである。環境庁の特定フロン回収実態調査によれば、オゾン層破壊の効果の大きい特定フロンについても、現状では回収率が極めて悪いことが指摘されており、私たちは業界自主目標の限界であるとともに、数値目標を示さずに業界に任せるとどのような結果になるかを示していると判断している。
 今回、オゾン層を破壊するフロン、オゾン層は破壊しないが強力な温室効果ガスで京都議定書の規制対象にも加えられた代替フロンについて、100%近い確実な回収を義務づけることが必要である。
 また、案では断熱材フロンを適用除外しようとしているが、極めて問題である。このまま適用除外であり続ければ、業界の努力は全く期待できないので、業界は相変わらず断熱材フロンを使った環境破壊商品を作り続け、しかも「断熱材フロンの回収を行うための施設が極めて少ない」ままであろうし、「施設整備を含めた回収に係る費用が高い」ままであり続け、オゾン層破壊、地球温暖化は一層進み、一方で自然界にある代替物質を使った断熱材の使用は全く進まないと考えられる。
 目先のコストで再利用や代替物質転換を回避する産業界の態度を容認するのではなく、厳しい義務を課して、高いコストと技術開発を行って従来型商品を作り続けるか、再利用にあった商品開発あるいは代替物質への転換を行うかの選択を迫るべきである。


家電リサイクル法の概要

・大型家電4機器(テレビ、電気冷蔵庫、エアコン、電気洗濯機のみ。政令で規定)について製造業者等(輸入業者を含む)に回収義務、再商品化義務を規定した。ただし、再商品化には燃焼による熱回収も含まれる。
・リサイクル費用はあらかじめ製造業者等が計算し、公表した額を廃棄時に消費者が負担する。
・国は政令で機器毎に毎年の再商品化率を定める。どのような指標で再商品化率を定めるか、決定方法などは成立後に具体化される。
・国は政令で、有害重金属のうち鉛などと、フロンについて回収・処理規定を設ける。有害金属の多く、プラスティック、代替フロンなどは不明。
・事業者は、回収時に管理票を廃棄物毎に作成し、管理するとともに、処理状況を記帳する。記載事項などは政令で定める。事業者には定期報告義務はない(情報公開法の公開対象に含まれない)。
・主務大臣は厚生大臣、通産大臣のみ。ただし、「基本方針」の策定のみ環境庁長官が加わる。

参考:家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の条文解説

 

家電リサイクル法の問題点

○環境政策全般に関する問題点

・法目的に資源の有効利用はあるものの、環境については「生活環境の保全」のみがあげられ、地球温暖化防止など、大量生産を抑制する事項が目的にないこと
・環境庁長官は基本方針の策定にしか関与できず、有害物質やフロンの回収・処理の具体化や、記帳、報告(定期報告はなく、臨時のみ)などには関与できず、厚生・通産両省に委ねられること
・全体として(対象機器、有害物質処理、リサイクルなど)具体的事項は全て政省令委任で、行政裁量(厚生省、通産省)の余地が極めて大きいこと
・政令で規定される予定の4機器(テレビ、電気冷蔵庫、エアコン、電気洗濯機のみ)以外は本法律は適用されず、この4機器でも政省令で適用除外機器(業務用機器などを中心に)が規定される可能性があり、業務用の諸機器や、その他の商品(パソコンのモニター…テレビと同様のブラウン管)、撮影用ビデオ(ニッケルカドミウム電池など)などは、廃棄量が多くても、また有害物質が含まれていても適用されないこと。

○有害物質、フロンなどの回収・処理について

・有害物質、フロンなどの確実な回収及び処理義務が明記されていない。
・回収・処理については一切が政令委任になっており、対象物質やその処理方法(第18条)、それを担保する資料の業者による記帳(第51条)や報告(第52条、但し定期報告義務なし)などの具体化が一切法案には盛り込まれず、行政裁量(厚生省、通産省)の余地が極めて大きいこと。
・機器の回収時に発行される管理票は記入事項の一切が政令委任になっており、行政裁量(厚生省、通産省)の余地が極めて大きく、処理状況の把握に使えるものかどうか不明なこと。
・リサイクル費用を「安く」あげるため、テレビなどで重金属回収がきちんと行われない可能性があり、冷蔵庫やクーラーでは意図的あるいは手抜きによるフロン放出が行われる可能性が高いこと(欧米の多くの国ではフロン放出が法律…アメリカ、ドイツなどや、拘束力ある協定(イギリスなど)で禁止されており、日本だけが放出を野放しにしている。この結果放出されるフロンは、日本の温室効果ガス排出削減目標1990年比6%を上回る可能性がある。

○再利用・リサイクルについて

・デポジット(購入時の料金徴収)ではなく、廃棄される際に料金を徴収するため、これを避けるため不法投棄が増加する可能性が高いこと
・年度毎、対象機器毎に再商品化率を定めることになっているが、リサイクルの対象(鉄、アルミだけかどうかなど)、それを担保する資料の業者による記帳(第51条)や報告(第52条、但し定期報告義務なし)などの具体化が一切法案には盛り込まれず、行政裁量(厚生省、通産省)の余地が極めて大きいこと。
・焼却による熱回収も再利用・リサイクルの中に含めていること。

○市民参加・情報公開について

・市民参加の規定がないこと。
・情報公開の規定がなく、しかも情報公開法による公開対象となる「義務として国に報告すべき事項」がないこと。

今後の必要な改正点

○環境政策全般に関する問題点

・地球環境保全、大量生産の抑制などを法目的に加えること。
・基本方針だけでなく法全般にわたり、環境庁長官を主務大臣に加えること。
・対象機器は法律で規定すること。パソコンなどをはじめ業務用、家庭用電気製品全般(とくにバッテリーを使う機器及びフロン、代替フロンを用いる機器)全てを対象とすること。

○有害物質、フロンなどの回収・処理について

・対象物質を法律で規定すること。また、対象物質は人体への有害性の確認を条件とせず多くの金属フロン、代替フロンを含めて幅広く定めること。
・有害物質、フロン、代替フロンなどの確実な回収・処理義務を明記し、業者が従わない場合の罰則を規定すること。
・有害物質、フロン、代替フロンなどの処理・廃棄量を毎年物質毎に業者に報告させ、国はその結果を公表すること。また、業者が従わない場合の罰則を規定すること。
・廃棄物毎に発行される管理票には廃棄時に含まれると予想される有害物質・フロン等の含有量やその適切な処理のための注意などを記載することを法律に規定すること。

○再利用・リサイクルについて

・廃棄される際に料金を徴収するのではなく、デポジット(購入時の料金徴収)とすること。
・再商品化率の内容及び中期目標は機器毎に法律に規定すること。
・不法投棄を含めて製造業者等、不明な場合には業界団体等(【注】業者が不明な場合には業界団体等法律に規定される「指定法人」ではない)の回収責任を規定し、不法投棄を事業者責任により防止すること。
・有害物質、フロン、代替フロンなどの処理・廃棄量を毎年物質毎に業者に報告させ、国はその結果を公表すること。また、業者が従わない場合の罰則を規定すること。
・焼却による熱回収(いわゆる「サーマルリサイクル」)は「再商品化等」から除外すること。

○市民参加・情報公開について

・リサイクル目標の設定、有害物質等の回収等について決定する第三者機関を新設し、市民/NGO代表またはその推薦する専門家を3分の1以上とすること。
・当該機関で進捗状況を監視し、不十分な場合には主務大臣に勧告を出すとともに公表し、勧告を受けた主務大臣はそれを尊重するものとすること。


家電リサイクル法案で政府申入れ内容/公害・地球懇など(1998年3月13日)

家電リサイクル法案への見解/(通産大臣/厚生大臣宛)

 家電リサイクル法案が今国会に提出されようとしています。私たちはこの法案がリサイクルだけを強調するあまり、大量生産・大量消費・大量廃棄の是正、有害物質の確実な回収や使用削減につながらないことを懸念しています。この観点から、家電製品の処理については、製造業者・流通業者の責任を明確にすべきだと考えます。
 また、処理費用の分担については、消費者が意思決定に参加する仕組みが必要であると考えます。この法案は事業者を中心として作成されており、処理が公正かつ適正に図られないのではないかと懸念しています。
 ダイオキシンなど有害廃棄物により各地の処分場でおきている命と健康を脅かす事態は、有害物質の生産・販売を野放しにしてきたこれまでの国の政策の帰結です。有害物質を生産段階で規制し、消費量を確実に削減していくことが求められています。再利用についても大量生産・大量消費からの脱却が必要であり、温暖化防止など地球環境保全、省資源・省エネ、廃棄物による環境破壊防止のためにも、この視点が重要です。
 したがって私たちは実効性ある法制度の制定を求め、以下を要請するものです。

1.製造業者(または輸入業者)の排出者責任を明記し、有害物質を原因とする環境問題が生じた際に製造業者が責任をおうことを明記すること。とりわけ、有害物質やフロンなどの回収責任を明記すること。

2.情報公開規定をいれ、業者毎、製品毎の回収・再利用・処理状況(再利用できずに廃棄物となった場合は処分場の地名を含む)、回収価格について毎年公開する制度とすること。

3.回収費用については透明化を図り、消費者のみに負担がかからないように充分検討すること、また廃棄時の徴収を止めること。

4.サーマルリサイクルはリサイクルの対象から除くこと。

5.実施の監視にあたり、工業にくわしい専門家、消費者代表、環境団体代表とその推薦する専門家などからなる審査機関を設置し、回収・再利用・処理について審査するとともに回収価格が適正かどうか審査する制度とすること。

 

全国消費者大会・環境交流会 富山洋子(日本消費者連盟) 小池信太郎(公害・地球環境問題懇談会) 池田佳子(全国公害患者の会) 木内良子(東京都地域消費者団体連合会) 立石京子(日本母親大会連絡会) 蓮尾隆子(家庭栄養研究会)


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