(05/12/18更新)

温暖化防止最新情報

 

歩み始めた京都議定書--CASA声明05/12/10
COP/MOP1と日本の責任--CASA05/12/05
京都議定書発効で国内政策の強化を05/03/20
歴史的一歩を踏み出した京都議定書05/02/18
京都議定書発効で国内対策待ったなし04/12/21
京都議定書のロシア批准でNGO声明04/10/22
COP9閉幕でCASAが声明03/12/15
COP8でWWFが声明02/11/5
ヨハネスブルグサミットと今後02/09/06
CASA声明、期待を裏切ったヨハネスブルグサミット
CASAのヨハネスブルグ通信
ヨハネスブルグ政治宣言案に対するNGO声明02/09/03
国際NGO共同声明02/09/03
WSSD自然エネルギー促進合意は逆行(NGO緊急声明)02/09/03
ヨハネスブルクでの持続可能な開発サミット02/08/15
リオから10年、世界と日本の温暖化対策は進んだか02/08/15
最高を更新した2000年の温暖化ガス02/07/20
日本政府、京都議定書を批准02/06/13
産業界の抵抗で進まぬ国内温暖化対策02/01/18
中環審地球環境部会答申案へのJNEPの意見02/01/17
産構審の温暖化防止国内対策でJNEPがパブコメ01/12/17
COP7、アメリカ抜き発効へ合意(01/11/14)
京都議定書「批准表明」求め政府へ申入れ(01/10/24)
京都議定書、大幅後退で瀬戸際蘇生(01/07/29更新)
難航する京都議定書の行方(01/07/12)
CO2削減、省エネ政策で意見提出、JNEP(01/06/22)
ブッシュ政権、環境無視の大暴走(01/05/24)
ブッシュ暴走への各国の反応(01/05/24)
プロンク議長の新調停案に日本は反対、米は黙殺(01/05/24)
経産省、環境省が相次いで「大綱」の破綻を試算
2010年の原発20基建設は困難、政府13基建設へ下方修正(01/04)
経団連計画を通産省がレビュー、自助努力分では増加
京都議定書離脱で米大統領へ抗議(01/03/31)
COP6決裂、最大原因は日本政府(00/11/26)
COP6、13日からハーグで開幕(00/11/17)
南極上空のオゾンホール過去最大に、北半球でも破壊進む
イギリスでCO2排出権市場(99/7/5)
CO2排出量…1998年度不況減、1999年度大幅増
温暖化対策で政府初点検(99/7/2)
富士通、日本初の「環境会計」(99/5/31)
米排出権取引業者が日本市場参入へ(99/5/31)
政府の温暖化対策の基本方針(99/4)
温暖化対策基本方針に原発推進を明記
COP3以降の温暖化防止対策とNGO活動

 


歩み始めた京都議定書--CASA声明

COP11・COP/MOP1
歩み始めた京都議定書
2013年以降にも確かな道のり

2005年12月10日(カナダ:モントリオールにて)
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)

 気候変動枠組条約第11回締約国会合(COP11)と京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)は、京都議定書の運用ルールであるマラケシュ合意をすべて採択するとともに、2013年以降の削減目標と制度設計について交渉を開始する決定を採択して終了した。
 マラケシュ合意の採択により、このCOP/MOP1で京都議定書が着実な歩みを始めたこと、そして2013年以降も京都議定書が継続することを前提に、2013年以降の削減目標と制度設計についての議論に道筋がつけられたことを、心から歓迎する。
 遵守制度を含むマラケシュ合意の採択により、京都議定書は完全に実施段階に入ることになった。このことは、日本などの先進国の法的拘束力を持った削減義務を実施するためのすべてのしくみが完成したことを意味している。日本は、今年4月に「京都議定書目標達成計画」を閣議決定したが、6%削減の目処はまったくたっていない。早急に、再生可能エネルギーについての固定価格買取制度や環境税の導入などの抜本的な対策を早急に導入すべきである。
 このCOP/MOP1では、締約国が2013年以降も京都議定書を継続する意思を示せるかどうか、そのための道筋をつけることができるかどうかが課題であった。COP/MOP1で、2013年以降も京都議定書の枠組みが継続することを前提に、2013年以降の削減目標と制度設計についての議論をここCOP/MOP1で開始し、次期約束期間との間に空白が生じないよう結論を出すことが決定されたことは大きく評価されてよい。また、途上国を含めた議定書の検討についての議論を準備することになったことも評価してよい。
 気温上昇幅を工業化以前(1850年頃)から2℃未満に抑えなければ、地球規模の回復不可能な環境破壊により人類の健全な生存が脅かされる可能性がある。すでに0.7℃上昇してしまった。残された時間は少ないことを自覚しなければならない。
 リオ、京都、マラケシュそしてモントリオール。次代を担う子供たちのためにも、この歩みを止めることは許されない。

 



COP/MOP1と日本の責任--CASA


CASAポジションペーパー
「COP/MOP1と日本の責任」


UNFCCC COP11 COP/MOP1
28 November-9 December 2005, Montreal, Canada


1 増加する日本の温室効果ガス排出量

 2005年10月に公表された速報値によると、2004年度の温室効果ガス排出量は1990年比で7.4%も増加し、CO2排出量は90年比で11.5%も増加している。日本は京都議定書の6%削減どころか、未だに削減方向への転換すらめどがたっていない。
 1990年から2003年までに石炭火力発電所の設備容量・発電量は約3倍に増加し、同時期に鉱工業の生産指数あたりエネルギー消費量は20%以上悪化した。同時期に自動車の輸送分担率は旅客(自家用乗用車)は4%、貨物は7%上がった。一方で、再生可能エネルギーはここ数年減少傾向にあり、その大部分を占める太陽熱利用は同時期にほぼ半減した。一次エネルギー供給中、天然ガスは約14%程度で増えてはいるものの依然石炭より低い。
 代替フロンの生産とストック増を容認したため、2004年までに1995年比で冷媒のHFC排出量は5倍に、断熱材のHFC排出量は2.3倍に増加した。
 こうした温室効果ガス増加の原因は、日本政府が、電力部門や産業部門のCO2排出削減と代替フロン対策を自主的取組に委ね、交通インフラの公共投資の約85%を道路建設につぎ込み、排出増を事実上放置してきたためである。


2 6%削減ができない「京都議定書目標達成計画」

 2005年4月、日本政府は、京都議定書の発効を受けて、日本の削減目標6%を達成するための「京都議定書目標達成計画」(以下、達成計画)を閣議決定した。しかし、「達成計画」とは名ばかりで、この「達成計画」が6%削減を達成するめどがまったくない「未達成計画」であることは政府関係者も認めている。
 「達成計画」であるべきものが、なぜ「未達成計画」になってしまっているのかには、いくつもの理由がある。第1に、温暖化対策の施策が数多く提示されているが、具体的な実施計画が欠如し、これらの施策が確実に実施されるための担保措置がない。日本は1990年に、2000年までに一人当たりCO2排出量を1990年レベルにするとの「地球温暖化防止行動計画」を閣議決定したが、まったく実行できなかったことに学んでいない。
 第2に、環境税(炭素税)や再生可能エネルギーの導入などの抜本的対策がほとんどない。環境税については環境省がその導入を提案しているが、経済産業省や産業界の反対が強く、この「達成計画」では、その導入について「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である」と事実上導入を先送りにしてしまっている。「京都議定書達成計画」が「未達成計画」になってしまう直接の原因は、森林などの吸収源を過大にカウントしていることにある。日本政府は、マラケシュで最後までごねて、3.9%の吸収量を勝ち取った。しかし、森林管理を担当する林野庁も3.9%の吸収量をカウントすることは現状では困難だと指摘している。
 また、東海村の臨界事故(1999年)や関西電力の美浜原子力発電所(2004年)での死傷事故など甚大な事故が発生しているにもかかわらず、「原子力依存路線」に執着したままである。このことが再生可能エネルギーの普及を妨げる要因になっている。再生可能エネルギーの導入のためのRPS法は、その目標値が極端に低いこと、廃棄物発電が対象とされているため目標のほとんどが廃棄物発電によって賄われてしまっていることなど、再生可能エネルギー普及の大きな障害となってしまっている。
 しかし、最大の問題は、日本政府が長期的目標をもっていないことにあるように思われる。2005年5月、中央環境審議会の専門委員会は、「気温上昇幅を工業化以前から2℃とする考え方は、長期目標の検討における現段階での出発点となりうる」と報告したが、経済産業省や産業界の反対のために、政府レベルでは長期目標の議論がまったくなされていない状態である。


3 京都議定書に背を向ける経済産業省の提案

経済産業省がこれまでにまとめた、2013年以降の制度設計についての2つの報告書 は、京都議定書を失敗だったとし、総量削減、法的拘束力、遵守制度などの京都議定書の基本的など構造を変えることを提案する、極めて後ろ向きの内容になっている。その具体的内容は次のとおりである。

@ 国別排出絶対量の短期的な削減目標設定は、既存の技術のみを前提にして技術開発を促進せず、経済成長を制約する
A 現在の議定書の懲罰的な遵守スキームでは、参加のインセンティブが働かない。
B 将来枠組みにおけるコミットメントの中核は途上国支援、技術開発などの具体的取組みとすべき。
C 次期約束期間については技術開発のリードタイムを見込んで、「将来における一定期間(2030年から2040年の10年間)と設定し、それまでの期間は排出原単位での目標設定」などを検討する。

 経済産業省の提案には、将来の枠組みに関する議論でありながら、回避すべき悪影響のレベルや長期的な排出削減のレベルへの言及が全くない。また、途上国支援、技術開発などの具体的取組みで、国別削減義務よりもどれだけ高い削減が得られるのか、なぜこのコミットメントで大幅な削減が可能なのかということには触れられていない。こうした約束期間の設定では、中短期的には何も対策が施されない可能性が極めて高い。まず、「究極の目標」に適う長期目標を掲げ、その上で中期、短期の数値目標を掲げることが対策を着実に進展させることになることは明らかである。
 議定書の遵守スキームでは「参加のインセンティブが働かない」とするが、マラケシュで帰結の法的拘束力に反対したのは、日本とロシアだけだったことを忘れてしまったようである。

4 日本政府はモントリオールで何をすべきか

 COP/MOP1の課題は、第1にマラケシュ合意を採択して、京都議定書を実施可能にすること、第2にマラケシュの宿題である遵守制度の帰結に対する法的拘束力の問題についての決着をつけること、第3に2013年以降の削減目標と制度について議論を開始し、いつまでにその議論を終えるかについての道筋を決めることである。
 マラケシュ合意の採択は問題ないと思われるが、遵守制度の帰結に対する法的拘束力については、日本がマラケシュで強硬に反対し、この問題を宿題として残してしまった、CASAは、まずCOP/MOP決議の形で遵守制度が機能するようにすることが必要と考える。そのうえで、議定書18条によって、遵守制度の帰結に法的拘束力を与える議定書の改正をすべきである。日本政府は、「参加のインセンティブが働かない」などというアメリカ政府すら賛同しなかった屁理屈を止め、遵守制度が法的拘束力をもつように努力すべきである。
 2013年以降の削減目標と制度については、CASAは以下のように考える。

@ 2013年以降の削減目標は、当然に第1約束期間の削減目標を上回るものでなければならない。
A 2013年以降の制度は、京都議定書の基本的構造である、法的拘束力、5年程度の短期の総量削減目標、遵守制度などが引き継がれること。
B 削減目標が、客観的な指標に基づいて自動的に決まるようなものにすること。

 経済産業省の提案は、CASAの提案とはまったく異なり、第2約束期間以降に議定書とまったく異なる制度をつくろうとするものであるが、2013年以降に議定書の枠組みが継続されないとなると、第一約束期間の削減目標自体がないがしろにされかねず、京都メカニズムも機能しなくなる可能性が高い。経済産業省の提案は、京都議定書の第1約束期間の削減そのものを危機に陥れる可能性もあり、進行する気候変動に対する危機感に乏しく、気候変動を防止しようとする意思に欠けていると言わざるを得ない。
 議定書3条9項は、今年から第2約束期間の削減目標についての議論を始めるよう規定している。2013年以降の削減目標の議論をこのCOP/MOP1で始めることは締約国の議定書上の義務である。また、第2約束期間の削減目標をいつまでに合意するかについてもこのCOP/MOP1で決める必要がある。CASAは、第1約束期間が始まる前の2007年末までを交渉期限とすべきだと考える。IPCCの第4次評価報告書が2007年に公表されることから、このIPCCの知見を踏まえて議論するには時間が足りないというなら、交渉期限を2008年末までとすることもあり得る選択かもしれない。
 京都議定書が採択されたCOP3の議長国であった日本には、京都議定書の削減目標が確実に達成され、その制度が円滑に機能するように努力する特別の責任がある。また、2013年以降の削減目標や制度のあり方についても、京都議定書を引き継ぎ、地球温暖化防止に実効性ある削減目標と制度が合意されるよう、リーダーシップを発揮する責任がある。モントリオールでは、日本政府がこうした責任を果たすことが求められている。
 たしかに世界の排出量の4分の1を占めるアメリカの参加は必要であり、アメリカを議定書交渉に復帰させるための努力はすべきであるが、アメリカが参加しやすい安易な目標や制度では、地球温暖化は防げず、将来世代への責任を果たすことにはならない。
 既に157ヵ国が京都議定書を批准している。世界の圧倒的多数が京都議定書を支持していることを忘れてはならない。

 



京都議定書発効で国内政策の強化を

京都議定書が発効

 さる2月16日に京都議定書が発効し、日本など先進国に課されている削減義務は、正式な国際法の義務となった。2月はじめまでに京都議定書を批准して、その義務に従うことを明らかにした国は140カ国で、今後も増加する見込みである。世界共通のルールを守るのを拒否している2カ国(アメリカとオーストラリア)を除き、世界は京都議定書のもとで温暖化対策を、先進国は先進国に課された共通のルールで、途上国も途上国に課された共通のルールで、それぞれ削減に取り組むことになる。
 (注)以下、温室効果ガス排出量を1990に比べてという表現を使うが、厳密にはCO2などのガスの排出量は1990年比だが、代替フロン類の3つのガスは1995年比である。

日本の排出の8割は企業セクター

 日本のCO2はその8割を企業セクターが出している。家庭の排出(全体の13%)と、自家用車の家庭関係の利用、廃棄物で約2割である。
 家庭で電気を消すのが大事、などと言う人々もいるが、家庭だけで京都議定書の目標を守るには家庭の排出を半減させなければならない。日本に求められている削減は、もっと根本的なものである。

6%削減のはずがこれまで8%増加

 日本も2008〜12年の5年間の温室効果ガス(CO2など6つのガス)の排出量を1990年に比べて6%削減することを求められている。
 ところが、2003年までに日本の温室効果ガス排出量は1990年に比べて8%も増加してしまった。これは後に見るように政策が不十分であったためと言える。目標達成の義務を果たすためには、今後14%もの大幅削減をなんとしてもやりきらなければならない。

8%増加をもたらした4つの政策の失敗

 日本は1990年に、当時としては世界に先駆けて「地球温暖化防止行動計画」をたて、2000年までに二酸化炭素排出量を(但し人口あたり)1990年レベルに安定化(1990年)削減に取り組んだ「はず」であったが、実際には総量で10%、人口あたりでも7%増加し、失敗に終わった。失敗の原因は政策が弱く、削減が担保できないこと、温暖化防止に逆行する政策を放置したこと、などであった。
「地球温暖化防止行動計画関連施策」として毎年14〜15兆円の予算を使って対策を推進しているとしながら、その中身をNGOが点検してみると道路建設など公共事業が9割を占めていたことが、対策及び政策の「弱さ」を象徴している。
 この経験を活かせず、政府は同じように政策の弱い、対症療法中心の方針をたてている。

(1)排出削減に逆行する事態を放置
 まず、大量生産社会を継続し、温暖化対策に逆行することを繰り返した。公共事業を拡大、道路を優遇して自動車交通量増加を放置した。
 また石炭火力発電所を3倍近くに増やした。石炭を燃やした時のCO2排出量は、同じエネルギーを取り出すのに天然ガスを燃やす場合に比べ、2倍もある。欧州はこの性質を利用して石炭から天然ガスに替えてCO2削減を行ってきたが、逆に日本の電力会社は、「値段が安いから」と石炭を増やしてきた。排出の増加は石炭火力発電所の増設を放置した政策の帰結である。

(2)目標の弱さ〜政府目標では6%削減のうち、国内排出削減はわずか0.5%
 2点目に、目標の弱さがある。日本政府の政策は「地球温暖化対策推進大綱」にまとめられている。ここでは国内削減はわずか0.5%で、残り5.5%は森林が吸収したことにする(植林で吸収量を増やすのではなく、国際ルールの日本むけ特例)のと、海外で減らしたことにして「達成」することにし、もともと国内で削減する目標になっていない。

(3)対策の弱さ〜対症療法中心
 3点目に、対策の弱さがある。なお、ここでいう「対策」は政府計画に位置づけられた各セクターの対策である。
 「地球温暖化対策推進大綱」では、エネルギー消費が増えても原発を増設すれば帳尻が合うとして、総量削減も、効率改善も、いずれも見るべき対策を位置づけなかった。産業部門の省エネの徹底、民生運輸の建築物・機器効率向上、自然エネルギー普及、脱フロン対策などは位置づけも弱いままで、国が本気で対策を進める意思に欠けていた。

(4)政策の弱さ〜企業の自主的取り組みや市民の善意に全面的に依存
 4番目に、政策の弱さがある。省エネ対策などで何トン削減と数字があるものの、その達成が法的に担保されているのは全体の2割に満たない(環境NGO・気候ネットワーク調べ)。
 特に、産業対策の大半を「自主的取組」に任せ、結果的にバブル崩壊で生産が減っているのに産業の効率悪化を放置して排出をかえって増やすのを放置してきた。
 また、自動車や機器や建物の効率に大きく左右される民生部門・運輸部門については、国土交通省がこれまで建物の断熱基準の規制化に反対してきた結果、基準を守らない建物が続出し、その結果民生部門の冷暖房エネルギーを増加させてしまった。機器や自動車の省エネについても、大型機器や大型自動車に甘く、しかも適用除外も多い抜け穴の多い規制により、民生部門の電力需要、自動車の効率を全体として悪化させてしまった。


■排出を減らすために

(1)石炭を増やしてしまった発電など
 発電所は日本のCO2排出量の3割を出している。
 ここで重視すべきは石炭火力発電所の電力の削減である。石炭は先に説明したように、同じ発電量を得るために石油の約1.5倍、天然ガスの2倍もCO2を出してしまう。石炭は大気汚染物質も石油や天然ガスより桁外れに多い。
 天然ガス火力に替えればCO2は同じ発電量を維持しながら約半分になるし、自然エネルギー発電所に振り替えることができればゼロになる。こうした対策を進めるような政策を導入し、削減を政策で保証しなければならない。
 なお、原子力発電も運転中はCO2を出さないが、将来世代に放射性廃棄物を残すことになるなど問題が多い。

(2)道路建設中心、クルマ優遇の政策の転換
 自動車は同じ人数を同じ距離運ぶのに鉄道の5−10倍もCO2を排出する。貨物でも自動車は同じ荷物を運ぶのに鉄道や船舶の5−10倍もCO2を排出する。今後は都市内や長距離輸送を中心に自動車交通量を減らし、さらにその輸送量を鉄道や船舶に転換していく必要がある。
 これまでの政策は運輸関係の公共投資の8割以上を道路建設につぎ込み、自動車をますます有利にしてきた。こうした政策を改め、都市部では路面電車やバスを便利にし、値段も安くして基本的に公共交通だけで移動できるようにすべきである。貨物はトラックを使うとしても、地域の荷物を1度にまとめて運ぶなど徹底的に効率化するよう政策で誘導すべきである。
 道路建設でクルマを有利にする政策から、道路建設を減らして公共交通や鉄道・船舶貨物を充実する政策に転換することが必要である。

(3)公共事業や寿命の短い建築物
 日本ではGDPの8%近くを公共事業に費やし(欧米の2〜3倍)、また建築物も25〜30年で頻繁に建て替えてきた。イギリスは建築物の寿命は約75年とのことなので、3倍も材料を無駄にしていることになる。
 こうした建設関係でCO2がどれくらい出ているかを大手ゼネコンの大林組が試算して業界のパンフレットに紹介している。それによると日本のCO2の約2割は建設工事や、建設材料の製造・加工・運搬で出している。
 無駄な公共事業を減らし、建築物を長持ちさせれば日本のCO2排出を大幅に削減できる。

(4)効率の悪い建物・機器の氾濫〜家庭や商店の削減のためには
 家庭で、商店やオフィスで、削減のためにこまめに電気を消すなどの努力が行われている。しかし、日々努力しなければできない削減ではなく、もっと根本的に削減できる方法がある。
 家庭でも、ビルでも、断熱効率が悪ければ冷暖房に多くのエネルギーがかかるし、電気製品の効率が悪ければ多くの電気をくう。うっかり浪費型住宅・浪費型機器をつかまされないために、買い替えや引っ越しの際に断熱効率や機器の効率に細心の注意を払う必要がある。
 誰もが買うときに十分な知識を持っているわけではないし、そもそも情報提供や表示が十分でなく、電気製品の一部には最近ラベルが貼られるようになったが、商品に貼っていない店もある。家についてはほとんど見かけない。家庭や中小企業で間違えないためには、規制で効率の悪い機器や建物を売るのを禁止し、効率規制を強化することが必要である。同時に家庭や企業にどれが効率がいいのかもっと情報を伝えることが必要である。

(5)ごみもCO2増加の原因
 日本の廃棄物焼却によるCO2は全体の2%にすぎないが、化学工業と製紙業では、プラスチック製品等や紙の製造のためにあわせて10%以上もCO2を排出している。2000年に制定された循環法では、第一に減量、第二に再使用、第三にリサイクル、それもだめな場合に焼却廃棄のはずが、政策ではなぜか大型ごみ焼却施設が建設されてきた。
 生産者が責任を負わずに自治体が無料で収集する容器包装リサイクル制度が使い捨て容器の増加を招いている。資源利用自体を減らし、再使用可能な製品の増加を促すため拡大生産者責任を政策に大々的に導入し、ごみが増えれば生産者が損をする制度にすべきであろう。


■今後なすべきこと

(1)政策のイロハ
 政策に必要なことが3つある。
 一つは目標をたてて取り組み、中間点検をして対策強化をしてやりきることである。何をいまさら、そんなことは企業も家庭もやっていると、怒られそうであるが、こういう当たり前のことを、環境対策、特に温暖化対策では国はまだやったことがないようである。
 目標を決めようとすると、正確な目標などできないなどとクレームがつく。対策が進まず政策を導入しようとすると、成果があがらなくても自主性が大事とか、成果はあがっていないが一生懸命やっているなどと理屈にならない反対・圧力を受け、なぜかそれが通って政策強化ができない。挙げ句の果てには環境の専門家を標榜しながら京都議定書は守らなくてもいいなどという人もいる。
 まず対策目標を決めて、その際に代替案の中から最も良いものを選んで決め、毎年進行をチェックして不十分なら対策を強化する、そうした当たり前のシステムが必要である。

 2つ目は、逆行するものを許さないことである。企業や市民が一生懸命太陽光発電や風力発電を地道に増やし、省エネに取り組んでいるその横で、規模からしてその百倍千倍もの石炭火力発電所建設を許してしまう、あるいは企業や市民がモーダルシフトを地道にやろうとするその横でバイパスや環状道路を建設してクルマだけをますます便利にしてしまう、こういうことを続けていては温暖化対策は進まない。

 3つ目は、企業や市民の善意に頼らないことである。これまで日本の排出が増えてしまったのは、逆行するものを許しただけでなく、対策進展を企業や市民の善意に依存してきたことにある。対策を確実に進めるためには政策の支援、さらには政策でその対策を保証することが欠かせない。

(2)温暖化対策強化の政策
 先に8%増加の4つの理由をあげた。また政策の前提とすべき3つの条件をあげた。ここでは6%削減を実現する政策を
 逆行する政策を排し、目標を国内対策で6%削減とし、総量抑制と徹底した効率改善を対策の中心に据え、それを政策で保証することが大事である。
 削減対策が進んだかは毎年チェックし、不足と判断されればただちに政策強化をするシステムにすべきである。また、政策は、それで実現できる対策を全部あわせると6%削減を余裕をもって達成という風に決めなければならない。
 「逆行する政策を排」するためには戦略アセスメント制度を法制化し、開発政策・経済政策の全てについて事前に点検することが望ましいが、法制化前でも、逆行する政策が判明次第、政府の責任でやめることを申し合わせればよい。
 「政策で保証する」とは、削減対策は、善意に依存せず、政策で保証されることが必要である。例えば焦点の産業むけ政策で言えば、産業界がきっとやってくれるに違いない、ではなく、産業界にやらせるために、税をかけたり、効率規制を課したり、協定を結んで守れなければ違約金を取る、などが必要になる。
 政策手法には規制も、税・課徴金も、環境ラベルも、協定もある。対策ごとに効果的なものを採用すべきであろう。

(3)温暖化対策強化の主要分野の政策
 先に紹介した分野でどんな政策が必要かを述べる。
 石炭火発の新規建設に対しては規制が考えられ、既存の火発には高額の石炭税をかけて、石炭火発を運転すると天然ガス火発を動かすよりも電力会社が損をするようなしくみが考えられる。
 産業の削減のためには、炭素税をかけて、その代わり企業が世界一の省エネ技術を導入することを前提に国が企業と協定を結び、税を軽減するような、イギリスやオランダで実現している制度もある。
 建物の断熱効率は日本では規制されていないので規制化すべきであろう。建築時に規制を守っていなくて後から規制破りが判明したらそれまでの冷暖房費を補償させるなどの担保策も考えられる。
 自然エネルギーの発電をすれば高値で量を制限せずに買い取る、などという制度もあり、ドイツ、スペイン、デンマークなどで効果を発揮している。
 公共事業削減政策や道路建設抑制政策、拡大生産者責任政策は温暖化防止にも寄与する。


情報公開も重要

 何をすべきかの情報が市民に、企業に伝わっていないことも対策が進まない原因の一つである。情報には2つある。一つは購入・使用する商品のエネルギー情報、もう一つは企業の情報である。
 家電を買うときももちろんであるが、住宅を買ったり借りるとき、事務所を買ったり借りるときに、断熱効率がどの程度かを示させることは極めて重要である。いったん浪費型のものを買ってしまうと、クルマや家電は10年、家は現在のような比較的短期の使用としても25年はその効率に縛られてしまう。家やクルマや家電を買う人が必ずエネルギーのことを考えるように、制度で情報を与えることが大事である。
 もう一つは、地域にある大排出企業の対策を地域で応援あるいは進んでいないようなら監視し地域で進展を促すことが必要だろう。商品を買うときに、契約を結ぶ時に、あるいは株式を購入する際に、対策の進んでいる企業のものにしようと考える人もいるだろう。そういう時に、現状ではどの事業所が何トン出しているのか公表する制度がない。全国の主要事業所の排出量を国や自治体が公表する制度をつくれば、地域で、あるいは「緑の消費者」が、対策の進んだ企業を応援し、対策をすれば地域や市場で評価されると、企業の励みにもなるだろう。


どのように実現すべきか〜意思決定

 こうした政策への転換は、利害関係を持たない市民が主導して実現するものである。温暖化防止政策強化は、従来型の既得権益の利害調整では導入できない。
 今年は、3月末をめどに政府の「京都議定書目標達成計画」案が策定され、パブリックコメントを経て4−5月に制定される。今のところ、政策をあまり強化せず、産業界の自主計画を前提にしたものとすることで議論が進められている模様である。昨年見送られた環境税は、環境省が8月の税制改正要望で提案、年末までにつっこんだ議論が行われると予想される。
 また、環境基本計画の改定が諮問され、6月に審議会で案が出てくる模様である。夏には団体との意見交換も予定され、年内か年度内に改定されると考えられる。前回の見直しでは政策目標とその点検が重点になったものの、事業官庁の反対でつぶれている。
 残念ながら現状ではエネルギー浪費社会・大量生産社会に既得権益を持つ者の力が強い。とりあえず今は現状の大量生産システムを維持し、将来夢の技術で解決できればいいという人々もいる。
 そのような勢力は力が強くても「道理」がない。その強化は科学の要請から求められているものであるし、昨今の異常気象多発から、また既に被害を受けた途上国の人々の声から、その必要性を実感する人々が増えている。しかも、科学者によれば対策は世界的に今後飛躍的に強めていく必要がある。その一歩として、大排出国である日本で実効性ある政策を求め、実現するための幅広い市民の運動が求められている。


歴史的一歩を踏み出した京都議定書

 日本の古都、京都の名を冠した国際条約が長い議論の末にようやく2月16日付けで発効した。アメリカが温暖化防止の枠組みから離脱し、ロシアの批准も時間がかかったが、141カ国・地域(EU連合を含む)が批准し最終的に国際協調が実った。1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3/京都市)の採択から7年が経過したが、国際法として歴史的な一歩を踏み出すことになったことは喜ばしい。
 議定書が発効した16日、日本では、この間NGOのまとめ役をはたしてきた気候ネットワーク(浅岡美恵代表)が「進もう京都議定書とともに」と題した集会を京都で開いた。また環境省と京都府、京都市の共催のシンポも京都で開かれ、ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ環境副大臣らが出席した。

  京都議定書の発効についてフランス大統領は、2050年までに先進国全体で温室効果ガス排出量を4分の1に減らさなければならないと述べ「議定書は最初の一歩にすぎない」と指摘し、京都議定書の枠組みから離脱した温暖化ガス最大の排出国であるアメリカの復帰促進をはかるとともに、枠組みの外にありながら今後、確実に温暖化ガス排出が増大する中国、インド、ブラジルなどへの支援に乗りだす構えを見せている。またドイツも同様の見解を示し、議定書発効後もこうしたEU主導が続く。
 国連のアナン事務総長は、「21世紀に直面する気候変動という問題を克服するための大きな一歩を踏み出した。国際社会は京都議定書に従って前進していく必要がある」と述べた。
 島国モルディブは、国を挙げて京都議定書発効を待ち望んできたが、最大の排出国である米国こそ、議定書に参加すべきとの声が強く、海面上昇で水没が懸念されるツバルも京都議定書は海面上昇だけでなく、さまざまな気候変動に対応しており、人類の将来に向けた姿勢を示していると発効を歓迎している。

 二酸化炭素排出量が20年後にアメリカを抜いて世界一になると予測されている中国は、京都議定書発効を「歴史的な一歩」と評価しつつも自国の排出ガス削減義務に関しては触れていない。
 議定書離脱のアメリカは、GDP当たりの排出量を2012年までに18%減らすとの自主目標を設定しているが、2003年の排出量はCO2換算で約69億トンと、1990年以来最高記録している状況である。しかしアメリカの18の州では、企業の温暖化ガス排出規制や再生可能エネルギー使用の義務づけなども取り組みはじめられている。オーストラリアは「米国や中国を含む世界の主要な排出国が議定書の枠組みに組み込まれる前に批准するのはほとんど無益」と述べるにとどまり、国際協調に参加する意思はない。

 発効した京都議定書は、先進国全体で2008〜12年平均の温室効果ガス排出量を1990年比5.2%削減することを義務づけている。
 日本は、2008年から2012年の間に、二酸化炭素などの排出量を1990年比で6%減らすことが義務づけられているが、これまでに逆に8%増加しており、あわせて14%削減しなければならない。
 そのため政府は、「京都議定書目標達成計画」を定め、産業や運輸、家庭などの各部門ごとの削減対策と数値目標を設定する。具体的には、家庭や企業に補助金を出して低公害車や省エネ型の電気製品の購入を促進するなどの対策を進める模様だが、14%の削減義務を達成するのは至難で、政府は石油やガソリンなどに新たに課税し、税収を温暖化対策のために充てる環境税の導入も検討している。
 日本の場合、国内対策を総動員しても削減目標には1.6%分届かないため、海外での排出削減量を自国分に算入できる「京都メカニズム」を活用することとなる。
 具体的には、例えば中国は、京都議定書の発効に伴い、風力発電や炭坑から出るメタンガスを利用した発電など温室効果ガスの排出削減につながるプロジェクトを先進国の協力で進め、見返りに排出権を売る取引を積極的に進める方針であり、このほか、オーストラリアでの植林事業やチリの養豚業のメタンガス回収などが揚げられている。しかし、日本などが排出権買い取りを拡大すると、途上国の排出権供給が追いつかない恐れも出てくる。

 地球温暖化防止に向けた京都議定書の発効を受けて今年11月に予定される最初の同議定書締約国会議が、カナダのモントリオールで開かれるが、ここでは議定書が定める先進国の温室効果ガス削減目標が達成できなかった場合の罰則規定などの詰めのほか、2013年以降の枠組みに関する議論も取り上げられる。

グリーンピース 京都議定書発効を歓迎
 「京都議定書生誕の地で議定書発効の瞬間を迎えられたことを心からうれしく思う」「これはゴールではなく、私たちは危険な気候変動を本当に防止するためのスタートラインに立ったにすぎないことを忘れてはならない」…グリーンピース・ジャパン。
 「議定書発効は地球温暖化対策の歴史の中で大きな第一歩としてその名を残すことだろう」「ここまで来るのに私たちは10年以上を要した。気候変動の影響はすでに世界各地で顕著になってきており、私たちに残されている時間は多くない。京都議定書の発効した今こそ、気候変動対策に本腰を入れる時」…グリーンピース・インターナショナル。
 地球の平均気温が産業革命以前より2℃上昇すれば、気候変動の影響は甚大になる。これまで人類が排出した温室効果ガスによって1.3℃以上上昇することはすでに避けられない事態となっている。気温上昇を2℃未満に抑えるためには、先進国は2020年に30%以上、そして2050年には60〜80%という、京都議定書の削減目標をはるかに超えた温室効果ガス削減を実現しなければならない。
 国際社会の大部分が京都議定書を受け入れているのに対し、米国と豪州は気候変動の本当の脅威を否定し、行動を起こすことを拒否している。気候変動対策の国際的なリーダーである欧州が制度構築や気候変動対策技術利用で世界を牽引し、経済的、社会的な便益を得るための競争が始まっている中、米国と豪州の産業界は世界的な流れから取り残されることになるだろう。

 


京都議定書発効で国内対策待ったなし

 京都議定書の発効が決まり、議定書の諸規定は来年2月16日には正式に国際法として効力をもち、日本の「6%削減」も正式な義務になる。
 日本の温室効果ガス排出量は、環境省の速報値によると2003年までに1990年から(代替フロン類だけは1995年から)8%も増加している。6%削減のためには14%も削減しなければならない。
 日本政府は6%削減のうち5.5%は森林吸収(大半は新規植林ではなく既存の森林)と海外からの排出枠の獲得ですませる予定だが、そうした消極的な目標も現行の対策ではとても達成できず、環境省は7%も超過してしまうと予測、経済産業省もほぼ同じ推定をしている。

 地球温暖化対策推進法により「京都議定書目標達成計画」
 京都議定書の発効にあわせて地球温暖化対策推進法も未施行部分が新たに施行される。この中で、政府は「京都議定書目標達成計画」を定めて排出削減を実行することになっている。
 この中身が、従来のように大量生産を継続した対症療法のままか、脱温暖化・脱大量生産の社会経済を目指す一歩になるのかが第一の争点になる。
 また、各種削減対策について、業界の自主的取り組みに任せて達成できなければ税金を投入してロシアの余った排出枠を買うのか、国内でまじめに削減するのか、が第二の争点になる。2月からの計画策定が、国内温暖化対策の鍵を握ることになる。

 削減対策の鍵は電力と産業
 産業においては日本のCO2排出量の4割近くを占める。素材産業がその多くを排出、鉄鋼業の1業種だけで日本の5千万世帯の家庭とほぼ等しい排出量であり、電力は直接排出量で日本のCO2の4分の1を排出し、しかも最近は石炭火力発電所の発電量を90年以前の約3倍に増加させ、日本のCO2排出量を10%も押し上げている。
 産業は、自らの削減だけでなく、家庭、商店、自動車などの削減を大きく左右する。家庭の削減を実現するためには、省エネ住宅に住み替えたり、省エネ家電に切り替えが必要である。これらは産業から供給されるので、産業に対し規制を強化して省エネ住宅、省エネ家電を供給させること、さらにいいのは省エネ住宅、省エネ家電しか供給されないようにすることが重要である。

 政策強化について
 ところが、政策が不十分なために産業や電力自体の削減が進まず、また家庭などに供給される住宅・建築物や製品の省エネが足踏みを続けている。なかでも住宅の断熱基準は規制でないので半分も守られていない…ということは、こうした家を買わされた家庭は、意図せずに、本来もっと防止できる温暖化を加速させられ、しかも無駄なエネルギー代を30年などの長きにわたり払わされることになる。
 政府が想定しているその他の温暖化対策も、全体の6分の1程度しか制度では保障されず、あとは業界の自主計画や個人の善意に任されているという心許ない状態がある。対策を強化してそれを確実に達成するには、規制などで対策の進展が制度的に保障されることが必要である。

 来年は京都議定書の第1回会合
 来年は、条約会議に加えて京都議定書の第1回会合も開かれる。
 ここでは、今の京都議定書の約束期間(目標期間)2008-12年の次、2013年以降の削減をどうするかの議論が正式に始まるほか、先進国は国内削減で目に見える成果を示さなければならないことになっている。
 また、目標を守れなかった時の措置(超過分について、次期からの前借りを許すものの3割増しで返すこと、削減計画を策定すること、などが決まっている。)を拘束力のあるものにするかが議論される。これには日本以外の大半の国が賛成している。
 日本が国際会議で削減できない言い訳ではなく、建設的な意見を言えるようにするためにも、国内削減で成果をあげることが必須である。

 気候変動枠組条約第10回締約国会合(COP10)
 12月6日から17日まで、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで気候変動枠組条約第10回締約国会議(COP10)が開催された。京都議定書の次の期間(2013年〜)の削減目標を視野に入れ、来年5月に締約国間で「政府専門家セミナー」が開始されることになったが、アメリカなどの反対で、具体的な削減枠組みの交渉とリンクしないことになった。また、開発途上国の「適応」策(洪水、干ばつなど気候変動の悪影響への対策)について「5カ年行動計画」を定めることが決議された。

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)は、COP10の閉幕に際し、声明「更なる排出削減に向けた「将来枠組み」の議論の進展を!」を発表した。


CASAのCOP10声明

2004年12月18日/ブエノスアイレス
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)

更なる排出削減に向けた「将来枠組み」の議論の進展を!



 気候変動枠組み条約第10回締約国会議(COP10)は、気候変動枠組み条約発効10周年と来年2月16日の京都議定書が発効を祝い、(1)議定書の削減目標を確実に達成する政策と措置の確認と、(2)すでに気候変動の悪影響を受けている地域への適応策と、(3)2013年以降の国際的な枠組みについての議論をスタートさせようと交渉を進めてきた。

・気候変動の悪影響を受けている人々へ早急な支援を
 COP10では、北極、南太平洋の島々、ラテンアメリカ、アジアにおける、食糧や飲料水、健康などを含む、すでに現れている気候変動の悪影響について多くの報告があった。こうした悪影響に対する途上国への具体的な支援策をいかに進めることができるかが課題であった。COP10で採択された作業計画は、すでに地球温暖化の影響を受けている地域に住む人たちが必要としている支援策とはほど遠い内容となった。しかし、締約国は、これを第一歩とし、もっとも悪影響を受けやすい地域に住む人たちへの支援策を緊急に進めなければならない。

・京都議定書の目標の確実な達成を
 気候変動枠組み条約発効10周年の主な成果として京都議定書の発効が挙げられている。しかし、附属書T締約国(先進国)の温室効果ガス排出量は、ロシアなどの経済移行国を除いて、削減どころか増加している。このままでは京都議定書の削減目標の達成は困難と言わざるを得ない。気候変動を防止するためには、先進国が京都議定書の削減目標を確実に達成することがその第一歩である。先進国は、削減目標を確実に達成する政策と措置を直ちに実施すべきである。

・更なる削減を実現するための交渉を開始すべき
 COP10の前にアルゼンチンのラウル・オヨラ・エストラーダ大使より、将来枠組みに関するセミナーの開催が提案されていた。COP10では、2005年5月にセミナーを開催することになったが、アメリカとサウジアラビアが強硬に反対したため、セミナーでは、さらなる効果的な地球温暖化対策の推進について議論はされるものの、将来の約束につながるような交渉はしないことになってしまった。京都議定書では、2005年末までに2012年以降の対策についての交渉がスタートすることとなっている。締約国は、更なる排出削減を実現するための交渉を早急に始めるべきである。

・日本政府はリーダーシップを発揮すべき
 COP10会期中、経済産業省は、京都議定書の基本的構造を骨抜きにする極めて後ろ向きな内容を含む産業構造審議会報告を政府ポジションのように宣伝した。一部の省庁とはいえ、日本からこうした京都議定書を否定するような提案がなされたことは極めて問題である。
 京都議定書の議長国として、京都議定書の枠組みを基礎としたさらなる排出削減を実現するための交渉をスタートするよう、EUとともに日本はリーダーシップを発揮すべきである。



京都議定書のロシア批准でNGO声明

2004年10月22日
気候ネットワーク 代表 浅岡美恵



「京都議定書」発効へ大きなステップ ロシア下院で批准法案可決



 本日、ロシアの国家院(下院)において、京都議定書の批准法案が可決された。9月30日にロシア政府の閣議決定後、議会の迅速な対応により、京都議定 書の発効に更に大きく一歩近づいた。今後、ロシア連邦院(上院)における可決、大統領による署名という手続きが続くが、批准手続きは、年内、それも早 ければ 11月中に完了する可能性が濃厚となってきた。
 気候ネットワークは、京都議定書が発効する日がついに秒読み段階に入ったことを改めて歓迎する。
 京都議定書の発効は、昨今の気候異変に伴う地球温暖化問題への対策について強い関心の高まりを反映したものであり、国際協調を模索する国際政治の努 力が結実したものと言ってよい。
 発効がますます現実のものとなる中で、我々は、一層気を引き締めて、温暖化防止型社会へ向けた具体的な行動を起こすことの必要性を再認識しなければ ならない。
 特に、今まさに繰り広げられている「地球温暖化対策推進大綱」の見直しに関する政策議論においては、炭素税の導入や、事業者の事業所毎の排出量報告 ・公表制度の導入、経団連自主行動計画の見直し、住宅・建築物の省エネ規制、交通需要抑制政策等、具体的な政策の導入が議論されている。
 日本は、京都議定書の6%削減の遵守のみならず、今後の更なる削減が求められているところであり、先見性を持ってこうした政策の導入を実現し、責任 を果たす必要がある。
 ロシアの批准は、日本の京都議定書の遵守が正式に法的義務となることを意味する。国民を含む全ての主体で排出削減に取り組むことはもとより、それを 進める制度を今こそ確立し、実行に移すべきである。

 

ロシアの批准で、「京都議定書」発効へ

2004.9.30
気候ネットワーク
代表 浅岡美恵


 本日30日、ロシア政府が閣議を開き、京都議定書の批准案を下院に提出することが決定された。露下院は大統領与党が議席の3分の2を占めることから、批准が承認されることは確実視されている。
 これにより、1997年のCOP3開催から6年10ヶ月という、予想以上の長い年月を要したが、米国の離脱を乗り越えて、京都議定書の発効が現実のものとなった。

 京都議定書は、地球温暖化防止に取り組む唯一の国際的枠組みであり、今後大きな削減を導くための重要な第一歩である。気候ネットワークは、京都議定書の採択から今日まで、継続してこの実現に向けて取り組んできた。ようやく発効が確実になったことを心から歓迎する。

 京都議定書の発効は、日本が約束した「基準年から6%削減」を国際法の下で確実に達成しなければならないことを意味し、2002年に批准を済ませている日本にとっても重要な進展である。 COP3の議長国として、日本が京都議定書を遵守することは当然のことであり、2013年以降の更なる削減に向けても先導的な役割を果たす必要がある。

 おりしも国内では今年、「地球温暖化対策推進大綱」の評価見直し作業が進められている。しかし、現状のままでは6%の目標達成に到底及ばないことは明らかにもかかわらず、対策の先延ばしや、政策強化を回避しようとする動きが産業界から強まっている。
 これ以上の責任の押し付け合いや対策の先延ばしは、日本の目標達成を危うくするだけでなく、温暖化防止型社会の構築を遅らせるだけである。直ちに、地球温暖化対策の抜本的対策強化が不可欠である。実効性の高い政策措置としての炭素税の導入や、効率規制、排出量の把握・公表制度等の導入を急ぐべきである。
 また、地球温暖化対策推進法では、京都議定書の発効後に、「京都議定書目標達成計画」が策定されることになっている。同計画は、「地球温暖化対策推進大綱」の密室協議プロセスや対策不十分の問題を引きずることなく、透明なプロセスで、市民・国会の参画を確保したものとするべきである。


<コメント>
 京都議定書は02年に日本やEUが批准するなど、すでに124カ国が批准済み。アメリカが離脱したもとで1990年の二酸化炭素排出量が先進国全体の17.4%を占めるロシアの批准が求められていた。ロシアはEUなど先進諸国の政治批判をかわす判断があったものとみられる。これにより京都議定書は1997年の採択から7年遅れで来春にも発効する見通しとなり、同時に議定書の枠組みから離脱した最大の温室効果ガス排出国であるアメリカへの国際的批判は一層高まるものと見られる。


最高を更新した2000年の温暖化ガス
 環境省は7月18日、CO2などの温室効果ガスの2000年度の国内総排出量を約13億3200万トン(新算定方式によるCO2換算)と算出した。これは前年度より0.2%増で、1996年度、97年度に次ぐ量となった。このうち大半を占めるCO2の排出量は約12億3700万トンと、過去最高だった1999年度をさらに約400万トン上回った。
 環境省は、増加要因は家庭や事務所の冷暖房などのエネルギー消費量の増加が影響していると分析し、19日の地球環境保全に関する関係閣僚会議に報告した。
 民生家庭部門(2000年度CO2排出量全体の13.4%)の排出量は約3億1800万トンで1999年度比4.1%増、1990年度比20.4%増で、民生業務部門(同12.3%)も1999年度比1.7%増、1990年度比22.2%増となった。
 これに対し、CO2排出量の40%を占める工場などの産業部門(同39.9%)は1990年度比0.9%増だが、1999年度比では0.2%減、自動車排ガスなど運輸部門も(同20.8%)2億5600万トンで、1990年度比20.4%増だが、1999年度比では2%減となった。
 この産業と運輸が前年度比減となったことは、省エネが進んだというよりは公共事業減などの建設需要減で素材生産と運搬が減ったためと見られる。
 国内の温室効果ガス総排出量は96年度が最高で、97、98年度は不況の影響で微減だったが、99年度は工業生産の回復や世帯数増で再び増加に転じ2000年度も、この傾向が続いていることになる。
 こうして温室効果ガスは、排出量削減を義務付けている京都議定書の基準年(90年)比で8%増加した。
 2000年は地球温暖化防止行動計画の最終年に当たり、この年までに人口当たりCO2排出量を1990年レベルで安定化させることが目標だったので、今回の発表によりこの目標が達成できなかったことが、国により確認されることとなる。
 日本は、先月批准した京都議定書で、2010年をメドに温室効果ガスの排出量を1990年比6%減らすことを自ら義務づけたが、この目標を達成するためには、これまでの増加分とあわせて14%減らさなければならなくなる。

<参考>環境省「2000年度(平成12年度)の温室効果ガス排出量について」

CASAプレスリリース

「地球温暖化防止行動計画」の破綻を受けて
政府は国内対策の抜本的な見直しを!


2002年7月19日
特定非営利活動法人 
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)
Tel:06-6203-2050  Fax:06-6203-2051

「地球温暖化防止行動計画」の破綻を真摯に総括せよ
 政府(地球環境保全関係閣僚会議)は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの2000年度の排出量が13億3,200万トン(CO2換算)、1990年度比で8.0%増加になったと報告した。温室効果ガスの9割を占める二酸化炭素総排出量は、12億3,700万トンで1990年比で10.5%増加し、一人当たり排出量も7.6%増加している。
 政府は1990年に「地球温暖化防止行動計画」を策定して、「二酸化炭素の一人当たり排出量を2000年以降概ね1990年レベルで安定化」(=ゼロ削減)という目標を掲げたが、今回の報告で「行動計画」路線の温暖化対策が完全に破綻したことが明らかになった。
 破綻の要因として、@温暖化対策のメニューだけで、各対策を担保する経済政策などが盛り込まれなかったこと、A省庁間の縦割り行政により横断的な温暖化対策が実施されなかったこと、B施策をレビューする第三者機関がなく、対策に強制力がなかったことなどが考えられる。政府は、計画が破綻した要因を真摯に総括し、その教訓を今後の対策に活かさなければならない。
「新地球温暖化対策推進大綱」を早急に改正せよ
 今年3月に策定された「新地球温暖化対策推進大綱」も、国内での二酸化炭素排出削減については「行動計画」と同じ「ゼロ削減」で国内対策が軽視されている。また、「新大綱」は6%削減のうち5.5%を吸収源や京都メカニズムで達成するとされ、国内対策についても原発の大幅な増設や政策担保のない経団連自主行動計画などに依存しており、「6%削減」の達成を担保するものにはなっていない。しかも、第1ステップ(2002〜04年)では、従来の「行動計画」を踏襲する従来の対策のままで、抜本的な温暖化政策が盛り込まれていない。今回、「行動計画」の破綻が明白となったのであるから、政府は「新大綱」を大幅に見直し・改正すべきである。
日本国内での地球温暖化対策の推進は可能
 CASAの検討では、技術対策・電源対策・需要対策の3つの対策を適切な政策と措置により総合的に実施すれば、2010年までにCO2排出量を1990年レベルから約9%削減することが可能である(水谷洋一編「2010年地球温暖化防止シナリオ」実教出版、2000年)。「6%削減」を確実に達成するためには、省エネや再生可能エネルギーの普及などの国内対策を柱とした抜本的な対策を早急に立案・実施すべきである。


日本政府、京都議定書を批准
 政府は6月4日の閣議で、地球温暖化防止に向け、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量削減を義務付けた京都議定書の批准を決め、国連に対し寄託書を提出して批准の手続きを完了させた。
 これにより日本は74番目の批准国(ただし、温室効果ガス削減を義務付けられた先進国での批准は、ルーマニア、チェコ、アイスランド、ノルウエー、EU15カ国、スロバキア、日本の21カ国)となった。
 去る5月31日には参議院本会議で、この承認案が承認され、国内対策の枠組みを定めた改正温暖化対策推進法も同時に成立した。
 京都議定書は日本に対し2008-2012年の温暖化ガス平均排出量を1990年比で6%削減するよう義務付けているが、温暖化対策推進法改正案は、地球温暖化対策推進本部の設置とともに、2002年から2012年までを3期間に分け、事業所や家庭での排出削減策を段階的に実施する計画を策定する。この計画は2004年と2007年に検証され、削減が進んでいない場合は改定される。今後、日本の温室効果ガス排出量の公表、市町村レベルでの地球温暖化対策地域協議会の設置などを定め実行する。
 小泉総理は批准に際し「京都議定書は気候変動に対する国際的取り決め強化の重要な一歩で、各国においても議定書を早期に締結することを強く希望する。議定書の約束を達成することは容易ではなく、国と自治体、事業者、国民の総力が必要」とコメントした。大木環境大臣は「ロシアなどの先進国に対して、早期批准するよう要請する。世界最大の二酸化炭素排出国である米国にも、世界各国と協力しながら、引き続き批准を求めたい」と述べ、ロシアなど批准をしていない先進国15カ国に、早期批准を求める書簡を送る。
 こうして、ようやく日本も正式批准にこぎ着けたが、条約の発効にむけて国際世論の盛り上げがいっそう重要となっている。


産業界の抵抗で進まぬ国内温暖化対策
 昨年11月のマラケシュ(モロッコ)での京都議定書の運用ルールの合意を受け、温暖化対策のうち国内対策について産業構造審議会環境部会地球環境小委員会(経産省)の「中間取りまとめ」と中央環境審議会地球環境部会国内制度小委員会(環境省)の「答申案」が出ています。
 いずれも2004年までは既に審議会で破綻を認めた現行政策を当面続けて新たな対策を先送りし、対策の重点も民生・運輸部門のうち家庭に当て、しかも製品の省エネ規制強化ではなく、エネルギー浪費製品の製造・販売の続行を前提に、家庭でどう対策を進めるかが中心です。

 ■京都議定書の義務
 京都議定書では、先進国に2008-12年に1990年比平均5%の温室効果ガス排出削減を義務づけました。日本は6%削減を義務づけられています。ただし、その全てを国内削減ですることまでは定めておらず、吸収源や海外での削減(排出量取引など)を認めました。このため、国内対策を先送りしたり、あるいは実際には排出削減していないのに書類の上では削減になる「抜け穴」が懸念されることになりました。
 京都議定書の運用ルールの合意を受け、政府は批准の準備を始めていますが、産業界は、京都議定書批准反対(関経連)などと抵抗しています。この姿勢が政府の対策を先送させ、当面新しい政策は導入しないという方針になって現れています。

 ■従来の日本の対策の特徴
 京都議定書の運用ルールの合意を受け、日本もいよいよ国内対策を決めなければなりません。日本の削減義務は6%ですが、1998年の「地球温暖化対策推進大綱」ではCO2(二酸化炭素)排出量は1990年に戻すのみ(ゼロ削減)、代替フロンは2%増など、国内削減はわずか0.5%減にすぎず、5.5%分は森林吸収(植林ではなく今ある森林の成長分)や海外からの排出枠購入で、実際には削減にならないものが大半です。
 しかも、この程度の削減を保証する政策が少なく、達成が危ぶまれています。産業部門の対策は経団連自主計画に白紙委任され、原発増設や道路建設、廃棄物焼却施設建設など既存の政策が温暖化対策として「地球温暖化対策推進大綱」に盛り込まれるなど従来型政策が実行される反面で、新しい政策は大変少ないのが実状です。そのうえ削減がうまくいかなくても対策を強化するしくみがありません。
 審議会でも、総合資源エネルギー調査会(経済産業省)、中央環境審議会(環境省)は昨年、「地球温暖化対策推進大綱」の政策のままでは大綱の目標であるCO2排出総量を2010年までに1990年レベルに安定化することは不可能で、エネルギー起源のCO2排出量について、総合資源エネルギー調査会は6.9%、中央環境審議会は11%増加すると予想、対策の強化が必要であるとの報告をまとめています。
 今のままの政策では6%削減どころかゼロ削減すらできず、海外から大量の排出枠を購入して帳尻をあわせることになりかねません。

 ■先送りを主張する審議会報告
 こうした状況のもと国内対策の議論では、ただちに政策を大幅に強化して即時実行し、不足する政策をどんどん強化するしくみをあわせてつくるべきです。ところが、昨年末にまとめられた産業構造審議会の「中間取りまとめ」と中央環境審議会の「答申案」は、事実上対策を先送りし当面新しい政策は導入しないという方針になっています。
 両審議会報告ともステップ・バイ・ステップのアプローチを提案、2004年までの時期を第一ステップ、2005-7年を第二ステップ、そして京都議定書の削減義務が生ずる期間に当たる2008-12年を第三ステップとしています。この中で第一ステップについて産業構造審議会は「既往の対策」を実施し、新たな政策を入れないと主張しました。実質的には対策の「先送り」となっています。
 対策を真面目に考えるならば、早期に政策強化を行うことが極めて重要です。このことは家庭の冷蔵庫の省エネによるCO2削減対策を考えれば、製造業者への省エネ規制をできるだけ早期に行うのが急務であり、1年導入が遅れて製造業者の技術対策が遅れればそれだけ省エネ型冷蔵庫の普及が遅れることは容易に想像できます。気候ネットワークは産業構造審議会への意見書で「今回の段階的アプローチは、対策を強化すべきことが既に明らかであるにもかかわらず、新たな施策の導入を先送り、または導入を妨害するために用いられていると一般にも理解されよう」と厳しく批判しています。

 ■産業対策を避ける審議会報告
 産業構造審議会、中央環境審議会は対策の中心として民生・運輸部門をあげ、産業対策については、経団連自主計画に一任することを求めています。この理由として産業部門のCO2は90年以降横ばいだが、民生・運輸は大幅に増加しているとしています。
 むしろ排出が最大(CO2排出量で見ると日本全体の40%)で、しかも90年以降生産量が大きく落ち込んでいるのにCO2排出量は増加している産業部門の対策は大幅に強化すべきです。GDP当たり、あるいは生産量・生産高当たりの産業部門エネルギー消費量を大きく増やして効率を大幅に悪化させた国は日本の他にはほとんどありません。
 しかし経団連の自主計画は、産業部門でゼロ削減(日本全体でゼロ削減とすることを前提にした合同審議会の1997年の答申でも産業部門は7%減を求めています)を決めているように、自主計画の水準に問題があります。さらに、経団連は削減を約束もせず、協定などもことごとく拒否しています。自主計画のこうした欠陥は環境省の「自主計画検討会」の昨年の報告でも明らかになっています。
 民生・運輸の半分は事業者であることも重要なポイントです。経団連はこのことには意図的に触れようとしませんが、例えばデパート、コンビニエンスストア、トラック輸送業者など大口排出源が様々あります。こうした大口排出源に注目して排出規制などを実施することは重要ですが、今回の審議会報告はこれも避けて専ら家庭や小規模商店ばかりを想定しています。

 ■京都議定書発効に向け日本の対策が鍵に
 本年の8月末から9月4日までヨハネスブルク(南アフリカ)で開かれる「リオ+10」の国連会議で京都議定書を発効させるには日本が批准することが不可欠です。米豪という自国産業の都合を最優先させる国は批准しませんが、日本を含む先進各国が批准すれば京都議定書が発効し、国際ルールとして正式に動き出します。EUは「リオ+10」中に発効できるよう終了日の90日前(議定書の規定)までに批准するよう指令を出したそうです。旧ソ連・東欧や、ノルウェー、ニュージーランドなども批准に積極的と言われ、日本が批准するかが世界の不安材料となっています。
 国会が昨年4月の決議で早期批准を求め、世論もそれを求めているにも関わらず、これまで政府は批准にも国内対策にも消極的でした。産業界の一部の抵抗勢力が国際合意を無視して批准反対、対策強化反対を叫ぶなか、市民・NGOの運動強化で批准を実現させ、国内対策を強めさせることが重要になっています。


京都議定書「批准表明」求め政府へ申入れ
 温暖化防止の京都議定書をめぐる最終的な交渉(COP7)が10月29日からモロッコで開催されているが、日本政府がボン合意(再開COP6)にもとづき批准の意思を明確にすることが交渉を成功させる重要なカギをにぎっている。
 このCOP7を前に、公害・地球環境問題懇談会(JNEP)のよびかけで10月25日、全国労働組合総連合(全労連)全日本民主医療機関連合会(民医連)日本母親大会連絡会、大気汚染測定運動全国実行委員会、全国公害総行動実行委員会など6団体の代表が環境省を訪れ、小泉総理大臣と関係省庁(環境省・経済産業省・国土交通省・外務省)に対して、次の二点の申入れをおこなった。
 (1)京都議定書「批准」の態度を速やかに表明すること。
 (2)国内対策を抜本的に強化し、国内だけで「6%削減」をおこなうこと。

 申し入れの席上「人間の生存のかかった待ったなしの重大事態。危機感をもって対処すべきだ」「子どもたちの未来を守る大人の責任が問われている」「ブラジルサミット以来、日本政府の態度は世界から批判を浴びてきた。これ以上国際交渉の足を引っ張ることはすべきでない」「こんどこそ、京都議定書をまとめた議長国の責任をはたすべきだ」「抜け穴の主張ではなく、国内対策こそ強化する必要がある」など代表ら述べ、消極的な日本政府の姿勢を厳しく批判した。
 環境省は、地球温暖化対策の担当係長が応対、「批准を前提として、必要な国内対策の検討をすすめている。6%削減を政策的に担保するために、中央環境審議会で9月からは月二回のペースで検討をおこない、12月までにとりまとめる予定。産業界の声が強く、政府部内の説得も必要。国内でできることはしっかりやるつもり」と環境省の意向を述べつつ、経団連から数回の強い申入れがあったことや事業省庁との調整に苦慮している事情を示唆した。
 これに対し代表からは、「環境省が省昇格にふさわしい役割をはたすかどうか、国民は注目している。審議会任せではなく、直接国民の声を聞き、理解と支持を得る努力をすべきである。環境省にその気があれぱいくらでもバックアップするつもりでいる」ことを重ねて申入れた。
 担当者も「みなさんからの政策的提言を歓迎する。NGOとの意見交換を積極的に考えていきたい」と答え、COP7終了後、国内対策についての政策的な懇談の機会をつくることを約束した。
 JNEPは現在、政府に京都議定書の早期批准をもとめる団体署名運動を展開している。



 ●CO2削減、省エネ政策で意見提出、JNEP

 経産省総合資源エネルギー調査会
 総合部会・需給部会合同部会御中
2001年6月19日
公害・地球環境問題懇談会(JNEP)
  代表:清水誠

 
総合資源エネルギー調査会報告への意見

 CO2削減ゼロの見直しを
 (意見要旨)
 エネルギー政策の見直しを機会に、6%削減以上の大きな削減に転換すべき。
 (意見本文)
 エネルギー起源のCO2削減を2010年に至るまでゼロ削減というのは、地球温暖化対策推進大綱に定められているとはいえ、あまりに消極的である。国民から見ると、京都議定書で6%削減が義務づけられているのになぜゼロなのか、政府は温暖化対策を軽視しているのではないかと大変な不信感を持たざるをえない。
 エネルギー政策の見直しを機会に、6%削減以上の大きな削減に転換すべきである。

 省エネについて
 (意見要旨)
 省エネを大幅に強化すべき。既存の機器規制強化・建築物と工場の基準の規制化を行い、待機電力など追加策も規制とすべき。
 (意見本文)
 省エネについては追加で700万KL、CO2削減で600万トン(炭素換算)を提案している。
 これよりも大きな削減が不可能とは考えられず、もっと大胆な削減を見込むべきではないか。
 これまでの自動車省エネ基準などを大幅に強化し、新たに提案された対象機器も、さらに対象を拡大すべきである。
 現在規制ではない住宅や建築物の断熱基準も規制とすべきである。
 現在努力目標のために守られていない工場の省エネ目標も規制とすべきである。

 エネルギー供給について
 (意見要旨)
 原発増設は見込むべきではない。石炭火発は立地規制、使用規制あるいは税を徹底し、現在レベルから減らすべき。
 (意見本文)
 放射性廃棄物をもたらし将来世代につけを残す原発は増設すべきではない。
 石炭火発からLNGへの燃料転換を打ち出したことは大変新しい。しかし、その内容は不明であるし、シナリオに入れられている石炭火発の発電コストをLNG火発より高くする、という政策はきちんと提案されていない。むしろ、欧州の一部で行われているように、石炭火発の新設禁止、既設石炭火発へも効率規制などで順次削減を促し、また石炭火発起源の電力に課税し、電力会社に対して石炭火発優先から、LNG火発優先への転換を促し石炭火発はなるべく使わせない政策に転換すべきである。
 なお、原発増設ゼロケースで経済への影響があるとの試算は内容も明らかではなく、新エネ追加や省エネ追加なども一切なく、そもそもLNGの活用すらない非現実的なものである。国民に誤解を与えるので、経済への影響の部分は削除し、新エネ追加・省エネ追加・LNGの活用を入れて再計算すべきである。



ブッシュ政権、環境無視の大暴走
 ブッシュ政権は、3月以降、地球温暖化防止や大気汚染防止、自然保護など、世界の環境保全の求めを無視する政策を次々に打ち出した。
 3月にはまず、選挙公約に掲げていた発電所のCO2規制を撤回した。米国の火力発電所の半分は天然ガス火発の2倍もCO2を出す石炭火発(注 日本は2割)で、しかも旧式で効率の悪いものが多くあるため問題になっていたが、ブッシュ政権は業界の利益を環境対策より優先した。
 次いで、3月28日には京都議定書から事実上離脱すると発表した。ブッシュ政権はその理由として、「米国経済の利益にならない」「途上国が加わっておらず不公平」などとしている。言うまでもなくアメリカは世界最大のCO2排出国で、アメリカ1国だけで世界の4分の1を排出、人口当たりでは中国の7倍、インドの20倍であるし、水没の危機を迎える多くの島嶼国の排出はインドより遙かに少ないが、ブッシュ政権はそのことには新政権は興味を示さない。
 また、アメリカ経済を考えても、無駄な燃料を使い続けるよりも高効率のスマートな経済の方が多くの産業や国民にとって望ましいはずであるが、ブッシュ政権は特定のエネルギー産業の利益を環境などに優先した。
 国内政策でも、4月9日に発表した予算教書で、エネルギー重視と言いながら、自然エネルギー予算を半減させた他、省エネ予算もカットした。さらに、5月17日に発表した新しいエネルギー政策では、原子力の推進(アメリカではコストもかかり危険な原発は1979年のスリーマイル島原発事故以来新規着工がなかった)、アラスカ自然保護区での石油開発をはじめ、石炭・石油・天然ガス・原子力など環境負荷の大きいエネルギーの供給をどんどん増やすとの方針を明らかにした。
 また、チェイニー副大統領が「省エネが米国的生活の水準低下につながるなら、それを避けるのが政治家の仕事だ」と発言、省エネをむしろ敵視する姿勢だ。さらに、製油所などの大気汚染規制をゆるめ、各州が独自に大気汚染規制を行っていることについても問題だとして敵視する姿勢を明らかにしている。
 一方、カリフォルニアの電力危機、ガソリン高騰などではエネルギー産業による意図的な価格つりあげの疑惑がもちあがっているが、ブッシュ政権は調査にも非協力的で、価格規制などの要請は拒否する姿勢である。デービス・カリフォルニア州知事は「高い電力を売り、わが州から金を巻き上げている発電企業の多くは大統領の出身地、テキサス州の会社だ」と連邦政府の無策を批判している。



ブッシュ暴走への各国の反応
 <議定書からの離脱について
 世界の多くの国が非難。同調したのは産油国でこれまでも京都議定書交渉を妨害してきたサウジアラビアだけ。
 アメリカを議定書に引き戻すため、EUなどはアメリカ抜きで批准・発効させて圧力をかけるべきとの立場で、日本などにも協力を求めている。これに対し、日本、オーストラリア、ノルウェーなどの政府はアメリカの参加が重要、などとして模様眺めをしている。日本の衆参両院は国会決議で、こうした模様眺めをやめて早期に批准することを求めている。
 アメリカ国内でも、京都議定書に参加すべきとの意見が多数を占めた世論調査結果が発表され、多くの科学者・研究者、憂慮する科学者連盟、環境NGO、民主党が方針を非難、共和党のマケイン上院議員も批判している。
 
 <ブッシュ政権の国内政策について
 発電所規制の撤回は多くの国が失望のコメントを出した。予算教書や新しいエネルギー政策では、民主党が「石油会社の年次報告のようだ」と激しく非難している。オランダ環境大臣は「破滅的だ」との批判コメントを出している。
 一方、日本の経済産業省、電気事業連合会は、エネルギー浪費政策の部分には目をつぶり、原子力政策の部分を取り上げて歓迎している。


プロンク議長の新調停案に日本は反対、米は黙殺
 プロンクCOP6議長(オランダ環境大臣)は4月9日、京都議定書の細部について新調停案を示した。この案はCOP6の最後に示された案を修正したもので、吸収源でアメリカ、カナダの意見を大幅に採り入れて実質的に両国の削減目標を半減させた他、消極的な国々(日米など)に大きく妥協したものである。
 最も大きな抜け穴になると懸念される吸収源では、以前上限を3%としていた吸収源の利用について削減目標の半分までという制限に緩和した。また、植林の分については制限から外した。さらに、森林吸収以外の吸収源(草地管理など)のカウントを甘くした。環境NGO・CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の試算では、以前の提案では先進国の1.6%に当たる吸収源が、今回提案では2.1%に増えた。但し、途上国の植林で吸収量を稼ぐ森林CDMについて(これを認めるかは依然議論があるが)は認めた上で、国内吸収源(植林分等を除く)とあわせて削減目標の半分までという制限を設けることとした。
 排出量取引などの「京都メカニズム」と言われる、実際に削減になったかはともかく手続きを満たせば海外で削減したことにするしくみについては、アメリカや日本の主張通り、前回同様その購入を制限しないこととし、引き続き問題を残した。しかし、日本政府は、川口環境大臣(元通産省審議官)が吸収源で3.7%確保できないことを理由に「受け入れがたい」とし、ブッシュ政権が離脱を表明したことをあげて「この内容なら今出すべきではなかった」とまで主張、早期妥結、早期発効に協力する意思のないことを明らかにした。
 この提案は吸収源を含めアメリカがこれまで抜け穴づくりのために提案してきた様々な仕組みをベースにしているが、アメリカ政府はコメントを発表していない。


京都議定書離脱で米大統領へ抗議

 JNEPは3月30日、ブッシュ米大統領が「京都議定書」離脱表明に抗議する申し入れをアメリカ大使館にたいし行った。京都議定書は1997年のCOP3で2008年から2012年の先進国の温室効果ガスを1990年比で5%削減することを議定し、すでに33カ国が批准しているが、COP6(2000年11月)の決裂や日米の「抜け穴」さがしなど問題が続いていた。

 ブッシュ米大統領殿
 
2001年3月30日
 公害・地球懇(JNEP)
 Japan Network for Earth
 Environment and
 Prevention of Pollution

アメリカ政府の「京都議定書」離脱表明に抗議する申し入れ

 アメリカ政府は、28日に報道官が途上国が参加せず米国経済の打撃になる京都議定書を支持しないと発表、29日には大統領自らも京都議定書を支持しないと表明した。
 地球温暖化、気候変動については1〜3月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の各部会が、温暖化の兆候がすでに見られること、今後百年間に最大5.8度という、氷河期の後の100倍、1000倍ものスピードでの急激な温度上昇、気候の激変、異常気象の極端な増加と規模の極端化、生態系の壊滅的被害などを予告、警告する「政策決定者向けの要約」を発表した。世界の4分の1、人口当たりでは開発途上国の10倍の二酸化炭素を毎年排出する世界最大の汚染国、アメリカが対策を取るのは当然である。アメリカがエネルギー浪費型経済の構造改革を先送りし、景気後退の懸念や一部エネルギー産業の短期的利益のために対策を先送りし、国際的な対策の枠組みをこれ以上混乱させるのは許されない。

 アメリカ政府は単に地球環境破壊を続けることを表明しただけでなく、アメリカが「国際的な約束を守らない国」であること、アメリカ経済・産業が今後「環境フリーライダー」として世界市場で不公正な競争を行うことを宣言したこと、の2点で国際政治・経済の面でも大変理不尽な、およそ先進国の名に値しない方針を打ち出したことになることに気付くべきである。世界から非難が集中しているのも当然である。

 今回の事態はアメリカ以外の各国国民、産業などが憤りを感じているだけではない。環境保全や世界との協調を求める多くのアメリカ国民、世界市場で顧客のニーズを探りながら競争している産業の多くも、今回の発言を大変迷惑に感じていると考える。アメリカ政府は各国政府、産業界、市民・NGOの批判を重く受け止め、自国の科学者・市民・NGOなどの意見に耳を傾け、早期に今回の方針を撤回して京都議定書の批准と履行を速やかに行い、また科学者の求めを真摯に受け止め、その強化の議論に加わることを求める。



 気候ネットも以下のコメントを発表した。

 ●3/29ブッシュ政権の京都議定書からの「離脱」表明に関するコメント

 
京都議定書は死んではいない!
 今こそ日本はリーダーシップをとり京都議定書を発効させよ!
 -ブッシュ政権の京都議定書からの「離脱」表明に関するコメント-

 
2001年3月29日
 気候ネットワーク
 代表 浅岡 美恵


 昨日、ホワイトハウスでブッシュ政権の報道官フライシャー氏が記者会見を行い、米国は京都議定書から離脱すると述べた。

ブッシュ政権は、米国の国際的地位を貶めた
 合意を無視することで米国は国際的な信義を葬り去って、未来世代に対する大きな責任を放棄した。
 ブッシュ政権には、地球温暖化問題の重大さを認識し、早急に過ちを悔い改めることを強く求める。また日本と欧州に対しても、米国に京都議定書の枠組みに戻ることを強く働きかけるよう求めたい。

しかし日本が批准を約束すれば、京都議定書は守られる
 フライシャー報道官は、「発効も不可能な見通しで」と語っているという。
 しかし京都議定書は、90年の基準排出量の55%を占める国々が批准すれば発効する。そのためには、米国と批准の危ぶまれるカナダ、オーストラリア3カ国を除く他の先進国が批准することが必須である。つまり日本がEUとともにリーダーシップを発揮し批准すれば京都議定書は守られる。
 日本政府では、3/27の国会質疑で川口環境大臣が、民主党福山議員のこの点に関する数度に渡る追及に最後まで、「米国の動向によらず、日本は京都議定書を早期(2002年までを意味する)に批准する」とは答えておらず問題である。
 日本政府として、米政府に対し、京都議定書の枠組みに戻ることを強く働きかけるのは当然の責務である。
 しかしそれだけではなく、京都会議の議長国として、今こそ京都議定書を批准する意思を明らかにすることで、欧州と協力し京都議定書を発効に導くリーダーシップを発揮すべきである。
 そのためにも京都議定書の批准に向けての国内対策の強化の取組みにいささかの後退があってはならない。地球温暖化への対策は待ったなしであり、先送りしても何の解決にもならない。
 私たちはCOP6再開会合が成功するよう、全国キャンペーンの中で、京都議定書への圧倒的な支持の声を集めてゆく。



COP6決裂、最大原因は日本政府
 京都議定書の運用を決めることを最大の焦点にオランダ・ハーグで開催されていたCOP6(気候変動枠組条約第6回締約国会議)は、吸収源の抜け穴拡大を求める日本・アメリカ・カナダと、他の大多数の国との対立が続き、2001年夏まで中断された。
 対立点は、(1)樹木が自然に伸びた分を削減とみなす「森林吸収」をどこまで認めるか
 (2)先進国同士で排出枠をやり取りする排出量取引や先進国と途上国が共同で行う削減プロジェクト(CDM)など海外で削減したことにするしくみに制限を加えて国内削減を優先させるかどうか
 (3)植林プロジェクトや原子力発電をCDMとして認めるか
 (4) CDMにODAの使用を認めるか、(5)削減目標が守れなかった場合に制裁を加えるかどうか、であった。
 このうち最後まで難航したのは日米などが主張した「森林吸収」の問題。既に認めることが決まっている植林に対し、「森林吸収」は樹木が自然に伸びた分で、いわば何もせずに莫大な削減量が得られるため、EUや途上国が強く反発、これまでアメリカや日本と共同歩調をとってきたオーストラリアやロシアなども、「森林吸収が効果があるか疑問」(オーストラリア)などとして反対した。
 プロンク議長は会議最終版に調停案を発表し、米日加提案の考え方を下敷きに率を厳しくする提案を行ったが、3ヶ国が呑まずに調停は不発に終わった。とくに削減目標6%のうち3.7%を森林吸収分に見込み、最後まで妥協しなかった日本政府への批判は強かった。「気候ネットワーク」の浅岡美恵代表も「日本政府代表団は森林吸収分で3.7%を確保することに固執し、決裂の最大の原因は日本」と日本政府の責任が大きいと指摘し、現地で「閉幕声明」を発表した。
 日本政府は他にも、(1)原発輸出をそのままCDMと認めること、(2)日本がODAとして行っている事業をそのままCDMとしても認めること、(3)目標を守れなくても罰則は一切課さないこと、などを求めたが、こうした主張が受け入れられるわけもなく、先進国内でも孤立し、批判を浴びた。
 京都議定書が発効するには、先進国の90年の二酸化炭素の総排出量の55%を占める国を含む、55カ国以上が批准する必要があるが、2002年までの批准を表明していた先進各国の見通しは厳しくなった。

 <プロンク調停案
 (1)樹木が自然に伸びる分を削減と同じように見なす「森林吸収」について、削減量への算定は全吸収量の15%、総量の上限は1990年排出量の3%まで
 (2)「京都メカニズム」の利用を数量的に制限しない
 (3)先進国が途上国で温室効果ガス削減事業を実施しその削減分の一部を自国の削減分にカウントできる「クリーン開発メカニズム」(CDM)の対象から原発を外すことを宣言、またODAは追加的なものに限る
 (4)先進国が途上国支援のための基金3つを新設
 (5)削減目標が守れなかった場合、罰則分をつけて次の期間の削減目標を上乗せする。
 
 <京都議定書>
 97年のCOP3で採択、先進国全体で2008〜12年の間に温室効果ガスを1990年比で5・2%削減し、日本は6%、米国は7%、EUは8%の国別の削減目標も義務付けた。COP6ハーグ会議は、条約締約国191カ国のうち約170カ国が参加し、議定書の具体的なルール作りを目指した。COP6の合意成立なら各国が批准の手続きに入り、(1)55カ国の批准、(2)先進国の90年排出量の55%以上の国の批准、をへて発効するとのルールに従い、1992年の「地球サミット」から10年後の2002年に発効させることを大半の国が表明していた。


経産省、環境省が相次いで「大綱」の破綻を試算
 経済産業省の「総合資源エネルギー調査会総合部会・需給部会合同会議」、環境省の「温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告書」で相次いで、大綱の施策のままでは2010年にCO2は大幅に増加するとの報告が発表された。経産省は原発は13基、環境省は7基ないし13基と仮定し、省エネなどの大綱の施策がどの程度前進するかを見直して試算を行っている。
 経産省は、省エネ施策などは大半は進展するが、消費税以外の税もかからず値段の安い石炭の消費が大幅に増えるとし、2010年までにCO2排出量は90年比で6.9%増加するとした。
 環境省は、省エネ施策が進まないため、原発13基の場合には11%増加、原発7基では14%増加すると試算した。
 経産省は引き続き総合資源エネルギー調査会で、環境省は中央環境審議会に地球環境部会を新設し、その下に2つの小委員会を設置して議論を行っている。但し経産省の議論はCO2ゼロ削減を前提にしており、それ以上の削減に踏み込むことは想定していない。



2010年の原発20基建設は困難、政府13基建設へ下方修正(01/04)
 2010年までに原子力発電所約20基を建設し、エネルギー消費をさほど抑えずに温暖化対策を行おうという政府方針が破綻した。3月末に発表された電力会社の電力供給計画によると、2010年までに運転開始とされているのは13基にすぎず、多くの発電所が原子力不信の国民世論により延期となった。
 これはJCO事故、動力炉・核燃料開発事業団(現核燃料サイクル開発機構)の高速増殖炉原型炉もんじゅの火災事故、再処理工場事故など、一連の事故とずさんな安全管理、事故隠し、隠蔽工作などで国民の原子力への不信は決定的となり、自治体が建設同意に一段と慎重になっているため。
 それでも経済産業省や電事連は、原発が温暖化防止の枠組みに必要、など原発建設強行姿勢を続ける姿勢で、さらに自民党は、2000年に公共事業の補助拡大などを内容とする原発促進法を制定、さらにエネルギー基本法で原発の計画的導入などを盛り込むことを意図している。

 表 2010年までに運転開始とされている原発13基一覧
 
北海道電力 泊3号    北海道 91.2万kW  電調審通過 2008年12月運転開始予定
東北電力  東通1号   青森県 110.0万kW  建設中   2005年7月予定
東京電力  東通1号   青森県 138.5万kW  計画中   2010年予定
東京電力  東通2号   青森県 138.5万kW  計画中   2010年以降予定
電源開発  大間     青森県 138.3万kW  電調審通過 2008年7月予定
東北電力  女川3号   宮城県 82.5万kW  建設中   2002年1月予定
東京電力  福島第一7号 福島県 138.0万kW  計画中   2007年10月予定
東京電力  福島第一8号 福島県 138.0万kW  計画中   2008年10月予定
中部電力  浜岡5号   静岡県 138.0万kW  建設中   2005年1月予定
北陸電力  志賀2号   石川県 135.8万kW  建設中   2006年3月予定
日本原電  敦賀1号   福井県 153.8万kW  計画中   2009年予定
日本原電  敦賀2号   福井県 153.8万kW  計画中   2010年予定
中国電力  島根3号   島根県 137.3万kW  電調審通過 2010年3月予定

 ※住民投票で町有地を売らないことを決めた新潟・巻原発は「2012年運転開始予定」、大手ゼネコンが用途を偽って土地買収を行っていたことが発覚した石川・珠洲原発は「2012年運転開始予定」(2基とも)、住民、漁民や神社が反対している山口・上関原発は「2012年、2015年運転開始予定」とされている。



経団連計画を通産省がレビュー、自助努力分では増加
 経団連は1999年秋に1998年分のエネルギー転換と産業の両部門の排出が1990年比でほぼ増減ゼロであったと発表した。通産省は毎年恒例の4審議会における所管業界についてのレビューで要因分析を行い、自助努力による削減が2%、原発による努力に無関係の削減が2%で、生産増で増えた分が4%とした。自助努力だけでは鉱工業生産が減っているのに削減すらできずに2%増加になることになる。
 経団連は2010年にゼロ削減としているが、原発が導入されずに電力のCO2原単位が1990年レベルのままであると、排出量も9%増加してしまうことを認めている。また、この試算はエネルギー転換と産業部門だけで、排出が大きく増えている業務部門や運輸部門では計画も建てていなかったり、まともにレビューをしていない業界が多数あり、経団連全体では大幅な増加になると見られる。
 経産省審議会、環境省審議会では、自主取り組みでは参加企業も少なく、またそもそも目標が達成される保障が何もないとしてその強化を求める議論が続いているが、業界団体の代表は、我々もボタンティアと同じ立場だなどと発言、強化に対しては何でも反対の立場を明らかにした。


COP6、13日からハーグで開幕
 気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)が、オランダのハーグで11月13日から開幕した。COP6は、今後10年の世界の温暖化対策のあり方を決める非常に重要な会議であり、ここでの議論と決定が21世紀の地球温暖化防止の行く末を左右する。COP6では、2002年に京都議定書が発効できるよう「削減議定書」として抜け穴のない実効性のあるルールに合意することが求められている。しかし合意しなければならない論点が多く、2週間の会期でどのような成果が得られるは予測困難である。
 世界各国のNGOも参加するが、日本からは気候ネットワークやCASAが代表を送り現地でアクションなどを繰り広げる。
 JNEPも参加している気候ネットワークはCOP6の動向をNGOの視点から速報するニュース「Kiko」を発行し、適宜ホームページ上に掲載する。
   COP6 ハーグ通信
   COP6までの経過やハーグで議論されるポイント解説


南極上空のオゾンホール過去最大に、北半球でも破壊進む
 フロン等により上空のオゾン層が破壊されてオゾンの薄い「孔」が出来るオゾンホールが、2000年9月、南極大陸の面積の2倍を超える2918万平方キロに達し、1998年の約2724万平方キロを超えて過去最大だった。
 また、北半球でも3年ぶりに顕著なオゾン破壊が観測され、2000年3月、カナダ北部のクイーンエリザベス諸島付近でオゾン全量が平年より25%以上少なくなっている領域が観測された。南半球と比べ、北半球のオゾン破壊は進んでいないが、90、93、97年に平年よりオゾン量が20―35%程度少ない領域が観測されており、昨年の数値はこれらの年に並ぶ少なさだった。
 先進国では、特定フロンは96年に生産が廃止されているが、途上国で生産が続くほか、破壊力の小さいHCFCが2030年まで消費を許されている。世界気象機関はオゾン層破壊物質の大気中濃度は2000年までにピークを迎え、その後は減少すると予測している。


イギリスでCO2排出権市場
 イギリスで活動する国際企業30社は、6月末までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出権取引市場の設立へ向け協力することで合意した。イギリスでは今年末までにCO2排出権市場の準備を終え、国際的な排出権取引市場をまざす。イギリスは、今後10年で国内のCO2を約20%減らす目標で、このため石炭、電気、天然ガスの使用に課税する「気候変動税」の導入を予定している。CO2排出権市場はアメリカでは既に実施されている。


CO2排出量…1998年度不況減、1999年度大幅増
 地球環境保全関係閣僚会議の報告によると、1998年度に排出された日本の二酸化炭素など温室効果ガスの総排出量は11億8800万トン(二酸化炭素換算)で、90年度比5.6%増加、前年比では3.8%減少した。
 産業が90年比で約4%減少したが、これは不況で鉱工業生産指数が90年比で7%も下落していることが理由。産業が努力して効率向上や自然エネルギー導入に取り組んだ結果とは言い難い。一方で、運輸は21%も増加、道路建設など自動車優遇政策による自動車の増加が原因と見られる。家庭は9%増だが近年は減少傾向、業務(事務所や商店など)は16%だった。
 日本は2008〜12年の5年間平均で温室効果ガスの総排出量を90年比6%削減することを国際公約しており、目標達成は依然厳しい。日本の排出の9割を占めるCO2について、IGES(地球環境戦略研究機関)は、1999年には90年比9.8%増のレベルに逆戻りしたと発表している。


温暖化対策で政府初点検(99/7/2)
 COP3で、2010年の温室効果ガスの排出量を90年比で6%削減することが決め、政府は省エネ法の改正や地球温暖化対策推進法の制定のほか、昨年6月に推進大綱を策定し、毎年進ちょく状況を点検することにしている。
 これについて政府は7月2日、地球温暖化対策推進大綱の進み具合の点検と今後の取り組みの重点目標をまとめ、地球保全に関する関係閣僚会議に報告した。
 報告書はこの1年間に、@省エネ法関連で自動車の燃費基準や家電・OA機器などの省エネ基準、事業者がエネルギー使用を抑えるための判断基準を策定 Aクリーンエネルギー車、低公害車のための充電設備などを新たに20カ所設置などを挙げているが不十分なものである。
 今後の目標は、@ガソリン乗用車の燃費を2010年までに95年度比で約23%向上させる A路面電車の検討・調査を進めたり、トラックの積載率を高めたりする B2010年度にクリーンエネルギー車、低公害車を365万台導入する C2010年度に太陽光発電を500万キロワット、風力発電を30万キロワットに増やす D2002年度末までに自転車が利用しやすい幅の広い歩道を5150キロ整備し、44万台分の駐輪場整備などとしている。


富士通、日本初の「環境会計」(99/5/31)
 富士通は5月25日、日本で初めて「環境会計」を公表した。環境保全のための支出と、その効果を金額で表現したもので、環境のための支出額の合計は147億円、効果の金額換算額は182億円で差し引き35億円の黒字という。


米排出権取引業者が日本市場参入へ(99/5/31)
 二酸化硫黄などの排出権取引を手がけるアメリカのナットソース社が、日本を含んだ世界各地のCO2の排出権取引の展開を狙って、外為ブローカーのトウキョウフォレックスと資本・業務契約をした。
 ナットソース社はアメリカ国内で天然ガス、SO2、NOxなどの排出権取引をすすめてきたが、今後、国際的に拡大しようというもの。このような民間ビジネスとして先行されるCO2の排出量取引と、京都議定書に規定された詳細の未確定な先進国間の排出量取引は、どうように関係するのか、今後の課題となっている。


政府の温暖化対策の基本方針決定 国や自治体が具体策立案へ
 原子力発電の推進を温暖化対策として認めるかどうかをめぐって問題となった「地球温暖化対策に関する基本方針」が1999年4月9日の閣議で決まった。また4月8日には地球温暖化対策推進法も施行された。これによって国や自治体は今後、同法や基本方針に基づき、具体的な実行計画を立てることになる。
 基本方針は国内での取り組みを温暖化対策の主軸とし、外国との温暖化効果ガス排出量取引は補足的に活用するとした。徹底的な省エネルギー対策の推進や大量消費型生活様式の見直し、太陽光発電など、新エネルギーの開発・導入を対策として掲げてはいる。


温暖化対策基本方針に原発推進を明記
 地球温暖化対策の基本方針を審議した中環審企画政策部会(部会長・森島昭夫上智大教授)は1999年3月8日、原発の推進を基本方針に盛り込み、3月24日に環境庁長官に答申した。
 盛り込まれることとなった「原発推進」については、「原子力の開発利用については、放射性廃棄物の処理処分等を充実させつつ、安全性の確保を前提に国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める」という表現で確定した。
 これは中環審「地球温暖化対策に関する基本方針小委員会」(安原正委員長)での、電気事業連合会の巻き返し工作と原発推進を盛り込むことに反対する委員間の調整をはかった結果、4月には原案通り閣議決定された。
 小委員会で原発推進明記となった経緯について、報道では「原子力発電を活用しないと二酸化炭素の削減目標を達成できなくなる」など電事連が同小委員会にたいし意見を送付するよう電力各社や関係業界に働きかけ、その結果、国民意見中約9割が原発推進を明記せよだったという。電事連の巻き返しは明らかである。
 政府への地球温暖化対策に関するJNEPの要請でも、温暖化防止で他の環境破壊を招かないよう配慮すべきであると指摘したが、特に原発推進が温暖化対策としてふさわしくないことを5点にわたって指摘したところである。
 原発問題住民運動全国連絡センター(藤巻泰男代表)は、3月19日、環境庁官にたいし、放射能による環境汚染を引き起こす事故の危険性があるなど、温暖化防止基本方針に原発推進を盛り込むことに反対する申し入れを行っている。


  ●COP3以降の温暖化防止対策とNGO活動

1.COP3直後の対応


 COP3京都会議以降、日本政府は他国政府と同様に地球温暖化防止という大きな宿題を抱えることとなった。しかし、具体策となると従来の土建型開発主導の経済発展と矛盾する温暖化防止策は迷走ぎみ。
 97年12月19日、政府は関係18省庁による地球温暖化対策推進本部(本部長橋本龍太郎総理大臣)を設置、98年1月9日、同推進本部は、当面の対策を取りまとめ。
 
 政府の「6%削減」計画
 基本はCOP3前の「3ガス2.5%削減」から変更なし

 0.0% │ CO2削減(省エネ法改正・長期エネ需給見通し改定など)
 0.5% │ メタン・亜酸化窒素削減
 2.0% │ 「革新的技術開発」「国民各層の更なる努力」
+2.0% │ HFC・PFC・SF6
 3.7% │ 吸収源(植林ではない ※1)
 1.8% │ 排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズム
──────────────────────────────
 6.0% │ 合計

 これはCOP3前の枠組み(上から3番目までの2.5%がCOP3前のもの)を変えず、不足分は吸収源や排出量取引で賄おうというもの。吸収源は植林ではなく今ある樹木が自然に伸びる分を削減努力と同じように見るべきとするもの。また排出量取引はロシアやウクライナで既に経済崩壊で減った分を二束三文で買い取って国内削減努力と同じように見るべきとするもの。いずれも実際の削減には何も寄与せず、書類上だけ「削減」と見なされるもので、京都会議の議長国がこうした抜け穴探しに奔走するのは大きな問題。
 これに基づいてエネルギー起源の二酸化炭素排出は「ゼロ削減」(1990年安定化)という枠組みでエネルギー関係の対策が考えられており、極めて問題。
 
 <地球温暖化対策推進大綱の策定>1998年6月19日地球温暖化対策推進本部が「大綱」をとりまとめ。エネルギー起源のCO2排出は「ゼロ削減」(1990年安定化)で、吸収源(※1)や排出量取引(※2)など海外での「削減」が6%のうち5.5%を占めるという国内努力をほとんどしない枠組みの中、従来の原発推進行政、道路行政など各省庁・審議会などの施策の寄せ集め。国会審議もなく、行政が非公開のプロセスで枠組みを決めた。

 ※1植林ではなく今ある森林で自然に伸びた分の一部をボーナスとして「削減」とみなす考え方で、アメリカ・日本・カナダが2000年11月のCOP6で方法を提案した。あまりに特定の国に甘くしかも京都議定書をあまりに骨抜きにするものであるため、これまで同一歩調をとってきたオーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー、アイスランド、ロシア、ウクライナの各国も反対した。

 ※2ロシアやウクライナが経済崩壊で激減させたCO2などの排出枠は余り分なので二束三文で売られると考えられている(「ホットエアー」という)。「ホットエアー」は西側諸国の削減義務の2倍以上あるので、無制限にこれを認めるとアメリカや日本は10%以上増加させても議定書を守れてしまい、EUや環境NGOなどはこの購入を制限することを主張している。逆にこれを購入して国内排出削減努力をしない考え方が、一切削減に寄与しないにも関わらず「コストの安いところで削減する」として産業界や一部経済学者から支持されている。


NGOアクション  1月26日、気候フォーラム浅岡事務局長が、国内対策のあり方についての意見を本部長橋本首相宛に提出。2月21日、気候フォーラムが「今後の気候変動/地球温暖化問題への取り組みについての提言」を発表。

 

2.「エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)」の改正(5月29日成立)


 工場・オフィスの対策強化と民生用機器の基準強化を主な内容とする省エネ法改正案が、5月29日参議院本会議で可決成立。衆参両院での審議は合わせて僅か6時間弱で、基準や運用は省令や告示で通産省が決める。市民参加はもちろん情報公開もなく、実効的な省エネが進むかどうか極めて疑問。


NGOアクション  3月15日、気候フォーラムが通産大臣に意見書を提出。他に気候フォーラム参加の数団体も意見書を提出(CASAなど)。また、5月12日(衆議院商工委員宛)、21日(参議院経済・産業委員宛)にも気候ネットワーク参加団体所属の12人(12日は10人)が連名で意見書を提出。また同月、気候ネットワーク参加団体が法制度の総合的改正を求める報告書を発表(CASA)。

3.「長期エネルギー需給見通し」の改定(6月11日改定)


 通産大臣の諮問機関・総合エネルギー調査会需給部会の策定する「長期エネルギー需給見通し」はエネルギー政策の基本となるもの。改定の内容は、CO2を2010年までに1990年比ゼロ%削減という不十分なもので、しかも原発20基相当の増設が前提。同部会はエネルギー産業や大口需要者などの業界代表で過半数を占めていることから、当然ともいえる内容。これに対応した「長期電力需要見通し」も電気事業審議会需給部会で6月4日に決定。


NGOアクション  6月1日及び6月11日、気候ネットワークを含むエネルギー・温暖化などに取り組む43団体と個人39人(1日は31団体・40個人(呼び掛け人10人を含む))の連名で通産大臣、総合エネルギー調査会長宛に「市民の意見」を提出。

4.産業界CO2排出削減自主対策


 97年6月経団連は37分野で「環境自主行動計画」を発表。その流れを受けて産業構造審議会など通産省の4審議会が業界からヒアリングを行い、98年6月3日に取りまとめ。製造業では2010年までに1990年比3%削減と報告されていますが、多くの業界が自らの努力はそれ程でもなく原発導入によるCO2削減に依存しているので、原発建設が進まず電力当たりのCO2排出が1990年レベルにとどまった場合、産業界のCO2排出量は10〜15%もの大幅増加してしまう。


NGOアクション  6月10日、気候ネットワーク参加団体が通産省などと交渉(業界自主計画についての公害・地球懇見解など)。

5.地球温暖化対策推進法案


 中央環境審議会の答申を受け環境庁が作成した地球温暖化対策推進法案は4月28日に閣議決定。同法案は京都議定書で対象とされた6種類のガスすべてを対象とはするものの、数値目標や行政以外の義務規定が全くなく、通産省との調整で内容が大幅に後退するなど中身の薄いもの。同法案は5月19日衆議院本会議での趣旨説明の後、委員会審議を行ったが、継続審議となる。


NGOアクション  温暖化防止に関する市民立法をすすめる会が4月16日に環境庁長官・与党関係議員宛に申し入れ。公害・地球環境問題懇談会が見解表明(4月21日)。5月22日、浅岡美恵・気候ネットワーク代表が衆議院環境委員会で参考人として意見表明。また、5月20日に気候ネットワーク参加団体所属の9人が連名で衆議院環境委員に意見書を提出。6月10日、気候ネットワーク参加団体が環境庁長官申し入れ(公害・地球環境問題懇談会など)。なお、中央環境審議会答申に際して3月6日に気候フォーラム参加団体所属のNGO有志が連名で声明を発表。

6.代替フロン等3ガス関係


 5月29日通産省の化学品審議会地球温暖化防止対策部会は代替フロンHFCなどの3ガス対策の中間報告をまとめた。CO2対策と同様、産業界の自主行動に任せて規制は一切しない形で、自主目標は3つのガスで2010年で1995年比で4%増加としている。


NGOアクション  代替フロンなど3ガスは全て人工化学物質なので、CO2より代替・削減が容易なはず。2月19日環境NGOの代表11人が連名で通産大臣、化学品審議会長・部会長宛に意見書を提出。5月7日、気候ネットワーク参加の幾つかの団体が化学品審議会長宛に市民意見を提出(ストップフロン全国連絡会、JATAN、市民フォーラム2001地球温暖化研究会など)。また、5月及び6月に気候ネットワーク参加団体(ストップフロン全国連絡会、公害・地球環境問題懇談会など)が通産省申し入れを実施、6月22日に意見書を提出。

7.温暖化関連の研究会・検討会


京都議定書国際制度検討会
 環境庁の私的諮問機関で、排出量取引・共同実施・クリーン開発メカニズムについて検討、4月28日に中間報告。

共同実施等検討委員会
 通産省の私的研究会で、上記の環境庁の検討会とほぼ同じ対象で検討、6月9日に中間整理をまとめる。

地球温暖化経済システム検討会
 環境庁の私的諮問機関で、以前から炭素税等のシュミレーションモデル検討を行ってきたが、6月17日再開し京都議定書後の検討をスタート。

8.その他の審議会の温暖化関連報告

環境基本計画進捗状況の点検報告書(3月2日)
中央環境委員会企画政策部会は環境基本計画進捗状況の点検報告書をまとめた。

NGOアクション  森嶌昭夫部会長宛てに公害・地球環境問題懇談会は意見表明を行った。

「森林・林業・林産業と地球温暖化防止に関する検討会」報告書(4月23日)
 京都議定書を受けて林野庁の諮問機関が行った検討のレポート。具体的な数字が出ている訳ではなく、「吸収源3.7%」は懐疑的。

建築審議会「住宅・建築分野の環境対策のあり方」(6月1日)
 京都議定書を受けた建設省の審議会の検討で、住宅・建築物の省エネ基準の強化(現行基準比で住宅20%・建築物10%)などを内容としている。実施は建設省の省令等で行う。

電気通信審議会「情報通信を活用した地球環境問題への対応」(5月27日)
 郵政省の審議会のレポートで、テレワークなどの施策により2010年にCO2を406万トン削減出来るとしている。

建築材料の断熱性能に関する検討会
 省エネ法改正などを受けて、通産省が6月22日からスタートさせた検討会。

9.温暖化防止に逆行する主な国家計画など


●21世紀の国土のグランドデザイン(五全総)(3月31日閣議決定)
 「新・全国総合開発計画」いわゆる「全総」です。16ある公共業関係の5カ年計画の上位計画。相変わらずの開発指向で東京湾口道路など巨大公共事業のオンパレードで、CO2排出を促進。


NGOアクション  4月初旬、気候ネットワーク参加の幾つかの団体が声明や意見書を発表(市民フォーラム2001、公害地球環境問題懇談会(道路公害反対運動全国連絡会と連名)など)。

●新(第12次)道路整備五箇年計画(5月29日閣議決定)
 第11次より2兆円多い総額78兆円の巨額な道路建設予算を決定。日本の道路投資額は、総額で面積26倍の米国より多く、面積当たりで独の5倍・米の30倍。交通インフラ投資額で見ても、EUが道路に3割(残りは鉄道など)に対し、日本では8割以上が道路。道路特定財源制度を堅持し道路偏重投資を続ける国家計画で、CO2排出抑制に逆行。


NGOアクション  気候ネットワーク参加のいくつかの団体が声明を発表したり、建設省交渉などを実施(公害・地球環境問題懇談会など)。

●電気事業審議会基本政策部会中間報告(5月27日)
 電力供給システム自由化の議論をしてきた通産省の審議会が「部分自由化」で中間報告。詳細はワーキンググルプの検討に先送りされ、電力料金引き下げ、CO2排出への影響度は不透明。


NGOアクション  6月、気候ネットワーク参加の幾つかの団体が声明を発表(原子力資料情報室など)。また、6月8日及び10日に気候ネットワーク参加団体が通産省交渉を実施(8日:石炭火発全国連絡会、10日:公害・地球環境問題懇談会など)。

●規制緩和推進3カ年計画(3月31日閣議決定)
 15の分野での規制緩和策を決定。エネルギー・運輸・建設関係など温暖化関連分野では、都心部の容積率緩和で業務ビルの容量アップで交通需要(人や貨物輸送、廃棄物輸送など)その他の増大を招き、CO2は増加。


NGOアクション  4月以降、気候ネットワーク参加団体が環境配慮などを求めて省庁申し入れなどを実施。(公害・地球環境問題懇談会など)

●経団連「新東京圏の創造」構想(4月21日)
「スーパー環状道路“loop 2020”」、「民間主導型インフラ整備」など大型公共事業を中心とする従来型の延長線上の首都圏開発構想を打ち上げる。

NGOアクション  公害・地球環境問題懇談会が見解を発表

10.地球温暖化対策推進大綱


 6月19日地球温暖化対策推進本部が「大綱」をとりまとめ。エネルギー起源のCO2排出は「ゼロ削減」(1990年安定化)という枠組みの中、従来の原発推進行政、道路行政など各省庁・審議会などの施策の寄せ集め。国会審議もなく、行政が非公開のプロセスで枠組みを決めた。政府の不十分な「6%削減」枠組みを固定するもの。


●NGOアクション  6月19日、気候ネットワークが橋本首相(本部長)宛に意見書を提出。気候ネットワーク参加の数団体も声明を発表、あるいは意見書を提出(公害・地球環境問題懇談会、ストップフロン全国連絡会など)。


                                    気候ネットワーク東京事務所のメモをベースにしてJNEPで補強


・中央環境審議会企画政策部会中間とりまとめ(1997年11月)【環境庁】

関係9審議会合同会議(1997年11月)【首相官邸http://www.kantei.go.jp/jp/ondan/1128houkoku.html】

今後の温暖化対策について(通産省議決定。1997年12月)【通産省http://www.miti.go.jp/press-j/energy/t71212d1.html】

・京都会議を受けた環境庁の当面の取組方針【環境庁http://www.eic.or.jp/cop3/kanren/kch01121.html】

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