(01/11/14更新)

COP4からCOP6へ

COP7、アメリカ抜き発効へ合意01/11/14)
京都議定書、大幅後退で瀬戸際蘇生(01/07/29)
難航する京都議定書の行方(01/07/12)
COP6決裂でNGO声明
COP6 ハーグ通信(00/11/26)
COP6までの経過とハーグで議論されるポイント
COP6に向けCASAが提案
「リオから10年」で京都議定書の発効を(COP5)
COP5に関する気候ネットワークの声明
COP5詳細情報
COP4が終結(概要レポート)
COP4の見通しと日本をふくむ主要国の態度
COP4向けNGO見解


COP7、アメリカ抜き発効へ合意
 10月29日からモロッコのマラケシュので開催されていた気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)は11月10日に閉幕した。
 7月のCOP6再開会合で合意されたボン合意を、議定書発効後の第1回締約国会合(COP/MOP1)で採択する決定文書にするために協議が行われ、COP7は基本的な使命をこなした。
 京都議定書の2002年発効は、地球温暖化防止にとって待ったなしの課題であり、2002年までに京都議定書を発効させるためには、このCOP7で決定文書に合意することが不可欠だったが、会議の成功で京都議定書の2002年発効はギリギリの段階で可能となり、アメリカを除く各国は2002年6月までに批准を終え、9月にヨハネスブルグ(南アフリカ)で開催される「リオ・プラス10」での京都議定書発効にそなえることとなる。

 COP7の任務は、COP6再開会合において採択されたボン合意に従って、京都メカニズム、遵守制度など運用ルールの各論点について議定書発効後の第1回締約国会合(COP/MOP1)への決定文書案に合意することであり、会議では「京都メカニズム」(排出量取引、クリーン開発メカニズム、排出量取引)、「遵守制度」、「報告と審査(議定書5条、7条、8条)」の3つのテーマについての交渉グループが設置され、交渉が繰り返された。
 COP7の合意では、京都議定書が定めた各国の温暖化ガス削減目標について、約束通り削減できなかった国に対し、最初の4年間の未達成分を次期の削減期間に30%増で追加することなど、違反した場合の制裁もある運用ルールを実現させ、議定書発効後の第1回締約国会合(COP/MOP1)で採択する決定文書が合意された。
 しかし、「京都メカニズム」への参加ルール問題では、日本の抵抗を受け入れたかたちで一部後退したし、ロシアの二酸化炭素削減に関わって森林吸収度合いを大幅に引き上げる妥協も行われた。

 運用ルールの交渉過程で、日本、ロシア、オーストラリア、カナダが報告義務(議定書5条1、2項、7条1、4項)の不遵守に対する措置として提案されている遵守行動計画の規定の削除を求めるなど後ろ向きの発言をして交渉を妨害し、途上国を中心に激しい批判を受けたが、イランのエブテカール環境庁長官(副大統領)は「10年にわたる国際的ブロセスの成功は『対語、理解、協力』が地球規模の共通の問題に対拠する唯一の道」と発言し、日本などの態度を厳しく批判、その結果、日本は交渉のなかで自ら孤立した。

日本政府は、COP7で運用ルールが合意され、議定書批准の条件が固まったことを受けて、次期通常国会に京都議定書の批准承認をもとめること11月12日に初めて明言し、そのための本格準備に入った。
 いっぽう財界は、経団連の今井会長コメントのかたちで「米国が参加せず、中国、韓国、インドなどの将来の参加も約束されない議定書を、現在の日本の厳しい経済状況を勘案すれば、性急に批准・発効させる必要はない。国内対策も、環境税や自主行動計画の策定義務付けなどの強制的な措置の導入には反対」との談話を発表し、議定書の早期批准に反対の態度を鮮明にしている。
 このCOP7には、気候ネットワーク、世界自然保護基金ジャパン(WWF)、地球の友ジャパン、市民フォーラム2001地球温暖化防止研究会、CASAなどの日本NGOも参加して、日本政府代表団の活動を監視し、会議の成功のために活動を展開した。気候ネットワーク、地球の友ジャパンの声明は次の通り。

 

気候ネットワークの声明

2001年11月10日、マラケシュ

辛うじて最終文書採択へ
〜京都議定書発効へ向け、日本は直ちに批准表明を〜


 マラケシュ(モロッコ)でのCOP7は、11月10日朝、「京都メカニズム」「遵守」「吸収源」「途上国問題」の重要な決定文書を包括的に採択して閉幕した。これをもって京都会議以来の京都議定書を発効させる準備を完了できたことは歓迎すべきことである。

 特にCOP7合意は、ブッシュ政権の京都議定書からの離脱問題や同時多発テロ事件、さらに日本・ロシアなどの頑迷な抵抗などを乗り越えて実現したものである。多国間での困難な協議による合意形成の成功によって、私たちは地球規模の気候変動問題に対する現時点での最も効果的な対応策の骨格を得た。これはその他多くの国際社会が直面する深刻かつ困難な問題に対しても、解決に道を開くことになるであろう。

 しかしながら、合意に至る道は一筋縄ではいかず、日本政府は不条理な抵抗をぎりぎりまで続け、10日未明まで徹夜交渉を長引かせた。これは、ボンのCOP6再開会合での徹夜交渉で日本が最後まで抵抗し合意を危ぶませたのと全く同じ構図であった。

 とりわけ日本は最後まで強硬に、京都メカニズムの参加資格と遵守制度を結ぶ条項の削除を求めた。これは川口大臣自らがボン合意を改変させ、京都議定書に法的拘束力を持たせないことをここで確定させようとするものであった。結局夜を徹した交渉の末、日本は最終的に文言を前文に繰り上げ弱めさせることによって、合意を受け入れた。交渉の最終版でも柔軟性を示さず会議を混乱させた日本の姿勢は、合意成立をもって帳消しできるものではない。また、日本・ロシア・カナダ・オーストラリアが、それぞれの身勝手な要求を連携して維持し合ったことがより大きな抵抗勢力となり、合意文書の後退をもたらしたことは遺憾である。

 とはいえ、京都議定書は、排出削減数値目標や報告義務についての拘束力のある強い遵守制度のもとで、信頼性を確保する最低限の仕組みを盛り込んだ京都メカニズムの運用ルールを得ることができた。また、市場メカニズムが環境面で公正に機能し、持続可能な発展をもたらす市民の監視する情報公開の仕組みも不十分ながら盛り込まれた。

 日本政府はこのCOP7合意を受け、直ちに批准の意思を表明すべきである。そして、京都議定書の目標達成を担保するための国内制度の準備を早急に始め、実施を急ぐべきである。

 COP7合意は、世界の経済の仕組みそのものが持続可能なものへと転換していくことを示しており、EUをはじめ世界は、市場メカニズムも活用しつつ、不可避である温室効果ガスの排出削減に挑戦する姿勢である。今回の日本政府の後向きの姿勢は、経済界の強い抵抗によるものであったことは誰の目にも明白であったが、経済界が旧態然と新たな試みを拒み続け、世界の趨勢を直視しなければ、日本の経済に悪影響をもたらすだけである。日本の経済界は、京都議定書を新たなビジネスチャンスとして捉え、炭素税制度や企業の排出削減義務の協定化、さらには国内排出量取引制度を組み合わせた実効性のある削減策作りに進んで協力すべきである。

 

Friends of the Earth Japan Release

12/11/2001, Marrakech
京都アーキテクチャ確立!〜即時批准の時


 11月10日早朝までもつれ込んだ京都議定書の運用ルールを決める国連気候変動会議は、3月に議定書離脱を表明した米国代表団の見守る中、各国に求められる制度、炭素クレジット計測、報告、監査、流通および遵守に関するルールを決め閉会した。7月のボンで合意された枠組みを法的文書化したもの。これによりこれ以上批准を遅らせる理由はなくなった。各先進国は一刻も早く批准措置を進め、2002年9月ヨハネスバーグでの地球サミット2までに議定書の発効を確定しなくてはならない。

地球環境保護の最大の障害は日本
 2週間続けられた運用ルールの交渉は予想外の困難に直面した。度重なる日本政府および川口環境大臣の「ボン合意を尊重する」との言質にも関わらず、日本はボン交渉最終場面で残された文面不整合を口実に言葉を違え、ロシアとともに同合意を弱めることに最大の焦点を当てた 。わずか数ヶ月前に加わった合意を破るという外交信義を全く欠く言動である。代表団の交渉姿勢は柔軟性に欠け、説明能力の不備と並び一方的に立場を押しつける姿勢に終始したことは、今後の世界に改めて障害は日本との見方を残した。

加豪に支援された日露の強い反対にも拘わらず、遵守部分自体は実質ある拘束力を伴った罰則制度を示唆する方向で既に会期後半に合意採択されている。独環境相によれば「合意された強力な遵守規定で、今後の多国間環境協定は新たな段階を迎えた。

 政府は、所詮EUも含め各国は自国の国益を主張しているにすぎないとするかもしれない。根本的な違いはEUが経済安全保障を図れば環境保護にもなるという方向で政府、企業が本質的な転換を進めているのに対し、日本は経済成長でより環境破壊が進むのは不可避な体質に留まっていることにある。国益が環境保護と両立せず、これら4ヶ国をリードし再度、残りの世界160ヶ国あまりを敵に回し自国のみの利益を振りかざすことになった。

 情報公開や透明性の確保等、市民社会の情報へのアクセス放棄をもとめるロシアの極端な姿勢に他2ヶ国と終始同調したことも問題である。市民や市場参入企業への情報公開と意見取り込みの仕組みは、議定書運用段階でのシステム改善に不可欠であり最大限活用されねばならないが、日本がこの点に反対し制限を課す立場に終始したことも広く認識されねばならない。

注)日露が特に固執したのは、議定書下で創設される炭素クレジットの国際売買市場への参加資格と吸収源の利用拡大である。会場でギャング団とも呼ばれたこのユニークな連合の背景には、日本が既に議定書下での2%の削減目標すら達成に自信がもてず、ロシアが森林吸収量の統計不備などで国際市場参加を阻まれることのないよう、市場参加資格から議定書遵守制度への言及を外させることにあった。また日本自身の2%削減目標達成も危うい中、ボン会議で決定を議定書発行後に先送りしたはずの法的拘束力について、その可能性を先取り否定する主張を強硬に繰り返した。


COP7関連情報サイト

■COP7情報(英語)
条約ホームページ
COP7ホームページ
COP7公式文書
Earth Negotiation Bulletin …地球産業文化研究所が和訳
eco(環境NGO・CANのニュース)


■COP7情報(日本語)
全国地球温暖化防止活動推進センター
地球産業文化研究所(経産省の外郭団体) … Earth Negotiation Bulletin )の和訳
気候ネットワークの現地報告
CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の現地報告
経団連「地球温暖化問題へのわが国の対応について」
気候ネットワークの分析
CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の報告書


京都議定書、大幅後退で瀬戸際蘇生
    抜け穴を拡大し、真面目に取り組まない日本に非難集中

 気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)再開会合(ボン)は7月23日、プロンク議長(オランダ環境相)が示した地球温暖化防止のための京都議定書の運用ルールの核となる新議長案に合意し、全体会合で採択。米国の不支持表明で2002年の発効が危ぶまれていた議定書は、EU側が従来の姿勢を変化させ発効のカギを握る日本を取り込む大幅な譲歩を示したため土壇場で救われた。しかしその結果、、京都議定書の効果は大幅に骨抜き状態となった。運用ルールが合意されたことで締約国は批准手続きを進めるが、日本も米国抜き発効の決断を迫られることになる。
 再開会合は今回の新議長案を基に事務レベル協議を続けたが、日本・カナダ・オーストラリアがまたしても抵抗、細部を含む正式な合意案は採択できずに閉幕した。
 今後は10〜11月にモロッコで開催されるCOP7に引き継がれる。米国は「提案」を出すかどうか不明だが、仮に出てくるとそれに引きずられて日本・カナダ・オーストラリアなどが合意を妨害する可能性も残されている。温暖化問題に取り組む世界の環境NGOの連合体「気候行動ネットワーク」は、これらの国を「環境ギャング」と非難している。



<交渉経過と問題点>
 アメリカが議定書から一方的に撤退し混乱した再開COP6において、23日、各国は大枠で合意に至った。しかし、議定書を犠牲にしても国内エネルギー多消費産業を守ろうとする日本・カナダ・オーストラリアが頑なな態度を続けたため、EUや開発途上国が妥協を重ね、抜け穴を拡大し、一方では真面目に削減に取り組まない国々への罰則も当面棚上げした。
 森林の抜け穴拡大の日本の主張を全て取り入れた議長提案が出された後も、日本政府は、目標を守らない国への罰則をやめるよう強硬に主張、意見が取り入れられなければ昨秋に続き合意を崩壊させても構わないとの強い態度に出て、その理不尽な要求を世界に認めさせた。「京都議定書」の議長国として世界の尊敬を得るはずだった日本は単に環境守旧派・地球環境保全への抵抗勢力として世界にその名をとどろかせただけでなく、国内削減を真面目にやる意思がないことを世界に示してしまった。

 ■森林管理などで削減目標を大幅割引
 日本はカナダ、オーストラリアとともに、森林管理などを大幅に増やす提案を行った。森林管理とは、いわば自然に樹木が成長してCO2を吸収する分をあたかも人為的に努力したようにみなし、その分の化石燃料消費を増やしてよいとする考え方だ。これを認めなければ日本やカナダの森林伐採が進むわけでもなく、事実上削減目標を引き下げるのに等しい。
 3カ国が硬直的な態度を続けたため、EUや途上国などが妥協、日本などの主張を認めてしまった。
 これにより日本は3.9%(1990年排出量比)、カナダは他の吸収源を入れて10%以上を獲得し、その分CO2増加を容認する事態となった。先進国平均5.2%削減の京都議定書は、この妥協により2.3%、次に紹介する森林CDMを入れると3.3%を失った(環境NGO・CASA試算)。
 ちなみに植林によるCO2吸収を削減と同等に認めることは既に京都会議で合意されている。京都会議の後の吸収源の議論の大半は、森林管理のようないわば紙の上だけの削減をどれだけ認めるかという、温暖化防止になんら役立たない不毛な議論であった。この根拠条文を京都会議の最後に盛り込ませたのは他ならぬ日本政府である。

 ■森林CDMを別枠認める
 先進国と開発途上国が共同して削減プロジェクトを行い、その一部を先進国の排出削減と認めるクリーン開発メカニズム(CDM)は、京都議定書で認められた海外での削減策の一つだ。植林は議定書の条文のどこにも書かれていないが、日本など国内削減に消極的な国が強硬に主張、強引に認めさせた。
 今回、日本など守旧派諸国は、国内吸収源と森林CDMあわせて削減目標の半分まで(例えば日本は3%)という6月の議長提案に抵抗、森林CDMだけで1%という別枠にすることを認めさせた。
 途上国の排出管理、植林の管理はデータも十分とは言えず、極端な場合、先進国による植林地の隣で大規模な伐採が行われるというような可能性もある。製紙会社による、いずれ伐採して紙になって燃やされCO2排出になりプロジェクトが「削減」にカウントされる可能性もある。全てが削減につながらないプロジェクトとは限らないが、この1%の多くも失われた削減と言えよう。

 ■目標を守らない国への罰則を先送り
 先進国の多くが温暖化防止のために国内経済の改革の第一歩を踏み出し、着実に削減目標を達成しようとしている。一方、国内対策を真面目に実行せずに90年比10-20%も排出を増やしている国もある。こうした国には罰則を課して約束を守れないと損になる制度をつくらなければならない。
 6月のCOP6議長案は、目標を守れなかった国には、次の約束期間から排出量の借入を認める代わりに、利子をつけて返し、排出量取引などの資格を停止し、罰金も取る提案だった。この時の利子は最大100%だったが、7月の会期中の調停案では日本などに妥協して30%に下げた。
 しかし、日本、オーストラリアは罰則自体に反対、結局罰金は削除させ、利子をつけて返す仕組みは残したが、全体について議定書発効後に話しあうことにしてしまった。
 日本がこの条項にこだわるのは理由がある。表向きは、厳しい措置があると米国が入らないと米国を前面にたてたが、実は日本自体の問題である。日本の国内政策は、達成を約束しない経団連計画への白紙委任、建つ見込みのない原発への依存、根拠のない道路建設での削減など、結果を問われると困る政策が目白押しである。こうした政策の全面見直しを迫られる「罰則」に、日本政府は最後まで抵抗した。

 ■日本政府が譲った僅かな部分
 原発輸出を削減とみなし、その分国内の化石燃料消費を増やして良いという虫の良い規定を日本など一部の国が主張したが、退けられた。
 また、既存のODA(政府開発援助)を削減とみなし、その分国内の化石燃料消費を増やして良いという虫の良い規定を日本が主張したが、退けられた。

 ■他にも多くの抜け穴が
 京都議定書は先進国平均5.2%削減を定めていたが、既に紹介したように国内吸収源と森林CDMで3.3%を失い、残りはわずか1.9%になった。また、他にも、アメリカや日本などの抵抗勢力が次々に抜け穴を拡大する提案を行っている。例えばロシアやウクライナが経済混乱で余っているCO2排出枠を二束三文で買い取れる「排出量取引」がある。EUや多くの途上国は抜け穴の中心といえる「海外での削減」に数量上限を課すことを提案していたが、アメリカや日本など守旧派諸国の抵抗でつぶされてしまった。

 ■意思決定に大きな問題
 日本政府の提案は今回に限らず、議定書の実効性を失わせ骨抜きにするものばかりである。地球環境をまもるために厳しい削減を担保するような提案は皆無と言ってよい。日本政府がここまで抵抗勢力として振る舞った背景には意思決定の問題がある。
 国会は早期批准を決議し、自治体議会の早期批准決議も京都府や京都市をはじめ百を超えた。世論調査でも7-8割が批准を求めた。野党の全て、与党の一部も批准を求めた。
 しかし、日本政府は、わずかな反対勢力…例えば経団連などの言い分を聞いて、国会決議や国内外の世論を無視してアメリカ追随と世界の批判を受ける態度をとり続けた。交渉団は最後まで抜け穴拡大を極限まで進める自説に固執、昨秋に続く崩壊の瀬戸際にあって、ようやく自説の一部を撤回した。
 国民の多くが望まない、国会決議にも反する交渉方針を官僚など一部が密室で決定し、世界を翻弄させたことは大変憂慮すべき事態である。今後も密室決定が続けば、今後も国民の大多数が望まない反動的な外交方針がほんの一握りの抵抗勢力によって決められ、地球環境など地球全体の利益を省みない主張を続けて国全体が抵抗勢力とみられる危険性がある。

 ■ただちに米抜き批准を断行し、国内で実効性ある政策を
 これだけ自らの主張を世界に認めさせた日本政府は、アメリカの説得云々と時間稼ぎをすることなく、早期に批准し、また国内の削減を真面目に進めなければならない。
 経団連は早くもアメリカの参加を求める談話を出し、今後も抵抗勢力として振る舞うことを明らかにした。今後も制度強化絶対反対の従来の主張を続けると見られる。こうした抵抗勢力の妨害に屈せず、抜け穴に依存しない6%削減を国内で着実に削減する以外に、今回失った信頼を取り戻すことはできない。



 日本の4つの誤解

  (1)日本は省エネ先進国?
 日本政府や産業界はGDP当たりのエネルギー消費は日本が欧米より少ないとし、産業の省エネは限界だとしている。しかし、産業部門のGDP当たりのエネルギー消費は欧州の多くの国よりも多い。逆に民生や運輸は欧米よりずっと少ない。家庭の世帯当たりエネルギー消費は欧米の半分である。国民の努力を産業界は自らの努力と勝手に読み違えている。石油ショック以来産業界は努力したと主張しているが、日本程度の努力は統計を見る限り、どこの国でもしている。

 (2)日本の燃料構成は欧米より不利?
 日本は欧米より石炭の割合が少ないので不利だという主張がある。しかし、日本は天然ガスの割合が極端に少ないので、逆に削減には有利で、化石燃料の構成を欧米並みに変えるだけでエネルギー消費が変わらなくても数%の削減ができるほどだ。
 欧州が石炭の割合を大きく削減したことをもって「欧州に有利」という意見があるが、日本も同じように石炭を減らし天然ガスを増加させる政策を実行すればよい。日本と欧州の違いは政策を実現して実績をあげる国と何もしない国の違いだけである。

 (3)削減は経済的に不利?
 省エネをすれば燃料コスト、電力コストが減るので、少々設備投資費用をかけてもかえって得になる。環境NGOのCASAは数兆円の得になると試算している。
 また、厳しい省エネ規制をして製品の省エネが進めば、かつて厳しい自動車排ガス規制で自動車会社が世界一の競争力を身につけたように、国際競争力が大きく向上すると見られる。
 対策強化をすれば国際競争力が落ちるという産業界の主張は根拠がない。また国民生活で見れば省エネ規制が強化されれば、家電などの省エネが進み、光熱費の低下が期待される。

 (4)これ以上の削減は不可能?
 政策が悪いために、経済が削減に向かわないだけである。日本の温暖化対策と称する政策は達成を約束しない経団連計画への白紙委任、建つ見込みのない原発への依存、根拠のない道路建設での削減など、結果をうみださない政策が目白押しの一方で、CO2の多い石炭にだけエネルギー税を課さずに優遇、電力会社が石炭火発を2010年までに約20基建設するのを放置している。GDP比で欧米の3倍の公共事業、欧米の半分の寿命で取り壊される民間ビルなどに象徴される「土建国家」も、建材生産や輸送などでCO2排出を大幅に増加させている。
 こうした政策の抜本的な転換で、原発にも吸収源にも依存しない国内6%削減は十分可能で、そのための具体策も環境NGOの気候ネットワークやCASAが既に提案している。「できない」というのは「やりたくない」抵抗勢力の根拠のない主張にすぎない。



NGO声明

京都議定書の実施ルール交渉をブロックし、環境十全性に傷を負わせた日本


2001年7月23日 ボン
気候ネットワーク代表 浅岡美恵



 21日に提出されたプロンク議長の最終合意案は、日加豪露の吸収源の理不尽な要求を受け入れてまでも京都議定書の発効を実現すべきとの決意をにじませたパッケージ案であった。EU、途上国、東欧諸国、アンブレラグループの一部が最終合意案の受け入れを明らかにしてもなお、日本は独善的主張を繰り返し、最後の最後まで合意案の受け入れを拒み続けて、遵守ルールを弱体化させた。こうした交渉態度によって、日本は世界に見境なく身勝手で欲深い国と印象づけることになった。
 しかし、こうした日本の抵抗にもかかわらず、世界の地球温暖化への取組意欲の前に、日本は遵守を含めた最終的包括合意を拒むことはできなかった。さらに、ハーグ会議の決裂やブッシュ政権の離脱表明を乗り越えて、日本以外の大多数の国々による議定書を発効させようとする熱意と粘り強い努力によって、辛うじてCOP6再開会合で政治的合意に至ったことは特筆されてよい。京都議定書を死に至らしめようとする企てから救い出したことは、日本などわずかな抵抗国を除く、良識ある国際社会の勝利であるといえる。これは今後100年にもわたる温室効果ガスの排出削減に取り組まねばならない気候変動問題への人類社会の未来に、ささやかだが希望を与えるものである。
 他方、日本政府は、京都会議の議長国であるにもかかわらず、COP6再開会合の第1週目の閣僚級会合、G8サミットのいずれにおいても、議定書発効に不可欠の日本の批准表明をしなかったことは、世界を大きく失望させた。
 さらに交渉において日本は、批准のカードを振りかざして交渉の進展に水を差してきた。とりわけ、原子力問題、遵守規定、吸収源などで、従来からの主張を繰り返して骨抜きをはかり、他国にのみ執拗に妥協を求めた。その結果、プロンク議長の最終合意案で不当に過大な吸収量を認めさせた。これは科学的根拠のない実質的な数値目標の大幅書き換えであり、京都議定書の科学的信頼性に傷を負わせた。さらに、環境条約での先例がないなどとして遵守のルールを大きく後退させた。これらのことは今後の交渉にも障害をもたらすだろう。
 ここに至る過程で日本政府が失った国際的信頼ははかり知れず大きい。その回復のためにも、小泉首相は一刻も早く批准を表明し、議定書の発効を確実にしなければならない。そして、残る1週間の交渉では、これまでの交渉態度を改め、具体的な詳細ルール作りに建設的に参加すべきである。国内では京都議定書の目標達成のための国内対策を早急に強化すべきである。


<声明>

日本政府は、直ちにアメリカ抜きの批准の意思表明を!

 2001年7月23日(ボンにて)
 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)

主要な論点について包括的合意が成立
 7月23日正午(ボン時間)、COP6再開会合は、7月21日にプロンク議長が提案した最終合意案に各国が同意し、主要な論点について包括的な合意が成立した。
 この最終合意は、原子力の利用を控えるとしていることは評価ができるが、一方で遵守制度の法的拘束力が弱められ、吸収源については日本・カナダらの主張に大きく譲歩したものとなっている。そのために、先進国全体で削減目標の大きな部分を吸収源で達成できることになり、京都議定書の地球温暖化防止効果は大きく損なわれることになった。
 日本はかねてから要求していた国内での森林吸収分(3.7%)の全てが認められた。
 
合意内容を後退させた日本
 合意内容を後退させたのは、日本・カナダ・オーストラリアなどの国が、吸収源、原子力利用、遵守制度などで、強硬に後ろ向きの主張を続けたからである。とりわけ日本政府は、すべての論点でもっとも後ろ向きの主張をし、合意内容を後退させる主要な役割を演じ、環境NGOだけではなく、各国の政府代表団やマスコミから大きな非難を浴びた。
 最終的には合意したとはいえ、日本政府がCOP6に引き続き、COP6再開会合でも交渉の進展を妨害し続けたことは、日本の環境NGOとして怒りを禁じえない。日本政府は、COP6からCOP6再開会合に至るプロセスで日本に対する信頼を大きく損ねる結果となったことを忘れてはならない。

日本政府は直ちにアメリカ抜きの批准の意思表明を
 日本政府は、日本政府の主張を大きく取り入れた最終合意が成立したにもかかわらず、批准の意思を明らかにしていない。主要な論点について包括的な合意が成立した以上、日本が批准を表明できない理由はなんら存在しない。議定書交渉からの離脱を再三表明しているアメリカ政府への説得は、批准表明をしない理由にはならず、アメリカ政府に遠慮して批准をしない口実に過ぎない。まさにアメリカ政府からの政治的独立性がないことを自ら証明することになる。
 
COP6再開会合の役割は、主要な論点について包括的な合意を成立させ、2002年の議定書発効を確実にすることである。日本政府が批准の意思を表明し、議定書の2002年の発効が確実になるまで、COP6再開会合は終わっていない。


京都議定書の運用ルール要旨
<途上国支援>
・枠組み条約に基づく特別気候変動基金と、議定書に基づく適応基金を設置
<京都メカニズム>
・排出量取引など海外で行う削減制度は、国内での削減対策を補完するもの
・原発による排出抑制分を削減分に繰り入れることは控える
・政府開発援助(ODA)は、途上国との共同削減事業に使う資金に含めない
・排出量取引で売買できる量は、その国に認められた排出量の10%以下
<森林吸収>
・削減分に繰り入れる量は各国ごとの国内事情を考慮…日本には炭素換算で年間1300万トンまで認める
<罰則制度>
・削減目標を守れなかった場合の罰則は、未達成分を1・3倍に加算して、次の削減期間から差し引く
・法的拘束力のある罰則制度については、議定書が発効した最初の会議で検討




難航する京都議定書の行方、日本の批准に世界が注目
 
 
 混迷の原因はどこにあるか
 3月にブッシュ政権が離脱を決めた京都議定書問題、これに輪をかけているのがアメリカに同調発言する日本政府の態度です。
 1997年に京都で合意したはずの国際交渉がなぜこんなに長引き、混迷を深めているいるのか、それは運用ルールを緩めて一旦決めた削減目標を下げようと抜け穴拡大に奔走してきたアメリカ・日本・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどあります。
 ブッシュ政権誕生前のハーグ会議(昨年)でも、アメリカ・カナダとともに日本は森林吸収でなにもせずに削減したことにする提案を提出し、最後までそれに固執して会議を決裂させました。今回は議長が日本だけの特例措置で日本政府の要求の大半を呑んだ提案をしていますが、日本政府は「まだ不十分」といっそうの抜け穴拡大、骨抜きを主張しています。日本政府が消極的なのは、国内での温暖化ガスの削減が困難と見ているからです。
 しかし、環境NGOの試算では国内対策だけで6%削減は十分可能となっています。

 日本、抜け穴拡大ばかり主張
 国際交渉は京都会議以降も続き、抜け穴を拡大しようとするアメリカ・日本・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどと、世界の大多数の国が妥協をはかりながら合意一歩手前まで来ました。6月には条約会議議長から包括的な合意文書案も提案されています。条約会議議長は日本に対し、日本政府が強く求めていた森林吸収源について、日本にだけ認めて他の国には認められない条項をわざわざつくり、ボーナスとして3%与える案をまで示しました。
 ところが、日本政府はまだ不満としてさらに抜け穴を拡大し、目標を守れなくてもおとがめのないという提案をしています。現在の日本政府の主張は
 (1)吸収源でさらに獲得したい(現在獲得した3%分をさらに高めて3.7%。しかも途上国での植林をこの枠から抜きたい)…(注)日本国内の吸収源は植林ではなく、樹木が自然に伸びた分を人為的努力とみなすこと
 (2)途上国への原発輸出を温暖化対策と認めてほしい
 (3)途上国へのODA(道路やダムも含む)を温暖化対策と認めてほしい
 (4)目標を守れなくても罰則がなくてすむ制度にしてほしい
などのようで、いずれも実際の削減とは無関係か、かえって環境負荷を増大するものばかりで、国際的に地球温暖化防止に向けて実効性ある制度をつくるどころか、自国が手を抜けるなら当面、議定書が抜け穴だらけになっても構わないと言う姿勢です。

 ブッシュ政権の離脱理由は正しいか
 ブッシュ政権の京都議定書離脱の口実は、温暖化は科学的に不確実であること、京都議定書は途上国が不参加であり不公平であること、アメリカ経済の利益にならないというものです。
 <温暖化は科学的に不確実?>
 温暖化問題は科学的に未解明の点が多いのはその通りですが、科学者は既に温暖化の兆候は明らかだとして早期の対策を求めています。1988年にアメリカを最大として世界の数千人の科学者を集めたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が設立され、3回の報告書で警告を発してきました。
 第一次報告の「CO2の大気中濃度を現在のレベルに安定化するには世界のCO2排出量を直ちに60%削減しなければならない」との警告は、対策の緊急さ、今後取るべき対策の大きさの両方を初めて認識させ、世界に大きな衝撃を与えました。ブッシュ大統領はIPCCを不満としてアメリカのアカデミーに検討を依頼しましたが、アメリカの科学者もIPCCの報告を追認しています。
 <途上国不参加は不公平?>
 途上国には現在削減義務の数値目標はありません。これは歴史的に先進国が排出量の大半を占めてきたこと、人口の4分の1に過ぎない先進国(旧ソ連東欧を含む)が6割のCO2を排出…人口当たりCO2排出量は先進国が途上国の5倍(アメリカは10倍)であることから、気候変動枠組条約では「共通だが差異ある責任」として、先進国が先に対策を取るよう求めています。京都議定書のもとになった1995年のベルリン会議での決議でも、最初の期間は途上国には削減義務を課さないことで合意、このことには当時のアメリカ代表も合意していたことです。
 途上国にも今後削減を求めなければなりませんが、まず先進国が削減して目に見える成果を示すことです。また条約や議定書の義務に従い途上国への資金・技術移転を行うことも必要です。途上国は、アメリカなどが途上国の義務を叫ぶ一方で国内削減を行わず、条約に定められた資金・技術移転も前進しないことに反発しています。

 「アメリカ抜き批准」の意義と日本の批准
 欧州諸国はアメリカ抜きで批准し、先に京都議定書を発効させてただちに対策に取りかかろうとしています。これに対し日本政府は「アメリカを置いてきぼりにするな」「アメリカの参加が重要」などとして意思を明らかにしようとしません。
 石油会社の利益を優先するブッシュ&チェイニー政権下では、アメリカの復帰は望めませんが、これはアメリカが永久に戻らないこととは違います。欧州や国際環境NGOなどは、アメリカ以外の先進国が一致して批准・発効させ、国際環境協定の中でも画期的とされる京都議定書に参加しない環境フリーライダーの先進国はアメリカだけ、という状況をつくって圧力をかけようとしています。
 世界が結束して対応するのと、自らの批准の意思もなく手ぶらでアメリカ詣でを繰り返して復帰を懇願するのと、どちらがアメリカ復帰の圧力になるかは明らかです。
 このように世界の大多数が京都議定書を支持している中で、排出量が先進国で2番目の日本は、議定書発効のカギを握っています。
 京都議定書に限らず、国際協定は、各国政府がただ署名するだけではなく、正式な承認手続きを求めます。この批准には国会の議決が必要です。京都議定書の発効要件は @先進国、途上国を問わず55カ国以上の批准 A1990年のCO2排出量の55%を占める先進国の批准の二つですが、排出量の36.1%を占めるアメリカが離脱、2.1%のオーストラリアが同調しているなかで、排出量8.5%の日本に注目が集まっています。

 日本がまずやるべきこと
 したがって、まず
 ・日本はアメリカのいかんに関わらずただちに批准すること。
 ・議定書の運用を決める国際交渉において抜け穴を拡大したり、目標を守れない国への罰則をゆるめる主張をやめること
 ・途上国協力と称して原発輸出や、海外でのODAによる大規模公共事業を行わないこと、これらがCDM(クリーン開発メカニズム)に含まれないとの世界の方針を支持すること
が重要です。

 日本がとるべき国内対策
 日本がとるべき国内対策は次の内容を確実に実施することで温暖化ガスの6%削減は可能です。
 ・吸収源や排出量取引などに頼らず、6%削減を国内だけで実現させるために省エネや自然エネルギー導入、石炭から他のエネルギーへの転換などで実現する
 ・自然エネルギー起源の電力を優遇価格で量を制限せずに電力会社に買い取らせる、自然エネルギー促進法を制定する
 ・産業界の削減対策は経団連環境自主計画任せにせず、協定化など法的拘束力のある制度とする
 ・石炭火発の増設は今後行わず、天然ガスや自然エネルギーに替える
 ・土木建設関係の排出削減のため、公共事業を削減し、また安易なビル建て替えが不利になる制度により建設自体を減らす
 ・フロン・代替フロンの製造・販売が不利になる制度を通じて自然物質への転換を強力に進め、カーエアコンや冷蔵庫・エアコンなどのフロン・代替フロンはメーカー責任で確実に回収させる制度をつくる
 ・温暖化を口実に原発増設を行わない

 <抜け穴頼りの日本の削減目標>
 日本政府が1998年に決めた「地球温暖化対策推進大綱」では6%の内訳は以下のようになっています。数字は2010年の1990年排出量全体に対する比です。
 
 海外での削減・吸収源の拡大解釈など……………………-5.5%
 吸収源…………………………………………………………-3.7%
 排出量取引など………………………………………………-1.8%
 国内削減………………………………………………………-0.5%
 エネルギー起源の二酸化炭素……………………………… 0.0%
 同(革新的技術開発など)…………………………………-2.0%
 エネルギー以外の二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素……-0.5%
 代替フロン……………………………………………………+2.0%
 
 国内削減はほとんどなく、ロシアからの排出枠購入や、森林吸収など、実際の削減とは何も関係ない書類の上の数字あわせが大半です。政府は自然体ケースではCO2排出が20%も増加するところをゼロに戻すのだとしていますが、国内では、革新的技術開発などはとくに政策の裏付けがありません。「エネルギー以外の二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素」のところは、旭化成延岡工場で亜酸化窒素の回収装置が1998年から稼働して既に見込んだ分は達成しています。代替フロンはオゾン層破壊物質のフロンからの転換です。
 ドイツなどでは代替フロンでなく自然にある物質に変えているのですが、日本は最大で二酸化炭素の11700倍もの代替フロンに固執(類似物質にはPCB代替の絶縁ガスに23900倍のものもあり)しています。90年比で2%増加というのは対象となった6ガス全体との比で、これらのガスでは50%以上の増加になります。
 なお、これらの前提として、原発20基増設、道路建設などが含まれています。

 <日本政府の追加対策>
 原発20基が最大でも13基になるなど「大綱」の前提が破綻したため、政府は経産省と環境省が別々に対策の見直しを始めました。このうち経産省はエネルギー起源のCO2ゼロ削減の枠に固執し、ただし現在の政策だけではゼロ削減どころか6.9%増えるとして、追加対策として
 ・新エネルギーの普及強化……900万トン(炭素換算)削減、新たな普及政策など
 ・省エネルギーの強化…………600万トン(炭素換算)削減、ストーブなどへの省エネ基準など
 ・石炭から天然ガスへ転換……500万トン(炭素換算)削減、石炭火発への課税など?をあげてCO2ゼロ削減を達成するとしています。
 環境省はCO2ゼロ削減にこだわらず、環境税の導入、経団連自主計画の協定化を含めて対策強化を行えば、国内削減だけで重点的にピックアップした対策だけで2%削減は可能、その他のガスを入れた6つの温室効果ガス全体では4〜7%削減が可能だとしています。

 <政策的逆行や不適当な政策>
 石炭は天然ガスの2倍もCO2を排出しますが、日本の電力会社は原子力の次に石炭火発を優遇、今後10年にさらに約20基を建設する予定です。また、天然ガス火発は半分以下しか動かさないのに、石炭火発はフル稼働させています。これは石炭が破格に安いまま放置し、しかも石炭にだけエネルギー税をかけない歪んだ政策のためです。デンマークでは石炭火発の増設を法律で禁止しています。
 公共事業の大盤振る舞いや、ビルの安易な立て替えは膨大なCO2を排出し温暖化を加速します。日本のエネルギー消費の4分の1は建設材料の生産や輸送に使われていると土木学会が報告しています。政府固定資本形成(公共事業など)はGDP(国内総生産)比で6.9%と欧アメリカの2-3倍、建設業の付加価値のGDP比は10%を超えますが、欧米ではせいぜい5%台です。
 道路建設も温暖化防止に逆行する政策です。90年以降、自動車の輸送分担率は旅客も貨物も3ポイントも増加し、約6割が自動車になりました。これは交通インフラへの公共投資の実に85%を道路につぎこみ、他の機関に比べて自動車がますます有利になったためです。国土交通省は道路建設は渋滞解消になるとしていますが、英国の白書では逆に道路建設は一般に自動車需要を高めると指摘しています。日本の道路整備はまだまだとの声もありますが、国土面積当たりの道路延長は欧州の水準を遙かに超えています。

 こうすれば出来る日本の国内対策
 <不十分な自然エネルギー普及策>
 自然エネルギー普及策には政府の設備補助がありますが、これには限界があります。このほか自然エネルギー電力を電力会社に買い取らせる政策に
 @優遇価格で無制限買上げ方式(ドイツ、スペイン、デンマークなどで成果)
 A買取り量限定入札方式(イギリスに類似)がありますが、環境NGOや超党派の議員連盟は優遇価格で無制限買上げ方式を提案しています。この方式は意欲ある市民、企業が将来見通しを立てやすく、地域住民や農協などが、損しないなら地球によいことをしようと決意して発電所を導入するのを手助けします。
 日本政府が考える買取り量限定入札方式では将来の買い取り価格が入札でどんどん値切られ、買いたたかれる危険があり、入札できなければ買ってももらえません。

 <不十分な産業界への施策>
 日本では製造業などがCO2の4割、事務所や運輸産業を入れると8割が産業からの排出です。日本の削減対策では当然、産業を重点にしなければなりません。
 しかし、日本政府は産業分野に対しては経団連計画に白紙委任してしまいました。経団連計画では原発20基の発電によるCO2削減を企業努力に組み入れ、それでも90年比ゼロ削減というものです。また、経団連の関係業界でも、多くの団体は計画も定めなかったり、あるいは定期的なフォローも行っていません。大雑把に、産業の半分は計画をたてているが、ゼロ削減で、しかも達成の保証がない、産業の残り半分は計画すらまともにたてていない、どこまで増えるか見当もつかない、という状況です。
 産業界の削減を政策で保証するには、省エネ法の努力目標(効率を毎年1%改善。2010年までに1990年比で18%改善)を規制とするか、厳しい計画を建てさせて政府と協定を結び、守れなければ厳しい罰則を課すなどの政策が必要です。

 <大幅増加容認・放任状態の代替フロン>
 代替フロンはオゾン層破壊物質のフロンからの転換です。ドイツなどでは代替フロンでなく自然にある物質に変えているのですが、日本は最大で二酸化炭素の11700倍もの代替フロンに固執しています。90年比で2%増加容認というのは対象となった6ガス全体との比で、これらのガスでは50%以上の増加になります。この分野の政策も業界自主計画お任せの状態です。
 業界は代替フロンは減らせない、代替もできないと主張しています。しかし例えばスプレーでは単にほこりをとるためにわざわざCO2の1300倍の温室効果を持つ代替フロンを吹き付けるスプレーが売られていますし、他のガスですむのにわざわざCO2の11700倍の温室効果を持つ代替フロンを部屋に充満させる消火設備があります。メーカーはカーエアコンなど自然物質への代替を拒否し、フロン回収を行うとしています。
 しかし、実績では回収率は10%です。
 現在の国の施策は、わずかに回収に関するものがあります。家電は「家電リサイクル法」で対応することになっていますが、この法律にも政省令にもフロン回収率の規定がなく、メーカーお任せです。


早急な議論の再開を!<CASA声明 00/11/25>
 11月13日から開催されていたCOP6は、会期を1日延長したが、結局、何も決められずに終了しようとしている。このままでは、COP6は失敗に終わると言わざるをえない。
 COP6の課題は、京都議定書の早期発効にむけて、同議定書に盛り込まれた諸制度とその運用ルールを決めることだった。このことが各国の議定書の批准に必要だとされていたからである。
 COP6で具体的な合意ができないことは、10年余にわたって積み重ねられてきた地球温暖化防止に向けた国際交渉を大きく後退させるものである。
 こうした事態を招いた大きな原因は、アメリカや日本などの一部の先進諸国が「抜け穴」探しに狂奔したことにある。その典型が、議定書3条4項に関する日米加提案である。京都で合意された削減目標を大きく上回る吸収量を算入しようとするこの提案に、日本政府などが固執したことが、交渉の進展を遅らせ、COP6を失敗に導く要因になった。
 京都会議の議長国であり、議定書の早期発効に向けてリーダーシップを発揮すべき日本政府がCOP6を失敗に導いた国の1つになってしまったことに、日本の環境NGOとして大きな失望と怒りを感じざるを得ない。
 締約国会合は、議定書の早期発効に向け、早急に議論を再開し、合意に向けた前向きなプロセスに踏み出すべきである。とりわけ、京都会議の議長国であった日本政府は、「抜け穴」探しを直ちに止め、京都議定書が真に削減議定書として発効するよう真摯な努力をすべきである。
 地球温暖化を防止することは将来の世代に対する我々の世代の責務であることを忘れてはならない。

 

   ●崩壊・焼失した温暖化交渉、行き詰まり<WWF声明 00/11/25>
 WWF(世界自然保護基金)は、温暖化防止ハーグ会議で、先進国のCO2排出削減のための合意に失敗したことについて、各国政府を強く非難し、議定書批准に向けて新たな努力を求めた。
 特にアメリカ、日本、カナダ、オーストラリアが、議定書の効力を弱めることにこだわったことが、今回の結果を招いた。これらの国が、京都議定書のほとんどすべての抜け穴を最大限利用することを主張したことで、京都会議以降3年間続いた、恐ろしく難航した交渉を停止させてしまった。WWFは各国政府に対し、直ちに再度批准に向けた努力を始めることを求める。
 他よりは交渉の進展に努めたEUは、それでも主要なCO2排出国の抵抗を克服することができず、交渉をまとめるには至らなかった。
 「気候変動防止を目指した今回のハーグ会議の失敗は、議定書の効力を弱めようとした各国政府代表にとって冷たいシャワーとなるだろう。国民は温暖化防止のためにさらなる行動を求めており、今回の結果に大いに落胆して当然である。温暖化問題の解決方法は、石炭・石油・ガスを燃やして出るCO2排出を削減するという、実に単純な話のはずである。」WWF温暖化防止キャンペーン部長のジェニファー・モーガンは述べた。
 

COP6に向けCASAが提案
 環境NGOのCASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)は、2000年11月13日からハーグ(オランダ)ではじまったCOP6(気候変動枠組条約第6回締約国会議)に向けた提案をホームページで発表した。提案は「吸収源をどう扱うべきか−CASAの意見と提案」と「京都議定書の遵守制度をどう設計すべきか−CASAの意見と提案」の2種類で要旨は次のとおり。全文はCASAのホームページで見ることができる。

「吸収源をどう扱うべきか−CASAの意見と提案」要約
 吸収源に関してCOP6でなされる決定は、京都議定書の環境上の有効性を左右する重大な決定である。 少なくとも第1期約束期間において、LULUCF活動は極めて限定的に適用されるべきである。 植林、再植林、森林減少は土地利用の変化をもとに定義し、通常の林業活動による植林を再植林に含むべきではない。なお、持続可能な発展に関する基準や指標が確立され、それに適合していること、及び、不確実性を中心とした技術的問題が解決されていること、などの条件が満たされていなければ、そもそも目標達成に用いるべきではない。(3条3項関係)
 追加的活動は認められるべきではない。(3条4項関係)
 JIにおける活動は、3条3項の活動に限定されるべきである。ただし、JIを実施する関係国全てにおいて、上記3条3項の部分で提示した条件が満たされていなければ、これらの活動も認められるべきではない。(6条関係)
 CDMにLULUCF活動は認められるべきではない。森林の保護及び育成は、森林の持つ多様な価値を反映する形で、他の資金供与メカニズムで行われるべきである。(12条関係)

「京都議定書の遵守制度をどう設計すべきか−CASAの意見と提案」要約
 遵守制度は、議定書の信頼性を担保するほど強力な対応が可能であること、不遵守について広範な情報に基づき、公平・中立に評価できるものであるべきである。また、そのために議定書上の権利義務の一層の明確化がはかられるべきである。さらに、国際的遵守制度を補完する国内の遵守制度を設置すべきである。
 遵守制度は、すべての議定書上の義務を対象とすべきである。COP/MOPで採択される指針、規則、方式なども、議定書上の義務の統一的実施を確保するのに必要な範囲で適用対象とすべきである。
 不遵守に関する問題の申立にはできるだけ制約を課さずに、他の締約国、事務局による申立が認められるべきである。市民・NGOによる申立が認められるのが望ましいが、少なくともERT、遵守機関への情報提供が認められるべきである。また、遵守制度で取り扱われている事案に関する情報が締約国および市民・NGOに公表されるべきである。
 不遵守への帰結は、能力不足などやむをえない理由による不遵守については、援助、遵守機関との協議に基づく遵守に向けての自主的計画の作成と実施の勧告が適当である。意図的または継続的な不遵守については、メカニズムへの参加停止を含む権利・特権の停止、遵守行動計画の作成と実施、遵守基金への高額の支払いを課することが適当である。
 議定書の改正は、法的に不可能な問題ではない。いたずらに改正をタブー視し、改正を回避することのみを交渉の既定方針とすることは、京都議定書の遵守確保に最も効果的な帰結は何かを考慮しないことになる。COP6において拘束力ある帰結を伴うメカニズムと手続を定める法的文書が採択されるべきである。


「リオから10年」で京都議定書の発効をとの
    国際世論をようやくひろげたCOP5

 約150カ国が参加してドイツのボンで開かれた(99年10月25日〜11月5日)COP5は、2年前のCOP3で温暖化ガスの排出削減目標を定めた「京都議定書」(現時点で先進国の批准ゼロ)について「できるだけ早期の発効を目指す」などとうたった決定を採択して閉幕した。
 COP5で協議し具体化するはずだった温室効果ガスの削減目標を達成するため先進各国に排出枠の売買などを認める「柔軟性条項」の扱いや、削減目標を達成できなかった場合の「罰則」などは、各国間の調整がつかず、合意には至らなかった。
 この会議では、地球温暖化防止に向けた国際的な取り組みを失敗させるなとのEUや日本を含む諸国が「議定書を遅くとも2000年に発効させる」と主張したが、アメリカは、「途上国の排出抑制への参加が保証されるまでは批准しない」との立場に固執した。
 このため、EU・日本などで先行批准もやむなしとする動きも見られた。1992年に地球サミットが、リオで開かれ、気候変動枠組み条約は採択されたが、その10年後の2002年に、京都議定書を発効させようとの国際世論がようやく広がりはじめた。
 次期COP6は2000年11月13〜24日に、オランダのハーグで開らかれる。


COP5に関する気候ネットワークの声明

1999年11月5日
気候ネットワーク代表 浅岡 美恵
リオ+10での発効を確実に − 求められる国内対策の見直し −

1、 COP5は11月5日、2週間にわたる会期を終える。COP5では、COP4で採択された、COP6で京都議定書の発効の準備を完了するための「ブエノスアイレス行動計画」を思い起こし、論点ごとに各国の主張を整理し、「ブエノスアイレス行動計画の実施(Implementation of Buenos Aires Plan of Action)」を採択してそのプロセスを完成する道筋をたてた。いまだ実質的審議が始まったとはいえないが、京都会議から2年を経過してようやく、発効のための関門であるCOP6に向けて動き出した。

2、COP5での最大の進展は、閣僚級会合で京都議定書の発効期限を2002年の“リオ+10”とする流れが生まれ、COP6の重要性を浮かび上がらせたことである。COP6(2000年11月13日から24日)までに、6月と9月に2回の準備会合が設定されている。ここに至るまでに、NGOのはたらきかけや会議初日のドイツ・シュレーダー首相、アナン事務総長、アルソガライCOP4議長による“リオ+10”目標の呼びかけのリレーにEU各国など多くの大臣がこれに呼応して、政治的モメンタムを高めた。日本も、山本一太外務政務次官が2002年の発効が不可欠と述べて、その流れを加速する役割を担った。
 しかし、残された課題は山積みであり、今後のステップは最後まで胸突き八丁の連続といえる。COP6で批准の準備を完成させるとの政治的意思を明確にし、発効へのプロセスを強く後押しする政治宣言を採択することが求められた。残念ながら政治宣言の採択には至らなかったが、決議では、シシュコCOP5議長に、今後の交渉プロセスを強化するために必要なあらゆるステップを採ることを求めている。日本政府は、前向きに議論に参加することによってその協力を惜しむべきでなく、また、今後の補助機関会合で、“リオ+10”というこの条約にとって象徴的なタイミングを活かすべきことを呼びかけ続けるべきである。

3、今回の会合で、日本がCOP6および補助機関会合でリーダーシップを発揮するために、原発増設と議定書3条4項による吸収源の範囲の拡大などに大きく依存した日本の6%達成シナリオを早急に見直す必要があることも明らかになった。
 まず、今回の閣僚級会合で、オーストリア、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、スウェーデン、ノルウエー、ハンガリー、ナウル、インドネシア、シンガポール、ツバルなどの大臣が明確に、原発はCDM、JIの対象とはなり得ないとの立場を明らかにした。先般の東海村での臨界事故も少なからず影響を与えているであろう。最近の世論調査によっても2010年までに原発20基増設の計画は実現可能性が全くない。内外で原発に依存した削減計画は破綻している。
 また、日本は京都議定書第3条4項の吸収分で数値目標の3.4%と皮算用をし、第3条4項を第1約束期間に盛り込むためにしばしば議事を中断させた。しかしながら、2000年5月に予定されているIPCCの特別報告によれば、極めて不公平であるだけなく、京都議定書の数値目標を無意味にすることが明らかになった。3条4項による吸収源は第1約束期間には組み入れるべきでない。COP6に向けて、日本が皮算用を可能にする決定に固執することは、COPの議事を混乱させるだけである。

4、日本がCOP6の成功にリーダーシップをとるために、目標達成を吸収源や原発、排出権取引などに依存するのではなく、実効性のある政策措置を市民とともに策定して早期に実施に移すことが不可欠である。日本など先進国の国内措置を進めることなくして、途上国の理解も得られない。その上で、公正公平な京都メカニズムの制度設計、強固な遵守の仕組み、第3条4項吸収源の排除に向けて、国際交渉への日本の積極的な貢献を期待する。


COP5詳細情報(Kiko COP5通信 No.3(1999年11月5日発行)を中心に編集)

●COP5の議長総括要旨(シシュコ議長/ポーランド)
・気候変動の兆候に重大な懸念が生じており、交渉を加速することが必要
・先進国は温室効果ガス排出量の削減を継続している
・発展途上国の排出削減は温暖化防止に有益で対処能力向上のため技術移転が重要
・COP6で結論に達っし、京都議定書の早期発効が必要

●採択された決議
 COP5は、「ブエノスアイレス行動計画の実施」という議長決議を採択した。さらに、全部で20以上の決議を採択した。交渉は遅々として進まないと言えども、細かい部分についての議論が行われ始めたのも事実だ。決議は、COP6までの作業計画や要請事項を示す程度にとどまっているものが多い。

・ ブエノスアイレス行動計画の実施(FCCC/CP/1999/L.14)
 議長決議の採択に当たっては、日本が、COP6までの交渉をサポートするファシリテーターを指名するべき、という発効を実現するための積極的な提案をし、アメリカ、カナダを含む多くの国の支援を受けたが、更なる交渉プロセスを作ることへの中国、サウジなどの反対で議長提案に反映されなかった。

・ 京都メカニズム(FCCC/CP/1999/L.15)
 議論が意見交換に終始し、大事な交渉の機会を先送りしたことは大きく懸念される。しかし一方で、ブレインストーミング形式にして、途上国を含めて口を開かせることに成功した、とチャウ議長の手腕を評価する声も大きい。しかし、これらは決して「交渉」ではない。今後の過密なスケジュールを順調に進める必要性はより高まっている。なお、採択された決議は、今後の作業スケジュールを示しただけのシンプルなもの。2000年1月31日までに各国に更なる意見を求め、議長がテキストを作成する。6月のSBSTAの前にワークショップ、専門家を含めたミーティングを開催し、COP6で決定する。

・ AIJ(共同実施活動)(FCCC/CP/1999/L.13)
 条約に基づいてレビューすることになっていた共同実施活動については、来世紀に入っても、地理的な不平等に配慮しつつ継続して行うことが決定した。しかし、議定書における共同実施・クリーン開発メカニズムとの関係については触れない形となった。

・ 遵守制度(FCCC/CP/1999/L.21)
 中でも実質的な議論が進んだ議題であるが、決議では、2000年3月までに意見を求め、具体的な議論を詰めるのはこれから。決議では、更なる進展の必要性が強調され、COP6までに遵守制度を確立することが定められた。

・吸収源(FCCC/CP/1999/L.16) 
 森林吸収源については、IPCC特別報告書に関連してデータを出すことを日米などは渋っていたが、ようやく前に進むことになった。決議の採択の際には日本だけが反対した。理由は、決議案に「最初のドラフトをCOP6に出す」と書かれていたため。COP6で決議が出来なければ発効の目処が立たないばかりか、3条4項の活動を第1期に入れられない、と焦った日本が反発したのであった。最終的に妥協案が決議された。日本は2年前COP3の終盤で、3条4項の最後に「追加的活動を第1期約束期間に適用することを選択できる」という内容を無理矢理追加した経緯があるが、この時の主張が再度表面化したと言える。

・4条8・9項(適応措置と補償)(FCCC/CP/1999/L.22)
 サウジアラビアらが、経済補償問題と悪影響への適応措置をパッケージにすることを求めていたが、決議では、2つのワークショップをそれぞれ持つことになり、気候変動の悪影響を受ける小島嶼国への対応が進められることが可能になった。

・ 能力開発(FCCC/CP/1999/L.19,20)
 途上国と経済移行国について別々に決議した。途上国の能力開発については、必要となる能力開発のリストが付記された。

・ 国際燃料(FCCC/CP/1999/L.17)
 国際航空燃料や、船舶で、IMO(国際海事機関)とICAO(国際民間航空機関)とに削減の手法について検討する項目案が中国、産油国から強く反対され、最終的にはさらに消極的な決議となった。
 などなど、決議の数は多いが、中身は非常に薄い。
( )内は文書番号。URLは、http://www.cop5.unfccc.de/

●各国の主な主張
・デンマーク、アイルランド、オーストリア、ドイツ、スウェーデンなどは原子力が温暖化防止のオプションにならないと強調(Kiko COP5通信 NO.2 11月3日号)。

・ アメリカは、早期発効を支持するものの、アメリカでの批准には費用効果性と途上国の意味ある参加がもっと必要であることを強調し、慎重な言い回しに終わった(KikoCOP5通信 NO.2 11月3日号)。

・開催国を代表して会議初日にスピーチしたドイツのシュレーダー首相は「原子力のリスクを考え、ドイツ政府はこの技術を廃止することを決めた」と発言。風力エネルギーや省エネ推進で二酸化炭素などの削減目標を達成すると約束した。

●会場内外の動き
・COP5会場となっているマリティムホテルの庭に40mのローターを持つ巨大風力発電機が登場。ヨーロッパ風力エネルギー協会などが設置したもの。白い威容を誇っている(KikoCOP5通信 NO.2 11月3日号)。

・世界の環境保護団体の連合組織は会場の一角で、日本の核燃料加工会社JCOの臨界事故を告発を行った。被ばくの検査を受ける女の子や、救急車で病院に運ばれるJCO社員などの写真、JCOで扱われていたウラン化合物を模した粉を入れた金属バケツ、周辺の中性子測定結果のグラフなどを展示。原発の危険性を訴えた。

・ドイツの風力発電見学。ボンから西へ約70km、COP5会場からはバスで約1時間の森の中にある。EWEAが手がける約700あるプラントのうちの1つで、実験プラントであるため発電機の数は10数機とヨーロッパの中では多くはないものの、発電容量は10MWh。ドイツでは最新技術の普及が既に動き出している(Kiko COP5通信 NO.2 11月3日号)。


 COP4が終結(概要レポート)

11月2日より13日までブエノスアイレスで開催されたいたCOP4は2000年の締約国会議までに諸事項を決定するとの行動計画を採択したものの大きな進展もなく閉幕した。以下に簡単な概要をレポートする。

・<課題と成果>今回の会議は、京都会議で細部が決まらなかった「国際制度」(海外で削減したことにする3つの仕組み)や「吸収源」(森林など)の抜け穴を防止する制度を整備、先進国が国内対策を強化せざるをえないようにすることが最大の焦点だった。他に、目標を達成できなかった場合の罰則なども課題だった。しかし2000年の条約会議までに京都議定書の未決定部分をつめることで合意した以外は何も決まらなかった。
・<理由は?>日米などが「国際制度」と「開発途上国の義務」だけを話し合おうとしたこと。これらの国は国内対策が全く進まず(日米2国のCO2排出量は開発途上国全体の排出量に匹敵し、いずれも96年までに10%増加)、また大半を海外で「削減」しようとしている日米のこの間の政策などが世界に知れ渡っていること。このため、EUが「国際制度」に枠をはめる提案を行い、途上国グループは先進国の成果がでないうちの「途上国参加」に反対したことなどが挙げられる。
・<今後の課題>環境への悪影響を防止し、また将来途上国にも協力してもらうためにも、早く先進国が削減の成果を出すことが重要である。そのためには抜け穴防止が一番の近道。先進国の中には、途上国に足並みの乱れが出たことで「成功」と評価しているころもある模様。アメリカはようやく議定書に署名したが、正式参加のためには国内で批准の手続きが必要。批准の審議を行う上院は昨年、途上国の参加のない「不公正な」京都議定書に反対する決議を全会一致で採択、今年は京都議定書関係の連邦政府の支出を禁止するなどヒステリックな行動が続いており、批准の見通しはたっていない。
・<会議の詳細>
次の関係Webを参照してください。

環境庁COP4のページ
国連気候変動枠組条約公式Web(English)
期間中の記者会見(ビデオ映像)(English)


COP4の見通しと日本をふくむ主要国の態度

 11月2日より地球温暖化防止ブエノスアイレス会議(気候変動枠組条約第4回締約国会議、COP4)が開催されました。この会議は昨年の「京都会議」(COP3)に続く、同条約の4回目の会議ですが、京都会議のような派手な会議ではなく、地球温暖化防止に向けた対策を前進させるより、京都議定書の「抜け穴」をいかに防ぐかが焦点です。京都議定書を巡る議題の主なものは以下の通りです。

・国際制度を通じた抜け穴の防止
・吸収源を通じた抜け穴の防止
・途上国の参加問題
・議定書の遵守問題

いずれも難航が予想されることから、会議中には「行動計画」を策定できるか、またその中にどう実効性ある中身を盛り込むことができるかが焦点になっています。

注:会議初日の討議により、途上国の参加問題は正式議題から除かれました。

■会議の焦点から

(1)国際制度を通じた抜け穴の防止
 国際制度とは以下の3つを指します。

  排出量取引
  共同実施
  クリーン開発メカニズム

 「排出量取引」は先進国間で排出量を商品のように売買する制度です。「取引により、最もコストの安いところで排出削減ができる」と説明されますが、後で説明するように、これによってアメリカや日本は海外(特に「排出量」の余っているロシアとウクライナ)から「排出量」を購入するだけで国内対策をさぼるのではないかと懸念されています。
 「共同実施」は先進国の間で共同で事業を実施し、排出削減量の一部を、資金を出した国の取り分にする制度です。これによってアメリカや日本は海外事業(ロシアや東欧など)を通じて「排出量」を得るだけで国内対策をさぼるのではないかと懸念されています。
 「クリーン開発メカニズム」は先進国と途上国が事業などを通じて協力する制度です。中身は決まっていませんが、先進国が途上国で事業を実施し、排出削減量の一部を、資金を出した国の取り分にすることや、先進国が島国など被害の大きい国に資金を供与することなどが想定されています。これによってアメリカや日本は海外事業を通じて「排出量」を得るだけで(しかも、後述のように、本当に排出量が減るか保証はありません)国内対策をさぼるのではないかと懸念されています。

 「国際制度の抜け穴」と言った場合、以下の2つの意味があります。

  国際制度の活用により、国内対策がおろそかになること
  国際制度自体に「削減量の水増し」など欠陥があること

・国際制度の活用により、国内対策がおろそかになること
 国際制度は国内対策に対して「補完的」でなければならないなどと京都議定書には定められ、あくまでも国内の削減がメインであることが示されています。しかし、アメリカや日本(日本は国際制度や、次に述べる「吸収源」の拡大解釈で9割を「削減」しようとしています)などはこれを無視するかまえです。
 国内対策がおろそかになることを防止するため、EU(ヨーロッパ連合)は国際制度の活用は削減の50%以内とすべきだと主張していますが、アメリカや日本などは「市場をゆがめる」と反対しています。アメリカや日本などを代表して条約事務局に意見書を出したニュージーランドは、「補完性」の具体的なことは議定書に書かれていない、国内対策が「本質的」だとも書いてない、などと開き直っています。
 また、クリーン開発メカニズムは先進国が5.2%削減するとされた京都議定書の削減量の枠外で行われます。これが増えると先進国の削減分が減ってしまいます。

・国際制度自体に「削減量の水増し」など欠陥があること
 国際制度自体に多くの欠陥があります。
 京都議定書では政治的妥協により、ロシアやウクライナは2008-12年に1990年比で温室
効果ガス排出量を0%削減と決まりました。しかし、両国は経済停滞により1995年までに二酸化炭素を1990年比で25-30%も減少させています。2010年になっても両国の二酸化炭素排出量は1990年水準には戻らないと見られ、大量の「排出量」が余ることになります。これは「ホットエアー」と呼ばれています。
 「ホットエアー」は努力して削減したわけでないただの「余り」ですからおそらく安売りされるでしょう。これらは間違いなく日米などに買い取られ、その分日米が対策をさぼりますから、取引されなければさらに多くの削減が見込めるわけです。「ホットエアー」は共同実施の事業による削減分を水増しすることによってもロシアなどから日米に移転する可能性があります。
 クリーン開発メカニズムでは途上国が相手なので大きな問題があります。
 まず、クリーン開発メカニズムは先進国が5.2%削減するとされた京都議定書の削減量の枠外で行われますから、この量が多くなると先進国の削減分はどんどん減って、ついには増加しても許されるようになるかもしれません。
 温室効果ガスは世界中どこで減らしても同じだと、推進派は言います。しかし、この制度はそんなにしっかりしているのでしょうか。実は大きな抜け穴の可能性があります。
 例えば、途上国の排出データがそろっていないことを悪用し、エネルギー効率が著しく悪いことにして、対策をしなかった場合の排出量をむやみに引き上げ、そこに、実は大したことのない技術を移転し、さも大量の削減をしたかのように見せかけて、その分国内対策をさぼるケースが考えられます。極端な話、その国でのクリーン開発メカニズムによる削減量が、もともとのその国の排出量を超えてしまうようなこともあるのかもしれません。
 別の例では、(クリーン開発メカニズムの対象事業に植林が認められると)例えばある途上国の領土内で他のところで先進国がさかんに木を切っているのに、そこは無視して先進国が植林したところだけが「排出削減」として認められることもあり得ます。

(2)吸収源を通じた抜け穴の防止
 吸収源は科学的知見が不十分で、制度を間違うと大きな抜け穴になったり、自然林の伐採を促進するなどの弊害が予想されます。このため、6月の準備会合では、2000年にIPCC(「気候変動に関する政府間パネル」、世界の科学者の集まり)のレポートを求め、それを待つことが決まっています。
 日本は吸収源を最大限に拡大し、現在は1990年以降の植林に限定されている吸収源を、天然林も含めて拡大し、その分化石燃料消費を拡大してよいよう提案を行っています。

(3)途上国の参加問題
 途上国はおよそ世界のCO2の3割を排出し、一人当たりの排出量は先進国の4〜5分の1程度と見られます。とはいえ、今後他の温室効果ガスも含めて今後も大きく伸びると思われます。温暖化防止のためには開発途上国も含めて一刻も早く対策を取ることが必要であるのは言うまでもありません。
 しかし、途上国の強い姿勢は、先進国が義務を果たしていないことが大きな原因です。条約の義務であるはずの先進国の2000年までの対策(1990年レベルにおおむね削減)、途上国への資金・技術移転、などはいずれも進んでいません。こうした中で、開発途上国に削減義務をと先進国が主張しても説得力がありません。
 こうした議題が出てきた背景はアメリカの国内事情によるところが大きいのです。アメリカは1国で世界のCO2排出の4分の1をしめるにも関わらず、温暖化対策は経済にマイナス、途上国が対策をとらないのにアメリカだけが削減努力をするのは「不公平」だとし、石油・石炭産業、エネルギー多消費産業などが圧力をかけてきました。アメリカ上院は、途上国参加がない限り京都議定書を批准しないという決議を全会一致で採択、最近でも京都議定書に関係する予算支出を禁止しました。先進国の対策の抜本強化、社会構造の抜本転換を求める科学の要請・国際世論との落差はますます大きくなっています。こうしたアメリカを取り込むため、途上国に妥協を求めるのが日本など先進国の態度です。途上国の中では今回の会議の議長国アルゼンチンが自主的参加で妥協できないかと説得にまわっているようです。
 温暖化防止のためには途上国が一刻も早く対策を取ることが必要ですが、そのためにも先進国が国内対策で目に見える成果を出すことや、次の目標強化に前向きの姿勢を早くから示すこと、途上国への資金・技術移転を進めることなどが必要です。

■各国の態度
 先進国のうち、EUやスイスは国際制度の導入で国内対策をさぼることにならないよう、国際制度による削減は50%以下とすることを提案しています。
 開発途上国は、先進国が抜け穴を利用、あるいは国際制度などを活用して国内対策を怠るのではないかと反発し、国際制度に関する数十項目の疑問点をまとめて提出しています。開発途上国は同時に、先進国の意味のある削減、途上国への資金・技術移転のルールの早期制定などを求めています。
 これらに対し、アメリカや日本など非EUの先進国は、国際制度の活用に上限を設けることや、抜け穴防止のための歯止めとなる制度(例えば排出量取引を監視する機関の設置など)に反対、市場に任せるべきだとしています。これらの国はかえって抜け穴の拡大となる諸制度(例えば吸収源の拡大解釈)などを提案、温暖化対策を先送りしようとしています。


●COP4向けNGO見解

COP4向けに各NGOも政策や意見を表明している。そのうち、代表的なCASAの見解を紹介する。

COP3以降の地球温暖化対策に対するCASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の見解(98/11)

 COP3は、気候変動枠組条約付属書・締約国の2008年から2012年までの温室効果ガスの排出量を、1990年レベルから少なくとも5%削減するとの京都議定書を採択した。IPCCの警告からすれば、この削減目標は気候変動を防止する目標とは言いがたい。しかも、この議定書は多くの問題を積み残し、また多くの抜け穴が用意され、その運用次第では削減どころか、温室効果ガスの増加を許しかねないものとなっている。
 あまりに小さい削減目標であっても、これを確実に実行することが気候変動を防止する第一歩である。そのためには、早急に、確実な削減を実現する政策と措置を具体化し、積み残した問題についての議論がなされるべきである。その前提として、次のことが確認されるべきである。

○削減目標の達成は、各締約国内での政策と措置が最優先とされること。
○議定書のすべての条項についての透明性と情報公開が確保されること。
○討議の過程、および決定される制度やルールが公平なものであること。
○市民/NGOの参加が保証されること。

 気候変動を防止するためには、温室効果ガスの大幅な削減が必要である。京都議定書の削減目標が達成されても気候変動を防止することはできないことを考えるなら、締約国会議は、速やかに第2バジェットでの大幅な削減目標の設定に向けた交渉を始めるべきである。
 このレポートは、こうした観点から、日本における政策と措置について検討するとともに、抜け穴になりかねない柔軟性メカニズムやシンク(吸収問題)、さらに議定書の履行確保について検討したものである。

COP3後の日本政府の政策と問題点……略……

2010年のCO2排出21%削減(1990年比)は可能

 我々の研究によると、今後新規の対策が何もとられない「現状維持ケース(BaU)」では、2010年のCO2排出量は1990年比で24.5%増加し、CO2排出削減技術の導入が図られる「技術対策ケース」でも、2010年のCO2排出量は1990年比で8.1%の削減にとどまる。
 一方、生産量・消費量・交通量・廃棄物量などの物的活動量を現状から維持・抑制するとともに、太陽光発電や風力発電などの導入を促進すれば、CO2排出量を大幅に削減できる。例えば、現状から見ても十二分に実現可能性が高い「1995年活動水準維持ケース」では、2010年に1990年比で21.0%、「1990年活動水準抑制ケース」では、同32.5%のCO2排出削減が可能である。
 また、CO2排出削減対策による経済効果はプラス面の方が大きいと試算された。例えば、「1995年活動水準維持ケース」では、2010年の単年の純コスト削減額(エネルギーコスト−技術導入コスト)は約13.5兆円、2000〜2010年の純コスト削減額は約40.8兆円と推計された。

地球温暖化対策に必要な政策と措置

 今後、地球温暖化防止対策を効果的に実施するためには、地球温暖化防止を目的とした包括的な政策と措置が必要である。
 我々の研究によると、CO2排出を大幅に削減するために必要な政策と措置は、少なくとも全部門で143件ある。また、これに対応して、法令については79法令の改正又は廃止、5つの新法の制定、64の行政計画の改訂が必要である。

地球温暖化対策推進のために実施すべき政策と措置(部門毎の実施すべき政策と対策…計143件)

産業部門関連(17件)
現行「省エネ法」では努力目標である工場のエネルギー原単位改善目標を義務化、業界の自主宣言に過ぎない経団連「環境自主行動計画」への外部監査の導入および履行確保措置、「時のアセスメント」等の公共事業の見直しなど。

運輸部門関連(30件)
自動車燃費基準の適宜見直しと強化、燃費を基準にした累進制課税の導入、道路使用における多乗員車・共同物流トラックの優先策、特定地域における自動車走行制限、自動車関連税収全てを道路整備に使用する「道路特定財源制度」の廃止など。

民生家庭部門関連(24件)
住宅の保温構造等に対する基準の強化、電気機器のエネルギー効率基準の強化と適用機器の拡大、環境ラベルの表示義務化、家庭エネルギー消費アドバイザー制度の導入など。

民生業務部門関連(17件)
オフィスビル等業務施設に対するエネルギー原単位改善目標の制定とその義務化、事務機器のエネルギー効率基準の強化と適用機器の拡大など。

エネルギー転換部門関連(28件)
大幅な増加が計画されている石炭火発の縮小とLNG火発などへの転換、需要抑制・管理政策(DSM)の導入、毎年多額の不要額(1995年641億円)を出す原子力予算の再生可能エネルギーへの投入、太陽光発電施設設置補助措置(現行1/3補助)の強化など。

廃棄物処理部門関連(12件)
廃棄物処理についての「製造者責任」の明確化、容器包装の事業者回収責任の明確化、リサイクル数値目標の設定、全連続式焼却施設へのごみ発電併設の義務化など。

環境アセスメント関連(15件)
計画段階からの「温暖化アセスメント」の導入

「地球温暖化対策推進法」に盛り込むべき事項

 今年10月、世界で初めて温暖化防止を目的とした「地球温暖化対策推進法」が成立したが、以下の点を法律に盛り込むように即座に改正すべきである。

○当面は京都議定書の温室効果ガスの削減目標(2008〜2012年の平均で6%、1990年比)を国内における排出削減によって達成することを目的とする。
○国と自治体に対して、「地球温暖化防止計画」の策定を義務づけ、それは、他の行政計画(とくに経済、開発分野)に優位する。
○一定規模以上の工場・業務施設等に対して、温室効果ガス排出削減計画の策定と知事への提出を義務づける。
○地球温暖化防止対策の実効性を確保するために徹底した情報公開を実施する。
○地球温暖化防止対策を効果的に実施するために、関連する既存の諸法令を包括的かつ整合的に改正・制定する。

京都議定書の柔軟性メカニズムについて
 京都議定書で採用された、排出量取引(ET)、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)などの柔軟性メカニズムは、その制度と運用次第では京都議定書は削減議定書どころか、温室効果ガスを増加させる議定書になりかねない。先進締約国は、議定書の法的拘束力ある削減目標を曖昧にしない柔軟性メカニズムの制度とルールを合意すべきである。そのためには、3つの制度の運用の前提として、少なくとも次のことが確認されなければならない。

○国内での政策と措置により各国の削減目標を達成することを、最優先とすること。
○柔軟性メカニズムが運用される前に、柔軟性メカニズムが抜け穴にならないような制度とルールを合意すること。この制度とルールを決めるに当たっては、その討議を公開し、市民/NGOの意見を反映すること。
○柔軟性メカニズムのすべての過程において、徹底した情報公開がなされること。
○排出量取引(ET)の売却国が目標を達成できなかった場合は、売却国と買受国の双方が共同の責任を負うこと。
○柔軟性メカニズムによる削減は補完的であること。すなわち、柔軟性メカニズムによる削減には、ホットエアーの取引による影響を最小化するための売却量制限や、国内での政策と措置を優先させるための購入量制限などが検討されるべきである。
○吸収(シンク)による削減については、少なくとも不確実性の問題が解決されるまで、排出量取引の対象にせず、クリーン開発メカニズムのクレジットを与えないこと。
○共同実施やクリーン開発メカニズムのプロジェクトについて、事前および事後のアセスメントを実施し、この手続きに市民/NGOの参加を保証すること。
○第1バジェット終了後に柔軟性メカニズムの効果を検証し、必要な見直しを図ること。

シンク(吸収問題)について
 近年、世界の森林が急速に減少しており、森林の保全と再生は極めて重要な課題となっている。京都議定書は限定グロスネット方式を採用したが、シンク(吸収問題)については、不確実性の問題をはじめ、多くの問題が指摘されてきた。長期的観点からすれば、そもそも森林などがCO2を吸収すると考えることに問題がある。このような問題が解決されていない以上、シンク(吸収問題)については、少なくとも次のようなことが考慮されるべきである。

○シンク(吸収問題)の規定の定義、解釈、運用にあたっては、できるだけ限定的に解釈し、その影響が最小化されるようにすべきこと。
○現存する森林、とりわけ処女林の開墾、伐採を奨励するような、また、生物の多様性保全に悪影響が出るような、解釈、運用をしないこと。
○通常の林業活動による伐採、植林を、議定書3条3項「再植林(reforestation)」や「森林減少(deforestation)」に含めるべきでないこと。
○焼け跡への植林が「再植林(reforestation)」に含まれるなら、森林火災を「森林減少(deforestation)」に含めること。膨大なCO2を放出する森林火災が森林減少に含まれないとすると、炭素バランスの実態と議定書上の計算との間にアンバランスを生じることになる。
○議定書3条4項によるシンクの拡大は、IPCCで評価手法について報告がなされ、これが確定するまで交渉をしないこと。

議定書の履行確保について
 議定書第18条は、第1回締約国会合(MOP1)において議定書の不履行についての手続きと仕組みを決めるとしている。この手続きと仕組みについては、次のような手続きや制度が考慮されるべきである。

○締約国会合の下に、議定書の不履行および不履行の虞について、調査および審査をし、締約国会合に報告する、履行確保のための特別の委員会を設置すること。
○この特別の委員会には、必要な場合は査察権限が与えられるべきこと。
○この特別の委員会には、議定書の不履行および不履行の虞について、NGOにも申立資格を認めること。
○不履行に対する効果的な制裁を規定すること。


 

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