(03/04/03更新)

経済界の取りくみと問題点

   〜経団連自主行動計画はここが不十分〜

 日本のCO2の約半分は製造業が、8割は産業が出しています。6%削減のためには産業界の大幅削減が不可欠です。 ところが、経団連などは自主的行動を尊重し、規制や課徴金に反対しています。通産省もこれを支持してこうした方針を認めさせようとしています。しかし、自主行動で6%削減はできるのでしょうか。

経団連環境自主計画の2001年実績(03/04/03)
経団連の温暖化自主計画は原発依存。7年間で3.3%増加
98年6月の自主計画についての意見
97年6月の経団連自主行動計画
経団連『新東京圏の創造』

 


経団連環境自主計画の2001年実績

NGO持続可能社会研究会は日本のCO2ガス削減で、中心的な役割を負っている産業界の取り組みに関して、経団連傘下の各産業の取り組みを分析した。

いまだにバブル期なみCO2排出、大量エネルギー消費


2003/2/1
持続可能社会研究会 「産業界の温暖化対策 分析評価分科会」


 当研究会では、「1997年の経団連自主行動計画」の発表以来、産業界のCO2大量排出に着目して、その取り組みの内容を分析・評価して報告してきました。
 今回の「2001年実績の概要を発表」にたいして内容の分析をした結果、その取り組みの進度のおくれは、社会的問題であると判断し、伝えていきたいと考えます。

<コメント>
 日本経団連は10月17日、経団連環境自主計画参加団体の2001年実績の概要を発表した。詳報は不明だが、この11年に生産は大幅に低下している(鉱工業生産指数は11%低下)にも関わらず、CO2もエネルギー消費もバブル経済絶頂期の1990年とほとんど変わらず、エネルギー効率は大幅に悪化した。
 産業界のCO2削減は、環境自主行動計画により目標を達成すると、経団連および担当官庁の旧通産省は、社会に対して説明し、公約してきた。
 現実は達成に近ずくどころか、大幅なCO2原単位の悪化により、省エネ先進国から脱落し、今までの施策では全く不十分であることを露呈している。
 にも拘わらず、CO2削減の新たな政策、たとえば炭素税の早期導入などの提案にたいして、いまだに抵抗するのみである。
 省エネ法すら守られない現状を放置し、また、削減責任に一端を担う担当官庁の経済産業省はこの事実に目を向けず、一方の環境省は2004年までの実績を把握してから、環境税(炭素税など)の導入をはかるなどと、悠長な姿勢に終始している。
 この事態を社会に伝えるマスコミもまだ、十分な報道はしていない。


      注1 90年値を示した4業界のみ。百貨店協会は2000年値で計算。
      注2 鉱工業生産指数比

■大幅生産減でもバブル経済期なみの消費量
 経団連自主計画参加業界のうち、エネルギー転換・鉱工業・建設業(つまり「民生・運輸」以外)2001年のCO2排出総量は1990年比で3.2%減、エネルギー消費総量は1.1%減である。1990年はバブル経済の絶頂期、一方2001年の日本は不況で製造業の生産量を表す鉱工業生産指数は11%も落ち込んだのに、エネルギーやCO2は微減に留まっている。
 この間、エネルギー効率は10%程度悪化したことになる。米英独などはこの10年に産業部門のエネルギー効率は逆に10〜20%向上している。もはや日本が「省エネ先進国」というのは幻想にすぎない。
 業界は、生産が減ってもエネルギー消費はそんなに減らないと主張するが、省エネ法で毎年1%効率改善を求められ、また日本のCO2排出量の約半分を占めて社会的責任も大きな大手業界が、エネルギー消費が増えるのを自然現象のようにとらえているようでは無責任である。

■総量3割増で、単純原単位1割以上悪化でも目標達成
 原単位が恣意的な例もある。悪い例として石油連盟の例を以下に具体的数字とともに示す。石油連盟は、エネルギー原単位を2010年に1990年比10%改善することを目標にしている。この時の原単位は製品の変化を考慮した補正原単位だとしている。その内容は、製油時の処理回数が増えればその分処理量をダブルカウントして生産量が増えたかのように見せて原単位を「向上」させてしまうものである。例えていえばペンキ塗りの工場が、納入先の希望でペンキを従来4回塗っていたのを5回に増やしたのでエネルギーが25%増えて当然という考え方である。
 2001年までに石油連盟はエネルギー消費総量、CO2排出総量を29%増加させた。他の経団連計画参加業界と比較しても3割増加という著しい成績不振が目立つだけでなく、製油量は14%増なので13%もの大幅な効率悪化に見える。むろん省エネ法の努力目標など守れるはずもない。
 ところが、石油連盟が発表した2001年の補正原単位は、CO2原単位が1990年比12%改善、エネルギー原単位が1990年比13%改善である。目標は10%改善なので、既に超過達成の状態にある。製品構成の変化に対応して何らかの努力はもちろんしたのかもしれないが、総量3割増で、単純原単位も1割以上悪化で、それでも達成される目標とはおそれいる。
 他にこうした例が見られるのは鉄鋼である。単純に計算しても生産減程度のエネルギー減少しかないにも関わらず、業界はエネルギー効率が5%改善したと主張している。

■自己努力と無関係な電力のCO2原単位低下も自己努力に勘定
 自然エネルギー電源を導入したり、そうした発電者を探して契約するような努力をしている業界ならともかく、何も考えずに大手電力から電気を得て、原発の割合が上がってCO2原単位(電力1kWhあたりのCO2排出量)が減っても、それを自己の努力とは考えないのが自然である。しかし、経団連計画傘下の業界の大部分はこれも勘定に入れて「削減した」と主張している。
 なお、経団連はこの効果が2010年時点で90年比9%程度と試算していたが、最近発表していない。

■省エネ法の努力目標を守れた業界
 省エネ法は事業所ごとにエネルギー効率を毎年1%向上させることを求めている。各事業所が誠実にこの目標を守れば実績が公表された2001年までの11年間で1990年比で約10.5%向上、2010年までに18%向上させることができる。経団連計画参加業界の中にもわずかだがこの目標を達成したところがある。
 なお、各業界の目標のうち、エネルギー効率を目標に掲げている業界で18%以上の効率改善を掲げたところはほとんどない。これらは、業界ぐるみで省エネ法を守る意思がないことを公然と宣言したことになる。

※この他、建設、住宅など原単位を公表しない業界は大幅悪化と見られる。
省エネ法目標を達成した業界のうち★は総量も削減できた業界。その他は排出増。
注1 業界は圧延量ベースで計算して15%向上と主張。生産量ではこれほど減
らない
注2 業界は出荷金額で計算し、31%効率向上としている。しかし、自動車生産台数はこの11年で3割減なので、生産台数をもとに原単位を計算すると1%向上にすぎない。実際はトラックが半減するなど大型車の減少が大きいのでこれよりも悪化している。
注3 生産量を指数しか示さず、詳細不明
注4 前述の通り、石油精製量14%増に対しエネルギー消費量は29%も増えており効率は悪化したように見えるが、業界は13%効率向上と主張している。
注5 経団連計画では発表せず、経産省のレビューで生産金額をベースに17%向上と発表した。しかし、自動車生産台数はこの11年で3割減なので、生産台数をもとに原単位を計算すると22%悪化になる。実際はトラックが半減するなど大型車の減少が大きいのでこれよりも悪化している。

 

☆推定(値の発表がないか、独自の補正(石油、鉄鋼)のため)
★総量削減業界、他は総量増加
注1 1997年以前に大幅悪化の可能性
注2 業界発表の補正原単位では向上。
注3 銅・アルミ電線のみで光ファイバーを含まず。この業種は生産が電線か
ら光ファイバーへ移行中で、光ファイバーは省エネ法目標達成(35%向上)だ
が、2000年時点で全体のCO2排出のうち電線が87%を占め、2010年でも75
%を占める予測なので電線分を掲載した。
注4 生産台数ベースで現状維持(90年比3割減)とした

■実績を公表しない業界、実績公表をとりやめた業界
 情報開示の流れに逆らい、今年になって公表を取りやめた業界がトラック協会など幾つかある。また、民生・運輸部門に属する業界の多くは依然として業界計画すら策定しなかったり、達成状況を公表しないところが大半である。日本経団連はかねてから「民生・運輸が問題」と主張してきた。日本経団連は家庭が問題で業界は努力していると言いたげであるが、家庭はともかく民生・運輸の業界を見る限り、確かに問題と言えそうである。

注1 いずれも経産省レビューでは実績公表
注2 経産省レビューでも公表取りやめ

■環境対策なくして生き残りなし
 日本経団連は計画に全てまかせるべきと主張し、政策強化に反対してきたが、経団連計画の下、11年間に業界は効率を全体として悪化させ、生産減でもバブル経済なみの大量排出・大量エネルギー消費を続けてきた。計画自体も政府の「地球温暖化対策推進大綱」で7%削減を求められているのに資金も能力もある大企業が0%しか出来ないなどとし、エネルギー効率改善でも省エネ法遵守レベルすら達成できないお粗末なものである。GDPあたりの産業部門エネルギー消費(広義の産業のエネルギー効率)は既に欧州に抜かれ、「省エネ世界一」は主として業界団体の怠慢によりもはや幻想と化している。
 個々の企業の経営者にはさすがに環境対策はコストだからなるべくしないで済ませた方がよいなどと考える人はいないと信じるが、日本経団連や業界団体には環境と経済は対立するといまだに信じて、逆に工場でエネルギー浪費を続け、またエネルギー浪費型製品を今後も続けることができると勘違いしている者が多いとみえ、環境対策に抵抗して着々と各業界を墓場へと導いてしまっている。
 21世紀には政策でも市場でも環境が重視される。企業は工場でエネルギーを浪費してコスト増でかつ環境を軽視する企業とみなされたり、エネルギーを浪費して環境重視の消費者にそっぽを向かれる製品ばかり製造していても将来はない。実際、省エネ規制を甘いまま放置してきたために企業は省エネを怠り、設備投資は低迷し、省エネ技術や自然エネルギー普及は進まず、企業は無駄に石油代を海外に支払い続けている。
 各産業は「環境対策なくして生き残りなし」と肝に銘じるべきである。また、業界団体の何でも反対の姿勢に従うことなく、逆に産業全体が公正な市場の下で環境対策を強化し将来の生き残りに備え、また企業の社会的責任を果たすことができるよう、環境フリーライダーを排除して真面目な事業者を守る政策(例えば最低限の規制基準や実効ある罰則、環境税など)を政府に要求すべきである。私たちはそうした企業を応援しようと考える。

■温暖化対策のためにも産業強化のためにも政策強化・炭素税導入が不可欠
 産業を再生させ、政策でも市場でも環境が重視される21世紀に日本の産業が生き残るためには、経団連計画などに頼ることなく政策を強化することが不可欠になっている。自主計画では環境フリーライダーを防止できないため、政策により対策を後押しすることが必要である。工場などの省エネ規制を強化(実際は努力目標はほとんど守られていないので規制を新設)し、自動車や電気機器その他の機器への省エネ規制を強化し、また早期に炭素税を導入し、生産でも消費でも(さらに廃棄の際も)エネルギー消費を減らし、自然エネルギーの割合を高めるよう政策で促すべきである。
 現在の「地球温暖化対策推進大綱」のように産業の温暖化対策を経団連計画に丸投げして産業に甘い政策を続けることは、温暖化対策が進まないのみならず、産業の衰退を一層進めることになる。政府の一日も早い政策転換を求める。

 


経団連の温暖化自主計画は原発依存。7年間で3.3%増加
 経団連は環境自主計画のフォローアップ結果を発表(98/10/30)した。1997年までの7年間に3.3%増加したとしている。
 この環境自主行動計画は37団体が個別に計画を策定したもので、全体で2010年までに1990年レベルに戻すだけ、しかも目標は原単位で総量でないので目標は仮に達成しても削減されるとは限らないという極めて不十分なもの。しかも内容的には産業は自らの努力ではなく、原発の増加に依存しており、原発が増加せず、発電所におけるCO2原単位が1990年水準にとどまった場合、10%以上の増加になると予想している。
 今回のフォローアップでは、7年間に最もCO2排出量を増加させたのは電気事業連合会で500万トン、増加量だけで日本のCO2排出の2%近くになります。ついで日本化学工業協会の186万トン、逆に減少は日本鉄鋼連盟の80万トンが最大。また、石油連盟やセメント協会など排出量を公表しない業界があり、フォローアップ自体が不十分なものとなっている。


98年6月の自主計画についての意見

JNEP/公害・地球懇(98/06/04)

 98年6月3日、産構審など通産省4審議会による産業界環境自主計画のフォローが行われ、各業界の計画と、分科会による有識者(通産省審議会委員)の検討結果が報告された。今回の報告はエネルギー消費総量、CO2排出総量が報告されており、原単位だけだった昨年の自主計画から一歩前進している。

■通産省の説明では3%減
 排出総量について通産省は3%削減と説明
(根拠)対象を製造業及び鉱業(エネルギー産業(電力、石油、ガス)はのぞく)のエネルギー起源(工業プロセスを除く)にしぼり、原発の増設が順調に進んで電力のCO2排出原単位が低下(0.104kg-C/kWh→0.083kg-C/kWh)すると、製造業及び鉱業からの2010年のCO2排出量は約2.7%削減される。

■各業界の計画の問題点
・増加業界が多い。とくに大口産業に増加が多い
 素材系4業種では減少は鉄鋼のみ。化学、セメント、紙パルプはのきなみ10%以上増加。電力は原発をカウントしても20%増加。電子は20%以上の増加。
・一方で削減を目指す業界も
 自動車は20%(原発を含む)、電機は18%(同)。総量で30%以上の削減を目指す業界も。
・データが明らかでない
 燃料の割合、電力の割合がわからないために第三者がフォローできない。
・原発による電力のCO2排出原単位減少をあてにしている業界が多い。例えば自動車業界は原発が建てば20%削減だが、電力の原単位が1990年のままなら10%削減にとどまる。自動車部品では原発が建てば10%削減だが、電力の原単位が1990年のままならゼロにとどまる。

●工業プロセスを含めると・・・
 セメントの工業プロセスによるCO2排出量は11%増加、板ガラスの工業プロセス起源も含めると、鉱工業だけで1.2%減、エネルギー産業(電力、石油、ガス)を含めると2.6%増加になる。

●原発増設ができない場合
 電力のCO2排出原単位が90年水準(0.104kg-C/kWh)に留まった場合、工業プロセスを含む含まないには無関係に、以下の結果が得られた。
・製造業のみ       10%増加
・製造業+エネルギー産業 12%増加

■結論
・自主計画では努力しない業界が出て実効性があがらず、また不公平
・自主計画の枠組みがいいかどうか再検討が必要

(試算の前提)電力からのCO2排出は電力を使用する製造業分がダブルカウントされているのでそのまま足し算しても正確な数字は出ない。ここでは、電力を含む産業部門のCO2排出量(工業プロセス起源も含む)を試算することとし、民生・運輸による電力消費分は含めない。
 総合エネルギー統計よれば、1996年の電力によるエネルギー消費のうち、自家消費は21%程度、CO2についてもこの分が電力事業者からの排出とする。
 同様に総合エネルギー統計よれば、1996年の電力によるエネルギー消費(自家消費を除く)のうち、産業は49%程度(全体比で39%)、CO2についてもこの分が産業部門からの排出とする。業種別には電力消費量は含まれていないので、産業全体に電力のCO2の39%を割り当て、原単位の差を加算した。
                   

●97年6月の経団連自主行動計画

・経団連自主行動計画とは
 経団連は97年年6月に36業界の「環境自主行動計画」を発表しましたが、2010年までに二酸化炭素排出量を1990年レベルに安定化させるだけです。セメント業界、トラック業界のように数値目標すら出せない業界も含まれていますし、そもそも自主行動計画に加わっていない団体も沢山あります。こんな甘い目標・参加状況では、たとえ目標が守られても産業界全体では増加することになってしまいます。
 加えて、この計画が守られる保障はありませんし、誰が進捗状況をチェックするかも決まっていません。通産省は第三者チェックは通産省の審議会で行うとしていますが、委員の半分が産業界代表である審議会が本当に第三者と言えるのでしょうか。

・ドイツの自主行動との違い
 ドイツでも産業については「自主的取組」を尊重することになっていると言います。日本と同様、ドイツ政府も産業界にお任せなのでしょうか。
 ドイツ産業連盟は2005年までに1990年より20%削減と日本よりかなり厳しい自主目標を公約しています。しかも、実現を保障するため、ドイツ政府は同連盟と協定を結び、目標が達成できなかった場合には環境税の導入を検討するとあり、政策による裏付けがあります。ドイツでは厳しいリサイクル政策が効果をあげていますが、これも自主目標に加えて、目標が達成できなかった場合の政策をきちんと定めているからです。

・規制と課徴金などにより確実な削減を
 日本の自主目標は6%削減にほど遠いうえ、守れなかった場合の措置が決まっていません。厳しい目標と、守れなかった場合の公約がない以上、政府は、産業界の削減目標は義務を伴う計画とすること、守れなかった場合の規制や課徴金などの措置を用意すること、自主目標がそもそも低すぎる時には結果を見るまでもなく、ただちに規制や課徴金を導入するなどの措置を緊急に決定すべきです。

・経団連自主行動計画全文
            【経団連   http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/pol133/index.html】

経団連『新東京圏の創造』−安心・ゆとり、魅力、活力を兼ね備えた都市づくりに向けた提案−
1998年 4月21日 (社)経済団体連合会

1.はじめに 2.今なぜ新東京圏の創造か
                ―世界、日本における新東京圏創造の意義―

1.東京圏をめぐる現状
    1.都市としての成熟化
    2.少子高齢化の進展
    3.集中のデメリットの顕在化
    4.無秩序な外延化がもたらす劣悪な居住環境と貧弱なライフスタイル
    5.社会的、精神的東京依存による個人・企業の脆弱性
    6.防災・治安などセキュリティの不安
    7.バブルの発生とバブル後の状況

2.世界都市東京の創造による国際貢献
    1.都市の国際競争の激化
    2.活力ある日本自身、そして成長するアジアのために
    3.人口集中が進むアジア都市に対する都市運営のモデルとして
    4.環境との共生

3.21世紀の東京圏の理想の姿

1.安心・ゆとりの都市づくり
    1.防災都市づくりの推進
    2.健康高齢都市の創造
2.魅力豊かな東京圏の創造 −住む人、訪れる人を魅了する価値の創造−
    1.魅力ある、新しい「東京人」の創造
    2.循環型都市の形成
    3.日本的な都市美の追求
    4.「学術文化首都」、「観光首都」の創造
3.活力ある東京圏の創造
    1.活力ある国際センター −夢創造、夢実現の都市−
    2.「イノベーション型都市」の創造
    3.活力ある東京圏と活力ある地方圏の新たな関係の構築
4.安心・ゆとり、魅力、そして活力を兼ね備えた新東京圏創造に向けて  
    1.新東京圏創造に向けた提案と経済界の役割  
    1.経済界、住民、自治体が一体となった都市づくりの推進
    2.都市インフラの充実と民間主導型の新しい都市づくりの提唱
    3.新しい東京圏創造のプロジェクト提案 【スーパー環状道路“loop 2020”】 【都心部超高層住宅整備】 【環状2号線(新橋〜虎ノ門区間)整備計画】
     2.新東京圏創造のために求められる政策
    1.防災都市づくりの実現
    2.学術文化政策の再構築
    3.観光政策の確立と推進
    4.国際センターとしての機能強化とイノベーション・情報発信力の向上
    5.実効性ある土地利用・都市計画の推進とライフサイクルに合わせた住宅政策
    6.広域行政への転換
    7.整合性ある交通インフラの整備 ------
4.安心・ゆとり、魅力、そして活力を兼ね備えた新東京圏創造に向けて
    1.新東京圏創造に向けた提案と経済界の役割
    1.経済界、住民、自治体が一体となった都市づくりの推進 新東京圏創造に資する具体的な都市づくりのため、経済界はその持てる活力を発揮し、積極的に提案を行い、住民、自治体と共同で事業を推進していく。 地域に密着した具体的な都市づくりの段階においては、地方自治体が地域における土地利用の整合性を確保することなど、最も重要な役割を担うべきである。また、その推進に当たっては、住民が主体的に参加して計画を策定し、それに民間が参画していくかたちが望ましい。

    2.都市インフラの充実と民間主導型の新しい都市づくりの提唱 新東京圏創造にとって都市基盤の充実は当面の重要課題であるが、それを進めるに当たっては民間活力を最大限に活用し、効率的に進める必要がある。 現在、英国のPFI(Private Finance Initiative)や証券化手法を用いたプロジェクトファイナンスなどを参考に、民間の資金、経営能力及び技術能力を活用した社会資本整備のあり方が検討されているが、これまで官が行うものとされてきた分野を民間にも開放し、民間の手に委ねるという制度への転換を期待したい。 民間事業者の創意工夫が十分に発揮されれば、国民に対して低廉かつ良好なサービスの提供が可能となろう。次項に掲げる具体的な都市づくりのプロジェクトも、PFIや証券化などの新しい制度的枠組みが構築されれば、民間主導で推進される道が開かれることとなる。

    3.新しい東京圏創造のプロジェクト提案 ワーキング・グループの数名の委員が7回の会合と作業を重ね、以下のような新しい東京圏のイメージの提案を作成した。 【スーパー環状道路“loop 2020”】−防災・環境グリーンベルトの形成− 山手線外縁部の危険性の高い木造住宅密集地域を面的整備により不燃化を促進する一方、地権者の理解を得て、土地の高度利用によりオープンスペースを確保し、東京を環状で囲むグリーンベルトを創出する。これにより、防災性向上と都市の環境問題、交通問題の改善を図る。

【都心部超高層住宅整備】 都心部における木造密集地域の再開発を進めることにより、活力ある東京圏の担い手であるアッパーミドル層あるいは高齢者の都心居住を推進するとともに、都心部に必要とされる防災拠点の確保及び都市環境整備・環境にやさしい供給処理施設整備を実現する。

【環状2号線(新橋〜虎ノ門区間)整備計画】 環状2号線整備計画は1946年に都市計画決定されながら長らく整備が進まなかったが、89年に立体道路制度が創設され、96年11月には地元にまちづくり協議会が設立されるなど、事業推進の準備が着実に進められている。この計画の実現により、交通問題の改善はもとより、市街地の再活性化、公共駐車場の整備、緑道公園整備による都市環境の改善を図ることが可能となる。

2.新東京圏創造のために求められる政策 前節に述べたように、経済界は新東京圏の創造に向け、その持てる資金、技術、ノウハウ等を最大限に活用する姿勢であるが、国、関係自治体はこれまでの制度的枠組みを超えて必要かつ十分な予算措置を講じ、新しい東京圏の創造に取り組むべきである。 経済界として、国、関係自治体には以下の政策の実施を求めたい。

1.防災都市づくりの実現

阪神・淡路大震災から3年の歳月が過ぎ、その記憶は徐々に風化しつつある。阪神・淡路 大震災の教訓を最大限に生かした都市防災対策に取り組むことはもちろんのこと、ハード面の都市づくりとソフト面からの地震に強い社会づくりを着実に推進していかなければならない。 前述のように、防災都市づくりは100年の視野で計画し、優先順位を決めて10年単位で実 行していく必要がある。急ぐべき分野には、予算を優先的に配分すべきである。

2.学術文化政策の再構築

東京を世界都市にするためには、世界のあらゆる知的なものが集まり、それを吸収できるセンターにすることが必要であるが、今の文化・教育制度のままでは、そうしたセンターが実現できないことは明らかであり、学術文化政策のブレークスルーが求められる。

3.観光政策の確立と推進

米国では観光キャンペーンに大統領自らが登場するなど、観光に産業として確固たる位置づけが与えられているが、わが国の観光への取り組みは遅れており、グローバル・スタンダードから見て観光政策不在の状況にある。アジア諸国の高度経済成長に伴い、アジアの人々が海外観光に動き出す21世紀初頭に目標を置いて、早急に十分な人材と予算を投入するなど「観光後進国」の汚名返上に向け、実効ある観光政策の確立と推進を求めたい。

4.国際センターとしての機能強化とイノベーション・情報発信力の向上

東京圏が国際センターとして機能していくためには、財・サービス、金融・資本といったあらゆる市場を、内外に開かれ、透明性が高く、魅力あるものに変革し、ヒト、モノ、カネ、情報、さらには技術の移動を円滑にしていかねばならない。 新規参入や事業活動を妨げている規制は、「経済的規制は原則撤廃」の基本理念のもとで早急に見直す必要があるが、企業側においても、閉鎖的な商慣行や官民癒着構造の見直しを行い、市場の透明度を高めるだけでなく、東京圏をより一層魅力ある市場とするため、グローバル・スタンダードに合致した取り組みを進めるとともに、創造的人材の育成と活用等を図っていかねばならない。 東京圏のイノベーション・情報発信力の向上も重要な課題である。その実現のためには、まず国際的に見て、東京圏の経済活動を高コストにしている諸要因を根本的に見直す必要がある。 イノベーションの担い手であるアッパーミドル層の職住近接を実現するために都心居住を推進する政策も重要である。良質かつ低廉な賃貸住宅を都心に整備していく政策は、海外ビジネスマンの長期滞在にとっても有効なインフラとなろう。

5.実効性ある土地利用・都市計画の推進とライフサイクルに合わせた住宅政策

実効性ある土地利用・都市計画を推進するために、都市開発における規制緩和を引き続き推進するとともに、前項に述べたように行政単位を超えた広域的な取り組みが必要である。また土地区画整理事業において住民に減歩が求められる場合には、地権者たる住民に対して相続税を減免するなど、住民参加型都市づくりを実現する制度的枠組みを構築する必要がある。 車と人との共生を図り、土地の有効利用を推進する上で、歩行者用地下道の整備は必要不可欠であるが、現行の建築基準法が個別の土地における構造物のみを対象としているため、地下道ネットワークの整備を行おうとする際にネックとなる。改善を求めたい。 加えて、郊外の一戸建て住宅に対するニーズは、家族持ちのサラリーマン世帯を中心に根強いものがある一方で、働きざかり世代や高齢者にとって都心居住に対するニーズも高まっている。今こそ国民のライフスタイルに合わせた住宅政策を再構築する必要がある。東京圏における都心居住の推進に当たっては、これまでの持ち家制度に隠れて政策課題として重きを置かれてこなかった、良質かつ低廉な賃貸住宅供給のスキームを早急に確立すべきである。

6.広域行政への転換

これからの自治体行政は、情報通信等を活用したネットワーク型を目指すべきである。昼間都民対策など防災面での自治体相互の連携を強化しつつ広域的な視点からの取り組みが行われており、こうした方向性を我々は支持したい。 それぞれの自治体が独自の特色づくりに取り組むことももちろん重要であるが、新東京圏創造に向けて、関係自治体がこれまでの発想を転換し、東京圏全体を視野に入れた広域的な取り組みを推進するよう求めたい。

7.整合性ある交通インフラの整備

東京圏における最大の課題は、交通インフラのボトルネック解消にあるといっても過言ではない。これがために東京圏の国際競争力は著しく低下しており、例えば香港、シンガポールはもとより、上海などと比べても東京圏の地位は急速に低下しつつある。整合性ある交通インフラの整備に早急に取り組み、そのボトルネックの解消に重点的に投資を行うよう求めたい。 具体的には、中央環状線の建設、東京外郭環状道路の建設、インターチェンジの整備などに早急に着手する必要がある。また、地価が低水準にある今こそ都市計画道路の建設を進める絶好のチャンスであり、早急に建設着工に向けた準備を進めるべきである。 交通インフラを整備するに当たっては、往々にして行政の縦割りがネックとなることが多い。東京圏という広域的な視点から、道路、港湾、鉄道、空港の整合性ある交通インフラの整備を進めていくことが重要であり、改善を強く望みたい。また、世界都市東京を実現するためには、国際空港の機能を質量両面から充実させることも重要となろう。

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