JNEPの活動

 

 環境アセスメント法の実施で環境庁に要請/公害地球懇  98/06/10

 97年年6月に成立した、環境アセス法について、97年末には環境庁長官の定める「基本事項」が、また98年6月12日には、各省主務大臣の定める「技術指針」などが施行されています。そしてこれらを受けて、98年6月12日から99年の完全実施にむけ、スコーピングなどの準備作業がはじまります。
 この環境アセスメント法による本格実施を前に、公害・地球懇(JNEP)は、6月10日の「第23回公害被害者総行動」で行われた環境庁長官交渉で、つぎの要請を行いました。

1.主務官庁である環境庁が、環境重視の立場からその責任を果たすこと。
2.科学的で公正な環境影響評価を行うために、情報公開と環境NGOや市民の意見反映につとめること。
3.この制度をさらに実効性あるものとするために、「政策・計画アセス」について、制度化をすすめること。

五全総」へ意見書提出    98/04/06

 公害・地球懇と道路公害反対運動全国連絡会は、五全総への声明を発表しました。
 国土審議会は3月27日に「新しい全国総合開発計画」を答申。これを政府は3月31日に閣議決定しました。全国総合開発計画(全総は)過去4回にわたって策定され、建て前とされた国土の均衡ある発展どころか、公共事業の長期計画等と共に、利益は東京のゼネコンに、地域社会崩壊、健康被害・自然破壊のつけは地域にもたらす全国の大規模乱開発を推進してきました。初期は産業インフラとして機能するプロジェクトも多少はあったものの、二全総、三全総、四全総と回を重ねるとともにゼネコン型ばらまき事業が比重を高めてきました。ゼネコンや素材産業の短期的利益を保証するために莫大な税金が投下され、その税金が地域のくらしの向上どころか地域社会経済や自然環境が犠牲にされ、人々のくらしが破壊される事態が繰り返されてきました。
 その大失敗の典型例として「むつ小川原」や「苫小牧東部」開発があります。工業立地を目指したこれら大規模開発は、地域社会経済、環境破壊を指摘する声を全部無視して地域社会をずたずたにしながら強行されました。結局、工場の進出はなく、国の関連の施設が細々と操業しているだけで、利子負担だけでも莫大なものになっています。大規模プロジェクトを論じる際にはこうした負の遺産をどう清算するのか明らかにし、国民の批判に答え、その上でこうした計画やプロジェクトの存在意義を含めて国民的議論をする必要があります。しかし、五全総でもこれらの反省どころか負の遺産には一切ふれず、大失敗の典型例「むつ小川原」や「苫小牧東部」も引き続き「推進する」とされています。
 下河辺淳・国土審議会会長はマスコミのインタビューの中で、「むつ小川原」や「苫小牧東部」はやらないという意味だと答えていますが、「推進する」と書かれている答申が「やらない」意味だとは誰も考えないでしょう。
 その上で高速道路、新幹線、空港など高速交通網の整備を全国に展開、しかも概念も不明確なまま全国で6つの「海峡横断プロジェクト」が打ち出されました。これは昨年10月の国土審議会計画部会報告にはなく、今度の答申で突如出てきたものです。これらは自民党の圧力で急遽追加されたと報道されています。
 従来の政策の反省なしに、ゼネコン型大規模プロジェクトを全国各地で新たに展開する計画、各地で人々のくらしと健康、自然環境を税金によって破壊し、国家財政を破綻させ、いびつな土建国家をさらに進めるような計画をいまさらつくる意味があるのでしょうか。
 公害・地球懇と道路公害反対運動全国連絡会は、五全総への声明を発表し、関係機関にたいし、送付しました。内容は次の3点にまとめています。

・乱開発や公害発生の原因としてこれまで行政主導で進められてきた、いわゆる「ゼネコン型開発」と言われる大型プロジェクトがあるが、これらへの反省が欠如しているどころか、今まで以上に進めようとしていること

・行政全体を通じ、環境行政を上位に位置付ける必要があるのに、環境配慮といいつつも裏付けなしに全国至る所でプロジェクトを推進していること

・財政の裏付けもなしに全国至る所でプロジェクトを推進していること

 もはや、地球環境を蝕み、物質・エネルギーの浪費を抑えるどころか、それを促進するような経済・開発政策は許されず、マスコミの論調にもある通り、「こんな全総ならばいらない」というべきと結論しています。その上で、環境保全の視点から中央環境審議会が総点検を行うなどよほどの手直しをしなければ将来に禍根を残すと指摘、閣議決定の再考と実効性ある環境政策の確立とを求めています。

・意見書の内容


1998年4月6日

第五次全国総合開発計画に反対する声明

道路公害反対運動全国連絡会
公害・地球環境問題懇談会

 去る3月31日、橋本内閣は、24時間交通圏などを実現するための高速道路や空港を中心とした交通インフラ整備、6つの海峡横断プロジェクト、エネルギー供給では原発推進、などを内容とする第五次全国総合開発計画を、国土審議会答申通り閣議決定しました。

 昨年12月の地球温暖化防止京都会議で、日本は2008年から12年までに温室効果ガス排出を1990年より6%削減することを約束しました。この遵守はあまりにも当然のこととして、それに加えて今までの日本の大量生産・大量消費・大量廃棄の抜本転換が求められ、そのための政策の抜本転換が求められたと見るべきです。
 また、廃棄物焼却場、処分場からダイオキシンをはじめ有害化学物質が検出、環境ホルモンなど深刻な事態となっています。量的にも建設廃材を中心に、大量の産業廃棄物などが処分場を圧迫し、また各地で不法投棄やずさんな処分で多くの問題を引き起こしています。
 さらに、「公害は終わった」などという宣伝とは裏腹に、大気汚染などにより、依然多くの公害患者が放置され、新たな公害患者が発生しています。国や自治体の認定患者に限っても全国で9万人、実際の喘息患者は40万人とも50万人とも言われています。

 日本の開発政策は、(1)このような環境悪化の原因は何か、(2)その原因は取り除かれつつあるのか、ますます悪化する要因すらあるのではないか、(3)最大の要因は何か、を明らかにし、これまでの政策の非を改め、また足らなかった部分を補うことが必要です。この点で五全総を点検すると、はなはだ問題の多い計画と言わざるをえません。

 第一に乱開発や公害発生の原因として、これまで行政主導で進められてきた、いわゆる「ゼネコン型開発」と言われる大型プロジェクトへの反省が欠如しているどころか、今まで以上に進めようとしていることです。
 かつて全国総合開発計画で推進された「むつ小川原」、「苫小牧東部」などの大規模プロジェクトは無惨な失敗に終わり、長良川河口堰や諌早湾開発は国主導で自然破壊を行っている現状を見せつけました。圏央道(首都圏中央連絡自動車道路)など道路建設を中心とした異常な公共投資とそれに基づく乱開発が多くの環境破壊を全国で引き起こし、今も各地で道路建設計画や各種開発計画が目白押しです。こうした「ゼネコン型」ともいうべき経済・社会構造のあり方を抜本的に改めない限り、公害と環境破壊は一層深刻になります。この在り方を環境にやさしい方向に切り替え、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却こそが重要であり、それと逆行するような今回の全総のような諸計画は直ちに廃止するか改められなければなりません。

 第二に、その実効性を担保するためにも、行政全体を通じ、環境行政を上位に位置付ける必要があるのに、五全総は環境配慮といいつつも裏付けなしに全国至る所でプロジェクトを推進しています。
 「公害に侵されない権利」「快適な自然環境を享受する権利」「豊かで安全な食生活と文化を享受する権利」は国民が求める最優先課題です。国がそれを保証する政策を取り、それと逆行する開発政策や、そのおおもとになっている全総のような諸計画は直ちに廃止するか改めていかなければなりません。

 第三に、財政の問題があります。五全総は財政の裏付けもなしに全国至る所でプロジェクトを推進しています。
 昔から政財界の中には公害対策には金がかかるとして押さえ込もうとする意見がありましたが、今では財政破綻の原因は諸外国に比べて巨大な公共事業にあることが明らかになってきました。今後公共事業をわずかではありながらも圧縮するという財政再建計画・方針と、今回出された国家主導プロジェクトが目白押しの全総とはどう整合性がとれるのでしょうか。

 もはや、地球環境を蝕み、物質・エネルギーの浪費を抑えるどころか、それを促進するような経済・開発政策は許されません。マスコミの論調にもある通り、「こんな全総ならばいらない」というべきではないでしょうか。私たちは環境保全の視点から中央環境審議会が総点検を行うなど、よほどの手直しをしなければ将来に禍根を残すと考えます。政府に対し、閣議決定の再考と、実効性ある環境政策の確立とを求めます。

中央環境審議会答申にあたっての声明

                                                                                 1998/3 公害・地球環境問題懇談会 (JNEP)

 本日、中央環境審議会は温暖化防止を総合的に進める法律を制定すべしと答申したことは多とするものの、省エネ法や代替フロン増加容認、道路建設など、通産省や建設省のごり押しではないかと思われる不自然な部分があることは残念である。

 京都会議では、大幅削減に反対する日米などの政府や産業界に対し、世界の市民・NGO が結束して削減議定書を求め、不十分ながら平均5.2%の京都議定書を得、また日本は6%削減を義務づけられた。公害・地球懇も気候フォーラムに結集し、多くの団体と行動を共にし、一定の役割を果たしてきた。

 京都議定書の6%削減を、日本は全力で実施しなければならない。そのためには道路建設や石炭火発に代表される温暖化防止に逆行した政策を改めるのはもちろん、現在の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済構造を根本から転換し、環境重視の政策、経済システムに移行させなければならない。そのためにも環境政策を経済・開発政策の上位に位置づけること、総合的な温暖化防止政策を確立すること、環境庁が開発官庁のごり押しに負けずに主導権を発揮し、意思決定への国民参加を保障しながら対策を進めることが不可欠である。

 公害・地球懇は、国内政策の抜本転換、実効性ある温暖化防止政策と意思決定への国民参加を求め、今後も運動を強めていく。

家電リサイクル法案への見解

通産大臣 堀 内 光 雄殿 厚生大臣 小 泉 純一郎殿
                                                                                                                    1998年3月13日

 家電リサイクル法案が今国会に提出されようとしています。私たちはこの法案がリサイクルだけを強調するあまり、大量生産・大量消費・大量廃棄の是正、有害物質の確実な回収や使用削減につながらないことを懸念しています。この観点から、家電製品の処理については、製造業者・流通業者の責任を明確にすべきだと考えます。  また、処理費用の分担については、消費者が意思決定に参加する仕組みが必要であると考えます。この法案は事業者を中心として作成されており、処理が公正かつ適正に図られないのではないかと懸念しています。  ダイオキシンなど有害廃棄物により各地の処分場でおきている命と健康を脅かす事態は、有害物質の生産・販売を野放しにしてきたこれまでの国の政策の帰結です。有害物質を生産段階で規制し、消費量を確実に削減していくことが求められています。再利用についても大量生産・大量消費からの脱却が必要であり、温暖化防止など地球環境保全、省資源・省エネ、廃棄物による環境破壊防止のためにも、この視点が重要です。  したがって私たちは実効性ある法制度の制定を求め、以下を要請するものです。

1.製造業者(または輸入業者)の排出者責任を明記し、有害物質を原因とする環境問題が生じた際に製造業者が責任をおうことを明記すること。とりわけ、有害物質やフロンなどの回収責任を明記すること。

2.情報公開規定をいれ、業者毎、製品毎の回収・再利用・処理状況(再利用できずに廃棄物となった場合は処分場の地名を含む)、回収価格について毎年公開する制度とすること。

3.回収費用については透明化を図り、消費者のみに負担がかからないように充分検討すること、また廃棄時の徴収を止めること。

4.サーマルリサイクルはリサイクルの対象から除くこと。

5.実施の監視にあたり、工業にくわしい専門家、消費者代表、環境団体代表とその推薦する専門家などからなる審査機関を設置し、回収・再利用・処理について審査するとともに回収価格が適正かどうか審査する制度とすること。

                                        全国消費者大会・環境交流会 /富山 洋子(日本消費者連盟)
                                        小池信太郎(公害・地球環境問題懇談会)/池田 佳子(全国公害患者の会)
                                        木内 良子(東京都地域消費者団体連合会)/ 立石 京子(日本母親大会連絡会)
                                        蓮尾 隆子(家庭栄養研究会)

環境基本計画進捗状況点検についての意見

  中央環境委員会企画政策部会 部会長    森嶌 昭夫殿

1998年3月2日 公害・地球環境問題懇談会 (JNEP)

1.はじめに  京都会議で日本は6%削減を義務づけられました。この遵守は当然のこととして、今までの日本の大量生産・大量消費・大量廃棄の抜本転換が求められ、そのための政策の抜本転換が求められたと見るべきです。また、廃棄物焼却場、処分場からダイオキシンをはじめ有害化学物質が検出、環境ホルモンなど深刻な事態となっています。また、「公害は終わった」などという宣伝とは裏腹に、大気汚染などにより、依然多くの公害患者が放置され、さらに新たな公害患者が発生しています。国や自治体の認定患者に限っても全国で9万人にものぼり、独自の認定制度を持つ自治体では毎年3千人も増え続けています。実際の喘息患者は推定で40万人とも50万人とも言われています。進捗状況の点検では、(1)このような悪化の原因は何か、(2)その原因は取り除かれつつあるのか、ますます悪化する要因すらあるのではないか、(3)最大の要因は何か、を明らかにすることが必要です。  第一に乱開発や公害発生について、行政主導で進められている、いわゆる「ゼネコン型開発」と言われる大型プロジェクトが挙げられます。例えば1987年に作られた「リゾート法」(総合保養地域整備法)がそれであり、道路建設を中心とした異常な公共投資とそれに基づく乱開発と環境破壊の問題があります。東京湾では資源・エネルギーの大量消費を促進し、大気汚染や廃棄物その他の多くの問題が指摘される臨海部開発が行われ、また多摩では国民の財産とも言うべき高尾山トンネルを掘るに圏央道(首都圏中央連絡自動車道路)の建設が計画されています。この他各地で道路建設計画や各種開発計画が目白押しです。私達は日本の環境が決定的に失われるのではないかと大変心配しております。国の予算については昨年6月に地球環境関係閣僚会議で発表された1996年度の地球温暖化関連予算は約11兆円ですが、このうち道路関係予算が8兆円余、約7割を占めています。これは温暖化防止どころか逆行すると批判されています。こうした「ゼネコン型」ともいうべき経済・社会構造のあり方を抜本的に改め、環境にやさしい方向に切り替えて行くことが優先されるべきです。このことを基本としながら、国民・都民全体が、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却と努力を進めることが求められています。  第二に、その実効性を担保するためにも、行政全体を通じ、環境行政を上位に位置付けることです。「公害に侵されない権利」「快適な自然環境を享受する権利」「豊かで安全な食生活と文化を享受する権利」は国民が求める最優先課題であり、その立場を環境基本計画の柱として貫くべきです。  こうした観点から、私たちは、計画の策定の際にも意見を述べたとおり、いくら抽象的によい文句が散りばめられても、現実の公害・乱開発を防止し、環境を保全する実効的な計画にならなければ意味がないと考えて意見を述べ、運動を進めてきました。そこで、環境基本計画の中でやや具体性の大きい第3部第1章〜第4章の一部について意見を述べることとします。

2.各部に対する意見

第3部 施策の展開について 第1章 環境への負荷が少ない循環を基調とする経済社会システムの実現 第1節 大気環境の保全  大気環境は一向に改善されない窒素酸化物や浮遊粒子状物質等の大気汚染の広域化が進むなど年々深刻化しており、従来政策の延長では対応に限界があることを示しています。そこで私たちは以下のような政策を提案します。

1 地球規模の大気環境の保全 (1)地球温暖化対策  京都議定書では日本は2008-12年に1990年比で6%削減を義務づけられました。これにつ いては海外での削減策を最大限活用するような不謹慎な提案が開発官庁や財界から出されていますが、京都議定書をまとめた議長国としてこうした態度は許されません。6%削減を確実に国内で達成することが必要です。また、2000年までの対策として環境基本計画にも取り入れられている地球温暖化防止行動計画は「国際的に公約した」ものでもあり、達成に向けて抜本的強化が必要です。  しかし、国内では温暖化防止法が開発官庁などの妨害を受けている一方で、道路整備計画の閣議決定など、温暖化防止に逆行する政策が次々に実施に移されようとしています。昨年11月に、国民意見をことごとく無視して条約事務局に提出された第二次報告も政策転換にはなんら触れていません。  今回の点検作業ではこうした観点から、この一年の達成状況を点検すべきです。  計画に示された個々の施策については条約事務局にも指摘された通り、政策と措置の削減効果の明示と評価方法の提示が不可欠です。  これらについては条約事務局に提出された第二次報告でも改善されていません。環境庁の施策で実践する他、各省庁に対して報告を求めるべきです。とりわけ「地球温暖化防止行動計画関連施策」の国家予算の8割近い道路建設を所管する建設省に対し、どの程度の効果があがっているのか、年度当初の予測と、年度末の実績値を求めるべきです。今年示された予測は来年の進捗点検で実績を審査し、予測が過大あるいはそもそも削減につながらない場合には供用の停止や関係者の処罰を含めた厳しい策をとることが必要です。

(ア)二酸化炭素排出抑制対策  「二酸化炭素排出の少ない都市・地域構造の形成」で計画に施策が羅列されていますが、開発の総量規制、一次エネルギー消費の総量削減と、開発における環境アセスの徹底、計画へのアセス適用などが抜けているために効果をあげることは難しくなっています。

 「二酸化炭素排出の少ない交通体系の形成」はバイパスや環状道路の整備が対策として掲げられていますが、道路建設が自動車需要を刺激して自動車交通量の増加をもたらしてきた経緯を考えれば必要な対策は交通量、とりわけ旅客、貨物とも二酸化炭素排出量の87%を占める自動車交通の総量規制とそれを担保する政策と措置のはずです。とりわけ毎年15兆円を使って進められる「ゼネコン型開発」による道路整備は転換されなければなりません。私たちは自動車交通増加を促す政策の抜本転換を行い、道路特定財源の廃止と鉄道等への振り向け、道路整備計画の中止、燃料税増税やロードプライシング等の政策を提案してきました。また、自動車単体の効率向上も、80年代末から悪化しており、エネルギー効率・自動車燃費の最低値を導入し、毎年定率で改善していくなどの策をとる必要があると考えます。トラック輸送における輸送効率向上では、共同輸送システムが優れていることが川崎市や福岡市で明らかになっており、その普及策が望まれます。空港整備も温暖化の観点から問題があり、抜本的転換が必要です。  しかし、この1年でこの分野の対策は進まず、それどころか1月には5年間で78兆円も使 ってさらに道路を増やす新規五カ年計画が閣議決定されました。こうした政策が温暖化防止に逆行することを指摘し、強く改善を求めるべきです。

 「二酸化炭素排出の少ない生産構造の形成」でも最も必要な一次エネルギーの総量規制が示されておらず、効果をあげることは難しいと考えます。産業部門の7割を占める大口4産業(鉄鋼、化学、窯業、紙パ)のエネルギー消費総量削減や、建設の総量規制実現と、計画にも示されているエネルギー効率向上を効果的に達成するためにエネルギー効率の最低値を導入し、毎年定率で改善していくことなどが必要です。  しかし、この1年で「経団連自主計画」は出たものの、2010年までに0%という後退した 内容で、しかも計画の妥当性や進捗状況の点検の仕組みがなく、実施される保証もない不十分なものに終わっています。こうした対策では不十分なことを指摘し、温暖化防止法(仮称)に盛り込むとともに、第三者機関による審査、進捗が不十分な場合の措置などを盛り込むよう求めることが必要です。

 「二酸化炭素排出の少ないエネルギー供給構造の形成」では、最も重要な一次エネルギー供給の総量削減が示されていません。エネルギー消費量の増加を放置する政策から総量削減政策への抜本転換を図る必要があります。2010年までに二酸化炭素排出量を1990年レベルから2割近くも増加させる石炭火発大増設計画を即時中止することは真っ先に行わなくてはなりません。エネルギー効率向上を効果的に達成するためにエネルギー効率の最低値を導入し、毎年定率で改善していくことなどが必要です。また、自然エネルギー利用向上を効果的に達成するために自然エネルギー利用の数値目標を導入し、毎年定率で増加していくことなどが必要です。  なお、原発は仮に二酸化炭素排出量は低くても、安全性や放射性廃棄物、立地に関する非民主的な諸政策や地元分断効果など問題が大きく、対策として位置付けるのは問題ですし、他ならぬ行政の失態により、国民から新規立地は拒否されています。  こうした点から今年度の施策を審査すると、石炭火発増設が依然として続くなど、反省の色も見られません。原発20基増設などという政策とあわせて中止を求め、長期エネルギー需給見通しの見直し作業を通産だけで行うことの問題とともに強い勧告が必要です。

 「二酸化炭素排出の少ないライフスタイルの実現」では、生産・使用・廃棄で二酸化炭素の消費量を表示したり、浪費する商品に目立つラベルを貼る等の情報提供が実効的です。  この1年でそうした施策は残念ながらとられませんでした。今後積極的にこうした策を 活用するよう環境庁や各省庁に勧告すべきです。

(イ)メタンその他の温室効果ガス排出抑制対策  メタン対策の名のもとにゴミの焼却を進めることは二酸化炭素排出を増加させるのみならず、NOx排出やダイオキシンの増加をもたらし問題です。また、代替フロン、とりわけオゾン層を破壊しないフロンHFCの生産・使用禁止を行う必要があります。  この1年でそうした施策は残念ながらとられませんでした。それどころか、通産省はHFCなどは今後も大幅増加が当然として業界任せにする方針を出しています。こうした政策が温暖化防止に逆行することを指摘し、強く改善を求めるべきです。

(ウ)二酸化炭素吸収源(森林等の緑)対策  国内では自然林の保護と、国有林野特別会計の廃止が、海外向けでは何よりも国内の木材使用量の削減が必要です。自然林の保護には環境アセスメントの法制化と徹底、国内の木材使用量の削減のためには貿易規制や関税・課徴金の導入などを含む厳しい政策が必要です。  この1年でそうした施策は残念ながらとられませんでした。今後積極的にこうした策を 活用するよう環境庁や各省庁に勧告すべきです。

(2)オゾン層保護  施策の中に「特定フロン等の(中略)再利用」とあり、施策の実効性を著しく弱めています。フロンの回収率が著しく低いことから、大気への放出を防止するには代替フロンを含むオゾン層破壊物質の生産・使用を禁止し、オゾン層破壊物質の国による確実な回収と大気中放棄への厳罰、オゾン使用商品を事業者責任で確実に回収することを義務づけることなどが必要なはずです。  この1年でそうした施策は残念ながらとられませんでした。今後積極的にこうした策を 活用するよう環境庁や各省庁に勧告すべきです。とりわけ、オゾン層保護法でこともあろうに特定フロン全廃の先送りが審議されようとしています。対策に逆行するものとして、通産省に撤回を申し入れるべきです。

2.広域的な問題への対策  酸性雨については次節でも触れるように何よりも発生源対策・総量規制を徹底し、各分野・汚染源での汚染物質排出量の総量規制が必要です。

3.大都市圏等への負荷の集積による問題への対策 (1)窒素酸化物対策 (ア)自動車排出ガス対策  道路建設が自動車需要を刺激して自動車交通量の増加をもたらしてきた経緯を考えれば必要な対策は交通量、とりわけNOx排出の7割を占めるディーゼルトラックの走行量・台数の総量規制とそれを担保する政策と措置のはずです。とりわけ毎年15兆円を使って進められる「ゼネコン型開発」による道路整備の転換がなされなければなりません。私たちは自動車交通増加を促す政策の抜本転換を行い、道路特定財源の廃止と鉄道等への振り向け、道路整備計画の中止を提案してきました。  自動車交通量削減のための具体策として、都市部の公共輸送抜本強化、燃料税増税やロードプライシング等の政策と措置が必要です。とりわけトラック輸送における輸送効率向上では、共同輸送システムが優れていることが川崎や福岡で明らかになっており、その普及策が望まれます。  ディーゼルからガソリン車への転換のための具体策としては、軽油引取税の増税によるガソリン単価とを逆転させること、排ガス規制値を毎年ガソリン、ディーゼルともに定率で改善し特にディーゼルの改善率を高めて一定年度の後に両者の規制値を同じくすること、貨物輸送で現在でも十分可能な5トン以下をガソリン車に転換し、5トン以下の貨物車導入に補助金を支出すること、ディーゼル普通車の禁止とガソリンへの車転換を補助すること等の政策と措置が必要です。  また、温暖化の項でも触れましたが政策と措置の削減効果の明示と評価方法の提示が不可欠です。とりわけ道路整備が「窒素酸化物対策」として掲げられていることからも、個々の道路整備により具体的にどれだけ過去に排出削減効果があり、また今後どれだけ削減が予測されるのかを示すことが必要です。今年示された予測は来年の進捗点検で実績を審査し、予測が過大あるいはそもそも削減につながらない場合には供用の停止や関係者の処罰を含めた厳しい策をとることが必要です。  NOx法の特定地域については平成12年の達成を確実にするため、毎年の削減目標を決め て着実に達成していくこと、毎年の目標が達成できない場合には都心部の道路を選択的に供用停止する等、確実に交通量の具体的削減を進めること、そうした対応策を事前に周知徹底し、運輸事業者や住民の準備を促すことが不可欠です。  しかし、この1年でこの分野の対策は進まず、それどころか1月には5年間で78兆円も使 ってさらに道路を増やす新規五カ年計画が閣議決定されました。こうした政策が大気汚染防止に逆行することを指摘し、上のような政策に転換するよう強く求めるべきです。

(イ)固定発生源  固定発生源からの排出は石炭火発などの発電所、ごみ焼却場などが大半を占めることから、これらの発生源対策・総量規制を徹底するとともに単体規制を強化することが必要です。このためにも石炭火発大増設やごみ焼却場建設計画は見直すことが必要です。  しかし、この1年でこの分野の対策は進みませんでした。こうした政策が大気汚染防止 に逆行することを指摘し、上のような政策に転換するよう強く求めるべきです。

(ウ)その他  船舶からの汚染物質排出により、東京湾や大阪湾の汚染が一層促進されていることが指摘されています。船舶からの単体の排出量を毎年定率で低減させるとともに、排出総量の削減を行うことが必要です。

(2)浮遊粒子状物質対策・ディーゼル排気微粒子対策  ディーゼルトラック対策を徹底するため、温暖化やNOx対策で指摘した事項を着実に実 施することと、環境アセスメントの評価に当該物質を確実に加えることが必要です。

(4)硫黄酸化物対策等  石炭火発においては、地域によって排出総量の規制値が極端に異なり、都市部を離れた規制の弱い地域に石炭火発が集中立地する結果になっています。一番厳しい規制値に一本化することが必要です。

4.多様な有害物質による健康影響の防止  有機塩素系溶剤等は健康影響の把握と使用の削減が急務です。石炭やごみの燃焼に伴い発生するフッ化水素をはじめ、有害な微量物質についても健康影響の把握と規制の整備が図られる必要があります。

5 地域の生活環境に係る問題への対策  温暖化や窒素酸化物の項でも触れた通り、政策と措置の削減効果の明示と評価方法の提示が不可欠です。個々の道路整備により具体的にどれだけ過去に騒音低減効果があり、また今後どれだけ低減が予測されるのかを示すことが必要です。今年示された予測は来年の進捗点検で実績を審査し、予測が過大あるいはそもそも低減につながらない場合には供用の停止や関係者の処罰を含めた厳しい策をとることが必要です。  新幹線騒音については既に速度の低下で70ホーンの環境基準が達成できることが示されており、まず速度低下による基準の遵守を強制することが必要です。速度の増加は沿線対策等が確実に実施され、騒音が基準内に収まることが環境アセスメントにより確認されない限り認められるべきではありません。また、騒音基準はいつまでも70ホーンという高い値のまま留まってはならず、毎年着実に低下させていくことが必要です。  航空機騒音については、一旦騒音基準の達成が全空港でなされるレベルに離発着回数や便数を落とすことを基本とし、離発着の増加や時間の延長は騒音基準の達成が前提にならなくてはなりません。また、民間空港と同じ基準・運用が軍事空港にも適用されることが必要です。  しかし、この1年でこの分野の対策は進みませんでした。上のような政策に転換するよ う強く求めるべきです。

6大気環境の監視・観測体制の整備  監視・観測体制については窒素酸化物や浮遊粒子状物質等を対象に、汚染の深刻な大都市圏で更に細かい観測網を整備することが必要です。道路沿道に3〜500メートル毎に機器を設置すること、大きな交差点やインターチェンジ・ランプなど大気公害の深刻な所には必ず設置することに加え、東京湾や伊勢湾、大阪湾等の海上の汚染データについてもブイなどを利用して新たに測定機器を設置することが必要です。得られたデータは、現在のように数カ月を要するのではなく、毎日の刻々と変化する時間毎のデータを迅速に公開・提供していくことが必要です。  私たちは様々な団体、各地の住民と協力し、簡易測定による身近な大気汚染状況の把握、大気汚染の深刻さを明らかにするとともに、多くの人々に環境破壊を深く印象づけ、消費行動等にも影響を与えてきました。しかし、行政は当手法の測定精度等に難色を示し、データとしての価値を認めずにきました。行政側と私たちの双方で専門家を推薦して構成する委員会で、期間を定めて住民の簡易測定データと行政データを比較検討し、補正係数等を定めること、それにより住民の実施する簡易測定を行政データとしても取り入れ、よりきめの細かい大気汚染状況が見て取れるようにすること、環境教育の一環として位置付けることが必要です。

第2節 水環境の保全  一部の都市河川では一時期の激甚汚染より若干改善されたとはいえ、汚染の広域化、汚染物質の多様化など水環境は深刻化しており、従来政策の延長では対応に限界があることを示しています。 しかし、こうした施策の改善はこの1年で進みませんでした。今後上のような施策を環境庁や各省庁が取り入れるよう強い勧告を行うべきです。私たちは以下のような政策を提案します。

1 環境保全上健全な水循環の確保 (ア) 環境基準等の目標の達成・維持等  水質確保のための環境基準等の達成・維持については、汚染物質については発生源対策が決定的です。固定発生源において濃度規制と併用して総量規制を実施し、その規制値を毎年一定の割合で改善し、徐々に規制値を厳しくしていくことが必要です。  加えて河川流域、湖沼毎に開発の総量規制が求められます。とりわけ水源地域については廃棄物処分場や、ゴルフ場をはじめとするリゾート施設など、汚染源になる施設を原則として禁止すること、違反事業者の処罰と原状回復義務を課することで水源地域の水環境を確保することが不可欠と言えます。  こうした施策はこの1年で進みませんでした。今後上のような施策を環境庁や各省庁が 取り入れるよう強い勧告を行うべきです。

(イ) 健全な水循環機能の維持・回復  まず山間部での過剰なダム開発、巨大な流域下水道による河川の水量減少、河口堰の建設などゼネコン型開発が水環境を歪めてきたことの総括と反省が必要です。その上でこれらの事業計画を抜本的に見直し、健全な水循環機能の維持・回復の観点から住民意見を取入れながら環境庁主導で流域計画を作って行く必要があります。  次に、計画にもあるように森林、水田の保水機能を評価し、林業、農業の維持を水循環機能の維持・回復のための基本政策として位置付け、とりわけ中山間地域のこれらの産業への補助や、都市部の水田への補助などを強力に実施することが必要です。  河川の三面コンクリート張り等が貧困な水環境をもたらしていることから、ヨーロッパで取り入れられている自然を活かした工法を日本でも取り入れていくこと、この際に開発業者と主管官庁・自治体建設部局だけで意思決定を行い、河川工事の単価を上げるだけのものにならないために、河川の自然回復には地域住民の意思決定参加が不可欠です。  海域についてはこれ以上の埋立、自然海岸線の改変を行わないことが優先されなければなりません。  こうした施策はこの1年で進みませんでした。今後上のような施策を環境庁や各省庁が 取り入れるよう強い勧告を行うべきです。

2 水利用の各段階における負荷の低減  各種化学物質や重金属等の汚染物質については工場、事業所毎に濃度規制と併用して総量規制を実施し、その規制値を毎年一定の割合で改善し、徐々に規制値を厳しくしていくことが必要です。また、製造段階からこうした物質を極力使用しないことが求められます。このためには仮に汚染物質が施設外に出て環境を汚染した場合には製造者の責任で回収・原状回復を義務付けるアメリカのスーパーファンド法的な法制度を水環境を含めて整備することが確実です。  生活排水については、建築基準法改正による合併浄化槽義務付けによる個々の家庭からの排出を抑えること、河川流域、湖沼毎に汚染物質毎の総量規制、さらには開発の総量規制が求められます。環境アセスで特に甘いこの分野の運用強化も求められます。  こうした施策はこの1年で進みませんでした。今後上のような施策を環境庁や各省庁が 取り入れるよう強い勧告を行うべきです。

3 閉鎖性水域等における水環境の保全  閉鎖性水域では汚染物質毎の総量規制を実施し、その規制値を毎年一定の割合で改善し、徐々に規制値を厳しくしていくことが必要です。加えて流域全体について開発の総量規制が求められます。  都市河川については流域下水道整備で流量を減らしたり、三面コンクリート張りで自然の浄化機能の一切を奪ってしまう従来の「ゼネコン型」河川・下水道政策を抜本的に転換し、事業所からの排水規制の徹底や住民参加での流域政策の決定等を実施する必要があります。  なお、富栄養化対策としては根本的には食糧大量輸入による窒素の大幅な輸入超過が原因です。水質保全のためにも食糧貿易について抜本的に見直し、国内農業の維持発展を図って行く必要があります。加えて有機物質を中心とした単体からの排出量削減の強化、水域全体の総量規制、さらには開発規制を組み合わせた水域全体の環境計画を住民参加で策定していくことが必要です。  こうした施策はこの1年で進みませんでした。今後上のような施策を環境庁や各省庁が 取り入れるよう強い勧告を行うべきです。

4 海洋環境の保全  諌早湾干拓など、国家主導で海洋環境を悪化させる事業が続いています。海岸整備五カ年計画は内容が明らかにならないまま温存されています。こうしたゼネコン型公共事業は一刻も中止されるべきで、既存事業を含めて必要性を全面的に見直し、また必要な事業もアセスを再度実施すべきです。  相次ぐタンカー事故に対処するため、事業者の原状回復義務を原則としつつも、国による迅速な除去・環境回復の措置を実施する体制を整備することが急務です。国の除去活動に要した費用は原因者である事業者が負担するのが適当で、事業者自身が負担し切れない場合には連結決算対象企業はもちろん、株式保合いなどを含む関連企業や融資している金融機関などがその責務を有することが効果的です。こうした環境リスクを負うことで企業の環境保全への関心の飛躍的な向上が併せて期待でき、タンカー事故自身の減少にもつながることが期待されます。  また、船舶からの大気汚染物質排出は無視できないものであり、とりわけ東京湾、伊勢湾、大阪湾では船舶によると考えられる大気汚染が深刻です。これらの観測体制を早急に整備するとともに、船舶単体の規制強化、湾内の総量規制を実施することが必要です。  こうした施策はこの1年で進みませんでした。今後上のような施策を環境庁や各省庁が 取り入れるよう強い勧告を行うべきです。

第3節 土壌環境・地盤環境の保全  工場跡地や廃棄物処分場等で新たな汚染が次々と見いだされ、土壌汚染が深刻化しています。土壌汚染の防止のためには工場や精錬所などを対象に事業所の処理の適性化と排出の総量規制を進めることはもちろんですが、根本的な解決 方法としては現在の有害物質を含む大量生産・大量消費・大量廃棄の社会のあり方が問われています。  まず、有害物質の使用を計画的に削減すること、代替を図ることです。このため、有機塩素化合物や水銀、鉛、カドミウム等の有害金属について排出の禁止と使用総量の削減計画を策定し、併せて使用者に課徴金を課するなどして可能なものは極力代替を進めていく政策をとる必要があります。乾電池等の有害ゴミは事業者の責任で回収させ、違反があった場合の高額の罰金と関係者の処罰を含む法制度の整備を行うことが効果的です。  いったん汚染された土地について、現在は香川県・豊島の事件や、東京都江東区・江戸川区での六価クロム事件に見られるように無責任な事業者により長年放置され、住民の健康被害が懸念される事態になっています。このためには汚染物質が土壌環境を汚染した場合には事業者の責任で回収・原状回復を義務付け、除去作業は国が率先して実施する法制度を整備することが確実です。国の除去活動に要した費用は原因者である事業者が負担するのが適当で、事業者自身が負担し切れない場合には連結決算対象企業はもちろん、株式保合いなどを含む関連企業や融資している金融機関などがその責務を有することが効果的です。こうした環境リスクを負うことで企業の環境保全への関心の飛躍的な向上が併せて期待でき、土壌汚染事故自身の減少にもつながることが期待されます。  廃棄物処分場における有害物質による土壌汚染は放置すると今後深刻化する問題です。とりわけ、安定型処分場への不法投棄、管理型処分場のゴムシートへの懸念が問題です。このため、土壌汚染がないかどうか、工場跡地、安定型及び管理型廃棄物処分場の総点検を実施し、汚染が認められた際には上記の方法で確実に汚染物質の除去・安定化を図り、健康被害や広域環境汚染の未然防止を図って行くことが急務です。

第4節 廃棄物・リサイクル対策  ダイオキシンや環境ホルモンなど、微量の有害物質による環境影響が大きな問題になっています。廃棄物処理については従来のように大量生産・大量消費・大量廃棄の社会のあり方が問われており、これに対する全面的反省と政策の抜本的な転換が求められています。とりわけ企業活動に手をつけずに解決することは不可能です。廃棄物行政のこの1年の動きは、清掃工場のダイオキシン規制の強化など一部で進展はあっても、抜本的な改善には至らず、不十分なものでした。

1 廃棄物の発生抑制  一般廃棄物については今年度の発生量データはまだ出ていませんが、抜本的削減策がないために総量、有害ゴミとも増加が続いていると考えられます。産業廃棄物は増加傾向は止まったようですが、依然一般廃棄物の10倍程度の膨大な排出が続いています。

 一般廃棄物の総量削減は一律料金徴収等の単純な量的な削減ではなく、製造者の責任に基づく回収義務、特に問題となる商品の規制等の措置などが求められます。とりわけ包装容器等についてはドイツで導入された強制リサイクル制度は大いに参考になりますし、PETボトルのような商品は禁止し、再利用可能な容器を中心とすることで廃棄物の大幅削減を実施することが求められます。事業系から排出される紙ごみにはドイツで導入された強制リサイクル制度によるリサイクル率の向上が求められます。また、廃棄物政策としてだけではなく、森林保全政策の一環として木材資源の輸入規制を含む天然資源保全のための政策と措置、無駄な消費をあおる広告の規制などが併せて検討されなくてはなりません。  こうした政策は残念ながら一部でしか実施されていません。PETボトルを放置し、紙ゴ ミを氾濫させている厚生・通産行政に強力に働きかけることが必要です。

 廃棄物総量の9割以上を占める産業廃棄物については、統計の取り方にもよりますが、 汚泥と建設廃材・残土が大半を占めることから、生産や建設の変革で削減を図らなくてはなりません。とりわけ建設廃材・残土については「ゼネコン型開発」の全面見直しと環境アセスメントへの廃棄物評価組み込み、廃棄物処理場所・方法の明記を公共事業の仕様書に盛り込むなどして廃棄物の処理のめどのたたないような工事はそもそもできないようにすることを通じ、強力に削減することが必要です。  こうした政策は残念ながら「リサイクル率向上」など一部でしか実施されていません。厚生・通産・建設行政に強力に働きかけることが必要です。

 一般廃棄物の中の有害ごみ削減は、製造者責任の徹底と焼却処理の改革以外にありません。家庭からの有害ごみは限られており、乾電池については製造者の回収及び処理義務、カドミウムの入った電池は期限を区切って製造・販売を禁止するとともに製造者の回収及び処理を義務づけること、塩素の入った包装容器等は早急に製造・販売を禁止するとともに製造者の回収及び処理を義務づけることが適当です。また再利用・リサイクルの徹底で焼却処理を計画的にとりやめ、焼却に伴うダイオキシン等の有害化学物質の生成を抑えていくことも必要です。また、産業廃棄物中の有害ごみは事業者責任で無害化することを法的に義務付け、環境への排出を避けることが必要です。  こうした政策は残念ながらほとんど実施されていません。厚生・通産行政に強力に働きかけることが必要です。

3 廃棄物の適正な処理の推進  ダイオキシンや環境ホルモンなど、微量の有害物質による環境影響が大きな問題になっています。廃棄物処理については従来のように大量生産・大量消費・大量廃棄の社会のあり方、とりわけ企業活動に手をつけずに解決することは不可能です。廃棄物行政のこの1年の動きは、規制の強化など一部で進展はあっても、抜本的な改善には至らず、不十分なものでした。  一般廃棄物については、有害廃棄物が一般のゴミに混じる現在の制度に問題があります。有害廃棄物については国や自治体が処理するのではなく、製造者責任で回収義務・処理義務を負わせることが必要です。その上で再利用・リサイクルの徹底、大型ごみの製造者引取義務等による廃棄物総量の大幅削減を図ることが求められます。  この1年の動きはこうした施策はとられませんでした。厚生・通産行政を中心に上に掲 げた政策を行うよう強力に働きかけることが必要です。

 産業廃棄物については、汚染物質が土壌環境を汚染した場合には事業者の責任で回収・原状回復を義務付け、除去作業は国が率先して実施する法制度を整備することが確実です。国の除去活動に要した費用は原因者である事業者が負担するのが適当で、事業者自身が負担し切れない場合には連結決算対象企業はもちろん、株式保合いなどを含む関連企業や融資している金融機関などがその責務を有することが効果的です。こうした環境リスクを負うことで企業の環境保全への関心の飛躍的な向上が併せて期待でき、有害物質の不法投棄や土壌汚染事故自身の減少にもつながることが期待されます。  この1年の動きはこうした施策はとられませんでした。厚生・通産行政を中心に上に掲 げた政策を行うよう強力に働きかけることが必要です。

第5節 化学物質の環境リスク対策  環境ホルモンの原因となる新規化学物質をはじめ、環境や健康への影響が不明な化学物質については、環境アセスメントを実施し、第三者機関が議論して結果が得られる以前に実験室外での実験や、市場流通を避けることが必要です。また、今後の先端技術の開発のありかたについては環境保全の立場から、当該分野の専門家に任せるのではなく、環境分野や医学・公衆衛生の分野の専門家や、住民、市民団体等の参加のもとに議論を行い、結論を得るプロセスが必要です。  この1年の動きはこうした施策はとられませんでした。厚生・通産行政を中心に上に掲 げた政策を行うよう強力に働きかけることが必要です。

第6節 技術開発に際しての環境配慮及び新たな課題への対応  環境ホルモンの原因となる新規化学物質や遺伝子組み替え作物の栽培及び収穫物の流通・販売、など環境や健康への影響が不明なものに際しては、環境アセスメントを実施し、第三者機関が議論して結果を得る以前に実験室外での実験や、市場流通を禁止することが必要です。また、今後の先端技術の開発のありかたについては環境保全の立場から、当該分野の専門家に任せるのではなく、環境分野や医学・公衆衛生の分野の専門家や、住民、市民団体等の参加のもとに議論を行い、結論を得るプロセスが必要です。  この1年の動きはこうした施策はとられませんでした。厚生・通産行政を中心に上に掲 げた政策を行うよう強力に働きかけることが必要です。

第2章 自然と人間との共生の確保  自然環境破壊はとりわけ国や自治体主導の「ゼネコン型」開発をはじめ、乱開発の進行でますます失われつつあり、従来政策を抜本的に転換する必要があることを示しています。国や自治体主導の「ゼネコン型」開発が自然環境を破壊し、生物多様性を失わせてきたことの総括と反省から、とりわけ貴重な自然環境や生物種をこれ以上損なわないこと、現在の多様な自然を保持し二次自然を含めて保全すること、農林業をその担い手として位置付けること、これらとの整合性を開発の条件とすることです。  この1年の動きはこうした施策はとられませんでした。建設行政を中心に上に掲げた政 策を行うよう強力に働きかけることが必要です。

第4章 環境保全に係る共通的基盤的施策の推進 第1節 環境影響評価等  環境アセスメントは公害や乱開発の防止を事業レベルあるいは計画・政策レベルで保証する制度です。この1年で法制化がなされましたが、発電所アセスが通産所管の電気事業法になったことは実効性の点で大きな失点です。また、中央環境審議会の強い申し入れをも無視して通産省のごり押しを通したことは手続上も多くの問題を残しました。11月の基本的事項を受けて開発官庁が技術指針の見直しを行っていますが、住民参加や審査が不十分なほか、代替案や事後評価も限定されているためにどれだけ前進するか未知数です。  また、事業レベルだけでなく国の施策や計画のレベルについても環境アセスメントを実施し、他の政策に対して環境政策を上位に位置付けることが必要です。

第2節 規制的措置  規制的措置はこれまでも公害や乱開発の防止に最も威力を発揮し、また規制の強化が明示されることで企業等の環境保全に対する努力が高まるなどの相乗効果を発揮してきました。今後も環境規制をさらに発展させることが必要です。  最近問題になっている規制緩和については、環境や健康に関する事項については規制緩和の対象外とするのは当然ですが、これに加えて経済・開発に関する個別の規制緩和政策についても環境の視点から環境アセスメントを実施し、環境に著しい悪影響を及ぼす施策については中止することが必要です。  こうした検討は規制緩和に関してほとんど皆無です。環境庁から全省庁に申し入れ、また計画アセスを早期に制度化することが必要です。

第6節 環境情報の整備・提供  環境政策の意思決定に住民が参加し、また住民自らが環境に照らして生活スタイルを転換し、その行動を通じて社会のありかたを変えていくためには環境情報の公開が不可欠です。  現在は環境アセスメントの公告縦覧の資料が役所に行かないと見られなかったり、環境データが数カ月前のものしか見られないなど、情報公開は初歩の段階にあると考えられます。6月からのアセス法の試行や、今後の情報公開法を機会に原則非開示の従来政策を抜本的に改革し、環境や健康に関する情報は第三セクターや民間の発生源データなどの情報を含めて原則公開とし、非公開の場合には理由を示す政策転換が必要です。  一方、効果的な環境情報を提供し、環境に必ずしも関心のない方々の行動転換を図ることも必要です。温暖化や省エネで行われてきたような一般的な啓蒙普及ではこうした効果は期待できません。この点で効果的と考えられるのは毎日の天気予報の際に二酸化窒素濃度等の大気汚染情報を提供することです。同様の情報を流し、地域の環境悪化を認識する

地球温暖化対策の法制度への見解  

1998.4.21公害・地球環境問題懇談会(JNEP)

 新聞などの報道によると、環境庁は15日、地球温暖化対策促進法案を内定したとのことです。報道では、企業や自動車への規制は努力義務にとどめ、省エネ法との「重複」を避けたということです。  日本は1990年に地球温暖化防止行動計画を閣議決定し、2000年までに一人当たりCO2排 出量を1990年レベルに安定化させることを内外に公約しました。ところが、CO2排出量は1995年までに総量で8.3%、一人当たりでも6.7%も増加し、公約達成は絶望的と言われています。なぜ、こうした事態に至ったのかの総括と改善策が必要です。温室効果ガス排出の原因をたどっていくとことごとく国の経済・開発政策につきあたります。しかし、石炭火発や道路の建設をはじめとする温暖化防止に逆行するこれまでの経済・開発政策が変更されずにそのまま実施され、後から経済・開発官庁が温暖化防止政策を無視して勝手に計画を策定しています。中途で計画や施策をよりよいものに改める仕組みもありません。これでは温暖化防止などできるわけがなく、これまでの開発優先の行政のありかた、法制度に欠陥があることを示しています。  中央環境審議会は、こうした縦割りで実効性のない現行対策にかえて、総合的な対策のできる新しい法律を答申しました。国民世論やマスコミ論調も、総合的な対策を求めてきました。私たちも、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄をむしろ加速し、エネルギー浪費を国を主導に進めるような政策への反省と、どこが問題でどこを転換すべきかの総括が必要だと主張してきました。  ところが、京都議定書で6%削減が決まった後も、日本政府はCO2ゼロ削減(国民的努力 などで2%)など、京都会議前の対策に固執し、吸収源拡大解釈や外国からの排出量購入など、抜け穴の利用により削減したことにする一方、抜本的対策を求める国民の意見は無視し、京都会議前に決めた方針に従って通産省を中心とした既成制度の小手先の手直しに終始してきました。一連の政府の対応には、世界中からの要請や、国民世論に応えようとする姿勢が微塵も感じられません。国民世論や中環審答申を無視して通産省との妥協に応じた環境庁以上に、環境庁法案を骨抜きにし、温暖化防止を全て通産省所管にして新たな対策はさせまいとする通産省や財界の姿勢こそが批判されなければなりません。  私たちは地球温暖化対策促進法案の抜本的な強化を求めるとともに、国会では地球温暖化対策促進法案、省エネ法改正案の双方をリンクさせて環境の視点からの徹底審議と修正を求めるものです。

代替フロン等排出に関する業界自主計画発表に当たっての見解

        化学品審議会 地球温暖化防止対策部会 会長   早川 豊彦殿

1998.5.7 公害・地球環境問題懇談会(JNEP)

 地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された京都議定書では、日本は6%減が義務づけられました。日本政府は「1990年代末までに、二酸化炭素排出量を1990年レベルに引き下げる」という約束に背を向け、これまでに約10%も増やし、アメリカと並んで超過排出量の大半を占めるという無責任な政策を進めてきました。京都議定書を真に実効あるものとするためにも、国内政策を抜本的に転換することこそが何よりも重要です。そのためには、日本政府と産業界が従来からの大量生産・大量消費・大量廃棄・エネルギー浪費の社会システムを転換し、環境重視の政策を実行する必要があります。温暖化防止対策を強力にすすめるには、実効性ある法制度の確立、意思決定への市民参加と徹底した情報公開を行うことが不可欠です。

 日本では企業の排出する汚染物質が各地で大きな公害被害をもたらしてきました。多くの人が亡くなるような深刻な公害対策も、企業まかせではなかなか進まず、企業に対する規制や課徴金などの国や自治体の対策がこれまで大きな成果をあげてきました。

 代替フロンなどのガスは、1990年には日本の温室効果ガス排出の約2%でしたが、1995年には約4%を占め、今後も急増が予想されています。代替フロンHFCは、100%工業製品で排出源も限られ、しかも放出禁止などの法整備が進んでいる欧米では代替品の開発も進んでいます。代替フロンHFCは、放出規制はもちろん、使用規制・生産規制により早期に全廃を促すのが効果的です。また、HFCなどは工場内で管理されるものが多く、HFCは化学工場での副産物の排出が全体の90%(CO2換算)を、PFCは半導体工場などほぼ全量が工場内の使用で占められます。このようにHFCなどは規制がしやすい物質と言えます。  ところが、代替フロン対策について2月に通産省は「2%増加」を容認し、業界の自主目 標に任せる方針を発表しました。私たちはこれでは対策にならないのではないか、大幅増加にブレーキがかからないのではないかと懸念してきました。さる4月27日に示された業界自主計画の内容は、この懸念が的中したことを示しています。

 今回提出された計画では、HFCなどの排出は大幅な増加になると見られていますが、多 くの業界は排出総量の見通しを示しておらず、どれだけ増加するかも不明です。自動車関連5業界は指標に「カバー可能な率」を定めました。恐らく「廃車全体に対するフロン回収をする車の割合」だと思いますが、カークーラーが使用中に漏れてしまう量や割合、回収するときの回収率(10%未満と言われています)などが示されないので、今より増えるのか減るのか、自動車関連5業界の排出フロンのうちどれだけを回収するのか、まったくわかりません。他の業界にも、排出量に直接結び付かない指標をもとに目標値を定めたところもあります。化学品審議会には自主行動計画に頼る手法がそもそも誤りであったことを認め、方針を転換し、2010年頃までに全廃すべく、明確な数値目標を定め、必要な規制を行うことを求めます。  消費者は代替フロン商品を求めていません。各業界には一刻もはやく代替フロンから脱却すべく、実効的な計画を出し直すことを求めます。

送付先 通産省基礎産業局オゾン層保護対策室 〒100東京都千代田区霞が関1-3-1

経団連「新東京圏の創造」への見解

1998.5.  JNEP/公害・地球環境問題懇談会(公害・地球懇)

1.経団連報告書『新東京圏の創造』について
 経団連は4月21日、「報告書『新東京圏の創造』 −安心・ゆとり、魅力、活力を兼ね備えた都市づくりに向けた提案−」を発表しました。  報告書では、「今なぜ新東京圏の創造か」と題した第2章では、「少子高齢化の進展」 や、「集中のデメリットの顕在化」などが指摘され、「アジア都市に対する都市運営のモデルとして」、「環境との共生」など、東京の改革の意義が語られています。続く第3章「21世紀の東京圏の理想の姿」では「防災都市づくりの推進」、「健康高齢都市の創造」や、「循環型都市の形成」などが提案されています。規制緩和などの鎧も見えますが、防災都市、循環型都市などのまともな主張がなされています。  ところが、それに続く第4章「安心・ゆとり、魅力、そして活力を兼ね備えた新東京圏 創造に向けて」では、「スーパー環状道路」、「環状2号線整備計画」など、従来型公共事業を要望する提案が並んでいます。

2.東京の将来像を考える際に検討すべき事項
 東京のあるべき将来像を考える際には、これまでの東京の諸問題とその原因、反省をもとに、それを改善する手段を検討することが必要不可欠です。東京では深刻な公害被害が続き、3万人の公害被害者が日々苦しんでいます。東京など大都市に共通の、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却も不可欠です。  この原因を探ると、東京の公害では、公共事業が大きな原因となっています。東京の道路公害は言うまでもなく道路偏重の公共事業が大きな原因です。また、大気汚染や土壌汚染への大企業の役割も大きく、大工場や発電所からの汚染物質排出が東京に大気汚染公害をもたらしました。ずさんな廃棄物処分などによる深刻な土壌汚染が「六価クロム」事件など、もたらされています。加えて、東京大気汚染公害裁判では自動車メーカーも被告に加えられ、その責任について法定で論争が続いています。  東京の自然破壊では、公共事業が大きな原因となっています。国定公園に指定された高尾山などでは首都圏中央連絡自動車道路の建設が計画されています。沿線地域では大規模開発計画が目白押しです。また、日の出町で新たに森を切り開いて隣の漏水欠陥処分場と同じ構造の廃棄物処分場がつくられています。  大量生産・大量消費・大量廃棄の問題は、言うまでもなく産業界の役割が重要です。廃棄物では産業廃棄物が圧倒的に多く、一般ゴミもオフィスからの紙ゴミが激増しています。家庭ゴミも増えているといっても、産業界に押しつけられたペットボトルなどの容器包装廃棄物の問題が大きいわけです。  東京の将来を考える際には、公共事業による環境破壊と財政破綻の問題、産業活動によるところの大きい大量生産・大量消費・大量廃棄の問題、この2つを避けて通るわけにはいきません。これなしには東京の「安心・ゆとり、魅力」はなえてしまいますし、臨海副都心で財政破綻寸前の東京都が、財政を新たな公共事業で決定的に破綻させれば東京の「活力」は永久に失われてしまうでしょう。

3.「新東京圏」に欠けているもの
 こうした観点から「新東京圏」を見ると、公害・環境破壊、そして国や自治体の財政破綻は公共事業が大きな原因でした。今はこれらの矛盾を拡大する「規制緩和」も進められています。大量生産・大量消費・大量廃棄は上に述べた通り産業界によるところが大きいわけです。「新東京圏」にこうした反省が見られないのはどうしてでしょうか。また、それを無視するかのように新たな道路建設や規制緩和が主要な提案となっているのはどうしてでしょうか。  「新東京圏」の内容には多くの不満がありますが、以下には4章にある公共事業の提案 に絞って意見を述べることとします。

4.新しい東京圏創造のプロジェクト提案について
 ここに提案された3つのプロジェクトに対し、私たちは怒りを覚えます。道路計画2点について、このワーキンググループは多くの犠牲者を出し、今も多くの公害被害者が苦しむ東京の深刻な大気汚染についてどのように考えているのでしょうか。

(1)「スーパー環状道路“loop 2020”」について (経団連意見)
 山手線外縁部の危険性の高い木造住宅密集地域を面的整備により不燃化を促進する一方、地権者の理解を得て、土地の高度利用によりオープンスペースを確保し、東京を環状で囲むグリーンベルトを創出する。これにより、防災性向上と都市の環境問題、交通問題の改善を図る。

 経団連提案の本文には道路とは書かれていませんが、環状道路建設が目的かと思われます。東京都内は多くの測定局でNOx規制値の達成が絶望的とされ、高濃度汚染は沿道にとどまらず、面的に広がっています。都内だけでも国の認定だけで3万人の公害被害者、増加を続けている児童・生徒の喘息被害がいます。こうした中で都心部にさらなる汚染源を莫大な税金を投入して行うことにどのような意味があるのでしょうか。  また、この経費はどれくらいで、誰が負担するのでしょうか。公的資金で行ったら、ただでさえ公共事業のやりすぎで破綻状態にある国や東京都の財政破綻は決定的になります。

(2)「都心部超高層住宅整備」について (経団連意見)
 都心部における木造密集地域の再開発を進めることにより、活力ある東京圏の担い手であるアッパーミドル層あるいは高齢者の都心居住を推進するとともに、都心部に必要とされる防災拠点の確保及び都市環境整備・環境にやさしい供給処理施設整備を実現する。

 都心部に賃貸住宅を整備するのは問題ないと思いますが、超高層ビルをわざわざたてる理由がわかりません。これはむしろ、容積率のアップを狙った提言ではないでしょうか。容積率の規制緩和により、業務ビルをこれ以上東京に増やすことはすべきではありません。水や電気の供給、廃棄物処理が東京では賄えずに他県に迷惑をかけていることは、報告でも指摘されていることです。

(3)環状2号線(新橋〜虎ノ門区間)整備計画 (経団連意見)
 環状2号線整備計画は1946年に都市計画決定されながら長らく整備が進まなかったが、89年に立体道路制度が創設され、96年11月には地元にまちづくり協議会が設立されるなど、事業推進の準備が着実に進められている。この計画の実現により、交通問題の改善はもとより、市街地の再活性化、公共駐車場の整備、緑道公園整備による都市環境の改善を図ることが可能となる。

 繰り返しになりますが、東京都内は多くの測定局でNOx規制値の達成が絶望的とされ、 高濃度汚染は沿道にとどまらず、面的に広がっています。都内だけでも国の認定だけで3万人の公害被害者、増加を続けている児童・生徒の喘息被害がいます。こうした中で都心部にさらなる汚染源を莫大な税金を投入して行うことにどのような意味があるのでしょうか。自動車依存を増やし、公害を激化させる環状2号線建設などは迷惑ですし、これによる財政破綻の責任は誰がとるのでしょうか。

5.その他の公共事業関係提案について (1)「整合性ある交通インフラの整備」について

(経団連意見)  中央環状線の建設、東京外郭環状道路の建設、インターチェンジの整備などに早急に着手する必要がある。また、地価が低水準にある今こそ都市計画道路の建設を進める絶好のチャンスであり、早急に建設着工に向けた準備を進めるべきである。

 以上の提言は、道路偏重の交通インフラ整備をいっそう道路に偏らせるもので、「整合性ある交通インフラの整備」に逆行すると考えます。今なすべきは、道路投資を大幅に縮小し、必要であれば欧州で行われているように幹線道路の車線をつぶして市電軌道に充てるなど、自動車依存から鉄道など自動車以外の交通手段に転換するための交通インフラの整備です。自動車依存を増やし、公害を激化させる中央環状線の建設、東京外郭環状道路の建設などは迷惑ですし、これによる公団の財政破綻の責任は誰がとるのでしょうか。

(2)「民間主導型インフラ整備」について (経団連意見)
 新東京圏創造にとって都市基盤の充実は当面の重要課題であるが、それを進めるに当たっては民間活力を最大限に活用し、効率的に進める必要がある。現在、英国のPFI(Private Finance Initiative)や証券化手法を用いたプロジェクトファイナンスなどを参考に、民間の資金、経営能力及び技術能力を活用した社会資本整備のあり方が検討されているが、これまで官が行うものとされてきた分野を民間にも開放し、民間の手に委ねるという制度への転換を期待したい。民間事業者の創意工夫が十分に発揮されれば、国民に対して低廉かつ良好なサービスの提供が可能となろう。次項に掲げる具体的な都市づくりのプロジェクトも、PFIや証券化などの新しい制度的枠組みが構築されれば、民間主導で推進される道が開かれることとなる。

 私たちは民間主導型インフラ整備には賛成できません。道路など公共事業は住民がまちぐるみで反対しても強行され、公害被害を背負ってきました。神戸では強引な都市計画・道路拡張計画が震災後の復旧を妨げてきました。事業は税金ですから、国や自治体の財政破綻は国民にしわ寄せされてきました。工事を巡って癒着や贈収賄などの問題も度々摘発され、談合と不自然な入札が繰り返されてきました。こうした問題が未解決なまま、これをさらに曖昧にする新規制度が議論されるのは納得できません。

  道路計画変更もとめ政府申し入れ、JNEP    98/03/03 12:56

 2月25日、公害・地球懇(JNEP)など7団体は、去る1月末にきめられた2002年までの道路整備計画に関して、計画の見直し、情報公開、アセスの代替案義務付け、道路公団汚職の徹底解明など数点の申し入れを行いました。これにはJNEPから小池幹事長、白川事務局長らが参加し、建設省側は都市局、道路局から9名が応対しました。申し入れの全文は次の通りです。             
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                              1998年2月25日
建設大臣
 瓦   力 殿
                 公害・地球環境問題懇談会
                 道路公害反対全国連絡会
                 すみよい環境をつくる東京住民運動連絡会
                 大気汚染測定運動東京連絡会
                 高尾山の自然をまもる市民の会
                 東京大気汚染公害裁判に勝利し、
                  東京に青空を取り戻す会(青空の会)

    78兆円道路計画の運用変更と情報公開、
    道路公団問題の解明を求める要請書

 さる1月30日、1998年から2002年を計画期間とし、5年間で78兆円を投資する次期道路整備五ヶ年計画が閣議決定されました。河川などの諸計画が期間5年を7年に延長して総額を変えないことで年間30%程度の減額になったのと対照的に、道路計画はかえって2兆円も増額されたことは驚きです。
 私たちは道路整備には少なくとも3点の問題があると指摘してきました。
 一つは、道路は高速道路、バイパスなどを中心に大きな公害発生源になり、沿道住民に苦痛と健康被害をもたらすとともに、各地で道路は自然を切り開き、生態域を分断し、多くのダメージを与えてきたことです。
 また、人や物を運ぶ輸送分担で、著しく自動車に依存する基本政策が公害の根源になってきました。さらに、「道路整備で渋滞が解消される」との論法は、自動車交通量そのものがコントロールされない限り成り立ちません。新設道路に沿って事業所や集客施設も新設され、それが新たな自動車需要を生んでしまいます。渋滞解消を言うならば、交通量抑制と交通需要管理こそ検討すべきです。
 二つ目は、財政を圧迫してきたことです。78兆円という計画額は5年間で国民1人当たり65万円にもなります。巨額の投資の背景に、1年で6兆円5年間では30兆円(97年度)にものぼる石油諸税をまるまる道路財源に使う現行の財政制度の問題があります。
 三つ目は、意思決定への国民参加の欠如です。本来はどこの道路はどういう必要性があって、そこにいくら使うのかを公開し、住民の合意を前提に一つ一つ国民に信を問う手続きが必要なはずです。
 最近、日本道路公団の問題が吹き出しました。起債を巡って理事の汚職が発覚し、汚職の範囲は日増しにふくらんでいます。また、かねてから日本道路公団は過剰な投資がたたって累積債務は旧国鉄債務に迫る20兆円を越しています。本来自治体に支払うべき固定資産税が免除され、国民の隠れた負担になっているのも問題です。

                   記

1. 私たちはどういう経緯でこうした計画になったのか、また具体的にどこにどういう道路としてどのように環境配慮をするのか、また、住民合意をとっていくのか知りたいと考えます。道路審議会で意見を聞いた際には財政の話はありませんでしたし、環境負荷が大きく財政負担も重いバイパスや環状道路への要望は少なかったと記憶しています。環境政策の上位位置づけ、道路問題の透明化、国民参加の制度的確立のため、以下を求めます。
 (1)5カ年計画での2002年までの人や物の自動車依存の輸送分担計画を見直し、自動車依存を減少させること。
 (2)5ヶ年計画で予定している道路の具体的箇所、予算を全て公開するとともに、住民の合意、環境を悪化させないことを計画・建設・供用の条件とすること。
 (3)計画の実施に当たっては大気汚染、騒音、振動など環境基準を上回っている箇所について基準を来年度中に達成できるよう、各種規制や公共交通整備等を含む最大限の対策をとること。
 (4)計画の実施に当たっては環境負荷を適応可能な最高の技術を用いて最小化するとともに、生活道路を優先し、特に歩道、自転車道の整備を優先すること。
 (5)道路に関する環境影響評価の技術指針については、環境が現状以上に悪化しないことを原則に、代替案の義務づけ、事後調査及び環境負荷が事前予測を上回った場合の追加対策の義務づけ、を図ること。
 (6)国鉄債務解消に協力すること。
 (7)道路特定財源を期限を切って廃止すること。

2. 道路計画の一部を占める日本道路公団及びその他の有料道路関係公団については、以下を求めます。
 (1)今回の汚職について事実関係の徹底調査を行うと共に、一切の情報を公開すること。
 (2)腐敗の一掃を図り、そのために国民参加の監視機構をつくること。
 (3)累積債務をさらに増加させる過剰投資をやめるため、事業の大幅見直しを図ると共に、事業計画について国会の承認を得るよう制度化すること。
 (4)固定資産税の免税は2000年までに中止すること。

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