「全被害者の救済を」
全国公害被害者総行動始まる
要請やデモ、のべ1500人


2011.6.2 しんぶん赤旗

 「なくせ公害、守ろう地球環境」−今年で36回目となる全国公害被害者総行動(主催・同実行委員会)が1日から2日間の日程で始まりました。同日は、のべ1500人が東京・霞が関に集結し、環境省や農林水産省などの各省庁への要請やデモ、集会と終日、行動しました。公害被害の解決とともに、東日本大震災と福島第1原発事故の被災者の全面救済、原発依存からの抜本的な転換などを求めました。

◆震災・原発事故被災者と連帯

 環境省交渉では、冒頭、松本龍環境相が水俣病訴訟の和解成立にふれ、国として今後の対策の充実に力を尽くすと述べました。
 ノーモア・ミナマタ訴訟の大石利生原告団長は「隠れた被害者を救済するために、すべての住民の健康調査、環境調査をすべきだ」と求めました。
 公害被害について東京の大気汚染被害者の小柳晴子さん(68)=東京都北区=と、嘉手納基地爆音差し止め訴訟原告の福地勉さん(62)=沖縄県嘉手納町=が訴えました。
 小柳さんは、治療で大量のステロイド剤を服用し骨がもろくなり足が不自由になりました。最低でも月4万円ほどの医療費がかかっていましたが、現在は、都民対象の医療費助成制度の利用で無料になりました。「埼玉や千葉にいるぜんそくの友人は未救済です。国の被害者救済制度をつくってください」と訴えました。 
 近藤昭一副大臣は「何らかの対策をしていかなければならない」と答弁しました。
 福地さんは、町民の35%に迫る約5千人が原告団に参加した理由を数字で説明。年間3万5千回、夜10時から早朝6時までが4992回、1日平均108回、ひどい日は200回もの爆音の中で生活していると述べ、「眠れる環境をつくってほしい、それだけです」と話しました。
 公害・地球環境問題懇談会の小池信太郎代表幹事は、▽原発事故による電力不足を補うための環境負荷の大きい発電所稼働の環境アセスメントは免除されるということは避けなければならない▽原発施設の安全対策についてより厳密な対応が必要−など4項目にわたって要望しました。
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 農林水産省交渉では、筒井信隆副大臣が2013年12月までに諌早湾干拓潮受け堤防開門(常時開放)を命じる判決確定にもとづき、具体的な協議の場が必要という認識で一致するとの見解を示しました。交渉した「よみがえれ!有明」訴訟原告団・弁護団などが明らかにしました。
 原告側は即時開門を強く要求。さらに、農業者の開門による農業被害の不安に応えるため、調整池に代わる農業用水の確保を行い、被害補償も行うべきだと要請しました。
 弁護団は、農業被害が起こるとして長崎県が起こした開門差し止め訴訟で、開門に向けた協議の場が必要だと指摘しました。
 筒井副大臣は「そのとおりです」と、農業被害対策と協議の必要性を認めました。
 馬奈木昭雄弁護団長は「2013年までの開門は間違いないことだが、具体的な進行が見えてきた。実りの多い交渉だった」と話しました。

◆原発事故は人災 被災地の漁民、農民が訴え

 公害被害者による総決起集会が1日夜、東京・日比谷公会堂で開かれ、142団体、1千人以上が集まりました。
 集会では東日本大震災の被災地、宮城と福島の農漁民が連帯と支援を訴えました。
 1万人の組合員を擁する宮城県漁業協同組合の阿部力太郎理事長は、津波と福島第1原発事故で、1年を通して漁を営める活気に満ちた沿岸漁業が壊滅したと話し「津波は天災だが、原発事故の放射能汚染は人災であります」と怒りを込めて訴え、支援を呼びかけました。
 福島県農民運動連合会の亀田俊英会長は原発15`圏内の自宅から1日のうちに3回も避難したと話し「危険な原発は農業と共存しない」と語りました。
 基調報告した中山裕二事務局長は、原発事故と水俣病を比較し、命と安全を軽視して政官財の癒着のもと、国策として進めた構造の類似性を指摘。「公害と原発事故は同じ仕組みのもとで起きた」と述べ、今後の対策は、公害運動の中で確立された原因者負担の原則に基づいて行われるべきだと訴えました。
 水俣病、薬害イレッサ、カネミ油症、泉南アスベスト、首都圏建設アスベスト、大気汚染など各原告団・団体の代表が訴えました。 
 
原発推進の責任追及
公害総行動 東電は面談拒む

2011.6.3 しんぶん赤旗

 全国公害被害者総行動の参加者は2日、都内の企業本社、業界団体、各省庁への要請行動に取り組みました。
 電気事業連合会に対し、安全神話をふりまき、原発を推進した業界団体としての原発事故の責任を追及。
 「水俣病は公式確認から50年たっても被害はなくなっていない。放射能汚染は100年以上、みなければならないことを肝に銘じて、きちんと対策をとるべきだ」と指摘しました。担当者は「これからは自覚を持って必死に頑張っていく」と述べるにとどまりました。
 東京電力本店前の行動には150入が参加。事前に申し入れていたにもかかわらず、東電は面談を拒否しました。
 4月下旬にも農業被害者の同社への要請に参加した福島県農民運動連合会の亀田俊英会長は、「東電は、すべての被害賠償に責任を負うべきだ。安全な土地、農地を取り戻すまで私たちはたたかう」と訴えました。
 同社に40年勤続して職場の思想差別裁判をたたかい、のちに同社を被告とした川崎大気汚染公害裁判を支援した有坂直幸さん(70)は「原発事故で放射能を垂れ流すという最悪な事態を招いたにもかかわらず、被害者に会わず、ほおかむりなど許されない。東電社員は、被害者救済に何をすべきか自分の頭で考えてほしい」と訴えました。
 「ノーモア・ミナマタ」訴訟原告・弁護団は被告企業チッソと交渉、「国まかせではなく、被害者掘り起こしに独自に力を尽くすべきだ」と求めました。
 環境省前での行動締めくくりにあたり、森脇君雄代表委員は「東日本大震災、原発事故被害者と連帯する取り組みができたことは大きな成果。水俣病、大気汚染の訴訟終結の中での行動でしたが、公害は終わっていない。全被害者救済に向け地域で運動を広げよう」と話しました。