2011年1月14日 
 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー対策課御中
 買取制度小委員会報告書(案)に対する意見
 公害・地球環境問題懇談会
1.目的・意義について
該当箇所:実用化された再生可能エネルギーの考え方(p1)
意見内容:
 この制度は、再生可能エネルギー電力の大幅な普及拡大を目的にしています。普及拡大は火力発電所の発電量削減によるCO2排出削減に大きく寄与します。今は少ないダム式水力以外の再生可能エネルギー電力を、電力量の1割、2割と早期に広げていくには、再生可能エネルギー電源を設置する企業や個人が、その初期投資を売電収入により早期に投資回収すること、つまり早く「もと」をとることが最低限必要です。
 また、普及した設備を有効利用するため、再生可能エネルギー電力設備を使える期間ぎりぎりまで買取期間を設定し、その設備を社会的に最大限使用することも必要です。
長く買い取ることは上記の投資回収を確実にすることにもなります。
 また、普及拡大による「規模の効果」により再生可能エネルギー電力の初期設備投資費用も低減するなどの効果が期待できます。
 ところが、この報告書は、再生可能エネルギー電力を買い取る電力会社の費用回収や、費用負担の説明については手厚く書かれているものの、肝心の再生可能エネルギーを設置する者の投資回収については何も書かれておらず、長期に買取期間を設定し、せっかく導入された設備を最大限に活用する原則もありません。
 まず、当該制度の目的として再生可能エネルギー電力の大幅な普及拡大を掲げ、再生可能エネルギー電力の設置者が投資回収できるようにすることを制度目的、原則で確認することが必要です。買取期間は、当該設備が途中で買取を打ち切られ、まだ使える設備が止まってしまわないよう、その設備耐用年数を設定することが必要です。その上で、売電収入の総和が初期投資額を超え、また投資回収期間も長過ぎないように価格を定めることが必要です。

2.再生可能エネルギー普及と他の電力の様々な負担とのバランスについて
該当箇所:実用化された再生可能エネルギーの考え方(p1)
意見内容:
 報告書案は、再生可能エネルギー電力買取コストを反映した電気料金の引き上げによる「国民負担」が強調されています。
 しかし、電力のコストには様々なものがあります。
 電気料金に直接反映されるものには電源開発促進税による原子力関係研究予算や原子力発電所を中心とする電源立地交付金、原子力発電所の放射性廃棄物処理対策、化石燃料の高騰の際の燃料費調整、自主的取り組みによる温暖化対策が遅れたことによる「京都メカニズムクレジット」購入費用、など原子力発電と火力発電で多くの負担があり、すでに電気料金に反映され、その額も再生可能エネルギー電力普及による負担よりかなり多くなっています。逆に再生可能エネルギー普及については、火力発電所や原子力発電所の新設が不要になる「回避コスト」のコスト削減効果もあるはずです。
 また、再生可能エネルギー電力と、火力や原子力等の既存電源との発電単価の差は、再生可能エネルギー普及で将来の再生可能エネルギー電源の設備投資を大量普及の「規模の効果」で大きく下がることが予想されます。単価の差と発電量の積で表される買取総コストも一時期まで上がるもののピークを迎えて以後は下がることが予想されます。
一方で、普及が進まないと「規模の効果」も限定され、発電量が増えなくても総コストは下がらないことも予想されます。
 こうした様々なコスト及び回避コストの中で、再生可能エネルギー電力の買取に要するコストだけをとりあげ、しかも大量普及すれば下がるはずのコストも考慮せずに普及が十分でない初期段階のコストで「国民負担」として取り上げるのはバランスを欠いています。
 再生可能エネルギー電力買取のコストについては、大量普及により既存電源との単価の差が下がり、総コストの抑制になる可能性があるという特性を確認し、普及が不十分な段階でのコストでなく大量普及を早くすませて総コストを削減する方向性を確認し、初期の拡大イコール負担増でないことを確認すべきです。
 さらに、買取制度で発生する総合発電コストの上乗せ分は、電力で発生する様々なコストの一部であることを確認し、また再生可能エネルギー普及で、火力発電や原子力発電を減らすことができるメリットも確認し、買取初期の普及拡大イコール負担増でないこともあらためて確認すべきです。

3.対象電源の条件について
該当箇所:実用化された再生可能エネルギーの考え方(p2)、発電設備の要件の担保方法(p2?3)、バイオマス(p3)
意見内容:
 買取制度の対象電源は、技術開発は一段落し、発電コストは既存電源より数割から数倍高い電源で、しかもダム式水力の自然破壊のような環境負荷を発生させるようなものを除外、という大原則を確認すべきです。
 太陽光発電の細かな要件はこの段階では必要ないと考えます。
 バイオマスについては、国産バイオマスとすることの他、他との混焼型(補助燃料で一部石油等を使うものをのぞき)は除外すべきです。

4.全量買い取りとすべき
該当箇所:太陽光発電の買取方式(p4)
意見内容:
 再生可能エネルギー電力の買取範囲について、詳細制度設計についての案は家庭用太陽光発電についてだけ、自家消費分は買わずに「余剰電力買取」としています。
 まず報告書は、「余剰電力買取」が「全量買取」より省エネのインセンティブが高いと主張していますが、太陽光発電の買取価格と家庭用商用電力料金(電灯料金等)との差が、省エネを経済性で促すことになりますから、「全量」より「余剰」がインセンティブが大きいとの主張には根拠がありません。
 次に、報告書は、「余剰電力買取」が「全量買取」より全体のコスト(買取総額)を抑えると主張しています。初期の段階ではそうかもしれません。しかし、この制度は再生可能エネルギー電力(ここでは太陽光発電)を早く多く普及してそのコストを下げることも目的です。制度を始めた数年はともかく、5年後10年後は、全体のコストは制度を始めた初期のコストの大小より、太陽光発電を大量普及してその価格を下げることにかかっています。「余剰電力買取」は、買い取る電力量を少なくするのには役立つかもしれませんが、普及が妨げられてコストが下がらずに買取総コストが下がらないことが懸念されます。
 さらに報告書は、「制度変更のコスト」が「余剰電力買取」が「全量買取」より小さいと主張しています。これも制度を始めた数年はともかく、将来は、今合理的な制度に変更した方が多くの普及を済ませてから変更するよりも小さいと予想され、「余剰電力買取」が「全量買取」よりコストが小さいとの主張には根拠がありません。
 家庭用太陽光発電だけを、特別に「余剰電力買取」にする理由はありません。全て全量買取に改めるべきです。

5.初期投資費用の回収が十分できるように価格、期間を定めること
該当箇所:買取制度・期間に関する事項(p5-6)
意見内容:
 報告書には、再生可能エネルギー電源に投資する企業や個人の投資回収についてきちんと書かれていません。再生可能エネルギー電力の設置者が余裕をもって投資回収できるようにすることを確認することが必要です。
 また、投資回収期間も長過ぎないよう、せいぜい10年以内とするように価格、期間を定めることを明記すべきです。

6.太陽光以外についても買取期間を20年とすること
該当箇所:買取制度・期間に関する事項、風力発電等太陽光発電以外の電源(p5-6)
意見内容:
 報告書は、15年を軸に買取期間を検討するとしています。しかし、設置された再生可能エネルギー電源が、電力買取の打ち切りでまだ使えるのに止まってしまうことは社会的損失です。また、買取価格について「投資の回収が可能な水準以上の買取価格が設定する場合」と仮定して、その上で「買取期間の多少の長短は投資判断において(中略)軽微な影響」として、短くしてもよいという結論を導いていますが、買取価格について原則も示していません。その設備が無理なく使える期間(耐用年数)に近い買取期間を設定する原則を確認し、20年とすべきです。

7.一律価格にせず、電源ごとに10年くらいで投資回収できるように買取価格を決めること
該当箇所:買取制度・期間に関する事項、風力発電等太陽光発電以外の電源(p5-6)
意見内容:
 報告書は、太陽光発電以外について買取価格を一律にすべきとしています。これは極めて問題です。
 太陽光発電を含めて一律価格とすることについては、太陽光発電と、その他の再生可能エネルギー発電(風力発電、小規模水力発電、バイオマス発電、地熱発電)で発電コストに差があるので、それでは太陽光発電が普及しないとわかっているようで、太陽光とそれ以外で価格を分けています。
 しかし、これは太陽光発電以外の再生可能エネルギー発電相互についても言えることです。一律にすれば、初期の段階でコストが相対的に安い電源が普及し、他は普及しないことが容易に想像できます。このことはドイツの固定価格買取制度の初期で、風力発電が普及して他はあまり普及しなかったことで経験済みです。
 電源ごとに、少なくとも10年程度で初期投資が回収できるように、きめ細かく買い取り料金を決め、普及に応じて、新しく設置された電源について価格を下げていく制度にすべきです。

8.家庭用太陽光発電の買取期間は20年以上にすべき
該当箇所:買取制度・期間に関する事項、太陽光発電、住宅等の太陽光発電(p6-7)
意見内容:
 報告書は、住宅用太陽光発電について、買取期間を10年としています。こんな短期しか買取を保証しないことは、今後の大量普及を図り、また普及した設備を長期に使っていく上で極めて問題があります。
 報告書は、理由として「現行制度」との整合性が強く求められるとしていますが、「現行制度」は前政権末期の2009年11月1日から1年強しかなく、利用者も限られます。
これとの整合性をもとに、今後もこの継続を主張すること自体無理があります。
 まず、家庭用太陽光発電設備投資費用が、10年の売電収入で投資回収できない可能性が高く、投資回収も保証できないようでは普及制度として欠陥があります。
 次に、買取期間10年終了後は買取が保証されず、送電網を管理する電力会社の裁量にまかされ、装置が止まったり、買い取られないために強制的に無駄な電気を消費させられるなどの懸念があります。
 家庭用太陽光発電も20年以上使えるので、最低でも20年は保証すべきです。

9. 家庭用太陽光発電の買取価格も約10年くらいで投資回収できるように買取価格を決めること
該当箇所:買取制度・期間に関する事項、太陽光発電、住宅等の太陽光発電(p6-7)
意見内容:
 家庭用太陽光発電を早く大量普及し、初期投資コストを下げるため、10年程度で「もと」がとれるように買取価格を定めることが必要です。

10.家庭用以外の太陽光発電について、買取期間を長く、買取価格も約10年くらいで投資回収できるように買取価格を決めること
該当箇所:買取制度・期間に関する事項、太陽光発電、工場・事業所に設置する太陽光発電(p7-8)
意見内容:
 家庭用以外の太陽光発電も、早く大量普及して初期投資コストを下げ、また設置された太陽光発電設備が電力会社に電気を買い取られないために発電を止めさせられたり強制的に無駄な電気を消費させられることを防止するため、買取期間は20年以上とし、10年程度で「もと」がとれるように買取価格を定めることが必要です。

11.RPS制度はすみやかに廃止し、また「バンキング」への補償は行わないこと
該当箇所:RPS制度に関する事項(p8-9)
意見内容
 再生可能エネルギー電力買取制度があれば、RPS制度は不要であり、廃止すべきです。過去の目標が甘かったために多くの電力会社が目標以上に導入して繰り越し、「バンキング」が生じているが、これへの補償は不要です。

12.既設の再生可能エネルギー設備の買取について
該当箇所:新設・既設、出力増強の扱い
意見内容
 既設の再生可能エネルギー発電所のうち、再生可能エネルギー割合が100%または100%近いもの(一部助燃剤をいれているものなど)については、RPS法施行以前のものであっても、投資回収できるように買取期間と価格を定めるべきです。
 一方、RPS法対象のバイオマス発電所には、石炭火力発電所に数%程度バイオマスを混ぜただけのものがあります。こうしたものは、RPS法施行後に設備投資をしていても、買取制度で考慮する必要はないと考えます。

以上