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「原発事故問題に関する緊急申し入れ」報告
1. 申し入れの経過
別添申し入れ文書をもとに、3団体(全国公害被害者総行動実行委員会、公害・地球環
境問題懇談会、全国公害弁護団連絡会議)合同による、緊急申し入れと交渉を行った。
2011年4月1日文書郵送による申し入れと、4月8日に3団体代表が直接、内閣官房、東京電力本社、経団連会館内の電気事業連合会に直接出向き行った。
・3団体側
小池信太郎 総行動実行委員会運営委員長/公害・地球懇代表幹事
清水 瀞 公害・地球懇事務局長代行
中杉喜代司 公害弁連事務局長
・相手側
新原修一郎 内閣官房副長官補室環境担当
吉村 陽 東京電力株式会社総務部渉外・広報グループ副長
魚谷 敦司 電気事業連合会総務部秘書課副長
森井 㤗貴 同 広報部副長
2.申し入れ・交渉の概要
(1)相手方3カ所に対し、文書により行うとともに、相手側に口頭で強調した内容は、つぎのとおりである。
1)わが国の歴史上例を見ない事態を招いた責任の重大性を認識すべき
「津波は天災、しかし、原発事故は人災」である。しかも、その事故により失ったものはあまりにも大きく、その被害は、現在ばかりでなく、将来にわたり予想を超えるものだ。そして、事故を発生させた東北地方に限らず、日本全体、全世界的な大問題になっており、わが国の歴史上例を見ない大失態であり、関係企業とそれを放置し、さらには協力してきた政府の責任は重大だ。
2)「想定外」などとの言いわけは許されない
「申し入れ文書」の冒頭部分に述べているとおり、すでに、2005年2月23日の衆議院予算委員会公聴会における石橋克彦神戸大教授の口述では、「日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入っている。(電力会社は)絶対安全だとおっしゃるけれども、地震学的にみますと、いろいろな疑問点があります。アメリカでは、地震というのは原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因であるというふうに考えられています。普通、原発の事故というのは、多重防護システムあるいはバックアップシステム、安全装置が働いて大丈夫なように造られているわけですけれども、地震の場合は、多重防護システムが働かなくなるとか、最悪の場合は、過酷事故という炉心溶融とか核暴走とかになりかねないわけであります」と。
じつはこの衆議院予算委員会の国会議事録は、本日申し入れの3団体が参加し、2009年12月に開催した全国公害被害者総行動実行委員会の「合宿」で、その内容の一部を参考にし討議の上、原発問題についての方針をまとめた経緯がある。このように、すでに私たち民間の運動団体でさえ、原発と地震との関係についてその危険性を指摘してきた。ましてや、国会という最高の公の場で、地震による「過酷事故という炉心溶融とか核暴走」が警告されてきたにもかかわらず、「想定外」などということでの言い逃れは絶対に許されるものではなく、企業・関係団体や政府の責任は重大である。
こと原発に関しては、「想定外」などということは、あってはならないことである。
3)非科学的な「安全神話」を反省し、自然エネルギー重視の政策を
原発依存政策の危険性をあげて、「麻薬患者」に例えられる。麻薬依存症=「原発依存症」と「禁断病」で、結果は、現在の深刻な電力不足をもたらしている。電力の安定供給の裏付けとなる自然エネルギーへの転換の努力の芽を摘んでしまってきた。
電力業界と政府は、これまでの非科学的な「安全神話」を改め、原発依存政策と事業の抜本的転換をはかるべきである。電力の安定供給のため、太陽光・風力など自然エネルギーへの転換を積極的にすすめることを要求する(ドイツでは、再生可能エネルギーによる発電量がエネルギー量の約17パーセントに達した)。
また、「安全」宣伝とは裏腹に、これまで全国各地で事故の頻発、その事故かくしとデーターのねつ造が繰りかえされてきた。情報の公開を強く求める。
4)地球温暖化防止政策への逆行と大気汚染増大につながる石炭火力発電への安易な 依存をしないこと
電力不足を理由に、石炭火力発電をふやす計画が伝えられている。これは、地球温暖化防止政策に逆行し、大気汚染を深刻化することにつながることであり、これまで長年大気汚染公害裁判をたたかってきた私たちにとって看過できない問題である。
石炭火力発電への安易な依存をやめ、短期的には高効率の天然ガス発電への転換などにより対応すべきである。
5) 緊急にとるべき諸対策を
いま国民は、東電と政府の原発事故の対応に不安と不信をもっている。①「危機回避」の緊急対策、②避難住民、農畜産・水産物等放射線被害の補償、③エネルギー対策の転換、などを強く求めている。
6)真に役立つ原子力行政・制度の確立と、危険なプルサーマル計画をやめること
・独立した規制機関をつくり原子力安全行政の確立すること。
・原発の危険を増幅するプルサーマル計画を中止すること。
7)話し合いの継続を
今後、引き続きこのような話し合いの場をつくることを求める。毎年6月の環境月間の中で、「全国公害総行動デー」として、対政府・企業に対して要請行動を行ってきた。今年36回目を迎えるが、その一環として、今年は、原発問題を重要な柱として取り上げることとなろうが、その際は、今回提起した内容についての取り組みの進捗と今後の在り方について伺いたい。
(2)各申し入れ相手とのやりとりの概要
1)内閣官房
上述のとおり、申し入れ文書の内容と口頭による協調点を述べた後(東電本社、電事連も同様)、内閣官房との交渉の概要はつぎのとおり。
交渉団
2010年3月に運転開始から40年を迎える日本初の商業用原発について、「原発40年超運転、初認可」「日本は『高齢原発時代』に入る」(90年9月3日朝日)との政府決定を行ったとの報道がある。また、2010年度予算の事業仕分けにあたって、「『電源立地地域対策交付金』について、原発立地に税金を集中すべき」との原発推進の政府政策などが、今回の事故につながった責任は重大だ。原発依存政策を改めることが緊急課題だ。
内閣官房
もっと厳しくやるべきだったと思う。「安全基準」は国際的に厳しくしていく方向だ。規制機関は、推進の経産省から離し、権限と体制を強める方向で、検討が始まっている。「エネルギー新計画」は白紙に戻し、見直すことになるだろう。
2)東電本社
交渉団
われわれは、長年大気汚染裁判をたたかい、電力会社の責任を追及してきた。その経験から、電力会社の体質が今日の大惨事につながったものと考える。この東電本社前は、忘れることのできない思い出の場所だ。川崎の大気汚染公害患者が、ぜんそくで亡くなった仲間の遺影を掲げ、解決を求めて、厳寒の寒空のもと玄関先の広場で座り込んだ。支援団体の人たちが差し入れたお汁粉を食べていたところ、なんと東電の関係者から、「冥途の土産に汁粉でも食え!」との暴言が浴びせられた。各電力会社が最大の大気汚染排出源でありながら、裁判解決への努力を欠き、住民の健康や地域環境を守ることより、企業の利益を優先させてきたことを、私たちは身をもって実感してきた。こうした企業体質が生んだ結果であり、こんどこそ、その体質を改め、社会的責任を果たすべきだ。
東電
本当に申し訳なかった。お詫びする。三点の指摘はそのとおりで、全力で努力している。補償問題について、現地での状況をつかみ、責任をもって対応したい。
3)電気事業連合会
交渉団
環境アセスメント法改正問題をめぐって電事連や電力業界は、「原発立地に困難」との理由で、電気事業を戦略的環境アセスの対象から外すため、異常ともいえる行動をとった。「不正続きの発電所がアセス除外とは」(2007年4月27日付日経社説)との記事では、そのことが指摘され、当時、社会的な顰蹙を買った。
原発事故への世論の非難が集中している現在、これまでの連合会の方針を改め、社会的責任と、環境重視の立場からの電力各社への積極的な役割の発揮を要求する。
電事連
国の指導を受けて、電力各社は、地震・津波対策を点検・検討しているが、電事連とし直接指導は考えていない。
戦略アセスについて、電気事業は対象外とはなっていない。
交渉団
戦略的環境アセスの対象外などといったことは事実と異なる。幸いにしてというか、昨年(2011年)の国会では、環境アセスメント法案が継続審議になり、近々、国会審議が始まる。いま、原発立地をすすんで受け入れる自治体など、おそらく皆無であろう。私たちは、近々行われる国会審議の中で、原発問題について、環境アセス制度が本来求められる制度として確立されるよう運動をすすめる。ついては、かってのような「妨害」をすることのないよう要求する。
原発事故は、国内・国外とも注目している。電力会社の存立そのものが問われているのではないか。事態解決のため、電力各社まかせではなく、電事連としての積極的役割の発揮を求める。
最後に、「想定外」の責任逃れと「ベストミックス」(原発、化石燃料、自然エネルギーによる発電)は、二度と使うべきでない。
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