温暖化防止のため先進国の責任を果たす国際合意と、

大口排出源の削減義務化など実効ある国内政策を求めるアピール


 オーストラリアとブラジルでの大水害、中国北部とアフリカ南部の大干ばつなど、温暖化・異常気象被害の拡大が現実となってきました。温暖化の被害を未然防止し、生物多様性を保全し、次世代に手渡すことは、私たちの世代の義務です。科学者が求める水準まで温暖化対策を徹底し、生態系や農業を守る政策をすすめ、それに逆行する政策は未然に改める必要があります。

 ところが、「先進国向けの強い義務を伴う制度」と「途上国を含む包括的制度」の2本建てでの交渉に対し、日本政府は温暖化対策強化の国際交渉で、「世界共通の1つの制度」にこだわり、妨害しています。「米国中国を制度に入れるため」に「世界共通の1つの制度」にすべきだという日本政府の説明を本気で聞く人は少なく、「世界共通の1つの制度」ならば先進国の義務も弱くできるだろうという日本国内の大排出産業の意向だと見透かされています。

 また、日本政府は国内では大排出産業の意向を受け、大口排出源削減義務化政策議論を先送りする方針を決めました。温暖化対策は、25%国内削減目標を外国の動向などの条件を付けずに確定し、かつ排出の6割を占め、GDPや雇用割合は約1%である大排出産業(火力発電所、高炉製鉄所など)の削減を義務化することから始まります。また、安全性の問題があり、かつ温暖化対策遅れの主因である原発推進政策を採用してはなりません。

 温暖化対策は経済にマイナスとの意見がありますが、逆です。大口排出源削減義務化政策や自然エネルギー普及政策は、莫大な温暖化対策投資を、GDPや雇用の99%を占める産業(大排出産業以外)にもたらし雇用を増やします。逆に政策先送りは日本の製造業を、排ガス規制を避けて技術開発が遅れた米国自動車産業のように弱体化させ、若者の雇用、地方の雇用を奪うことでしょう。

 民主党は温室効果ガス25%削減(2020年に1990年比で)や排出量取引制度(大口排出源削減義務化政策)導入などを総選挙で国民に約束しました。また、鳩山前首相は国連でこれらを国際公約しました。これらを反古にしてはなりません。

 国際条約で、日本政府は条約会議の「京都議定書強化反対」姿勢を転換、世界の大半が賛成している「先進国むけの削減義務強化」(京都議定書の目標強化)を受け入れ、2020年25%削減目標(1990年比) を、他国の行動を条件とせず、受け入れるべきです。

 国内政策で、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で国内削減により25%削減する目標、および主要3政策、 (1)発電所を含む大口排出源の総量削減義務化政策、(2)産業に例外を設けない炭素税導入、(3)自然エネルギー電力の全量買取義務化、を含む法制化を今国会で図るべきです。また、2050年の削減目標(80〜95%削減)についても、2050年目標達成から遡って今後の実行計画をつくり実施すべきです。さらに、環境アセスメント制度の抜本強化、戦略アセスメント制度法制化により、温暖化防止や生物多様性保全に逆行する施設建設の未然防止を図るべきです。

 さらに、大口排出源削減義務化などの政策強化で温暖化対策投資を大幅に増やし、雇用拡大、地場産業振興を図るべきです。これは温暖化対策企業の競争力強化にもなります。

 私たちは、以上のような条約対応と、国内温暖化対策の徹底強化を求めます。

2011.2.19

公害・地球環境問題懇談会 COP16報告集会