2012年2月8日

政府のCOP17対応転換と国内政策強化を求める声明

日本は2020年25%削減目標を掲げ、脱原発で実現するため国内政策抜本転換を

公害・地球環境問題懇談会

国際制度を拒否する日本政府の態度

 COP17(気候変動枠組条約第17回締約国会議)は2011年11月28日から12月9日まで(実際は11日まで)南アフリカのダーバンで開かれた。今回は日本・カナダ・ロシアが先進国の2013年以降の削減義務に反対したが、EUや他の西欧諸国はこれら3カ国が加わらなくても目標達成をする意思で交渉をリード、被害を受ける島嶼国やアフリカ諸国と共に先進国・新興国に対策を迫り、合意に至った。京都議定書改正や各国の具体的目標を決めるには至らないものの、2つの重要な方針が決まった。

 まず、先進国は京都議定書で2013年以降も削減義務を持つことを決め、各国の具体的削減目標は2012年末の条約会議で決定することに合意した。

 また、現在削減義務を持たない途上国及び京都議定書に加入していない米国を含む排出削減等について議定書、法的文書あるいは法的決定について2015年までに合意し、2020年に発効させることが合意された。

 いずれも危険な気候変動の悪影響を回避し、気温上昇を産業革命前から2℃未満に止める行動として遅すぎ不十分だが、国際社会がそのための前進をしていることについては評価できる。

 日本政府は「すべての国の参加する一つの制度」に固執、先進国だけが削減義務をもつ今の京都議定書では2013年以降の削減義務を拒否すると主張した。先進国の責任を棚上げし、世界が気候変動の悪影響防止に向けて合意し行動することに背を向け、問題が極めて大きいと言える。

 

脱原発、大口排出源削減義務化、自然エネルギー電力買取など、国内政策抜本転換を

 この消極姿勢は、国内対策消極派の圧力と、原発依存の国内対策の破綻の両面がある。

 民主党はマニフェストで「25%削減」(2020年に温室効果ガスを1990年比で)を国民に約束し、鳩山首相(当時)は国連会議で国際公約した。しかし、政府は「原発が増えるから不要」「業界計画にまかせればよい」として省エネ・自然エネルギー普及・脱石炭を促す政策導入を先送りしてきた。いま、原発事故による被害が底なしに拡大するもとで、脱原発と安全で多様なエネルギー政策への転換は不可欠のものとなっており、原発をCO2排出減の前提とするような主張は、決して許されるものではない。

 福島原発事故後、政府も「原発依存度をできる限り減らす」としたが、その方針がぐらついている。一方、自然エネルギー電力固定価格全量買取法が成立したのは前進だ。日本ではこれまで、電力会社に一定割合の自然エネルギー電力購入を義務づける制度が、低い義務量に自然エネルギー普及を逆に押さえつけてきた。自然エネルギーの発電量をおさえることなく買い取る制度になったことで、自然エネルギーが採算のとれる買取価格・期間を定めれば大きな飛躍が期待できる。しかし政府は買取価格・期間を決める委員会の過半数を消極派が占める委員案を国会に提出、政府の「やる気」が疑問視されている。大口排出源削減義務化や省エネ・脱石炭の政策にはとくに前進がない。それどころか、政府内では原発増設が不可能になったので25%削減目標を下げる動きがあると伝えられ、中央環境審議会などで、目標を守るためにどう対策を強化し政策を強化するかではなく、目標自体をどうするかの議論が始まっている。

 削減目標の放棄や引き下げは地球環境に有害であり、国際的信用も失う。化石燃料輸入を継続して富を引き続き流出させ、かつ温暖化対策による国内グリーン産業の発展、地場産業・中小企業への対策発注、地域・若者にうまれるはずの雇用を失うことになり、悪影響はきわめて大きい。

 脱原発は温暖化対策と両立する。環境NGOは既に「再稼働なし」2012年脱原発実現で「25%削減」が十分可能としている。温暖化対策は省エネ・自然エネルギー普及・脱石炭を実現する政策導入が不可欠であり、脱原発で「大量エネルギー消費維持」の路線と決別するのは削減目標達成にとって逆に好都合である。しかも、省エネと自然エネルギー普及拡大で、化石燃料・核燃料の輸入が減り、その資金を国内の投資や雇用拡大に使え、日本の経済構造を大きく変える転換になる。対策強化は震災復興や雇用拡大とも両立する。

 私たちは日本政府に、先進国の責任、将来世代の生存基盤を守る責任を自覚し「25%削減」を京都議定書の次期目標として受け入れることを求める。また、脱原発の方針の下で、国内政策で「25%削減」を法定目標化し、大口排出源削減義務化、自然エネルギー電力を送電網に優先接続し、採算のとれる価格で全量買い取る制度など目標達成を保証する制度の速やかな導入を求める。