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だれが変革の主体となるのか=受苦者と問題を感じた多種多様な主体
1.だれが変革の主体となるのか=受苦者と問題を感じた多種多様な主体

資本主義の大量生産、大量廃棄によって、地球温暖化によって地球環境が以下に悪くなろうとも、現在の制度の下で、金儲けができて、物質的恩恵に浴している人は、それを是正しようとしないだろう―こうした根拠を明確に述べた本がある。アメリカの著名な経済学者ガルブレイスが最晩年に書いた『満足の文化』である。
そこでガルブレイスは次のように言う。
「最後に、次の点を強調しなければならない。経済の長期的停滞によって悪化する景気後退と不況。軍部の独立的権力に潜む危険。貧困と絶望によってますます悪化する都市スラムの不穏な状態。これまで、この三つは別々の問題として論じられてきた。しかしこれらすべては互いに関連ある問題なのである。深刻な景気後退は都市の悲惨な地域の不満を強める。軍事問題――現代の軍隊の性質からいって、恵まれない人々が携わる傾向が強い――が失敗に終わったあとにはなおさらである。もしそうなれば、満ち足りた人々が大きな負担をおうことになるはずである。しかし、そうした万一の災厄についてどれだけ理を詰めて説明したとしても、満ち足りた人の本性そのものからして無視されてしまう。満ち足りた人は短期的な問題には目を向けるが、長期的に満足を妨げるものに対しては目を向けない。長期的影響は見ないようにするという姿勢が、強固に彼らを支配しているのである。

(J・K・ガルブレイス著、中村達也訳『満足の文化』(新潮社、1993年、197㌻)

つまり、現在を支配する階級から、世の中を変革する議論は起きてこない。その議論は、現代社会で、受苦者として苦しんでいる人、マルチチュード(多種多様な主権者)として、現代の問題点を打開しようとしている人中心に起き上がってくる、というのが私たちの結論である。

2.何をしなければならないのか
1)再生不可能な資源・エネルギーは有限であることを知る

いずれなくなる時代が来て、そのときは、再生可能な資源エネルギーで生きなければならない。
現代は、再生不可能資源エネルギーから再生可能資源エネルギーに移行する時代

2)「エコロジカルフットプリント」の理論で考える

―このことが意味していることは、人類が、アメリカやEU・日本の今の生活を続けるとして、それを、現状のように、再生不可能資源・エネルギーを使うのでなく、仮に、再生可能資源・エネルギーだけの生活・生産とすることにした場合、「地球がどれだけ必要か」と考える理論である。
その答えをみれば、今の生活がいかに持続不可能化は明白である。
アメリカ並みの生活=地球が5個必要
EU 、日本並みの生活=地球が3個必要
地球は1個しかないのだから、だれかが地球5個分なり、3個分の生活をすれば、残りの多数は、平均を大きく下回る生活を余儀なくさせる。
こうした形で、資源の大量収奪、大量生産、販売、消費、廃棄を進める生活・生産様式の根本的な欠陥を浮き彫りにしたのが、地球温暖化問題なのである。

3)「低炭素社会」は、「基本的人権・人間の尊厳・社会正義を重視する社会」

(=とりわけ、人間にふさわしい仕事をみんなで分担する、働けなくなった人の人権を守る、生活保護以下の低賃金をなくさせる、長時間労働をやめる、農林水産業と中小企業の自立、それを基礎に地方自治体の自立を実現する。
「生態系の物質循環に則る生活・生産様式をつくる社会」(――お金ではなく「人間の尊厳と文化」の共同創造だよ)=そのいずれもが、「民主的地方自治体が中心になる社会」それを目指して「根元的民主主義を実現する社会」

4)「金融資本主義」「中央集権的な支配体系」の支配に人類の運命を委ねたら、大変なことになる

現在のワーキングプアや基本的人権をそのままにして、地球温暖化対策をした場合に、弱者は生きていけなくなる。また、日本の未来は暗澹たるものとなる。
その意味では、これが実現すると、社会の仕組みが大きく変わることになる。
だから、地球温暖化対策に反対する勢力も多い。

5)利己的人間から「社会的人間」に代わる時代

マックス・ウエーバー:現代人の特徴=利己的人間、「精神のない専門人。心情のない享楽人」、それを「社会の共通善」を「仕事を通じて実現する人間」に変わらなければならない。
・そのための政策情報のネットワークの時代
・大人の学びの重視、自立する主体を確立する時代、
現実には、以上の2点が非常に困難。
日本の場合、大企業の下請けなど、大企業に従属した経済しか経験していないの、中小企業・社会的企業体と地方自治体も、経済的・経営的に自立してきた歴史が少ない。これから歴史をつくる以外に道はない。

3.温暖化防止のための目標をどう設定するのか
1)2050年までに、世界は、1990年比(目標基準年次)で、温暖化効果ガスの排出を5割以上削減することで、G8サミットでも認識は一致した。それは先進国においては85~90%削減するということと同義である。
 2020年までに、25%~40削減する、先進国は、少なくても30%以上削減する。
 2012年までに京都議定書の目標どおりの削減を行う。期間をづらしたり、削減目標を変えるのは許されない。
 この方式を「予防原則」に基づいて、「バックキャスティング方式」でやるというように言う(=従来のやりかたと違うのは、「出来ることだけやる」という「フォアキャスティング方式」でないということ)
 それを知りながら、基準年次を後にづらし、削減目標を小さめにするというごまかしがまかり通っている。
 ①ムダや浪費を省き、さらに、自動車、産業、電力の生産様式を変えてでも、温暖化効果ガスの排出を半分に減らす、さらに、再生不可能資源エネルギーの使用を大幅に減らす。先進国では②以下の対策を含めて、温暖化効果ガスを85~90%減らす。つまり、従来の「売り上げ・GDPの増大を目指した従来の資本主義」はもはや継続できなくなったということ。
 ②生活水準を悪化させないためには、再生可能エネルギーの割合を4分の1程度まで引き上げなければならない。
 ③「ファクター4」「ファクター10」(資源エネルギーの使用効率を4倍、10倍にする)を実現する。
 ④森林、農業、海による炭素吸収率をあげる。
4.それぞれの主体は何をしなければならないか

以上の目標を実現するために、それぞれの主体が、適切に任務を分担することがどうしても必要となる。

主体別に主たる責任としてやるべきこと
国際機関明確な削減目標とそのための方式を確立する。食料主権を認め、それを基本に政策を確立する。
中央政府国際機関で合意に達した期限と目標を具体化する国内計画をつくり、法を制定(気候保護法など)し、「再生可能エネルギーの」普及に向けて固定価格買取制度」等の経済的インセンティブを強める制度を整備し、環境税新設する。
地方政府①中央政府が定めた起源、目標をブレークダウンした、地域の生活・生産様式を具体化し盛り込んだ「条例」と「制度」「計画」をつくる。
②食料での地産地消の促進計画、第一次産業計画
③地域エネルギー自給計画
④人間の尊厳を守る仕事づくり計画
環境教育地方政府の計画は、次代に生きる世代の生存に係わるものである。その世代に対し責任を持つ形で、補助テキストをつくり、環境教育を行う。
企業産業・交通・エネルギー分野を中心に、すべての企業は、温暖化効果ガス削減目標を実現した場合における2050年、2020年に想定される「生活・生産様式」を予測し、それに適合していく計画を持つ。ローリング方式で、その計画をより現実的、実行可能なものに修正する。
市民・労働組合・環境を守るNPOなどのアソシェーション①国際機関、中央政府、地方政府、企業がやるべきことをやるように要求し、監視していく
②子供たちへの環境教育に積極的に参加する
③身近な暮らしの中で、地球温暖化防止に役立つ活動に積極的に参加する。質を重視した生活文化への転換
④再生可能エネルギーに関して固定買取制度を要求する
⑤社会的正義、基本的人権を重視する社会、人間の尊厳を守る仕事と中小企業の自立を可能にする。
公害地球懇などの役割①地球温暖化防止に役立つ情報の提供と優れた活動の事例を普及するために、責任を持てる体制を計画的につくっていく。
②公害地球懇の本来の役割である公害被害者、労働組合など民主団体、専門家の三者結合をさらに発展させていく。
③地方自治体において、計画を具体化する際に、その活動を助けることのできる専門家を結集し、役に立つ。
(地球温暖化防止推進委員会)