▼No.1-3-16
1.省エネ時代における標準的なエネルギー政策(デンマークの場合)
これからのエネルギー政策の基本を考えてみよう。
その基本を踏まえたエネルギー基本政策については、すでにEUの諸国では、10数年の実践を終えて、現実に適合させた修正の時期に入っている。
その意味で、省エネ時代のエネルギー政策として、先駆的な役割を果たしたデンマークの事例を見てみよう。
ここでの基本政策は、以下のようなものであった。
第1に、エネルギーの使用削減、
第2に、石油に関しては、供給の現実にあわせて、使用量を削減していく。
第3に、再生可能エネルギーの時代に移行する過渡期のエネルギーとしては天然ガスを重視する
第4に、再生可能エネルギーの開発を急ぎ、2030年の中期的目標としては、これを4分の1まで拡大する。
そして、石炭の使用は非常に限定的とし、原子力発電は持たないというものである。
図表1.これからのエネルギー基本計画(デンマークの場合)
デンマークのこうした基本計画から日本は、学ぶべきである。
2.日本において、これから大いにありうるモデル
1)原子力:現在稼働中のものに、使用を限定し、新しい原子力発電は建設しない。
理由は、①人為的なミス(テロも含む)が大惨事になる。②直下型地震に対応できない可能性が強い、③老朽化による物質劣化が起きる、④放射能汚染廃棄物の処理問題に見通しがない、⑤廃棄物処理問題を含めた経済性からみて、問題なく不採算である。
2)再生可能エネルギー(水力、バイオ、風力、太陽光ほか)の計画的な増強を行う。そのために、コストに見合う形での「固定価格での買い取り制度」を実現する。
3)石炭、石油については、計画的に漸減していかないと大混乱に陥る可能性が高い。
4)天然ガスは、国土基幹ガスパイプラインを敷設し、東シベリア、サハリンからの天然ガス導入を図ると共に、LPGでの輸入、近海におけるガス田開発などを行い、石油から再生可能エネルギーに移行する過渡期のエネルギーの主役とする。
5)地域分散型エネルギー政策を主軸にすえ、そのもとで可能になる地域的な省エネルギーを行い、ファクター2(エネルギーの使用効率を現状の2倍にする)、ファクター4(4倍にする)などの技術開発を急ぎ、効率向上・省エネルギーを実現する。
6)森林等による二酸化炭素の吸収力向上に努める。
以上を踏まえて、現状から、2020年のCO2 30%削減、2050年のCO2 80%削減の時代を以下の展望で実現する。
①原子力、②再生可能エネルギー、③石油、石炭、④天然ガス、⑤省エネルギー、⑥森林等によるCO2の吸収源を育成する。
≪現状=2000年≫ %
≪2020年モデル=CO2を30%削減したときのエネルギー消費の割合モデル≫
①原発はそのまま、全体として、1割削減となるので、実質は、9割の14%の意味となる。他も同じ。
②石油・石炭の排出量のうち、5%削減分は植林などの吸収源での削減
⑤省エネルギーの削減に入っていく。削減量は10%
2050年と同じ計算方式を使った場合の削減量①=ゼロ、②=9%、③=5%、④6%、⑤10%=30%
≪2050年モデル≫
①CO2排出量=ゼロ
②再生可能エネルギーは設備投資のためのエネルギー使用があるので、CO2 排出効果を5割と見る。トータル4割削減した上でのCO2 の削減効果は、
40(=100-60)×50(CO2 排出割合)×26(=シェア)=CO2 排出量5%
③石油、石炭は4割削減した上での10%=森林利用の吸収力を強めて、石油・石炭を利用するものに、CO2の排出ゼロを義務付ける。排出量の削減10%
④天然ガスもトータルエネルギーを35%削減した上での30%のシェアということになる、天然ガスの利用に関してもピークがくる、これより先は漸減体制に入っていく。
60(=100-40)×75(石油に比べてCO2の排出の原単位が75%)×30(=シェア)=CO2排出量15%減少
⑤省資源エネルギーでの削減35%減少
合計のCO2削減量=65%
以上の努力をしても8割削減には届かない。8割削減に至るためには、
①省エネを35%から40%に引き上げて、この面での削減を40%とする。
②天然ガスから排出されるCO2を分離固定化する技術を開発する。
③石炭をゼロとし、石油に関しても大幅に減らし、この面でのCO2削減を実現する、などの対策が必要となる。