―ニュージーランドは、反核国家で知られているが、環境保護においても世界で最も先進的な国の一つである。とくにニュージーランドの資源管理法を中心とする環境法は民主主義によって環境を守るという考え方に基づいており、世界的に見てもきわめて優れた考え方である。日本の環境法にはこの点が最も欠けており、ニュージーランド環境法から学ぶべきことは多く、その徹底的な研究が必要である。
1.ニュージーランド民主主義の衝撃わたしにとっての、今まで一番ショックだった憲法体験は、1996年のニュージーランド留学のときの経験である。
2.手紙ニュージーランドで知った民主主義とは一言でいえば、手紙を書くということである。ホームスティ先のおじいちゃんが出した3通の手紙は、アメリカ大統領、国連事務総長、ニュージーランド首相宛で、そこには切手が張ってなかった。「公的機関に出す手紙は、切手が要らないのだという」こうして、ニュージーランドでは、市民から、毎日多数の意見が公的機関宛に届くのである。
3.アクセスラジオとシティボイス そのおじいちゃんが5月のある土曜日にラジオに出た。アクセスラジオといって「青年の主張」ならぬ市民の主張といった市が運営しているラジオ局である。市民は申し込みさえすれば、10分間どんなことでも無料で市民に訴えることができる。
おじいちゃんは、建築士として、カジノ建設計画に関して、その公園の構造上の建築学的意義からして、反対だと訴えたのである。
おじいちゃんに連れられて4月にカジノ建設計画の公聴会に出席した。驚いたことに196人から意見書が提出されており、全員に発表の機会が与えられていた。地方議会から選らばれた3人のコミッショナー(都市計画委員)は、朝9時から夜9時まで、4日に渡って意見を聞いたのである。ニュージーランドでは住民参加を基調とした世界一進んだ環境手続法である「資源管理法」がある。そこには、住民の同意なくして開発なし、の原則が貫かれている。開発計画は簡単なアセスメントを付して全住民に通知される。住民の意見書がだされれば必ず開催される「パブリック・ヒアリング」では全住民に発言が認められる。それを踏まえて、コミッショナーは、市長に意見書を提出する。私(外国人だが)にも発言の機会が与えられた。
5.6.公聴会とデモクラシー コミッショナーが住民多数の意見を入れて「カジノ計画却下勧告」を市長に提出したため、市長は直接住民合意を取り付けるため、96年5月の日曜日に、公聴会を開いた。多くの市民が参加できるように500人規模の会場が用意された。それも市民主導の公聴会である。
私は、次々と立ち上がって訴える市民の意見を聞きながら感動で涙が止まらなくなっていた。朝8時半に開催された公聴会が終わったのは夕方5時半だった。
第4次労働党ロンギ政権の下で1987年、世界初の非核法が成立したために、ニュージーランドとアメリカの軍事同盟が停止した。これによってANZAS軍事同盟も停止した。
ニュージーランドは高潔の国である。ニュージーランドの政治家が汚職と無縁なのは驚くに値する。
第1に、資源開発住民同意の原則が貫かれていることである。住民同意なくして開発なしの民主主義原則が徹底されている。
第2に、情報通知と情報公開が徹底されている。
第3に、環境アセスメントにおいては、政策段階、計画段階のアセスメントが保障されている。
第4に、サンセット法=開発計画が認可されてから2年以内に着工されなければその計画は白紙撤回となる。アメリカは5年以内、日本では数十年前の道路建設計画が、今でも幅を利かせている。
第5に、調査権と勧告権を持つ環境オンブズマン制度があり、機能している。
ニュージーランド外来種対策法では、1996年、世界に先駆けてホワイトリスト方式を採用した。外来種の輸入を全面禁止して安全が確認された外来種のみを受け入れるという制度である。
10.むすび