日本はCO2の排出削減にむけてどのような努力をしてきたでしょうか。それはCO2削減に有効であったでしょうか。以下に二つの例をあげてみましょう。
1つ目はたとえば、原子力発電です。これはCO2を排出しないクリーンな発電であるから、温暖化対策の切り札になると推進者は主張してきました。しかも発電コストは他の発電より安価ですと。
しかしながら、ウランの精製、発電所の建設・維持にともなう大量のCO2の排出を推進者は語りたがらない。また、放射性廃棄物の1000年にもわたる管理にともなうCO2排出量の評価もあいまいです。
さらに、推進者による発電コストの算定もあいまいです。最近は推進者も自ら高い発電コストを認めはじめました。これでは市民が原子力発電をCO2削減の有効な方法として採用できないのは当然でしょう。
二つ目は道路整備です。たとえば、アクアライン(東京湾横断道路)は自動車の燃費を上げるから、CO2の排出抑制に有効であるとして建設されました。果たしてそうでしょうか。
川崎ー木更津間の15.1kmを自動車で渋滞なしのアクアラインを通過すると、同じ距離の渋滞有りの道路を通過するより、CO2の排出量は削減できます。年間の交通量を考慮すると、アクアラインは1年間に約0.413万トン(c換算)のCO2を削減できます。
しかしながら、セメントと、鋼材の生産にもCO2は排出されます。アクアラインの建設に用いられたセメントと鋼材のみで37.6万トン(c換算)のCO2がすでに排出されています。すなわち、毎年0.413万トンの削減が91年間つづいてすでに排出した37.6万トンと等しくなるのですから、アクアラインは西暦2089年以降にようやく温暖化防止に寄与することになります。
なお、アクアラインの建設や維持にともなうCO2の排出も考慮すると、アクアラインは永遠に温暖化防止に寄与することはできません。
また、アクアラインの建設費1兆5000億円は、維持管理費や金利をゼロとしても、通行料金で回収できるのは100年以上かかります。100年後もアクアラインは存在するでしょうか。
これらに共通することは何でしょうか。
利権の構造にしばられ、目先の利益に固執した判断です。さらには不作為のウソ、意図的で悪質なウソもあります。このような判断やウソは温暖化防止をしながら持続社会を考える市民には受けいれがたい。
これが繰り返されると、温暖化防止策として原子力や道路整備がたとえ有効であったとしても、市民はまず拒否反応を示し、推進者と平行線の不毛を続けることになります。これは全ての人に不利益をもたらします。
